約束ノート

村上未来

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二人

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 健太は諦めの籠もった言葉を口にした。
 小羽はムッとした。疑われた事に腹を立てたのだろう。

「じゃあ、約束ノートに書くよ!ちょっと待ってて!」

 小羽はそう言うと立ち上がり、部屋の隅の方に移動した。
 床には黒いリュックサックが置かれている。それを拾い上げた小羽は、健太の前に戻ってきた。

「これが約束ノートだよ」

 リュックサックからありふれたノートを取り出した小羽は、健太の顔の前に差し出した。ノートの表紙には『約束ノート』と、手書きの文字で書かれている。

「じゃあ、書くよ」

 小羽は開いたノートを床に置き、文字を書き込んだ。

「書いたよ」

 小羽は今書いたばかりのノートを健太に見せ付けた。

『僕は健太君の家族の居場所を警察に教える事を約束します』

 ノートには拙い文字でそう書かれている。

「これで信じてくれる?」

 小羽は首を傾げた。
 車の中で小羽は、約束ノートの事で激怒していた。約束ノートにずっと従ってきたと言っていた。あれは演技には見えなかった。
 健太は口を開いた。

「…本当に言ってくれるんだな?」

「約束だよ!絶対だよ!約束ノートに書いた約束は絶対守らなきゃいけないんだから!」

 まだ疑われていると思ったのだろう。小羽は眉間に皺を寄せている。

「…信じるよ」

 信じるしか他に道がない。健太は願いを込めながら、その言葉を口にした。
 小羽は笑顔を浮かべた。信じるという言葉を聞き、機嫌が直ったようだ。

「じゃあ、家族の居場所を神様に聞いてあげるね」

 小羽はダウジングを開始した。
 一分、二分と過ぎていく。そして三分と少し経ち、床の紙を見詰めていた小羽が健太に視線を向けた。

「…分かったよ。ここに居るよ」

 小羽は一枚の紙を健太に向け差し出している。それはダウジングをしながら書いたメモだ。そこには、ひらがなだけで住所が書かれている。
 健太は小羽が握るメモ紙を見詰め呟いた。

「…葉山」

 葉山は別荘地として知られている土地だ。健太の脳裏に、いつかテレビで見た、別荘地帯の風景が広がった。
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