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ベッドに腰掛けた小羽は、頭にこびり付く霞の残像を拭おうと頭を振った。
霞には運命の人がいる。忘れなければならない。ましてや、自分は人を殺めた。霞を幸せにする権利などない。
どんなに忘れたいと願っても、霞は頭から消えてはくれなかった。
小羽は何日も部屋に閉じ籠り、頭を振り続けた。だが、霞が消える事はなかった。
部屋に閉じ籠る小羽を祖父母は心配している。だが、小羽は笑顔を作って安心させる事ができぬ程に苦悩していた。
日増しに霞への想いは強くなっている。そして、その想いが破裂しそうになった。
微かに声が聞こえた。
「邪魔者は消せばいい」
ベッドの上で膝を抱えていた小羽は、顔を上げた。虚ろな目で部屋を見回した。誰もいない。
「運命の人を殺せばいい」
また声が聞こえた。
小羽は立ち上がり、覚束ない足取りで、声がする方向に歩み寄った。
「俺は、こっちだよ」
その声は、虚ろな小羽を導いている。
小羽が声の主の元へ辿り着いた。
「やっと会えたね。久しぶり」
浅黒く焼けた端整な顔立ちの青年が小羽に笑い掛けた。
小羽は鏡の中にいる青年の顔を見詰めた。
朦朧としている小羽は、鏡に映る自分に話し掛けた。
「…久しぶり」
「あの子の事が好きなんだろ?ずっと一緒に居たいんだろ?」
鏡の小羽は優しい眼差しで小羽を見詰めている。
「…うん」
小羽は力無く頷いた。
「でも、あの子には運命の人がいる。しのはらけんたに奪われちゃうよ。それでもいいのか?」
「…やだ」
小羽は涙を流して答えた。
「じゃあ、あの子の運命の人を君にしてやろうか?」
小羽の涙が止まった。
「…本当?」
鏡の小羽は優しげに微笑んだ。
「あぁ。俺ならあの子の運命の人を君に変えられる」
悲しみしかなかった小羽の目に、光が宿った。
「俺に任せてくれるか?」
鏡の小羽が言った。
「…うん」
小羽が頷いた。
「じゃあ、君は眠っててくれ」
「…うん」
小羽はゆったりとした口調で答えると、静かに瞳を閉じた。
暫くすると小羽の目が開いた。
「やっと出れたか」
小羽は笑顔を浮かべた。
霞には運命の人がいる。忘れなければならない。ましてや、自分は人を殺めた。霞を幸せにする権利などない。
どんなに忘れたいと願っても、霞は頭から消えてはくれなかった。
小羽は何日も部屋に閉じ籠り、頭を振り続けた。だが、霞が消える事はなかった。
部屋に閉じ籠る小羽を祖父母は心配している。だが、小羽は笑顔を作って安心させる事ができぬ程に苦悩していた。
日増しに霞への想いは強くなっている。そして、その想いが破裂しそうになった。
微かに声が聞こえた。
「邪魔者は消せばいい」
ベッドの上で膝を抱えていた小羽は、顔を上げた。虚ろな目で部屋を見回した。誰もいない。
「運命の人を殺せばいい」
また声が聞こえた。
小羽は立ち上がり、覚束ない足取りで、声がする方向に歩み寄った。
「俺は、こっちだよ」
その声は、虚ろな小羽を導いている。
小羽が声の主の元へ辿り着いた。
「やっと会えたね。久しぶり」
浅黒く焼けた端整な顔立ちの青年が小羽に笑い掛けた。
小羽は鏡の中にいる青年の顔を見詰めた。
朦朧としている小羽は、鏡に映る自分に話し掛けた。
「…久しぶり」
「あの子の事が好きなんだろ?ずっと一緒に居たいんだろ?」
鏡の小羽は優しい眼差しで小羽を見詰めている。
「…うん」
小羽は力無く頷いた。
「でも、あの子には運命の人がいる。しのはらけんたに奪われちゃうよ。それでもいいのか?」
「…やだ」
小羽は涙を流して答えた。
「じゃあ、あの子の運命の人を君にしてやろうか?」
小羽の涙が止まった。
「…本当?」
鏡の小羽は優しげに微笑んだ。
「あぁ。俺ならあの子の運命の人を君に変えられる」
悲しみしかなかった小羽の目に、光が宿った。
「俺に任せてくれるか?」
鏡の小羽が言った。
「…うん」
小羽が頷いた。
「じゃあ、君は眠っててくれ」
「…うん」
小羽はゆったりとした口調で答えると、静かに瞳を閉じた。
暫くすると小羽の目が開いた。
「やっと出れたか」
小羽は笑顔を浮かべた。
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