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第8話 「美味しい」って呪文みたいだ
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朝四時半。いつもより一時間早く目が覚めた。昨日の夜、地下室で見つけたパン神の祭壇と、金色に光る酵母のイメージが頭から離れなくて、ほとんど眠れなかった。
天井を見つめながら、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じる。あの瞬間、祠の石板と父さんのノートの言葉が、全部一本の線で繋がった気がした。
「好きな味を焼け。街の光になれ」
父さんの字で書かれていた、あの走り書き。子どもの頃は、ただの格好つけた言葉だと思っていた。けれど今は、ほんの少しだけ、その意味が分かる気がする。
布団から起き上がり、顔を洗ってエプロンを身に着ける。階段を下り、一階の「ほしのベーカリー」に入ると、薄暗い店内には昨日の名残りのような、ほんのかすかな蜂蜜と小麦の匂いが残っていた。
カウンターの端には、咲良が置いていった小さな花瓶。ピンクの花が一輪、まだ元気に咲いている。その隣には、ルミナが落としていった小さな羽根。光を受けて、うっすらと虹色にきらめいている。
「さて、と」
オーブンのスイッチを入れる。低い唸りとともに、中で火が育っていく音がする。
昨日、地下から持ち帰った小さな瓶を、そっと棚の奥から取り出した。透明なガラスの中で、金色の酵母がゆっくりと泡を立てている。見ているだけで、胸の奥が温かくなるような、不思議な気配だった。
「おはよう、パン神様……ってとこか?」
誰もいない店内で、思わず独り言が漏れる。自分で言っておいて、少しだけ笑ってしまった。
ステンレスのボウルに強力粉、砂糖、塩、バター、ぬるま湯。そこに、いつものドライイーストの代わりに、そっと金色の酵母をひとさじ。まるで、何かの儀式みたいだ。
手を突っ込んで、生地をこねる。最初はぽろぽろだった粉が、徐々にまとまり、すべすべした塊になっていく。
いつもと同じはずの作業なのに、今日は指先から腕の奥まで、じんわりと熱が伝わってくる気がした。生地の方から、こちらに寄り添ってきているみたいな、そんな感覚。
「……なんだこれ」
思わず呟く。
生地を持ち上げると、ほんのりと金色の光が混じって見えた。気のせいなのか、本当に光っているのか、自分でもよく分からない。けれど、鼻を近づけると、小麦と蜂蜜の香りに混じって、どこか懐かしい匂いがした。
それは、まだ父さんがこの店でパンを焼いていた頃、カウンターの下で丸くなってうとうとしていた俺の鼻を、ふわりとくすぐっていった、あの匂いだった。
「……父さん」
胸の奥が少しきゅっとなる。
あの頃、父さんはいつも言っていた。
『パンはな、魔法みたいなもんだ。腹を満たすだけじゃなくて、心も満たす。だから、作る時はちゃんと“好きだ”って気持ち、入れてやれよ』
“好きだ”って気持ち。
今なら、その意味が前よりずっと重く感じられる。
ふと、咲良の笑顔が頭に浮かんだ。
花屋の前で、腕まくりをして水やりをしている姿。
カウンター越しに、焼きたてのクロワッサンにかぶりついて「遥のパン、やっぱり一番好き」と笑った顔。
昨日、地下室で抱きついてきた時の、少し震えていた手の感触。
――彼女が、今日も笑っていられるように。
そう願いながら、生地をもう一度、ぐっと押し込んだ。
発酵のためにボウルを温かい場所に置き、布をかぶせる。その時、小さなノック音が聞こえた。
まだ開店時間にはだいぶ早い。誰だろうと思いながら扉を開けると、そこには、見慣れた顔が立っていた。
「……遥、おはよ」
早朝の薄明かりの中で、咲良が少しだけ眠そうな目をして笑った。髪はまだ軽く乱れていて、いつもの花屋のエプロンの代わりに、ゆったりとしたパーカーにジーンズという格好だ。
そのラフな姿が、妙に新鮮に見えた。
「お前、こんな時間からどうしたんだよ。花屋は?」
