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西園寺瑠奈
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腸を裂傷していた瑠奈は、二ヶ月程の入院が必要だと医者に告げられた。
静香は毎日、病室を訪れた。しかし、二人の間にはあまり会話はない。掛ける言葉が見付からない静香は、黙って瑠奈の側にいた。
刑事が度々、瑠奈の元を訪れた。事件の聞き込みの為だ。
瑠奈と一緒に発見された俊也は、現在は重要参考人として身柄を警察に拘束されている。入院する程の怪我は負っていないとの事だ。
瑠奈は、俊也に刺された事を否定した。愛した者を庇っている訳ではない。自分を傷付けた罪は、自分の手で償わせたいのだ。
しかし、瑠奈の願いは叶わなかった。俊也が自供したのだ。警察は俊也を逮捕した。
瑠奈はその事実を聞き、強い怒りを感じた。おかしくなりそうだった。しかし、瑠奈はその感情を表には出さなかった。
俊也は死刑にはならないだろう。何年、何十年と経てば、刑務所から出てくる筈だ。その時に、生まれてきた事を後悔させればいい。瑠奈はそう考えた。
瑠奈は退院した。俊也と共に暮らした部屋には、二度と戻らなかった。自分の荷物は全て処分してもらった。思い出の詰まる部屋には近付きたくないのかもしれない。
殺したい程憎む相手を今も想っている。自分では気付いていないが、そうなのかもしれない。
瑠奈は静香と二人で暮らし始めた。堕落した生活。そう言われても仕方がない生活を瑠奈は送っている。それを静香が許している。まだ、心の傷が癒えていないと思っているようだ。
瑠奈は働こうともせず、家に引きこもり、酒ばかり飲んでいた。酒を飲んでいる間だけ、何かを忘れられるような気がした。しかし、その忘れたい何かが何なのかは、瑠奈自身、理解していない。
一年、二年と時間だけが流れている。瑠奈は二十五歳になった。未だ堕落した生活を送っている。瑠奈の心は壊れてしまったのかもしれない。元から常人には理解し難い思考だったが、より理解し難いものになってしまった。
静香は何年経っても何も言わなかった。いつまでも味方でいてくれている。
不意に気付いた。静香は心の底から自分を愛してくれている。
体の中で何かが蠢き、忘れていた感情を思い出した。
「見たい」
瑠奈は暗い部屋の中で、そう呟いた。
次の日。瑠奈は自宅の居間で、静香と向き合って座っていた。
「ねぇ母さん…私、そろそろ働こうと思うんだ」
「…雅史…無理しなくていいんだよ」
恋人に殺され掛けた我が子が立ち直り掛けていると思い、静香は涙を浮かべた。
「無理してないよ…母さんに心配ばっかり掛けたくないんだ」
瑠奈はにこっと微笑んだ。
数年振りに見る我が子の笑顔。静香は涙が止まらなかった。
静香は毎日、病室を訪れた。しかし、二人の間にはあまり会話はない。掛ける言葉が見付からない静香は、黙って瑠奈の側にいた。
刑事が度々、瑠奈の元を訪れた。事件の聞き込みの為だ。
瑠奈と一緒に発見された俊也は、現在は重要参考人として身柄を警察に拘束されている。入院する程の怪我は負っていないとの事だ。
瑠奈は、俊也に刺された事を否定した。愛した者を庇っている訳ではない。自分を傷付けた罪は、自分の手で償わせたいのだ。
しかし、瑠奈の願いは叶わなかった。俊也が自供したのだ。警察は俊也を逮捕した。
瑠奈はその事実を聞き、強い怒りを感じた。おかしくなりそうだった。しかし、瑠奈はその感情を表には出さなかった。
俊也は死刑にはならないだろう。何年、何十年と経てば、刑務所から出てくる筈だ。その時に、生まれてきた事を後悔させればいい。瑠奈はそう考えた。
瑠奈は退院した。俊也と共に暮らした部屋には、二度と戻らなかった。自分の荷物は全て処分してもらった。思い出の詰まる部屋には近付きたくないのかもしれない。
殺したい程憎む相手を今も想っている。自分では気付いていないが、そうなのかもしれない。
瑠奈は静香と二人で暮らし始めた。堕落した生活。そう言われても仕方がない生活を瑠奈は送っている。それを静香が許している。まだ、心の傷が癒えていないと思っているようだ。
瑠奈は働こうともせず、家に引きこもり、酒ばかり飲んでいた。酒を飲んでいる間だけ、何かを忘れられるような気がした。しかし、その忘れたい何かが何なのかは、瑠奈自身、理解していない。
一年、二年と時間だけが流れている。瑠奈は二十五歳になった。未だ堕落した生活を送っている。瑠奈の心は壊れてしまったのかもしれない。元から常人には理解し難い思考だったが、より理解し難いものになってしまった。
静香は何年経っても何も言わなかった。いつまでも味方でいてくれている。
不意に気付いた。静香は心の底から自分を愛してくれている。
体の中で何かが蠢き、忘れていた感情を思い出した。
「見たい」
瑠奈は暗い部屋の中で、そう呟いた。
次の日。瑠奈は自宅の居間で、静香と向き合って座っていた。
「ねぇ母さん…私、そろそろ働こうと思うんだ」
「…雅史…無理しなくていいんだよ」
恋人に殺され掛けた我が子が立ち直り掛けていると思い、静香は涙を浮かべた。
「無理してないよ…母さんに心配ばっかり掛けたくないんだ」
瑠奈はにこっと微笑んだ。
数年振りに見る我が子の笑顔。静香は涙が止まらなかった。
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