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第1話 極寒の国を追放された俺、死の島へ流される
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「カイ・ウェルマン。貴様をこの勇者パーティから追放する。いや、それだけではない。この『氷厳の王国』からも出て行ってもらおうか」
重厚な石造りの謁見の間。
吐く息すら瞬時に凍りつきそうな極寒の空気の中で、その宣告は冷徹に響き渡った。
玉座の前に跪く俺を見下ろしているのは、黄金の鎧に身を包んだ勇者アレク。
その隣には、豪奢な毛皮のドレスを纏った第一王女リリアーナが、侮蔑の眼差しを向けて腕を組んでいる。
俺、カイ・ウェルマンは、この国唯一の兵站管理官だった。
……いや、「だった」と過去形で語るべき時が、ついに来てしまったようだ。
「……理由をお伺いしてもよろしいでしょうか」
俺は努めて冷静に、震えそうになる声を抑えて尋ねた。寒さのせいではない。十年もの間、この国のために尽くしてきた時間を踏みにじられる悔しさからだ。
勇者アレクは鼻を鳴らし、大げさに肩をすくめた。
「理由だと? そんなこともわからんのか。貴様が『無能』だからだ」
「無能……ですか」
「そうだ。貴様のスキルはなんだ? 言ってみろ」
「……『日光浴』です」
俺が答えると、周囲に控えていた兵士や貴族たちから、忍び笑いが漏れた。
「ぷっ、日光浴だとよ」
「この一年中雪に閉ざされた国で、日光浴などして何になる」
「肌でも焼くのか? 気味の悪い」
嘲笑の嵐。
いつものことだ。俺はこの国で生まれたが、発現したスキルは『日光浴』というふざけた名前のものだった。
効果は、太陽の光を浴びると少しだけ体調が良くなる。それだけだ。
分厚い雲と吹雪に覆われたこの北の地では、太陽が顔を出すことなど年に数回あるかないか。つまり、俺のスキルは完全に死にスキルと判定されていた。
「戦闘の役には立たん。魔法も使えん。剣を持たせればカカシ以下。そんな貴様を、我々勇者パーティは温情で『荷物持ち』兼『雑用係』として置いてやっていたのだ」
アレクが勝ち誇ったように続ける。
「だが、もう限界だ。魔王討伐のための遠征費は嵩む一方だ。役立たずの雑用係に払う給金も、食わせる飯も惜しい。貴様の分を、新しく加入する聖女の聖水代に回したほうがよほど建設的だ」
俺は拳を握りしめた。
確かに、俺は前線で戦ってはいない。だが、この極寒の地での遠征において、最も重要なのは補給と管理だ。
凍りつくポーションを体温と微量な魔力操作で解凍し続け、すぐに使える状態を維持していたのは誰だ?
湿気って使い物にならなくなる薪を、わずかな晴れ間を見逃さずに乾燥させていたのは誰だ?
兵士たちの凍傷を防ぐために、装備の手入れを徹夜で行っていたのは誰だ?
全て俺だ。俺がいなければ、このパーティは最初のダンジョンに辿り着く前に、寒さと物資不足で全滅していただろう。
「勇者様、お言葉ですが、物資の管理は……」
「黙れ!」
俺の反論を遮ったのは、王女リリアーナだった。彼女は扇子で口元を隠しながら、冷ややかな視線を俺に突き刺す。
「カイ、あなたの代わりなどいくらでもいるのです。たかが荷物を運ぶだけの仕事でしょう? 奴隷にでもやらせておけば済む話です。それに……」
彼女は生理的な嫌悪感を隠そうともせず、言葉を続けた。
「あなたは『南』の血が混じっているのでしょう? その黒い髪も、黒い瞳も、雪のように白い我々からすれば不吉でしかないのです。穢らわしい」
血統差別か。
俺の祖父は、遠い南の国から漂着した人間だったらしい。その隔世遺伝で、俺はこの国では珍しい黒髪黒目を持っている。
それだけで、俺はずっと「異物」として扱われてきた。どんなに努力しても、どんなに成果を上げても、彼らにとって俺は『よそ者』でしかなかったのだ。
「……わかりました」
俺は頭を下げた。
これ以上何を言っても無駄だ。彼らの目には、俺の価値など映っていない。
それに、正直に言えば、俺も限界だった。
骨の髄まで凍りつくような寒さ。陰湿な嫌がらせ。終わりの見えない激務。
ここから解放されるなら、それはそれでいいのかもしれない。
「それで、追放とおっしゃいましたが、国外へ出る許可証をいただけるので?」
「はっ! 許可証だと?」
勇者アレクが下卑た笑い声を上げた。
「甘えるなよ、無能。貴様のような役立たずを隣国へ送り出せば、我が国の恥になる。貴様の行き先は決まっているのだ」
「行き先……?」
「『南の果て』にある未開の島々……通称『死の諸島』だ」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋に、この国の気温以上の悪寒が走った。
『死の諸島』。
それは、この大陸のはるか南、魔の海域の先にあると言われる場所だ。
言い伝えによれば、そこは灼熱の地獄。
空からは火の雨が降り注ぎ、海は煮えたぎり、巨大な魔物たちが跋扈して人間を喰らい尽くすという。
かつて多くの罪人がそこへ流されたが、誰一人として生きて帰ってきた者はいない。
事実上の死刑宣告だった。
「ひ、人道に反します! いくらなんでも、そこへ送るのは……」
「王族への口答えは死罪に値するぞ、カイ!」
リリアーナ王女が叫ぶ。
「感謝しなさい。処刑台で首を刎ねられるよりは、まだ生き延びるチャンスがあるだけ慈悲深いというものよ。もっとも、あの灼熱地獄で何分生きられるかは見ものだけど」
兵士たちが俺を取り囲んだ。
抵抗する力など、俺にはない。
「連れて行け! 今すぐ船に乗せろ!」
アレクの号令と共に、俺は乱暴に引き立てられた。
去り際、俺は一度だけ振り返り、かつての仲間たちを見た。
彼らは厄介払いができたことに安堵し、あるいは俺の不幸をあざ笑っていた。
(……後悔するなよ)
俺は心の中でつぶやいた。
俺がいなくなれば、この国の兵站は崩壊する。
今まで俺がどれだけの細かな調整を行っていたか、彼らは知ることになるだろう。
ポーションは凍り、食料は腐り、装備は錆びつく。
極寒の冬は、もうすぐそこまで来ているのだ。
だが、もう俺の知ったことではない。
俺は兵士たちに引きずられ、冷たい石畳の上を歩いていった。
◆ ◆ ◆
追放の船旅は、過酷という言葉すら生ぬるいものだった。
罪人護送用のボロ船の船倉に押し込められ、わずかな水と乾パンだけで数週間。
船はどんどん南へと進んでいく。
最初は寒さに震えていたが、ある時点を境に、気温が急激に上がり始めた。
分厚い毛皮のコートが邪魔になり、俺はそれを脱ぎ捨てた。
それでも暑い。
全身から汗が噴き出し、喉が渇く。
船員たちは「魔の海域に入った」と怯え、俺を小舟に乗せ換えると、食料もろくに持たせずに海へと放り出した。
「ここから先は『死の諸島』だ。せいぜい魔物の餌になるんだな!」
彼らは逃げるように北へと引き返していった。
残されたのは、小さな小舟と、俺一人。
そして、目の前に広がるのは……。
「……これが、地獄?」
俺は呆然と空を見上げた。
そこには、これまで見たこともないような「青」が広がっていた。
俺の故郷の空は、常に鉛色だった。重く垂れ込めた雲が、世界を灰色に染めていた。
だが、ここは違う。
目が痛くなるほどに鮮やかな、突き抜けるような青空。
そして、その中心に輝く、圧倒的な存在感の太陽。
(熱い……いや、痛い)
強烈な日差しが、北国育ちの俺の白い肌を焦がす。
喉がカラカラだ。
視線を水平線に向けると、エメラルドグリーンに輝く海と、その先に浮かぶ島影が見えた。
あれが『死の諸島』か。
煮えたぎる海? 火の雨?
