約束ノート

村上未来

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だるま

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「…うぎゃあぁぁぁ!」

 強烈な痛みで目を覚ました瞬間に、遥は叫んだ。
 目を見開いた筈だ。しかし、遥の視界は暗闇に包まれている。遥は目隠しをされている。

「気付いた?手術中だからあまり動かないでね」

 ボイスチェンジャーで声を変えているのか、遥の耳に機械的な低音の声が届いた。

「ぎゃあぁぁぁぁ!」

「もう逃げられないように、両手両足は僕が切り落としてあげるからね」

 声の主は、男か女か分からない。しかし、自分の事を僕と呼んでいる。

「…ぎゃあぁぁぁああぁぁぁああああ!」

 遥は意識を失いそうになる度、気が狂いそうな程の猛烈な痛みで意識を取り戻し叫んでいる。

「麻酔してないから痛いでしょ?でも、この痛みは罰なんだ。逃げた君が悪いんだ。悪い子はお仕置きしなくちゃいけないんだ。僕がお仕置きしてあげてるんだ」

 僕と呼ぶ者は、電動ノコギリのスイッチを入れた。

「ぎゃあぁぁぁぁ!ぎゃあぁぁぁぁ!…ぎゃあぁぁぁぁ!」

「輸血しながら手術してるから、死なないよ。だから安心して…でも、痛みで死んじゃうかもしれないな」

「…ぎゃあぁぁぁぁ!」

「まだまだ時間は掛かるよ」

 それから二時間経った。
 僕と呼ぶ者は、遥の頭を撫でた。

「終わったよ…これでもう逃げられないからね」

 しかし、遥には聞こえていない。遥は気を失えたようだ。
 床には無造作に捨てられた、腕と足が転がっている。僕と呼ぶ者は、それを踏みつけながら、だるまと化した遥を残し部屋を出て行った。
 数日経った。遥はあれから意識を取り戻す事なく眠り続けている。体には点滴の管が刺さっている。死なす気はないようだ。
 遥が眠る部屋に誰か入ってきた。その足音は、遥が眠るベッドの前で止まった。

「健太君は約束を守らなかったみたい…これはその罰だよ」

 機械的な低い声。僕と呼ぶ者の声だ。
 僕と呼ぶ者の右手が動いた。その手にはハンマーが握られている。
 僕と呼ぶ者はハンマーを振り下ろした。
 ハンマーは遥の頭とぶつかり音を立てた。

「ぐちゅっ!」

 部屋の中にこの音が響いた。
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