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第21話 勇者、逆ギレして街を襲撃しようとするも、防衛システム(ドラゴン)に瞬殺される
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「ウオオオオオオオオッ!!」
アレン領を取り囲む『死の森』の奥深く。
かつてないほど禍々しい魔力の奔流が、木々を根こそぎ吹き飛ばした。
その中心に立っているのは、ドス黒い肌とねじれた角を持つ異形の戦士――元勇者カイルだ。
ハミルトン男爵(魔族)の手によって魔人化手術を受けた彼は、適応に苦しむどころか、驚くべき速度で魔の力を吸収し、我が物にしていた。
それは彼の心が、既に人間としての良識を捨て、アレンへの憎悪だけで満たされていたからに他ならない。
「すごい……すごいぞ、この力!」
カイルは自分の手を見つめ、陶酔したように震えた。
握りこぶしを作るだけで、大気が悲鳴を上げ、衝撃波が発生する。
レベル1に落ち込んでいたステータスは、魔族のブーストによって一気に跳ね上がり、今の彼はレベル300相当――人間の限界を遥かに超えた領域に達していた。
「これなら勝てる……! あのアレンの城も、生意気なゴーレムも、一撃で粉砕できる!」
カイルの背後には、同じく魔人化を施されたマリアとニーナが控えている。
彼女たちの瞳からは理性の光が消え、ただカイルの命令に従うだけの人形のような状態になっていた。
「行くぞ。今すぐアレンの首をもぎ取りに行く」
カイルは地面を蹴った。
爆発的な跳躍力で森を飛び越え、一直線にアレン・シティへと向かう。
「待ってろアレン! 俺が本物の『絶望』ってやつを教えてやる!」
***
その頃、アレン城のリビング。
俺は昼下がりのティータイムを楽しんでいた。
今日の茶菓子は、フェリスが農園で採れたてのイチゴを使って作ったショートケーキだ。
「んん~っ! 甘酸っぱくて美味しいです~!」
フェリスが尻尾をブンブン振りながらケーキを頬張る。
「生クリームの泡立て加減も完璧ですね。フェリス様、腕を上げましたね」
リナが感心したように頷く。
平和だ。
窓の外には、今日も穏やかな『始りの街』の風景が広がっている。
……はずだった。
ウゥゥゥゥゥンッ!!
またしても、サイレンが鳴り響いた。
これで何度目だ。
最近、我が家の呼び鈴はこの警報音になっている気がする。
「アレン様、また敵襲ですか?」
セラムが紅茶を置く手も止めずに尋ねる。
「この魔力反応……先日追い返したカイルたちのものに似ていますが、桁が違います。魔王軍の将軍クラス……いえ、それ以上かもしれません」
「またカイルか。しつこいな」
俺はため息をついた。
ゴミ捨て場から這い上がってきた執念は評価するが、ティータイムの邪魔をするのは万死に値する。
「モニターに出してくれ」
リナが水晶玉を操作すると、空中にホログラム映像が投影された。
そこに映っていたのは、全身から黒い瘴気を噴出させながら、空を飛んでこちらへ向かってくる異形の怪物だった。
『アレンンンンンッ! 出てこいィィィッ!!』
映像越しでも聞こえる絶叫。
顔は変わり果てているが、その声と歪んだ憎悪の表情は、間違いなくカイルだ。
「うわぁ……完全に魔族になっちゃってますね」
フェリスが顔をしかめる。
「以前よりも醜悪です。あんな姿になってまで、アレン様に固執するなんて」
「魔人化、ですね」
セラムが冷静に分析する。
「禁術によって強制的にステータスを引き上げた成れの果て。力は強大ですが、寿命を削り、精神を崩壊させる諸刃の剣です」
「バカな奴だ」
俺は呆れて首を振った。
力を求めて人間を辞めるとは。
そこまでして俺に勝ちたいのか。
「どうしますか、ご主人様。オニキスを出撃させますか?」
リナが尋ねる。
「いや、オニキスは門番だ。ここを動くと、他の雑魚が入ってくるかもしれない」
俺は少し考え、そしてニヤリと笑った。
ちょうどいい。
最近導入した『新・防衛システム』のテストをしよう。
「ヴォルガスに任せよう」
「えっ? ヴォルガスって、今お風呂番をしてるんじゃ……」
「ああ。あいつ、最近温泉の温度調節ばかりで運動不足だって言ってたからな。たまには体を動かさせてやろう」
俺は手元の通信用の魔石に向かって話しかけた。
「ヴォルガス、聞こえるか? 仕事だ」
***
アレン城の裏手、露天風呂『アレンの湯』。
そこでは、SSランクドラゴンのヴォルガスが、気持ちよさそうに湯船(ドラゴン専用の巨大プール)に浸かっていた。
「極楽、極楽……。やはり魔力で沸かした湯は格別だわい」
彼は鼻歌(地響き)を歌いながら、背中を岩盤に擦り付けていた。
すっかりこの生活に馴染んでいる。
かつての『死の森の主』としての威厳はどこへやら、今ではただの『温泉好きの巨大トカゲ』だ。
『ヴォルガス、仕事だ。害虫駆除を頼む』
脳内に主の声が響いた。
ヴォルガスは片目を開けた。
「む? マスターか。今ちょうど肩まで浸かっていたところなのだが……」
『相手は魔人化した元勇者だ。結構活きがいいぞ。運動不足解消にはもってこいだ』
「ほう、魔人とな。……ふむ、最近食べてばかりで腹回りが気になっていたところだ。少し揉んでやるか」
ヴォルガスは湯船からザバァッと立ち上がった。
大量のお湯が溢れ出し、川となって流れていく。
「どっこいせ、と」
彼は濡れた体を振るい、巨大な翼を広げた。
「行くぞ。我が主の安眠を妨げる愚か者に、ドラゴンの恐ろしさを思い出させてくれるわ!」
ドォンッ!!
ヴォルガスが空へと舞い上がった。
その巨体が太陽を遮り、街に巨大な影を落とす。
***
一方、カイル。
彼はアレン・シティの上空に到達し、眼下に広がる美しい街並みを見下ろしていた。
「壊す……全部壊してやる……!」
カイルの手のひらに、圧縮された黒い魔力が集束する。
戦略級魔法『ダーク・カタストロフィ』。
一撃で都市を消滅させるほどの威力を持つ、魔人特有の破壊魔法だ。
「まずはこの忌々しい街を消し飛ばし、その後にアレンをなぶり殺しにしてやる! 見ろ、これが俺の力だァァァッ!」
カイルが魔法を放とうとした、その瞬間。
『――邪魔だ』
上空から、重々しい声が降ってきた。
カイルが反射的に見上げると、そこには空を覆い尽くすほどの巨大な足の裏が迫っていた。
「なッ!?」
ドォォォォォォォォォンッ!!!!!
「ぐべぇッ!?」
カイルは魔法を放つ暇もなく、上から踏み潰された。
音速で飛来したドラゴンの急降下プレス。
その衝撃でカイルは隕石のように地面へと叩き落とされ、街の外の荒野に激突した。
ズガガガガガガッ!!
巨大なクレーターができ、土煙が舞い上がる。
アレン・シティの結界が衝撃波を防いだが、それでも地面が揺れるほどの威力だった。
「な、なんだ……!?」
カイルは瓦礫の中で血を吐きながら、ふらふらと立ち上がった。
魔人化による超再生能力のおかげで即死は免れたが、全身の骨が砕けている。
「誰だ……俺の邪魔をするのは……!」
土煙が晴れると、そこには一匹の、山のように巨大なドラゴンが降り立っていた。
赤黒い鱗。
背中から噴き出す高熱の蒸気。
そして、絶対強者だけが持つ金色の瞳。
「グ、グラン・マグマ・ドラゴン……!?」
カイルは息を呑んだ。
ハミルトン男爵の話にあった、アレンが使役しているというSSランクドラゴン。
まさか本当だったとは。
「貴様か。我が主のティータイムを邪魔する羽虫は」
ヴォルガスが鼻を鳴らした。
その鼻息だけで、カイルの体が吹き飛びそうになる。
「なめるな……! 俺は魔人だぞ! SSランクをも超える力を手に入れた、最強の戦士だ!」
カイルは吠えた。
恐怖を怒りで塗りつぶし、黒い魔力を全身から噴出させる。
魔剣(量産品を魔力で強化したもの)を構え、ヴォルガスに突っ込む。
「死ねェェェッ! トカゲ野郎!」
「遅い」
ヴォルガスは欠伸をした。
カイルの剣がドラゴンの鱗に触れようとした瞬間。
パシッ。
ヴォルガスの尻尾が、鞭のようにしなった。
目にも止まらぬ速さ。
「あ……」
カイルの視界が反転した。
尻尾の一撃が横腹に直撃し、彼はボールのように水平に弾き飛ばされた。
「ガハァッ!?」
カイルは地面を数回バウンドし、岩山に激突して止まった。
内臓が破裂し、手足があらぬ方向に曲がっている。
だが、魔人化の再生能力が無理やり肉体を修復していく。その過程で走る激痛が、カイルの精神を削り取る。
「い、痛い……痛い痛い痛いッ!」
「ほう。しぶといな」
ヴォルガスは感心したように首を傾げた。
「普通の人間なら肉片になっているところだが……その再生力、なるほど、魔族の手で改造されたか。哀れなものよ」
「う、うるさい……俺は……俺は勇者だ……!」
カイルはよろめきながら立ち上がった。
何度でも再生する。
何度でも立ち上がる。
その執念だけは本物だった。
「まだだ……まだ俺の魔法がある……!」
カイルは両手を天に掲げた。
全魔力を注ぎ込み、最大最強の攻撃魔法を構築する。
「『極大暗黒消滅波(カオス・オブリビオン)』!!」
空が暗転し、直径数百メートルもの黒い球体が出現した。
それはヴォルガスどころか、背後のアレン・シティごと飲み込むほどの規模だ。
「これならどうだ! 避けられまい! 消え失せろォォォッ!」
カイルが黒球を投擲した。
圧倒的な破壊のエネルギーが迫る。
だが、ヴォルガスは動かなかった。
逃げるどころか、大きく息を吸い込んだだけだ。
「……ふぅーっ」
ヴォルガスが息を吐いた。
ブレスではない。
ただの「ため息」だ。
しかし、SSランクドラゴンのため息は、とてつもない熱量と風圧を持っていた。
ゴオォォォォォォォォッ!!
熱風の嵐が巻き起こり、カイルが放った黒い球体を真正面から受け止める。
そして――。
シュボッ。
黒い球体は、ロウソクの火が消えるように、あっさりと霧散した。
「は……?」
カイルは目を白黒させた。
自分の全力を込めた必殺魔法が。
命を削って放った一撃が。
ただの「ため息」で消された?
「ぬるい。ぬるすぎるぞ、小僧」
ヴォルガスは呆れたように言った。
「貴様のそれは、ただ魔力を垂れ流しているだけだ。密度も、練度も、覚悟も足りん。そんなもので我が鱗一枚焦がせると思ったか?」
「う、嘘だ……そんなバカな……」
カイルは膝をついた。
力の差。
次元の差。
魔人化してなお、埋まらない絶望的な壁。
「さて、そろそろ湯冷めしそうだ。終わらせてもらうぞ」
ヴォルガスが大きく口を開けた。
喉の奥で、太陽のような光が凝縮されていく。
本気のブレスだ。
「ひッ……!?」
カイルは動けなかった。
恐怖で腰が抜けたのではない。
圧倒的な死の予感に、魂が凍りついたのだ。
「消えろ。『紅蓮の咆哮(クリムゾン・ロア)』」
ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
極太の熱線が放たれた。
それはカイルを飲み込み、彼が立っていた岩山ごと蒸発させ、遥か彼方の空まで貫いた。
「ギャアアアアアアアアアアッ!!」
カイルの悲鳴は、轟音にかき消された。
***
数分後。
煙が晴れた荒野には、炭化した地面と、黒焦げになった肉塊が一つ転がっていた。
カイルだ。
魔人化の再生能力のおかげで、首の皮一枚で生きていた。
だが、手足は消し飛び、ダルマのような無惨な姿になっている。
「あ……あ……」
もはや言葉も出ない。
ただ、涙だけが流れていた。
敗北。
二度目の、そして決定的な敗北。
「……アレン様からの伝言だ」
ヴォルガスが人間の姿(厳ついおっさん)に変化し、カイルの前に立った。
彼はカイルの頭を踏みつけ、冷酷に告げた。
『死ぬことは許さん。生きて罪を償え』
「連行しろ」
ヴォルガスの合図で、物陰からオニキスが現れた。
オニキスはカイルの残骸を片手で掴み上げ、さらに近くで気絶していたマリアとニーナ(ブレスの余波で吹き飛ばされていた)も回収した。
「離せ……殺してくれ……」
カイルが掠れた声で懇願する。
このまま生き恥を晒すくらいなら、死んだほうがマシだ。
「殺さんよ。貴様には、明日の『メインイベント』で主役を演じてもらわねばならんからな」
ヴォルガスはニヤリと笑い、城へと戻っていった。
***
アレン城、テラス。
俺は戦いの結末を見届けて、紅茶の最後の一口を飲み干した。
「終わったか」
あっけない幕切れだった。
魔人化した勇者といえど、ウチの温泉番(SSランクドラゴン)の敵ではなかったらしい。
「アレン様、カイルたちを地下牢に収容しました」
リナが報告に来る。
「再生能力のおかげで命に別状はありませんが、精神崩壊寸前ですね。ずっと『魔王だ、あいつは魔王だ』とブツブツ言っています」
「そうか。治療(という名の再生促進)をしておけ。明日のショーに間に合わせないといけないからな」
「ショー、ですか?」
フェリスが首を傾げる。
「ああ。カイルたちは公衆の面前で俺に決闘を挑み、そして敗北した。そのケジメをつけてもらわないとな」
俺は街の方を見た。
カイルの襲撃と、ヴォルガスの迎撃。
その一部始終は、アレン・シティの住民たちも目撃していた。
不安に思う民もいるだろう。
だからこそ、はっきりとした形で決着を見せる必要がある。
「明日の正午、広場で『公開裁判』を行う。そこでカイルたちの処遇を決める」
「裁判……彼らを裁くのですね」
セラムが真剣な表情で頷く。
「そうだ。勇者の称号を剥奪し、ただの犯罪者として断罪する。それが、彼らにとって一番堪える罰だろうからな」
俺は立ち上がった。