「まだ閉まってるよ。仕入れの前に、ちょっとだけ寄り道」
咲良はそう言って、小さな紙袋を差し出してきた。
中には、ラッピングされた小さな花束。白と黄色の小さな花が組み合わされている。
「昨日の、探検のお礼。あと……その、新しい酵母さんにご挨拶」
「酵母に花って、お前くらいだよ」
呆れたように言いながらも、胸の中がじんわり暖かくなるのを感じた。
咲良は店の中をぐるりと見回し、鼻をくすぐる匂いに気づいたように、目を輝かせる。
「ねえ、今日の匂い、いつもとちょっと違わない? なんか……甘くて、安心する感じ」
「ああ、新しいやつを試してる。昨日の地下の酵母、少しだけ混ぜてみた」
俺がそう言うと、咲良は「わあ」と子どもみたいに目を輝かせた。
「試食、させて?」
「開店準備手伝うならな」
「もちろん!」
咲良はカウンターの中に入ると、慣れた手つきでトレーを並べ、ショーケースのガラスを拭き始めた。
小さい頃から何度も手伝ってもらっているから、動きがまったく無駄がない。俺が何も言わなくても、必要なものを勝手に用意してくれる。
「ねえ、遥」
ショーケースを拭きながら、咲良がふいに口を開いた。
その声に、俺は天板に並べる前の生地を持った手を止める。
「ん?」
「昨日さ、“好きな味”の話、したでしょ?」
「ああ」
地下室で、父さんのノートを見ながら、そんな話をした。
人それぞれ “好きな味” があって、それはその人の生き方とか、思い出とか、今の気持ちと深くつながっている――って、ルミナが得意げに解説していた。
「私ね、ずっと分かんなかったの。『好きな味って何?』って聞かれても、上手く答えられなくてさ」
咲良はクロスを握ったまま、少しだけ寂しそうに笑う。
「お客さんにも、『どんなお花が好き?』って聞かれるじゃない? でも私、自分の“それ”をちゃんと言葉にしたことなかったなって。なんとなく、みんなが選ぶものを薦めてただけで」
「咲良らしいけどな。相手に合わせるの、得意だし」
「それ、褒めてる?」
「褒めてるよ」
本心からそう言うと、咲良は少しだけ頬を赤らめた。
「でもね、昨日、蜂蜜パン食べながら考えたの。私の好きな味って、たぶん“安心する味”なんだなって」
「安心する味?」
「うん。帰る場所みたいな。疲れたときに食べたら、『ああ、ここでいいんだ』って思える味」
そう言って、咲良はカウンター越しに俺を見つめた。
その目は、いつものいたずらっぽいきらめきとは違って、どこか真剣だった。
「でね。気づいたの。私の“好きな味”、ずっと昔からここにあったんだって」
心臓が一瞬止まった気がした。
咲良は、ほんの少しだけ照れたように、でも逃げずに続ける。
「遥のパンの味。たぶん、私の好きな味って、これなんだと思う」
わずかな沈黙が落ちる。
オーブンの予熱完了の電子音が、場違いなほど間の抜けた音を立てた。
「……そうか」
それくらいしか、言葉が出てこなかった。
でも、胸の奥があったかい何かでいっぱいになっていくのを感じた。
「ありがとな」
やっと絞り出した声に、咲良はぱっと笑顔になった。
「うん。だから、これからも、いっぱい“好きな味”焼いてよね。私が、ちゃんと食べるから」
「太るぞ」
「太らないように、花屋で動くもん」
そんな他愛もないやりとりをしながらも、どこか空気が少しだけ変わった気がした。
幼なじみとして、ずっと隣で笑っていたはずなのに。
今、目の前で笑っている咲良が、少しだけ違う存在に見える。
一次発酵を終えた生地を分割し、丸めていく。
その間に、扉が勢いよく開いた。
「おはよー! お兄さん、お姉さん!」
ルミナが、いつものように元気よく店に飛び込んできた。
今日のルミナは、いつもの白いワンピースに、咲良の花屋のロゴが入った小さなエプロンを身につけている。首元には、小さなパン型のペンダントまで下がっていた。
「それ、どうしたんだ?」
「咲良お姉さんがくれたの! 天使の正装、バージョン『ベーカリー仕様』!」
ルミナはくるりと一回転して、ふわっとスカートを揺らす。小さな羽根も一緒にひらひらと揺れた。