そんなものはどこにもない。あるのは、ただひたすらに美しい、そして残酷なまでに暑い、夏の世界だった。
俺は最後の力を振り絞り、オールを漕いだ。
意識が遠のきそうになる。
脱水症状と熱中症。このままでは島にたどり着く前に死ぬかもしれない。
それでも、あの島に行けば水があるかもしれない。
その一心で、俺はオールを動かし続けた。
ザザァ……ッ。
小舟が砂浜に乗り上げる感触。
俺は小舟から転げ落ちるようにして、白い砂の上に倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……」
熱い。
砂がフライパンのように熱せられている。
上からは太陽が容赦なく降り注ぐ。
日陰に移動しなければ。そう思うのに、体が動かない。
意識が白く染まっていく。
(ああ、俺はここで死ぬのか……)
(無能と罵られ、故郷を追われ、こんな美しい地獄で干からびて死ぬのか)
悔しい。
こんなところで終わりたくない。
もっと生きたかった。
美味しいものを食べたかった。
誰かに認められたかった。
薄れゆく意識の中で、俺は空を見上げた。
真上に輝く太陽。
それは、北の国では決して見ることのできなかった、完全な姿の太陽だった。
不思議と、恐怖はなかった。
ただ、その圧倒的な光に、魅入られていた。
(綺麗だな……)
そう思った瞬間だった。
『条件を満たしました』
脳内に、無機質な声が響いた。
『隠しパラメータ:日光蓄積値が上限を突破しました』
『環境適応を確認。エリア:常夏』
『個体名:カイ・ウェルマンのユニークスキル【日光浴】が覚醒します』
え……?
日光浴? あのハズレスキルが?
『スキル進化を開始……成功。スキル【日光浴】は、太陽神の加護【トロピカル・ロード】へと進化しました』
『これより、肉体の再構築を行います』
ドクンッ!
心臓が大きく跳ねた。
次の瞬間、全身を駆け巡っていた熱さが、苦痛から快感へと変わった。
焼けるようだった肌の痛みが消え、代わりに力が満ちてくる。
まるで、乾いたスポンジが水を吸い込むように、俺の体は降り注ぐ太陽光を貪欲に吸収し始めた。
「う、おおおおお……ッ!?」
俺は思わず叫び声を上げ、上体を起こした。
体が軽い。
いや、軽いなんてもんじゃない。
先ほどまでの脱水症状による倦怠感が嘘のように消え失せている。
喉の渇きすら感じない。
むしろ、満腹感に似た充足感が腹の底から湧き上がってくる。
『【光合成】発動中。太陽光を生命エネルギーおよび魔力へ変換しています』
『【熱遮断】発動中。適正体温を維持します』
『【太陽の祝福】により、全ステータスが上昇しました』
脳内に流れる情報を呆然と聞きながら、俺は自分の手を見つめた。
真っ白だった肌は、健康的な小麦色に変化している。
細かった腕には、しなやかな筋肉がついていた。
視力が向上したのか、遥か遠くのヤシの木の葉脈までがくっきりと見える。
「これが……俺の力?」
俺は立ち上がった。
ふらつきはない。足取りは羽のように軽い。
じりじりと照りつける太陽は、もはや敵ではなかった。
むしろ、太陽光を浴びれば浴びるほど、力が湧いてくるのを感じる。無限のエネルギー源が空にあるようなものだ。
「おいおい、マジかよ」
俺は砂浜を見渡した。
真っ白な砂、透き通るような青い海。
背後には、緑豊かなジャングルが広がっている。
そこには、見たこともないような色鮮やかな果実が実り、甘い香りが漂っていた。
「火の雨? 煮えたぎる海? どこがだよ」
誰だ、ここを『死の諸島』なんて呼んだ奴は。
とんでもない勘違いだ。
ここは地獄なんかじゃない。
「……楽園(パラダイス)じゃないか」
俺はジャングルの方へと歩き出した。
喉は渇いていないが、あの木に実っている大きな実は気になる。
ヤシの実……だろうか。
俺は木の下まで行くと、見上げるような高さにある実を見つめた。
登れるだろうか?
そう思った瞬間、俺の意思に呼応するように、ヤシの木が『動いた』。
ずるずると幹が低くなり、実のついた枝が俺の手元まで降りてきたのだ。
『権能【植物支配】。太陽の恵みを受ける植物を意のままに操ります』
「すげぇ……」
俺はたわわに実ったヤシの実を一つもぎ取った。
硬い殻に覆われているが、今の俺の指先には魔力が宿っている。
軽く力を込めると、パカッという小気味よい音と共に殻が割れた。
中にはたっぷりと透明な果汁が詰まっている。
一口、飲んでみる。
「――っ! うまい!」
甘い。そして冷たい。
炎天下にあるはずなのに、まるで冷蔵庫で冷やされていたかのように冷たく、爽やかだ。
口の中に広がる芳醇な香りと、濃厚な甘み。
北の国で飲んでいた、薄くて酸っぱい麦のエールとは比べ物にならない。
『【果実強化】適用。対象の糖度上昇、栄養価上昇、ステータスバフ効果付与』
飲み干した瞬間、さらに体が熱くなった。
エネルギーが暴れまわるような感覚。
俺は思わず、海に向かって走り出した。
砂浜を蹴り、透明な波の中へ飛び込む。
水が気持ちいい。
北の海なら一瞬で心臓が止まる冷たさだが、ここの海は温水プールのように心地よい。
俺は海面に顔を出し、プカプカと浮かびながら空を見上げた。
「あはは、あはははは!」
笑いがこみ上げてきた。
最高だ。
寒さに震える夜も、飢えに苦しむ日々も、理不尽な命令も、ここにはない。
あるのは、輝く太陽と、美味い果実と、美しい海だけ。
「ありがとう、アレク。ありがとう、リリアーナ王女」
俺は北の空に向かって、皮肉を込めて感謝の言葉を投げかけた。
「お前らのおかげで、俺はこの楽園に辿り着けた。追放してくれて、本当にありがとう」
脳裏に、極寒の城で震えているであろう彼らの顔が浮かぶ。
俺がいなくなったことで、今頃、城の暖房設備には不具合が出ている頃だろうか。
備蓄倉庫の管理はお粗末になり、食料は急速に劣化を始めているはずだ。
聖女の聖水? 凍って瓶が割れていなければいいが。
「まあ、頑張ってくれよ。俺はここで、第二の人生を楽しませてもらうから」
俺は寝転がったまま、右手で太陽を掴むように空へとかざした。
指の隙間からこぼれる光が、七色のプリズムを作る。
ハズレスキルだと言われた『日光浴』。
それがまさか、南国で最強のスキル『トロピカル・ロード』になるなんて。
これがあれば、ここでは何不自由なく暮らせる。いや、王様以上の暮らしができるかもしれない。
「さて、まずは住処でも確保するか」
俺は海から上がり、濡れた体を太陽で一瞬にして乾かした。
視線の先には、手付かずの広大なジャングルと、どこまでも広がる青い海。
俺の、俺による、俺のためのリゾートライフが、今ここから始まるのだ。
