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もう一人の自分
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優しげな声に、小羽は足を止めた。
「確かに人を殺す事は悪い事だ。だけど、理由がある場合はいいんだよ。悪くないんだよ」
小羽は振り返った。
「…本当?」
「本当だよ」
鏡の小羽はにこやかに笑っている。
「…そうなんだ」
純粋な小羽は、素直にその言葉を信じた。
「やれるかい?」
鏡の小羽が優しげに尋ねた。
「…約束ノートに書いた約束は、絶対に守らなきゃ駄目なんだ」
小羽は鏡の小羽と目を合わせ頷いた。
「大丈夫、君ならやれるさ」
小羽はその言葉に、力強く頷いた。
決意の籠もった瞳を宿した小羽は、鏡の小羽に別れを告げると、洗面所を後にした。
部屋に戻った小羽は着替えを済ませると、ランドセルを背負い台所に向かった。
ドアから様子を伺った。台所に優の姿はない。家の中から音は聞こえてこない。行成は会社に行ったのだろう。優も出掛けているのかもしれない。
小羽は台所に入ると、引き出しを開け、果物ナイフを取り出した。それをジャンパーのポケットに仕舞った小羽は、台所を出ると玄関に向かった。
家にはやはり誰もいないようだ。二人のスリッパが玄関に並んでいる。小羽もスリッパを脱ぐと、靴に履き替え、玄関のドアを開けた。
小羽はいつものように笑顔を作り家を出た。しかし、いつもとは違い、霞の家には寄らなかった。
平日の朝。この時間に一人で歩くのは、霞が学校を休む時だけだった。いつも隣には霞がいた。でも、今はいない。
小羽は足を止めた。目の前には屋敷と呼ぶに相応しい佇まいの家がある。謙太の家だ。
笑顔の小羽の額には、汗が滲んでいる。暑いからではない。寧ろ肌寒いぐらいだ。
小羽が腕を挙げた。その指先は震えている。そして、その指先がインターホンを押した。
「…どちら様?」
インターホンから女性の声が聞こえてきた。
「…け、謙太君!学校行こ!」
小羽は緊張を掻き消すように、腹の底から声を出した。
「確かに人を殺す事は悪い事だ。だけど、理由がある場合はいいんだよ。悪くないんだよ」
小羽は振り返った。
「…本当?」
「本当だよ」
鏡の小羽はにこやかに笑っている。
「…そうなんだ」
純粋な小羽は、素直にその言葉を信じた。
「やれるかい?」
鏡の小羽が優しげに尋ねた。
「…約束ノートに書いた約束は、絶対に守らなきゃ駄目なんだ」
小羽は鏡の小羽と目を合わせ頷いた。
「大丈夫、君ならやれるさ」
小羽はその言葉に、力強く頷いた。
決意の籠もった瞳を宿した小羽は、鏡の小羽に別れを告げると、洗面所を後にした。
部屋に戻った小羽は着替えを済ませると、ランドセルを背負い台所に向かった。
ドアから様子を伺った。台所に優の姿はない。家の中から音は聞こえてこない。行成は会社に行ったのだろう。優も出掛けているのかもしれない。
小羽は台所に入ると、引き出しを開け、果物ナイフを取り出した。それをジャンパーのポケットに仕舞った小羽は、台所を出ると玄関に向かった。
家にはやはり誰もいないようだ。二人のスリッパが玄関に並んでいる。小羽もスリッパを脱ぐと、靴に履き替え、玄関のドアを開けた。
小羽はいつものように笑顔を作り家を出た。しかし、いつもとは違い、霞の家には寄らなかった。
平日の朝。この時間に一人で歩くのは、霞が学校を休む時だけだった。いつも隣には霞がいた。でも、今はいない。
小羽は足を止めた。目の前には屋敷と呼ぶに相応しい佇まいの家がある。謙太の家だ。
笑顔の小羽の額には、汗が滲んでいる。暑いからではない。寧ろ肌寒いぐらいだ。
小羽が腕を挙げた。その指先は震えている。そして、その指先がインターホンを押した。
「…どちら様?」
インターホンから女性の声が聞こえてきた。
「…け、謙太君!学校行こ!」
小羽は緊張を掻き消すように、腹の底から声を出した。
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