「どう? 似合う?」
「うん、めちゃくちゃ可愛いよ」
咲良が即答する。俺も素直に頷いた。
「似合ってる。完全にうちのマスコットだな」
「えへへー。じゃあ今日は、“美味しい”の呪文伝道師として、がんばるね!」
ルミナは胸を張ってそう言うと、カウンターの端っこに立って、にっこり笑った。
「『いらっしゃいませ! 美味しいは、幸せの呪文ですよー!』ってね!」
「お前、それどこで覚えたんだよ」
「昨日、天使界の図書館で。人間界の名言集に書いてあった!」
そんな本があるのか、とツッコミかけてやめる。天使界の常識はよく分からない。
開店時間になる頃には、金色の酵母を使った食パンと蜂蜜ロールが、次々と焼き上がっていった。
オーブンを開けた瞬間、店内いっぱいに広がる香り。
いつもの焼きたての匂いに、さらにもう一段階、柔らかくて甘い層が重なったみたいな香りだ。
「わあ……これ、やばいね」
咲良が、トングを持ったまま、うっとりと目を細める。
ルミナも、鼻をくんくんさせながら、カウンターの上でぴょんぴょん跳ねた。
「この香り、言葉だけで人癒せるよ! 空腹じゃなくても、お腹いっぱいになる!」
「表現が相変わらず大げさだな」
そう言いながらも、俺も内心では同意していた。
これは、明らかに“いつものパン”とは違う。
でも、それは味や香りだけじゃない。
オーブンの中で膨らんでいく生地を見ていると、なぜか胸の奥がじんわりしてくるのだ。
八時を過ぎる頃には、客がぽつぽつ入り始めた。
最初に入ってきたのは、いつもの佐藤おじいさん。今日はなんだか足取りがやけに軽い。
「おはよう遥くん。昨日の蜂蜜パン、夢に出てきたよ。あれは反則だなあ」
「おはようございます。今日も焼きましたよ。ちょっと改良版ですけど」
蜂蜜ロールを紙袋に入れ、手渡す。
おじいさんはその場で一口かじり、目を潤ませた。
「……うん。これはもう、食べる祈りだな」
「そんな大げさな」
「いや、本当にそうなんだよ。『美味しい』って言葉が、自然と出てきた瞬間にな……なんか、胸のつかえが、ふっと軽くなるんだ」
そう言うおじいさんの声は、どこか柔らかくなっていた。
いつもは腰が痛いだの、畑が大変だのとぼやいていたのに、今日はそういう愚痴がひとつも出てこない。
「昨日ね、孫とちょっと喧嘩してたんだ。勉強しろだの、ゲームやめろだの言いすぎたかなって思ってたんだが……このパン食べながら話してたら、向こうから『ごめんね』って言ってきてな」
おじいさんは、くしゃりと笑った。
「『おじいちゃんの買ってくるパン、美味しいから一緒に食べたい』ってさ。……それ聞いたらさ、もうな、どうでもよくなっちまって」
袋をそっと撫でながら、
「美味しいって、すごいな。言葉ひとつで、こんなに心がほぐれるんだから」
その言葉に、俺は一瞬、胸を突かれた。
「美味しいって、呪文みたいですよね!」
横からルミナが元気よく割り込む。
「口に出した瞬間、心がぽかんって開いて、謝りたい気持ちとか、ありがとうって気持ちとか、全部出てくるんです!」
「おお、天使ちゃんの名言だ」
佐藤さんは笑いながら、ルミナの頭をわしゃわしゃ撫でた。
「そうか、これは呪文か。そりゃあ効くわけだ」
「はい! 遥お兄さんのパンは、その“呪文”を強くする魔法です!」
「おいおい」
頭を掻きながらも、悪い気はしなかった。
“美味しい”という、たった四文字の言葉。
それを、こんなにも大事そうに口にしてくれる人がいるという事実が、心の奥にじんわり染みこんでくる。
その後も、お客さんたちの口から、何度も同じ言葉がこぼれた。
「わあ、美味しい!」
「朝から幸せになる味だね」
「なんか、昨日までの悩みがちょっと薄くなった気がするわ」
そのたびに、ルミナは「はい、“呪文”一回発動~!」とカウントを取り、咲良は「じゃあ花の呪文も追加しよっか」と言って、小さな一輪挿しをすすめる。
パンと花と天使――店の中が、小さな魔法で溢れているみたいだった。
午前のピークが一段落した頃、喫茶店の田中マスターが入ってきた。
