111 / 298
光と闇
14
しおりを挟む
「おい…おい!」
「…ん?」
雅史は漸く我に返り、声を出した。
「行こう」
「…あぁ」
名残惜しそうに立ち上がると、雅史は血塗れのレインコートを脱いだ。
「これに入れろ」
青木がエコバッグを広げて雅史に差し出した。雅史はレインコートを丸めてエコバッグに突っ込んだ。青木がまた何かを差し出した。
「これで体を拭け」
雅史は差し出されたウェットティッシュを乱雑に数枚取ると、顔と手を中心に体を拭いた。
足元に付いた血は目立たなかった。それは夜のせいばかりではない。雅史は赤い靴を履いている。それは普段からだ。血の色である赤い靴を雅史は普段から好んで履いていた。それが返り血を目立たなくしている。偶然がこの悪魔に味方をしたようだ。
拭き終わったウェットティッシュを青木が広げるエコバッグに投げ入れた。
「…目立たないな。行こう」
青木はそう言うと、雅史の腰に手を回した。
雅史は寝そべる明美の遺体に視線を向け、名残惜しそうに公園を後にした。
数時間後。明美の遺体は、ジョギング途中のサラリーマンにより発見された。通報を受けた警察は捜査を開始した。
明美は携帯電話を所持していた。その為、直ぐに身元は判明した。
明美が雅史の交際相手の内の一人である事は警察は知っていた。雅史の交際相手が狙われている。明らかに偶然ではない。未成年に余計な不安を与えない。それを考えてかは分からないが、警察は交際相手に護衛を付けていなかった。見張りさえ付けていない。それは度重なる事件による捜査員不足を理由にはできない。明らかに失態だ。交際相手全員に護衛を付けていれば、明美は死なずに済んだだろう。
警察は漸く雅史を失踪人から重要参考人と格上げし、緊急手配した。
数時間後。彩花はやりきれないといった表情を浮かべ、相棒の相田に視線を向けた。
「また、西園寺雅史の交際相手が殺されましたね…」
「そうだな」
相田は悔しそうな顔をした。
「もっと早く交際相手に護衛を付けていれば…」
彩花も悔しそうだ。
「交際相手の一人の行方が分かってないな…」
「平田亜由美ですね?」
「あぁ…無事でいれくれよ」
相田は願うように遠くを見詰めた。
「…ん?」
雅史は漸く我に返り、声を出した。
「行こう」
「…あぁ」
名残惜しそうに立ち上がると、雅史は血塗れのレインコートを脱いだ。
「これに入れろ」
青木がエコバッグを広げて雅史に差し出した。雅史はレインコートを丸めてエコバッグに突っ込んだ。青木がまた何かを差し出した。
「これで体を拭け」
雅史は差し出されたウェットティッシュを乱雑に数枚取ると、顔と手を中心に体を拭いた。
足元に付いた血は目立たなかった。それは夜のせいばかりではない。雅史は赤い靴を履いている。それは普段からだ。血の色である赤い靴を雅史は普段から好んで履いていた。それが返り血を目立たなくしている。偶然がこの悪魔に味方をしたようだ。
拭き終わったウェットティッシュを青木が広げるエコバッグに投げ入れた。
「…目立たないな。行こう」
青木はそう言うと、雅史の腰に手を回した。
雅史は寝そべる明美の遺体に視線を向け、名残惜しそうに公園を後にした。
数時間後。明美の遺体は、ジョギング途中のサラリーマンにより発見された。通報を受けた警察は捜査を開始した。
明美は携帯電話を所持していた。その為、直ぐに身元は判明した。
明美が雅史の交際相手の内の一人である事は警察は知っていた。雅史の交際相手が狙われている。明らかに偶然ではない。未成年に余計な不安を与えない。それを考えてかは分からないが、警察は交際相手に護衛を付けていなかった。見張りさえ付けていない。それは度重なる事件による捜査員不足を理由にはできない。明らかに失態だ。交際相手全員に護衛を付けていれば、明美は死なずに済んだだろう。
警察は漸く雅史を失踪人から重要参考人と格上げし、緊急手配した。
数時間後。彩花はやりきれないといった表情を浮かべ、相棒の相田に視線を向けた。
「また、西園寺雅史の交際相手が殺されましたね…」
「そうだな」
相田は悔しそうな顔をした。
「もっと早く交際相手に護衛を付けていれば…」
彩花も悔しそうだ。
「交際相手の一人の行方が分かってないな…」
「平田亜由美ですね?」
「あぁ…無事でいれくれよ」
相田は願うように遠くを見詰めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる