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虚ろ
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「…おはようございます」
閉まるカーテンの向こうから、男の声が聞こえた。
「…おはようございます」
霞は立ち上がり、カーテンを開けた。そこには、佐瀬と勝又が立っていた。
「ご苦労様です。ありがとうございました」
霞は労いと感謝の言葉を掛けた。
「…部屋を用意したので、少しよろしいでしょうか?」
「はい…健太さん行ってくるね」
健太を見詰め、霞は佐瀬達の後をついて行った。
「…こちらお預かりしていた鍵です。玄関の鍵は締めておきましたので」
佐瀬は上着のポケットから取り出した鍵を霞に手渡した。
「ありがとうございます」
霞は受け取った鍵を握り締め、頭を下げた。
「…お聞きしたい事があるのですが」
佐瀬は開いた手帳に目を落とし言った。
「なんですか?」
「振り子が載っていたテーブルは、いつ拭きましたか?」
佐瀬は手帳から霞に視線を変えた。
「え?」
霞は質問の意図が分からない様子だ。
「テーブルに指紋が複数残っていました。新垣さんの指紋とは明らかに違う指紋も検出されたんです」
「本当ですか!?」
「はい…まだ新垣さんの家を訪ねた事がある人物の指紋の採取は行っていませんが、テーブルは拭くものですよね?何年も前に付いた指紋が残っているとは考えられません」
「…テーブルは毎日拭いています」
「では、犯人の指紋に間違いなさそうですね。それと、テーブルに頭髪と思われる毛が落ちていました。新垣さんより短かかったので、犯人の頭髪の可能性が高いです」
佐瀬は霞の艶やかな長い黒髪を見詰めた。
「犯人の…」
霞は怖がっている様子だ。犯人が捕まれば、振り子が戻ってくる可能性があるが、やはり怖いのだろう。
「しかし、解せない事があるんです」
佐瀬は目付きを変えた。
「解せない事?」
「えぇ…新垣さんの部屋の中は荒らされていなかった。金目の物を盗む為に入ったとは考えられません。犯人はなんらかの理由で振り子と平仮名の書かれた紙だけを持ち去った。プロの犯行ではありませんね。プロなら指紋を残す事もないでしょうから」
閉まるカーテンの向こうから、男の声が聞こえた。
「…おはようございます」
霞は立ち上がり、カーテンを開けた。そこには、佐瀬と勝又が立っていた。
「ご苦労様です。ありがとうございました」
霞は労いと感謝の言葉を掛けた。
「…部屋を用意したので、少しよろしいでしょうか?」
「はい…健太さん行ってくるね」
健太を見詰め、霞は佐瀬達の後をついて行った。
「…こちらお預かりしていた鍵です。玄関の鍵は締めておきましたので」
佐瀬は上着のポケットから取り出した鍵を霞に手渡した。
「ありがとうございます」
霞は受け取った鍵を握り締め、頭を下げた。
「…お聞きしたい事があるのですが」
佐瀬は開いた手帳に目を落とし言った。
「なんですか?」
「振り子が載っていたテーブルは、いつ拭きましたか?」
佐瀬は手帳から霞に視線を変えた。
「え?」
霞は質問の意図が分からない様子だ。
「テーブルに指紋が複数残っていました。新垣さんの指紋とは明らかに違う指紋も検出されたんです」
「本当ですか!?」
「はい…まだ新垣さんの家を訪ねた事がある人物の指紋の採取は行っていませんが、テーブルは拭くものですよね?何年も前に付いた指紋が残っているとは考えられません」
「…テーブルは毎日拭いています」
「では、犯人の指紋に間違いなさそうですね。それと、テーブルに頭髪と思われる毛が落ちていました。新垣さんより短かかったので、犯人の頭髪の可能性が高いです」
佐瀬は霞の艶やかな長い黒髪を見詰めた。
「犯人の…」
霞は怖がっている様子だ。犯人が捕まれば、振り子が戻ってくる可能性があるが、やはり怖いのだろう。
「しかし、解せない事があるんです」
佐瀬は目付きを変えた。
「解せない事?」
「えぇ…新垣さんの部屋の中は荒らされていなかった。金目の物を盗む為に入ったとは考えられません。犯人はなんらかの理由で振り子と平仮名の書かれた紙だけを持ち去った。プロの犯行ではありませんね。プロなら指紋を残す事もないでしょうから」
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