「さて、忙しくなるぞ。会場の設営と、招待状の発送だ。ハミルトン男爵にも特等席を用意してやらないとな」
俺は悪役のような笑みを浮かべた。
勇者カイルの物語は、ここで完全に終わる。
そして、アレン・キングダムの伝説が、ここから始まるのだ。
***
その夜。
地下牢のカイルは、再生していく手足の痛みに悶えながら、悪夢を見ていた。
アレンが巨大な魔王となり、自分を踏み潰す夢。
そして、かつての自分がアレンを追放した時の光景が、何度もリフレインする。
『お前はクビだ』
その言葉が、今度は自分に向けられていることに気づいた時、カイルは絶望の叫びを上げた。
だが、その声に応える者は誰もいなかった。
(つづく)
アレン領を取り囲む『死の森』の奥深く。
かつてないほど禍々しい魔力の奔流が、木々を根こそぎ吹き飛ばした。
その中心に立っているのは、ドス黒い肌とねじれた角を持つ異形の戦士――元勇者カイルだ。
ハミルトン男爵(魔族)の手によって魔人化手術を受けた彼は、適応に苦しむどころか、驚くべき速度で魔の力を吸収し、我が物にしていた。
それは彼の心が、既に人間としての良識を捨て、アレンへの憎悪だけで満たされていたからに他ならない。
「すごい……すごいぞ、この力!」
カイルは自分の手を見つめ、陶酔したように震えた。
握りこぶしを作るだけで、大気が悲鳴を上げ、衝撃波が発生する。
レベル1に落ち込んでいたステータスは、魔族のブーストによって一気に跳ね上がり、今の彼はレベル300相当――人間の限界を遥かに超えた領域に達していた。
「これなら勝てる……! あのアレンの城も、生意気なゴーレムも、一撃で粉砕できる!」
カイルの背後には、同じく魔人化を施されたマリアとニーナが控えている。
彼女たちの瞳からは理性の光が消え、ただカイルの命令に従うだけの人形のような状態になっていた。
「行くぞ。今すぐアレンの首をもぎ取りに行く」
カイルは地面を蹴った。
爆発的な跳躍力で森を飛び越え、一直線にアレン・シティへと向かう。
「待ってろアレン! 俺が本物の『絶望』ってやつを教えてやる!」
***
その頃、アレン城のリビング。
俺は昼下がりのティータイムを楽しんでいた。
今日の茶菓子は、フェリスが農園で採れたてのイチゴを使って作ったショートケーキだ。
「んん~っ! 甘酸っぱくて美味しいです~!」
フェリスが尻尾をブンブン振りながらケーキを頬張る。
「生クリームの泡立て加減も完璧ですね。フェリス様、腕を上げましたね」
リナが感心したように頷く。
平和だ。
窓の外には、今日も穏やかな『始りの街』の風景が広がっている。
……はずだった。
ウゥゥゥゥゥンッ!!
またしても、サイレンが鳴り響いた。
これで何度目だ。
最近、我が家の呼び鈴はこの警報音になっている気がする。
「アレン様、また敵襲ですか?」
セラムが紅茶を置く手も止めずに尋ねる。
「この魔力反応……先日追い返したカイルたちのものに似ていますが、桁が違います。魔王軍の将軍クラス……いえ、それ以上かもしれません」
「またカイルか。しつこいな」
俺はため息をついた。
ゴミ捨て場から這い上がってきた執念は評価するが、ティータイムの邪魔をするのは万死に値する。
「モニターに出してくれ」
リナが水晶玉を操作すると、空中にホログラム映像が投影された。
そこに映っていたのは、全身から黒い瘴気を噴出させながら、空を飛んでこちらへ向かってくる異形の怪物だった。
『アレンンンンンッ! 出てこいィィィッ!!』