腕にパン用のバスケットを抱え、いつもの穏やかな笑みを浮かべている。
「よう、遥くん。コーヒーとのコラボ、評判上々だぞ。うちの常連さん、セット頼んだ後にみんな同じこと言うんだ」
「なんてです?」
「『ああ、美味しい』って。それだけなんだけどな。でも、その後の顔が、みんなちょっと柔らかくなるんだよ」
マスターはゆっくりとウインクした。
「“美味しい”は、喫茶店でも立派な呪文さ。いい魔法を仕込んでくれたね」
その言葉に、俺は思わず頭を下げた。
「いえ、こちらこそ。マスターのコーヒーがあってこそですよ」
「謙遜するなよ。……そうだな」
ふと、マスターは俺と咲良を交互に見た。
「君たちも、ちゃんと言葉にしておくといい。パンみたいに、気持ちも焼き損ねることがあるからね」
唐突な言葉に、咲良の肩がぴくりと揺れた。
俺も、胸の奥がひやりとする。
「焼き損ね、ですか?」
「そう。タイミング逃して、伝えそびれた“美味しい”とか、“好きだ”とか。冷めたあとに出しても、なかなか元には戻らないからね」
マスターはそう言って、軽く笑った。
「ま、パンと違って、気持ちは温め直せることもあるけどね」
その一言に、すぐ隣から小さな視線を感じる。
横を見ると、咲良がほんのりと頬を赤くして、こちらをちらりと見上げていた。
目が合うと、慌てて視線を逸らす。
「……ねえ、遥」
「なんだよ」
「私も、“美味しい”ってちゃんと言うからさ。遥も、たまには言葉で教えてよ?」
「言葉で?」
「うん。パン焼いてくれるだけでも嬉しいけど、それがどんな気持ちで焼かれたのか、ちょっとだけ知りたいとき、あるから」
そう言って、咲良は照れ笑いした。
心臓が、どくんと跳ねる。
言葉にする。
それは、パンを焼くよりもずっと難しい作業かもしれない。
でも――。
「……そのうち、な」
やっとのことで、そう答えた。
咲良は「ずるい」と小さく呟いて、それでもどこか満足そうに笑った。
昼過ぎ、ひと段落した頃。
ルミナがカウンターの上で、ごろりと寝転がりながら言った。
「ねえ、お兄さん」
「ん?」
「“美味しい”って言ってもらうの、やっぱり嬉しい?」
「当たり前だろ。パン屋のやりがいだし」
「そっか。でもね、天使的には、それプラスもう一個、大事な呪文があるんだよ」
「もう一個?」
「うん。“美味しい”の次に強い、最強クラスの言葉」
ルミナは、ごろんと寝返りを打って、こちらを真剣な目で見た。
「『ありがとう』ってやつ」
一瞬、言葉を失った。
「だってさ、“美味しい”って、パンに向けての気持ちでしょ? 『ありがとう』は、そのパンを焼いた人に向けての気持ちなんだよ」
ルミナは、ちょこんと起き上がり、両手を胸に当てた。
「だから、お兄さんが一番聞いてほしい呪文は、きっとそっちなんじゃないかなって」
胸の奥が、じんわりと熱くなった。
今まで、“美味しい”って言ってもらえるだけで十分だと思っていた。
でも、あの日、父さんが最後に俺に言ってくれた言葉は――。
『ありがとうな、遥。店を守ってくれて』
それが、こんなにも長く心に残っている理由が、少し分かった気がした。
「……そうだな」
気づけば、自然と口から言葉がこぼれていた。
「“ありがとう”って、確かに、特別だ」
ふと、視線を感じて振り向くと、咲良がこちらを見ていた。
その手には、さっき焼き上がったばかりの蜂蜜ロール。
「じゃあ、言うね」
咲良は、蜂蜜ロールを一口かじって、目を閉じ、それからゆっくりと笑った。
「美味しい。それから――」
一瞬、間を置いてから、はっきりと、こちらを見て言った。
「ありがとう、遥」
その一言が、胸の真ん中に、まっすぐに届いた気がした。
思わず、笑ってしまう。
「……どういたしまして」
それだけじゃ足りない気もしたけれど、今はこれが精一杯だった。
店の外では、昼下がりの柔らかな陽射しが商店街を照らしている。
祠の方角から、ほんの一瞬だけ、金色の光がまたちらりと瞬いた気がした。
“美味しい”と“ありがとう”。
きっとその二つの呪文が、この街と、この店と――そして、俺たちの関係を、少しずつ変えていくのだろう。