後に、この島が世界中の王族や貴族が憧れる『伝説のリゾート国家』となり、俺を捨てた故国が泣いて謝ってくることになるのだが……それはまだ、少し先の話。
今はただ、この最高のバカンスを堪能しよう。
俺は口笛を吹きながら、新たな領土(ジャングル)へと足を踏み入れた。
重厚な石造りの謁見の間。
吐く息すら瞬時に凍りつきそうな極寒の空気の中で、その宣告は冷徹に響き渡った。
玉座の前に跪く俺を見下ろしているのは、黄金の鎧に身を包んだ勇者アレク。
その隣には、豪奢な毛皮のドレスを纏った第一王女リリアーナが、侮蔑の眼差しを向けて腕を組んでいる。
俺、カイ・ウェルマンは、この国唯一の兵站管理官だった。
……いや、「だった」と過去形で語るべき時が、ついに来てしまったようだ。
「……理由をお伺いしてもよろしいでしょうか」
俺は努めて冷静に、震えそうになる声を抑えて尋ねた。寒さのせいではない。十年もの間、この国のために尽くしてきた時間を踏みにじられる悔しさからだ。
勇者アレクは鼻を鳴らし、大げさに肩をすくめた。
「理由だと? そんなこともわからんのか。貴様が『無能』だからだ」
「無能……ですか」
「そうだ。貴様のスキルはなんだ? 言ってみろ」
「……『日光浴』です」
俺が答えると、周囲に控えていた兵士や貴族たちから、忍び笑いが漏れた。
「ぷっ、日光浴だとよ」
「この一年中雪に閉ざされた国で、日光浴などして何になる」
「肌でも焼くのか? 気味の悪い」
嘲笑の嵐。
いつものことだ。俺はこの国で生まれたが、発現したスキルは『日光浴』というふざけた名前のものだった。
効果は、太陽の光を浴びると少しだけ体調が良くなる。それだけだ。
分厚い雲と吹雪に覆われたこの北の地では、太陽が顔を出すことなど年に数回あるかないか。つまり、俺のスキルは完全に死にスキルと判定されていた。
「戦闘の役には立たん。魔法も使えん。剣を持たせればカカシ以下。そんな貴様を、我々勇者パーティは温情で『荷物持ち』兼『雑用係』として置いてやっていたのだ」
アレクが勝ち誇ったように続ける。
「だが、もう限界だ。魔王討伐のための遠征費は嵩む一方だ。役立たずの雑用係に払う給金も、食わせる飯も惜しい。貴様の分を、新しく加入する聖女の聖水代に回したほうがよほど建設的だ」
俺は拳を握りしめた。
確かに、俺は前線で戦ってはいない。だが、この極寒の地での遠征において、最も重要なのは補給と管理だ。
凍りつくポーションを体温と微量な魔力操作で解凍し続け、すぐに使える状態を維持していたのは誰だ?
湿気って使い物にならなくなる薪を、わずかな晴れ間を見逃さずに乾燥させていたのは誰だ?
兵士たちの凍傷を防ぐために、装備の手入れを徹夜で行っていたのは誰だ?
全て俺だ。俺がいなければ、このパーティは最初のダンジョンに辿り着く前に、寒さと物資不足で全滅していただろう。
「勇者様、お言葉ですが、物資の管理は……」
「黙れ!」
俺の反論を遮ったのは、王女リリアーナだった。彼女は扇子で口元を隠しながら、冷ややかな視線を俺に突き刺す。
「カイ、あなたの代わりなどいくらでもいるのです。たかが荷物を運ぶだけの仕事でしょう? 奴隷にでもやらせておけば済む話です。それに……」
彼女は生理的な嫌悪感を隠そうともせず、言葉を続けた。
「あなたは『南』の血が混じっているのでしょう? その黒い髪も、黒い瞳も、雪のように白い我々からすれば不吉でしかないのです。穢らわしい」
血統差別か。
俺の祖父は、遠い南の国から漂着した人間だったらしい。その隔世遺伝で、俺はこの国では珍しい黒髪黒目を持っている。
それだけで、俺はずっと「異物」として扱われてきた。どんなに努力しても、どんなに成果を上げても、彼らにとって俺は『よそ者』でしかなかったのだ。
「……わかりました」
俺は頭を下げた。
これ以上何を言っても無駄だ。彼らの目には、俺の価値など映っていない。
それに、正直に言えば、俺も限界だった。
骨の髄まで凍りつくような寒さ。陰湿な嫌がらせ。終わりの見えない激務。
ここから解放されるなら、それはそれでいいのかもしれない。
「それで、追放とおっしゃいましたが、国外へ出る許可証をいただけるので?」
「はっ! 許可証だと?」
勇者アレクが下卑た笑い声を上げた。
「甘えるなよ、無能。貴様のような役立たずを隣国へ送り出せば、我が国の恥になる。貴様の行き先は決まっているのだ」
「行き先……?」
「『南の果て』にある未開の島々……通称『死の諸島』だ」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋に、この国の気温以上の悪寒が走った。
『死の諸島』。
それは、この大陸のはるか南、魔の海域の先にあると言われる場所だ。
言い伝えによれば、そこは灼熱の地獄。
空からは火の雨が降り注ぎ、海は煮えたぎり、巨大な魔物たちが跋扈して人間を喰らい尽くすという。
かつて多くの罪人がそこへ流されたが、誰一人として生きて帰ってきた者はいない。
事実上の死刑宣告だった。
「ひ、人道に反します! いくらなんでも、そこへ送るのは……」
「王族への口答えは死罪に値するぞ、カイ!」
リリアーナ王女が叫ぶ。
「感謝しなさい。処刑台で首を刎ねられるよりは、まだ生き延びるチャンスがあるだけ慈悲深いというものよ。もっとも、あの灼熱地獄で何分生きられるかは見ものだけど」
兵士たちが俺を取り囲んだ。
抵抗する力など、俺にはない。
「連れて行け! 今すぐ船に乗せろ!」
アレクの号令と共に、俺は乱暴に引き立てられた。
去り際、俺は一度だけ振り返り、かつての仲間たちを見た。
彼らは厄介払いができたことに安堵し、あるいは俺の不幸をあざ笑っていた。
(……後悔するなよ)
俺は心の中でつぶやいた。
俺がいなくなれば、この国の兵站は崩壊する。
今まで俺がどれだけの細かな調整を行っていたか、彼らは知ることになるだろう。
ポーションは凍り、食料は腐り、装備は錆びつく。
極寒の冬は、もうすぐそこまで来ているのだ。
だが、もう俺の知ったことではない。
俺は兵士たちに引きずられ、冷たい石畳の上を歩いていった。
◆ ◆ ◆
追放の船旅は、過酷という言葉すら生ぬるいものだった。
罪人護送用のボロ船の船倉に押し込められ、わずかな水と乾パンだけで数週間。
船はどんどん南へと進んでいく。
最初は寒さに震えていたが、ある時点を境に、気温が急激に上がり始めた。
分厚い毛皮のコートが邪魔になり、俺はそれを脱ぎ捨てた。
それでも暑い。
全身から汗が噴き出し、喉が渇く。
船員たちは「魔の海域に入った」と怯え、俺を小舟に乗せ換えると、食料もろくに持たせずに海へと放り出した。
「ここから先は『死の諸島』だ。せいぜい魔物の餌になるんだな!」
彼らは逃げるように北へと引き返していった。
残されたのは、小さな小舟と、俺一人。
そして、目の前に広がるのは……。
「……これが、地獄?」
俺は呆然と空を見上げた。
そこには、これまで見たこともないような「青」が広がっていた。
俺の故郷の空は、常に鉛色だった。重く垂れ込めた雲が、世界を灰色に染めていた。
だが、ここは違う。
目が痛くなるほどに鮮やかな、突き抜けるような青空。
そして、その中心に輝く、圧倒的な存在感の太陽。
(熱い……いや、痛い)
強烈な日差しが、北国育ちの俺の白い肌を焦がす。
喉がカラカラだ。
視線を水平線に向けると、エメラルドグリーンに輝く海と、その先に浮かぶ島影が見えた。
あれが『死の諸島』か。
煮えたぎる海? 火の雨?
そんなものはどこにもない。あるのは、ただひたすらに美しい、そして残酷なまでに暑い、夏の世界だった。
俺は最後の力を振り絞り、オールを漕いだ。
意識が遠のきそうになる。
脱水症状と熱中症。このままでは島にたどり着く前に死ぬかもしれない。
それでも、あの島に行けば水があるかもしれない。
その一心で、俺はオールを動かし続けた。
ザザァ……ッ。
小舟が砂浜に乗り上げる感触。
俺は小舟から転げ落ちるようにして、白い砂の上に倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……」
熱い。
砂がフライパンのように熱せられている。
上からは太陽が容赦なく降り注ぐ。
日陰に移動しなければ。そう思うのに、体が動かない。
意識が白く染まっていく。
(ああ、俺はここで死ぬのか……)
(無能と罵られ、故郷を追われ、こんな美しい地獄で干からびて死ぬのか)
悔しい。
こんなところで終わりたくない。
もっと生きたかった。
美味しいものを食べたかった。
誰かに認められたかった。
薄れゆく意識の中で、俺は空を見上げた。
真上に輝く太陽。
それは、北の国では決して見ることのできなかった、完全な姿の太陽だった。
不思議と、恐怖はなかった。
ただ、その圧倒的な光に、魅入られていた。
(綺麗だな……)
そう思った瞬間だった。
『条件を満たしました』
脳内に、無機質な声が響いた。
『隠しパラメータ:日光蓄積値が上限を突破しました』
『環境適応を確認。エリア:常夏』
『個体名:カイ・ウェルマンのユニークスキル【日光浴】が覚醒します』
え……?
日光浴? あのハズレスキルが?
『スキル進化を開始……成功。スキル【日光浴】は、太陽神の加護【トロピカル・ロード】へと進化しました』
『これより、肉体の再構築を行います』
ドクンッ!
心臓が大きく跳ねた。
次の瞬間、全身を駆け巡っていた熱さが、苦痛から快感へと変わった。
焼けるようだった肌の痛みが消え、代わりに力が満ちてくる。
まるで、乾いたスポンジが水を吸い込むように、俺の体は降り注ぐ太陽光を貪欲に吸収し始めた。
「う、おおおおお……ッ!?」
俺は思わず叫び声を上げ、上体を起こした。
体が軽い。
いや、軽いなんてもんじゃない。
先ほどまでの脱水症状による倦怠感が嘘のように消え失せている。
喉の渇きすら感じない。
むしろ、満腹感に似た充足感が腹の底から湧き上がってくる。
『【光合成】発動中。太陽光を生命エネルギーおよび魔力へ変換しています』
『【熱遮断】発動中。適正体温を維持します』
『【太陽の祝福】により、全ステータスが上昇しました』
脳内に流れる情報を呆然と聞きながら、俺は自分の手を見つめた。
真っ白だった肌は、健康的な小麦色に変化している。
細かった腕には、しなやかな筋肉がついていた。
視力が向上したのか、遥か遠くのヤシの木の葉脈までがくっきりと見える。
「これが……俺の力?」
俺は立ち上がった。
ふらつきはない。足取りは羽のように軽い。
じりじりと照りつける太陽は、もはや敵ではなかった。
むしろ、太陽光を浴びれば浴びるほど、力が湧いてくるのを感じる。無限のエネルギー源が空にあるようなものだ。
「おいおい、マジかよ」
俺は砂浜を見渡した。
真っ白な砂、透き通るような青い海。
背後には、緑豊かなジャングルが広がっている。
そこには、見たこともないような色鮮やかな果実が実り、甘い香りが漂っていた。
「火の雨? 煮えたぎる海? どこがだよ」
誰だ、ここを『死の諸島』なんて呼んだ奴は。
とんでもない勘違いだ。
ここは地獄なんかじゃない。
「……楽園(パラダイス)じゃないか」
俺はジャングルの方へと歩き出した。
喉は渇いていないが、あの木に実っている大きな実は気になる。
ヤシの実……だろうか。
俺は木の下まで行くと、見上げるような高さにある実を見つめた。
登れるだろうか?
そう思った瞬間、俺の意思に呼応するように、ヤシの木が『動いた』。
ずるずると幹が低くなり、実のついた枝が俺の手元まで降りてきたのだ。
『権能【植物支配】。太陽の恵みを受ける植物を意のままに操ります』
「すげぇ……」
俺はたわわに実ったヤシの実を一つもぎ取った。
硬い殻に覆われているが、今の俺の指先には魔力が宿っている。
軽く力を込めると、パカッという小気味よい音と共に殻が割れた。
中にはたっぷりと透明な果汁が詰まっている。
一口、飲んでみる。
「――っ! うまい!」
甘い。そして冷たい。
炎天下にあるはずなのに、まるで冷蔵庫で冷やされていたかのように冷たく、爽やかだ。
口の中に広がる芳醇な香りと、濃厚な甘み。
北の国で飲んでいた、薄くて酸っぱい麦のエールとは比べ物にならない。
『【果実強化】適用。対象の糖度上昇、栄養価上昇、ステータスバフ効果付与』
飲み干した瞬間、さらに体が熱くなった。
エネルギーが暴れまわるような感覚。
俺は思わず、海に向かって走り出した。
砂浜を蹴り、透明な波の中へ飛び込む。
水が気持ちいい。
北の海なら一瞬で心臓が止まる冷たさだが、ここの海は温水プールのように心地よい。
俺は海面に顔を出し、プカプカと浮かびながら空を見上げた。
「あはは、あはははは!」
笑いがこみ上げてきた。
最高だ。
寒さに震える夜も、飢えに苦しむ日々も、理不尽な命令も、ここにはない。
あるのは、輝く太陽と、美味い果実と、美しい海だけ。
「ありがとう、アレク。ありがとう、リリアーナ王女」
俺は北の空に向かって、皮肉を込めて感謝の言葉を投げかけた。
「お前らのおかげで、俺はこの楽園に辿り着けた。追放してくれて、本当にありがとう」
脳裏に、極寒の城で震えているであろう彼らの顔が浮かぶ。
俺がいなくなったことで、今頃、城の暖房設備には不具合が出ている頃だろうか。
備蓄倉庫の管理はお粗末になり、食料は急速に劣化を始めているはずだ。
聖女の聖水? 凍って瓶が割れていなければいいが。
「まあ、頑張ってくれよ。俺はここで、第二の人生を楽しませてもらうから」
俺は寝転がったまま、右手で太陽を掴むように空へとかざした。
指の隙間からこぼれる光が、七色のプリズムを作る。
ハズレスキルだと言われた『日光浴』。
それがまさか、南国で最強のスキル『トロピカル・ロード』になるなんて。
これがあれば、ここでは何不自由なく暮らせる。いや、王様以上の暮らしができるかもしれない。
「さて、まずは住処でも確保するか」
俺は海から上がり、濡れた体を太陽で一瞬にして乾かした。
視線の先には、手付かずの広大なジャングルと、どこまでも広がる青い海。
俺の、俺による、俺のためのリゾートライフが、今ここから始まるのだ。
後に、この島が世界中の王族や貴族が憧れる『伝説のリゾート国家』となり、俺を捨てた故国が泣いて謝ってくることになるのだが……それはまだ、少し先の話。
今はただ、この最高のバカンスを堪能しよう。
俺は口笛を吹きながら、新たな領土(ジャングル)へと足を踏み入れた。
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