映像越しでも聞こえる絶叫。
顔は変わり果てているが、その声と歪んだ憎悪の表情は、間違いなくカイルだ。
「うわぁ……完全に魔族になっちゃってますね」
フェリスが顔をしかめる。
「以前よりも醜悪です。あんな姿になってまで、アレン様に固執するなんて」
「魔人化、ですね」
セラムが冷静に分析する。
「禁術によって強制的にステータスを引き上げた成れの果て。力は強大ですが、寿命を削り、精神を崩壊させる諸刃の剣です」
「バカな奴だ」
俺は呆れて首を振った。
力を求めて人間を辞めるとは。
そこまでして俺に勝ちたいのか。
「どうしますか、ご主人様。オニキスを出撃させますか?」
リナが尋ねる。
「いや、オニキスは門番だ。ここを動くと、他の雑魚が入ってくるかもしれない」
俺は少し考え、そしてニヤリと笑った。
ちょうどいい。
最近導入した『新・防衛システム』のテストをしよう。
「ヴォルガスに任せよう」
「えっ? ヴォルガスって、今お風呂番をしてるんじゃ……」
「ああ。あいつ、最近温泉の温度調節ばかりで運動不足だって言ってたからな。たまには体を動かさせてやろう」
俺は手元の通信用の魔石に向かって話しかけた。
「ヴォルガス、聞こえるか? 仕事だ」
***
アレン城の裏手、露天風呂『アレンの湯』。
そこでは、SSランクドラゴンのヴォルガスが、気持ちよさそうに湯船(ドラゴン専用の巨大プール)に浸かっていた。
「極楽、極楽……。やはり魔力で沸かした湯は格別だわい」
彼は鼻歌(地響き)を歌いながら、背中を岩盤に擦り付けていた。
すっかりこの生活に馴染んでいる。
かつての『死の森の主』としての威厳はどこへやら、今ではただの『温泉好きの巨大トカゲ』だ。
『ヴォルガス、仕事だ。害虫駆除を頼む』
脳内に主の声が響いた。
ヴォルガスは片目を開けた。
「む? マスターか。今ちょうど肩まで浸かっていたところなのだが……」
『相手は魔人化した元勇者だ。結構活きがいいぞ。運動不足解消にはもってこいだ』
「ほう、魔人とな。……ふむ、最近食べてばかりで腹回りが気になっていたところだ。少し揉んでやるか」
ヴォルガスは湯船からザバァッと立ち上がった。
大量のお湯が溢れ出し、川となって流れていく。
「どっこいせ、と」
彼は濡れた体を振るい、巨大な翼を広げた。
「行くぞ。我が主の安眠を妨げる愚か者に、ドラゴンの恐ろしさを思い出させてくれるわ!」
ドォンッ!!
ヴォルガスが空へと舞い上がった。
その巨体が太陽を遮り、街に巨大な影を落とす。
***
一方、カイル。
彼はアレン・シティの上空に到達し、眼下に広がる美しい街並みを見下ろしていた。
「壊す……全部壊してやる……!」
カイルの手のひらに、圧縮された黒い魔力が集束する。
戦略級魔法『ダーク・カタストロフィ』。
一撃で都市を消滅させるほどの威力を持つ、魔人特有の破壊魔法だ。
「まずはこの忌々しい街を消し飛ばし、その後にアレンをなぶり殺しにしてやる! 見ろ、これが俺の力だァァァッ!」
カイルが魔法を放とうとした、その瞬間。
『――邪魔だ』
上空から、重々しい声が降ってきた。
カイルが反射的に見上げると、そこには空を覆い尽くすほどの巨大な足の裏が迫っていた。
「なッ!?」
ドォォォォォォォォォンッ!!!!!
「ぐべぇッ!?」
カイルは魔法を放つ暇もなく、上から踏み潰された。
音速で飛来したドラゴンの急降下プレス。
その衝撃でカイルは隕石のように地面へと叩き落とされ、街の外の荒野に激突した。
ズガガガガガガッ!!