明日も、焼こう。
誰かの「美味しい」と、「ありがとう」のために。
そして、いつか自分の気持ちも、ちゃんと言葉で焼き上げられるようになるために。
天井を見つめながら、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じる。あの瞬間、祠の石板と父さんのノートの言葉が、全部一本の線で繋がった気がした。
「好きな味を焼け。街の光になれ」
父さんの字で書かれていた、あの走り書き。子どもの頃は、ただの格好つけた言葉だと思っていた。けれど今は、ほんの少しだけ、その意味が分かる気がする。
布団から起き上がり、顔を洗ってエプロンを身に着ける。階段を下り、一階の「ほしのベーカリー」に入ると、薄暗い店内には昨日の名残りのような、ほんのかすかな蜂蜜と小麦の匂いが残っていた。
カウンターの端には、咲良が置いていった小さな花瓶。ピンクの花が一輪、まだ元気に咲いている。その隣には、ルミナが落としていった小さな羽根。光を受けて、うっすらと虹色にきらめいている。
「さて、と」
オーブンのスイッチを入れる。低い唸りとともに、中で火が育っていく音がする。
昨日、地下から持ち帰った小さな瓶を、そっと棚の奥から取り出した。透明なガラスの中で、金色の酵母がゆっくりと泡を立てている。見ているだけで、胸の奥が温かくなるような、不思議な気配だった。
「おはよう、パン神様……ってとこか?」
誰もいない店内で、思わず独り言が漏れる。自分で言っておいて、少しだけ笑ってしまった。
ステンレスのボウルに強力粉、砂糖、塩、バター、ぬるま湯。そこに、いつものドライイーストの代わりに、そっと金色の酵母をひとさじ。まるで、何かの儀式みたいだ。
手を突っ込んで、生地をこねる。最初はぽろぽろだった粉が、徐々にまとまり、すべすべした塊になっていく。
いつもと同じはずの作業なのに、今日は指先から腕の奥まで、じんわりと熱が伝わってくる気がした。生地の方から、こちらに寄り添ってきているみたいな、そんな感覚。
「……なんだこれ」
思わず呟く。
生地を持ち上げると、ほんのりと金色の光が混じって見えた。気のせいなのか、本当に光っているのか、自分でもよく分からない。けれど、鼻を近づけると、小麦と蜂蜜の香りに混じって、どこか懐かしい匂いがした。
それは、まだ父さんがこの店でパンを焼いていた頃、カウンターの下で丸くなってうとうとしていた俺の鼻を、ふわりとくすぐっていった、あの匂いだった。
「……父さん」
胸の奥が少しきゅっとなる。
あの頃、父さんはいつも言っていた。
『パンはな、魔法みたいなもんだ。腹を満たすだけじゃなくて、心も満たす。だから、作る時はちゃんと“好きだ”って気持ち、入れてやれよ』
“好きだ”って気持ち。
今なら、その意味が前よりずっと重く感じられる。
ふと、咲良の笑顔が頭に浮かんだ。
花屋の前で、腕まくりをして水やりをしている姿。
カウンター越しに、焼きたてのクロワッサンにかぶりついて「遥のパン、やっぱり一番好き」と笑った顔。
昨日、地下室で抱きついてきた時の、少し震えていた手の感触。
――彼女が、今日も笑っていられるように。
そう願いながら、生地をもう一度、ぐっと押し込んだ。
発酵のためにボウルを温かい場所に置き、布をかぶせる。その時、小さなノック音が聞こえた。
まだ開店時間にはだいぶ早い。誰だろうと思いながら扉を開けると、そこには、見慣れた顔が立っていた。
「……遥、おはよ」
早朝の薄明かりの中で、咲良が少しだけ眠そうな目をして笑った。髪はまだ軽く乱れていて、いつもの花屋のエプロンの代わりに、ゆったりとしたパーカーにジーンズという格好だ。
そのラフな姿が、妙に新鮮に見えた。
「お前、こんな時間からどうしたんだよ。花屋は?」
「まだ閉まってるよ。仕入れの前に、ちょっとだけ寄り道」
咲良はそう言って、小さな紙袋を差し出してきた。
中には、ラッピングされた小さな花束。白と黄色の小さな花が組み合わされている。
「昨日の、探検のお礼。あと……その、新しい酵母さんにご挨拶」
「酵母に花って、お前くらいだよ」
呆れたように言いながらも、胸の中がじんわり暖かくなるのを感じた。
咲良は店の中をぐるりと見回し、鼻をくすぐる匂いに気づいたように、目を輝かせる。
「ねえ、今日の匂い、いつもとちょっと違わない? なんか……甘くて、安心する感じ」
「ああ、新しいやつを試してる。昨日の地下の酵母、少しだけ混ぜてみた」
俺がそう言うと、咲良は「わあ」と子どもみたいに目を輝かせた。
「試食、させて?」
「開店準備手伝うならな」
「もちろん!」
咲良はカウンターの中に入ると、慣れた手つきでトレーを並べ、ショーケースのガラスを拭き始めた。
小さい頃から何度も手伝ってもらっているから、動きがまったく無駄がない。俺が何も言わなくても、必要なものを勝手に用意してくれる。
「ねえ、遥」
ショーケースを拭きながら、咲良がふいに口を開いた。
その声に、俺は天板に並べる前の生地を持った手を止める。
「ん?」
「昨日さ、“好きな味”の話、したでしょ?」
「ああ」
地下室で、父さんのノートを見ながら、そんな話をした。
人それぞれ “好きな味” があって、それはその人の生き方とか、思い出とか、今の気持ちと深くつながっている――って、ルミナが得意げに解説していた。
「私ね、ずっと分かんなかったの。『好きな味って何?』って聞かれても、上手く答えられなくてさ」
咲良はクロスを握ったまま、少しだけ寂しそうに笑う。
「お客さんにも、『どんなお花が好き?』って聞かれるじゃない? でも私、自分の“それ”をちゃんと言葉にしたことなかったなって。なんとなく、みんなが選ぶものを薦めてただけで」
「咲良らしいけどな。相手に合わせるの、得意だし」
「それ、褒めてる?」
「褒めてるよ」
本心からそう言うと、咲良は少しだけ頬を赤らめた。
「でもね、昨日、蜂蜜パン食べながら考えたの。私の好きな味って、たぶん“安心する味”なんだなって」
「安心する味?」
「うん。帰る場所みたいな。疲れたときに食べたら、『ああ、ここでいいんだ』って思える味」
そう言って、咲良はカウンター越しに俺を見つめた。
その目は、いつものいたずらっぽいきらめきとは違って、どこか真剣だった。
「でね。気づいたの。私の“好きな味”、ずっと昔からここにあったんだって」
心臓が一瞬止まった気がした。
咲良は、ほんの少しだけ照れたように、でも逃げずに続ける。
「遥のパンの味。たぶん、私の好きな味って、これなんだと思う」
わずかな沈黙が落ちる。
オーブンの予熱完了の電子音が、場違いなほど間の抜けた音を立てた。
「……そうか」
それくらいしか、言葉が出てこなかった。
でも、胸の奥があったかい何かでいっぱいになっていくのを感じた。
「ありがとな」
やっと絞り出した声に、咲良はぱっと笑顔になった。
「うん。だから、これからも、いっぱい“好きな味”焼いてよね。私が、ちゃんと食べるから」
「太るぞ」
「太らないように、花屋で動くもん」
そんな他愛もないやりとりをしながらも、どこか空気が少しだけ変わった気がした。
幼なじみとして、ずっと隣で笑っていたはずなのに。
今、目の前で笑っている咲良が、少しだけ違う存在に見える。
一次発酵を終えた生地を分割し、丸めていく。
その間に、扉が勢いよく開いた。
「おはよー! お兄さん、お姉さん!」
ルミナが、いつものように元気よく店に飛び込んできた。
今日のルミナは、いつもの白いワンピースに、咲良の花屋のロゴが入った小さなエプロンを身につけている。首元には、小さなパン型のペンダントまで下がっていた。
「それ、どうしたんだ?」
「咲良お姉さんがくれたの! 天使の正装、バージョン『ベーカリー仕様』!」
ルミナはくるりと一回転して、ふわっとスカートを揺らす。小さな羽根も一緒にひらひらと揺れた。
「どう? 似合う?」
「うん、めちゃくちゃ可愛いよ」
咲良が即答する。俺も素直に頷いた。
「似合ってる。完全にうちのマスコットだな」
「えへへー。じゃあ今日は、“美味しい”の呪文伝道師として、がんばるね!」
ルミナは胸を張ってそう言うと、カウンターの端っこに立って、にっこり笑った。
