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誕生
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次の日。雅史はブレザーに着替えた。苦痛だった。自分を偽りたくないのだろう。しかしその日、苦痛が苦痛ではなくなった。
学校に着いた雅史は下駄箱を開けた。中に手紙が入っていた。一枚ではない。二枚入っていた。興味無さげにその場で開いた手紙には、雅史に対する想いが書かれていた。所謂ラブレターだ。二枚目もラブレターだった。差出人は書かれていないが、筆跡が違う。別人だろう。どちらも、自分の事を呼ぶ時に、わたしと書いている。差出人は女だろう。
「…西園寺くん、おはよう」
後ろから声を掛けられた。女生徒だ。
「…何で名前知ってるの?」
振り返った雅史は、首を捻った。
女生徒は、顔を赤らめている。
「…同じクラスだよ。わたしは吉永由美子、よろしくね…それ、ラブレター?」
由美子は悲しそうな顔をした。
「…手紙には、好きって書いてあるよ」
「…西園寺君、凄いかっこいいもんね」
由美子は俯いた。
「かっこいい?」
これまで雅史は、自分の事をかっこいいと思う事はなかった。かっこいいではなく、綺麗になりたかったのだ。だから、かっこいい、かっこよくない、その両方に自分を当て嵌めた事がなかった。
雅史は元から中性的な顔立ちだ。美少年。一言で表せばそう言えるだろう。ハーフのような甘いマスクに、美しさも兼ね備えている。
「うん…西園寺君…これ、読んで」
由美子は顔を赤らめ手紙を渡した。そして、雅史が受け取ると、顔を赤らめたまま走り去って行った。
手紙を読んで気付いた。由美子が渡した手紙もラブレターだった。
雅史の中で、何かが囁いた。チャンスだ。利用しろ。
雅史はその瞬間から自分を偽り、女の心を封印し、男子を演じた。
言い寄って来る女子は後を絶たなかった。雅史はその全ての女子と付き合った。
雅史が高校に入って、初めて手に掛けたのは、学校一美少女と呼ばれていた鹿島葵だ。
雅史はある日、葵に別れたいと告げた。葵は雅史に泣き付き、必死に「嫌だ嫌だ!」と繰り返した。葵のその必死な表情を見て、雅史はぞくぞくとした。
それまで別れる素振りは微塵も出さなかった。雅史は裏切られた時の表情を見たいが為、別れ話を切り出したのだ。
殺したい…
頭の中で、何度もこの言葉が木霊した。しかし、まだだ。まだ足りない。雅史はその狂気の感情を表に出さなかった。
学校に着いた雅史は下駄箱を開けた。中に手紙が入っていた。一枚ではない。二枚入っていた。興味無さげにその場で開いた手紙には、雅史に対する想いが書かれていた。所謂ラブレターだ。二枚目もラブレターだった。差出人は書かれていないが、筆跡が違う。別人だろう。どちらも、自分の事を呼ぶ時に、わたしと書いている。差出人は女だろう。
「…西園寺くん、おはよう」
後ろから声を掛けられた。女生徒だ。
「…何で名前知ってるの?」
振り返った雅史は、首を捻った。
女生徒は、顔を赤らめている。
「…同じクラスだよ。わたしは吉永由美子、よろしくね…それ、ラブレター?」
由美子は悲しそうな顔をした。
「…手紙には、好きって書いてあるよ」
「…西園寺君、凄いかっこいいもんね」
由美子は俯いた。
「かっこいい?」
これまで雅史は、自分の事をかっこいいと思う事はなかった。かっこいいではなく、綺麗になりたかったのだ。だから、かっこいい、かっこよくない、その両方に自分を当て嵌めた事がなかった。
雅史は元から中性的な顔立ちだ。美少年。一言で表せばそう言えるだろう。ハーフのような甘いマスクに、美しさも兼ね備えている。
「うん…西園寺君…これ、読んで」
由美子は顔を赤らめ手紙を渡した。そして、雅史が受け取ると、顔を赤らめたまま走り去って行った。
手紙を読んで気付いた。由美子が渡した手紙もラブレターだった。
雅史の中で、何かが囁いた。チャンスだ。利用しろ。
雅史はその瞬間から自分を偽り、女の心を封印し、男子を演じた。
言い寄って来る女子は後を絶たなかった。雅史はその全ての女子と付き合った。
雅史が高校に入って、初めて手に掛けたのは、学校一美少女と呼ばれていた鹿島葵だ。
雅史はある日、葵に別れたいと告げた。葵は雅史に泣き付き、必死に「嫌だ嫌だ!」と繰り返した。葵のその必死な表情を見て、雅史はぞくぞくとした。
それまで別れる素振りは微塵も出さなかった。雅史は裏切られた時の表情を見たいが為、別れ話を切り出したのだ。
殺したい…
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