約束ノート

村上未来

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虚ろ

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「…そうですね」

 霞は佐瀬の意見に共感した。

「…これは推測ですが、犯人は新垣さんを訪ねてきた。そして鍵の開いている玄関に気付き、部屋に侵入した…恐らく犯人は、新垣さんの顔見知りだと思います」

「えっ!?」

 予想もしなかった言葉に、霞は驚きの声を上げた。

「単なる顔見知りだけではない。新垣さんがダウジングを使える事を知っている人物だと思います」

「…何故ですか?」

 霞は顔を強張らせている。

「クリスタルの振り子は兎も角、犯人は平仮名が書いてある紙も持ち去っています。新垣さんがダウジンできる事を知っている者ならば、それが何に使う物か理解できたでしょう。理解できたからこそ、価値のない平仮名の紙も持ち去ったと考えています」

 自分の推理を伝えた佐瀬は、霞の反応を待った。

「…私がダウジングを使えるのを知っている人ですか」

 霞の頭に、幼き日の小羽の顔が浮かんだ。

「…どうやら、その人物に心当たりがあるようですね?」

 佐瀬は霞の表情から見抜いたようだ。

「…」

 霞は口を閉ざした。弟のように大切な存在の小羽を疑いたくないのだ。

「…新垣さん、教えてください。あなたが今、思い浮かべている人物の名を」

 佐瀬は威圧するような瞳で霞を見詰めている。

「…速水小羽君です」

 長い沈黙の後、霞はか細い声で答えた。

「速水さんですか…実は速水さんの行方が掴めないんです」

「えっ?」

 霞は悲しそうな顔をした。

「…施設を出てから、暫くは祖父母の家に住んでいましたが、今は何処に居るのか分からないんです…ですが、速水さんの指紋は恐らくデーターの中に入っているので…」

 その時、佐瀬の上着の内ポケットに入れた携帯電話が鳴りだした。

「失礼します」

 断りを入れた佐瀬は、携帯電話を取り出し、通話ボタンを押した。

「佐瀬です。お疲れ様です…はい…はい…やはり…分かりました」

 佐瀬は短い電話を終え、霞に視線を向けた。
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