「『いらっしゃいませ! 美味しいは、幸せの呪文ですよー!』ってね!」
「お前、それどこで覚えたんだよ」
「昨日、天使界の図書館で。人間界の名言集に書いてあった!」
そんな本があるのか、とツッコミかけてやめる。天使界の常識はよく分からない。
開店時間になる頃には、金色の酵母を使った食パンと蜂蜜ロールが、次々と焼き上がっていった。
オーブンを開けた瞬間、店内いっぱいに広がる香り。
いつもの焼きたての匂いに、さらにもう一段階、柔らかくて甘い層が重なったみたいな香りだ。
「わあ……これ、やばいね」
咲良が、トングを持ったまま、うっとりと目を細める。
ルミナも、鼻をくんくんさせながら、カウンターの上でぴょんぴょん跳ねた。
「この香り、言葉だけで人癒せるよ! 空腹じゃなくても、お腹いっぱいになる!」
「表現が相変わらず大げさだな」
そう言いながらも、俺も内心では同意していた。
これは、明らかに“いつものパン”とは違う。
でも、それは味や香りだけじゃない。
オーブンの中で膨らんでいく生地を見ていると、なぜか胸の奥がじんわりしてくるのだ。
八時を過ぎる頃には、客がぽつぽつ入り始めた。
最初に入ってきたのは、いつもの佐藤おじいさん。今日はなんだか足取りがやけに軽い。
「おはよう遥くん。昨日の蜂蜜パン、夢に出てきたよ。あれは反則だなあ」
「おはようございます。今日も焼きましたよ。ちょっと改良版ですけど」
蜂蜜ロールを紙袋に入れ、手渡す。
おじいさんはその場で一口かじり、目を潤ませた。
「……うん。これはもう、食べる祈りだな」
「そんな大げさな」
「いや、本当にそうなんだよ。『美味しい』って言葉が、自然と出てきた瞬間にな……なんか、胸のつかえが、ふっと軽くなるんだ」
そう言うおじいさんの声は、どこか柔らかくなっていた。
いつもは腰が痛いだの、畑が大変だのとぼやいていたのに、今日はそういう愚痴がひとつも出てこない。
「昨日ね、孫とちょっと喧嘩してたんだ。勉強しろだの、ゲームやめろだの言いすぎたかなって思ってたんだが……このパン食べながら話してたら、向こうから『ごめんね』って言ってきてな」
おじいさんは、くしゃりと笑った。
「『おじいちゃんの買ってくるパン、美味しいから一緒に食べたい』ってさ。……それ聞いたらさ、もうな、どうでもよくなっちまって」
袋をそっと撫でながら、
「美味しいって、すごいな。言葉ひとつで、こんなに心がほぐれるんだから」
その言葉に、俺は一瞬、胸を突かれた。
「美味しいって、呪文みたいですよね!」
横からルミナが元気よく割り込む。
「口に出した瞬間、心がぽかんって開いて、謝りたい気持ちとか、ありがとうって気持ちとか、全部出てくるんです!」
「おお、天使ちゃんの名言だ」
佐藤さんは笑いながら、ルミナの頭をわしゃわしゃ撫でた。
「そうか、これは呪文か。そりゃあ効くわけだ」
「はい! 遥お兄さんのパンは、その“呪文”を強くする魔法です!」
「おいおい」
頭を掻きながらも、悪い気はしなかった。
“美味しい”という、たった四文字の言葉。
それを、こんなにも大事そうに口にしてくれる人がいるという事実が、心の奥にじんわり染みこんでくる。
その後も、お客さんたちの口から、何度も同じ言葉がこぼれた。
「わあ、美味しい!」
「朝から幸せになる味だね」
「なんか、昨日までの悩みがちょっと薄くなった気がするわ」
そのたびに、ルミナは「はい、“呪文”一回発動~!」とカウントを取り、咲良は「じゃあ花の呪文も追加しよっか」と言って、小さな一輪挿しをすすめる。
パンと花と天使――店の中が、小さな魔法で溢れているみたいだった。
午前のピークが一段落した頃、喫茶店の田中マスターが入ってきた。
腕にパン用のバスケットを抱え、いつもの穏やかな笑みを浮かべている。
「よう、遥くん。コーヒーとのコラボ、評判上々だぞ。うちの常連さん、セット頼んだ後にみんな同じこと言うんだ」
「なんてです?」
「『ああ、美味しい』って。それだけなんだけどな。でも、その後の顔が、みんなちょっと柔らかくなるんだよ」
マスターはゆっくりとウインクした。
「“美味しい”は、喫茶店でも立派な呪文さ。いい魔法を仕込んでくれたね」
その言葉に、俺は思わず頭を下げた。
「いえ、こちらこそ。マスターのコーヒーがあってこそですよ」
「謙遜するなよ。……そうだな」
ふと、マスターは俺と咲良を交互に見た。
「君たちも、ちゃんと言葉にしておくといい。パンみたいに、気持ちも焼き損ねることがあるからね」
唐突な言葉に、咲良の肩がぴくりと揺れた。
俺も、胸の奥がひやりとする。
「焼き損ね、ですか?」
「そう。タイミング逃して、伝えそびれた“美味しい”とか、“好きだ”とか。冷めたあとに出しても、なかなか元には戻らないからね」
マスターはそう言って、軽く笑った。
「ま、パンと違って、気持ちは温め直せることもあるけどね」
その一言に、すぐ隣から小さな視線を感じる。
横を見ると、咲良がほんのりと頬を赤くして、こちらをちらりと見上げていた。
目が合うと、慌てて視線を逸らす。
「……ねえ、遥」
「なんだよ」
「私も、“美味しい”ってちゃんと言うからさ。遥も、たまには言葉で教えてよ?」
「言葉で?」
「うん。パン焼いてくれるだけでも嬉しいけど、それがどんな気持ちで焼かれたのか、ちょっとだけ知りたいとき、あるから」
そう言って、咲良は照れ笑いした。
心臓が、どくんと跳ねる。
言葉にする。
それは、パンを焼くよりもずっと難しい作業かもしれない。
でも――。
「……そのうち、な」
やっとのことで、そう答えた。
咲良は「ずるい」と小さく呟いて、それでもどこか満足そうに笑った。
昼過ぎ、ひと段落した頃。
ルミナがカウンターの上で、ごろりと寝転がりながら言った。
「ねえ、お兄さん」
「ん?」
「“美味しい”って言ってもらうの、やっぱり嬉しい?」
「当たり前だろ。パン屋のやりがいだし」
「そっか。でもね、天使的には、それプラスもう一個、大事な呪文があるんだよ」
「もう一個?」
「うん。“美味しい”の次に強い、最強クラスの言葉」
ルミナは、ごろんと寝返りを打って、こちらを真剣な目で見た。
「『ありがとう』ってやつ」
一瞬、言葉を失った。
「だってさ、“美味しい”って、パンに向けての気持ちでしょ? 『ありがとう』は、そのパンを焼いた人に向けての気持ちなんだよ」
ルミナは、ちょこんと起き上がり、両手を胸に当てた。
「だから、お兄さんが一番聞いてほしい呪文は、きっとそっちなんじゃないかなって」
胸の奥が、じんわりと熱くなった。
今まで、“美味しい”って言ってもらえるだけで十分だと思っていた。
でも、あの日、父さんが最後に俺に言ってくれた言葉は――。
『ありがとうな、遥。店を守ってくれて』
それが、こんなにも長く心に残っている理由が、少し分かった気がした。
「……そうだな」
気づけば、自然と口から言葉がこぼれていた。
「“ありがとう”って、確かに、特別だ」
ふと、視線を感じて振り向くと、咲良がこちらを見ていた。
その手には、さっき焼き上がったばかりの蜂蜜ロール。
「じゃあ、言うね」
咲良は、蜂蜜ロールを一口かじって、目を閉じ、それからゆっくりと笑った。
「美味しい。それから――」
一瞬、間を置いてから、はっきりと、こちらを見て言った。
「ありがとう、遥」
その一言が、胸の真ん中に、まっすぐに届いた気がした。
思わず、笑ってしまう。
「……どういたしまして」
それだけじゃ足りない気もしたけれど、今はこれが精一杯だった。
店の外では、昼下がりの柔らかな陽射しが商店街を照らしている。
祠の方角から、ほんの一瞬だけ、金色の光がまたちらりと瞬いた気がした。
“美味しい”と“ありがとう”。
きっとその二つの呪文が、この街と、この店と――そして、俺たちの関係を、少しずつ変えていくのだろう。
明日も、焼こう。
誰かの「美味しい」と、「ありがとう」のために。
そして、いつか自分の気持ちも、ちゃんと言葉で焼き上げられるようになるために。
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