巨大なクレーターができ、土煙が舞い上がる。
アレン・シティの結界が衝撃波を防いだが、それでも地面が揺れるほどの威力だった。
「な、なんだ……!?」
カイルは瓦礫の中で血を吐きながら、ふらふらと立ち上がった。
魔人化による超再生能力のおかげで即死は免れたが、全身の骨が砕けている。
「誰だ……俺の邪魔をするのは……!」
土煙が晴れると、そこには一匹の、山のように巨大なドラゴンが降り立っていた。
赤黒い鱗。
背中から噴き出す高熱の蒸気。
そして、絶対強者だけが持つ金色の瞳。
「グ、グラン・マグマ・ドラゴン……!?」
カイルは息を呑んだ。
ハミルトン男爵の話にあった、アレンが使役しているというSSランクドラゴン。
まさか本当だったとは。
「貴様か。我が主のティータイムを邪魔する羽虫は」
ヴォルガスが鼻を鳴らした。
その鼻息だけで、カイルの体が吹き飛びそうになる。
「なめるな……! 俺は魔人だぞ! SSランクをも超える力を手に入れた、最強の戦士だ!」
カイルは吠えた。
恐怖を怒りで塗りつぶし、黒い魔力を全身から噴出させる。
魔剣(量産品を魔力で強化したもの)を構え、ヴォルガスに突っ込む。
「死ねェェェッ! トカゲ野郎!」
「遅い」
ヴォルガスは欠伸をした。
カイルの剣がドラゴンの鱗に触れようとした瞬間。
パシッ。
ヴォルガスの尻尾が、鞭のようにしなった。
目にも止まらぬ速さ。
「あ……」
カイルの視界が反転した。
尻尾の一撃が横腹に直撃し、彼はボールのように水平に弾き飛ばされた。
「ガハァッ!?」
カイルは地面を数回バウンドし、岩山に激突して止まった。
内臓が破裂し、手足があらぬ方向に曲がっている。
だが、魔人化の再生能力が無理やり肉体を修復していく。その過程で走る激痛が、カイルの精神を削り取る。
「い、痛い……痛い痛い痛いッ!」
「ほう。しぶといな」
ヴォルガスは感心したように首を傾げた。
「普通の人間なら肉片になっているところだが……その再生力、なるほど、魔族の手で改造されたか。哀れなものよ」
「う、うるさい……俺は……俺は勇者だ……!」
カイルはよろめきながら立ち上がった。
何度でも再生する。
何度でも立ち上がる。
その執念だけは本物だった。
「まだだ……まだ俺の魔法がある……!」
カイルは両手を天に掲げた。
全魔力を注ぎ込み、最大最強の攻撃魔法を構築する。
「『極大暗黒消滅波(カオス・オブリビオン)』!!」
空が暗転し、直径数百メートルもの黒い球体が出現した。
それはヴォルガスどころか、背後のアレン・シティごと飲み込むほどの規模だ。
「これならどうだ! 避けられまい! 消え失せろォォォッ!」
カイルが黒球を投擲した。
圧倒的な破壊のエネルギーが迫る。
だが、ヴォルガスは動かなかった。
逃げるどころか、大きく息を吸い込んだだけだ。
「……ふぅーっ」
ヴォルガスが息を吐いた。
ブレスではない。
ただの「ため息」だ。
しかし、SSランクドラゴンのため息は、とてつもない熱量と風圧を持っていた。
ゴオォォォォォォォォッ!!
熱風の嵐が巻き起こり、カイルが放った黒い球体を真正面から受け止める。
そして――。
シュボッ。
黒い球体は、ロウソクの火が消えるように、あっさりと霧散した。
「は……?」
カイルは目を白黒させた。
自分の全力を込めた必殺魔法が。
命を削って放った一撃が。
ただの「ため息」で消された?
「ぬるい。ぬるすぎるぞ、小僧」
ヴォルガスは呆れたように言った。
「貴様のそれは、ただ魔力を垂れ流しているだけだ。密度も、練度も、覚悟も足りん。そんなもので我が鱗一枚焦がせると思ったか?」
「う、嘘だ……そんなバカな……」
カイルは膝をついた。
力の差。
次元の差。
魔人化してなお、埋まらない絶望的な壁。
「さて、そろそろ湯冷めしそうだ。終わらせてもらうぞ」
ヴォルガスが大きく口を開けた。
喉の奥で、太陽のような光が凝縮されていく。
本気のブレスだ。
「ひッ……!?」
カイルは動けなかった。
恐怖で腰が抜けたのではない。
圧倒的な死の予感に、魂が凍りついたのだ。
「消えろ。『紅蓮の咆哮(クリムゾン・ロア)』」
ズドォォォォォォォォォォォンッ!!!!!
極太の熱線が放たれた。
それはカイルを飲み込み、彼が立っていた岩山ごと蒸発させ、遥か彼方の空まで貫いた。
「ギャアアアアアアアアアアッ!!」
カイルの悲鳴は、轟音にかき消された。
***
数分後。
煙が晴れた荒野には、炭化した地面と、黒焦げになった肉塊が一つ転がっていた。
カイルだ。
魔人化の再生能力のおかげで、首の皮一枚で生きていた。
だが、手足は消し飛び、ダルマのような無惨な姿になっている。
「あ……あ……」
もはや言葉も出ない。
ただ、涙だけが流れていた。
敗北。
二度目の、そして決定的な敗北。
「……アレン様からの伝言だ」
ヴォルガスが人間の姿(厳ついおっさん)に変化し、カイルの前に立った。
彼はカイルの頭を踏みつけ、冷酷に告げた。
『死ぬことは許さん。生きて罪を償え』
「連行しろ」
ヴォルガスの合図で、物陰からオニキスが現れた。
オニキスはカイルの残骸を片手で掴み上げ、さらに近くで気絶していたマリアとニーナ(ブレスの余波で吹き飛ばされていた)も回収した。
「離せ……殺してくれ……」
カイルが掠れた声で懇願する。
このまま生き恥を晒すくらいなら、死んだほうがマシだ。
「殺さんよ。貴様には、明日の『メインイベント』で主役を演じてもらわねばならんからな」
ヴォルガスはニヤリと笑い、城へと戻っていった。
***
アレン城、テラス。
俺は戦いの結末を見届けて、紅茶の最後の一口を飲み干した。
「終わったか」
あっけない幕切れだった。
魔人化した勇者といえど、ウチの温泉番(SSランクドラゴン)の敵ではなかったらしい。
「アレン様、カイルたちを地下牢に収容しました」
リナが報告に来る。
「再生能力のおかげで命に別状はありませんが、精神崩壊寸前ですね。ずっと『魔王だ、あいつは魔王だ』とブツブツ言っています」
「そうか。治療(という名の再生促進)をしておけ。明日のショーに間に合わせないといけないからな」
「ショー、ですか?」
フェリスが首を傾げる。
「ああ。カイルたちは公衆の面前で俺に決闘を挑み、そして敗北した。そのケジメをつけてもらわないとな」
俺は街の方を見た。
カイルの襲撃と、ヴォルガスの迎撃。
その一部始終は、アレン・シティの住民たちも目撃していた。
不安に思う民もいるだろう。
だからこそ、はっきりとした形で決着を見せる必要がある。
「明日の正午、広場で『公開裁判』を行う。そこでカイルたちの処遇を決める」
「裁判……彼らを裁くのですね」
セラムが真剣な表情で頷く。
「そうだ。勇者の称号を剥奪し、ただの犯罪者として断罪する。それが、彼らにとって一番堪える罰だろうからな」
俺は立ち上がった。
「さて、忙しくなるぞ。会場の設営と、招待状の発送だ。ハミルトン男爵にも特等席を用意してやらないとな」
俺は悪役のような笑みを浮かべた。
勇者カイルの物語は、ここで完全に終わる。
そして、アレン・キングダムの伝説が、ここから始まるのだ。
***
その夜。
地下牢のカイルは、再生していく手足の痛みに悶えながら、悪夢を見ていた。
アレンが巨大な魔王となり、自分を踏み潰す夢。
そして、かつての自分がアレンを追放した時の光景が、何度もリフレインする。
『お前はクビだ』
その言葉が、今度は自分に向けられていることに気づいた時、カイルは絶望の叫びを上げた。
だが、その声に応える者は誰もいなかった。
(つづく)
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