138 / 298
西園寺瑠奈
12
しおりを挟む
「母さん、心配掛けたね。もう大丈夫だから」
「…瑠奈」
静香は涙を流しながら笑顔を返した。
「母さん…私いっぱい働くね。お金貯めて、母さんの為に家建てるんだ」
瑠奈の目は、本気でそう思っているように見える。
「…ありがとう」
静香は泣きながら、とても幸せそうな表情を浮かべた。
「見たい」
瑠奈が呟いた。
「…ん?何を見たいの?」
「母さん、見せてくれる?」
瑠奈は服の中に隠していた鋏を取り出した。
「…ん?」
静香は理解していないようだが、怖かってはいない。この先の未来が見えていないのだろう。それは瑠奈を疑っていないからだ。
鋏を握り締めたまま、瑠奈が立ち上がった。
「どうしたの?」
静香が尋ねた。疑う事はないが、違和感はあるようだ。
瑠奈が笑顔で答えた。
「母さん、今から殺してあげるね」
静香の思考が一瞬止まった。しかし、本能が直ぐに脳を動かした。
「…瑠奈?」
静香は後退りしながら、おろおろとしている。
「母さん、何で逃げるの?」
瑠奈は笑顔を浮かべ、ゆっくりと静香に近付いている。
「…瑠奈?どうしたの?」
静香のその顔には戸惑いの色が浮かんでいる。しかし、絶望ではない。まだ信頼は残っているのだろう。
足りない。信頼から絶望に変わる顔が見たい。瑠奈の足は止まらなかった。
後退る静香の背中に何かが当たった。壁だ。静香は逃げ場を失った。
瑠奈は笑顔で近付いている。
「…嘘だよね?」
そうであって欲しい願いが、静香の口から出た。
静香は手を前に差し出し、瑠奈に触れようとした。これから犯すかもしれない、我が子の過ちを止めたかったのだろう。
「…瑠奈」
静香は涙を流しながら笑顔を返した。
「母さん…私いっぱい働くね。お金貯めて、母さんの為に家建てるんだ」
瑠奈の目は、本気でそう思っているように見える。
「…ありがとう」
静香は泣きながら、とても幸せそうな表情を浮かべた。
「見たい」
瑠奈が呟いた。
「…ん?何を見たいの?」
「母さん、見せてくれる?」
瑠奈は服の中に隠していた鋏を取り出した。
「…ん?」
静香は理解していないようだが、怖かってはいない。この先の未来が見えていないのだろう。それは瑠奈を疑っていないからだ。
鋏を握り締めたまま、瑠奈が立ち上がった。
「どうしたの?」
静香が尋ねた。疑う事はないが、違和感はあるようだ。
瑠奈が笑顔で答えた。
「母さん、今から殺してあげるね」
静香の思考が一瞬止まった。しかし、本能が直ぐに脳を動かした。
「…瑠奈?」
静香は後退りしながら、おろおろとしている。
「母さん、何で逃げるの?」
瑠奈は笑顔を浮かべ、ゆっくりと静香に近付いている。
「…瑠奈?どうしたの?」
静香のその顔には戸惑いの色が浮かんでいる。しかし、絶望ではない。まだ信頼は残っているのだろう。
足りない。信頼から絶望に変わる顔が見たい。瑠奈の足は止まらなかった。
後退る静香の背中に何かが当たった。壁だ。静香は逃げ場を失った。
瑠奈は笑顔で近付いている。
「…嘘だよね?」
そうであって欲しい願いが、静香の口から出た。
静香は手を前に差し出し、瑠奈に触れようとした。これから犯すかもしれない、我が子の過ちを止めたかったのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。
その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。
全15話を予定
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる