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第7話 その頃、勇者パーティは俺のバフ飯がなくなって苦戦していた
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「アレン様、見てください! 『黄金人参』がこんなに大きく!」
「こっちもすごいぞ。マンドラゴラたちが合唱コンクールを始めた」
『ほのぼの農園』の朝は、今日も今日とて規格外の収穫から始まっていた。
エルフの元王女、シルフィードが仲間になってから三日。彼女の『豊穣の歌』と俺の『超速成長』スキルの相乗効果は凄まじく、農園は爆発的な進化を遂げていた。
俺の目の前には、大人の太ももほどもある極太の黄金人参が山積みになっている。
鑑定してみると、『不老長寿の効果(中)』『魔力完全回復』『美肌効果』などの文字が並んでいる。もはや野菜売り場というより、伝説の秘宝展覧会場だ。
「よし、今日の収穫はこれくらいにして、朝飯にするか」
俺が提案すると、シルフィとポチ子(元フェンリル)が同時に「わーい!」と歓声を上げた。
すっかり仲良くなった二人(一人と一匹?)は、競うようにしてキッチンへ走っていく。
今日のメニューは、農園で採れた小麦を製粉して作った生地に、ルビートマトのソースと、自家製チーズ(ポチが狩ってきたバッファロー種の魔物から乳を搾った)をたっぷり乗せた『特製ピザ』だ。
石窯(これも土魔法で即席で作った)で焼き上げると、香ばしい小麦の香りと、焦げたチーズの匂いが辺り一面に漂った。
「はい、お待たせ。熱いから気をつけてな」
俺が切り分けたピザを皿に乗せると、二人は「いただきます!」と元気よくかぶりついた。
チーズがとろりと糸を引き、サクッとした生地の音が響く。
「ん~っ! 美味しいですぅ~!」
「主様、これ最高! ほっぺた落ちる!」
二人の笑顔を見ながら、俺も一切れ口に運ぶ。
濃厚なトマトの旨味と、ミルキーなチーズのコク。そこにバジル代わりの薬草が爽やかなアクセントを加えている。
うん、完璧だ。コーラが欲しくなる味だが、代わりに冷やした果実水で我慢しよう。
頭上に浮かぶタマが、今日も元気にその様子を配信している。
『朝からピザとか優雅すぎんだろ』
『あのチーズ、Sランク魔物「ギガント・バッファロー」の乳だぞ……』
『市場価格、ワンホールで金貨100枚はいきそう』
『それを女子二人がバクバク食ってるのがまた』
『平和だなぁ』
『一方その頃、勇者パーティは……』
『あっちの様子も気になるわ』
コメント欄に不穏な空気が混じり始めたが、俺は気にも留めずに二枚目のピザを焼き始めた。
◇
一方、その頃。
アレンの農園から南へ数百キロ離れた空の上。
「くそっ、揺れるな! もっと安定して飛べ!」
勇者レオナルドは、飛竜(ワイバーン)の背にしがみつきながら悪態をついていた。
王国の近衛騎士団から借り受けた『飛竜部隊』。その精鋭であるはずの飛竜たちが、今日はなぜか酷く機嫌が悪かった。
「ギャオオオオン!」
飛竜は苛立ったように咆哮し、乱気流の中で激しく翼を羽ばたかせた。
そのたびにレオナルドの胃袋はひっくり返りそうになり、顔色は青を通り越して土色になっていた。
「うぷっ……。気持ち悪い……」
レオナルドは口元を押さえた。
乗り物酔いだ。
以前のアレンがいた頃なら、乗る前に『酔い止めのハーブティー』を用意してくれていただろう。
あるいは、背中をさすって『平衡感覚強化』のツボを押してくれたかもしれない。
だが、今のパーティにそんな気遣いのできる人間はいない。
「もう文句言わないでよ、レオ。私だって髪がボサボサだし、肌も乾燥して最悪なのよ」
隣の飛竜に乗っている聖女マリアも、不機嫌そのものだった。
上空の寒風に晒され、自慢の金髪は鳥の巣のように絡まり、肌はカサカサに荒れている。
彼女もまた、アレンの『美容野菜』と『特製保湿クリーム(農作業用のハンドクリーム)』の恩恵を失い、急速にコンディションを悪化させていた。
「お腹空いた……。ねえ、何か食べるものないの?」
武闘家のリンが力なく呟く。
彼女の筋肉質な体も、栄養不足と疲労でどこか萎んでいるように見える。
「携行食があるだろう。それを食え」
レオナルドが投げやりに答えると、リンは嫌そうな顔で腰のポーチから干し肉を取り出した。
カチカチに乾燥した、ただ塩辛いだけの肉の塊だ。
「……硬い。ゴムみたい。アレンの干し肉はもっとジューシーで、スパイスが効いてたのに」
「いちいちあいつの名前を出すな!」
レオナルドが叫んだ拍子に、飛竜が大きく傾いた。
「うわああっ!?」
あやうく振り落とされそうになり、レオナルドは必死に手綱にしがみついた。
その惨めな姿を、世界のどこかの誰かが遠見の魔法で覗き見ているとも知らずに。
◇
実は、タマの配信機能には『ザッピング』という裏モードが存在した。
アレンに関連する人物や出来事を、ワイプ画面(小窓)で同時に映し出す機能だ。
視聴者たちの要望(と投げ銭される魔力)に応じ、タマはアレンの平和な朝食風景の横に、勇者パーティの悲惨な移動風景を映し出していたのである。
『うわぁ……勇者パーティ、ボロボロじゃん』
『顔色悪っw』
『飛竜の扱いも下手だな。アレンなら一瞬で手懐けるのに』
『比較映像が残酷すぎる』
『アレン:焼きたてピザと美少女 / 勇者:ゴムみたいな肉と不機嫌な仲間』
『自業自得だろ』
『アレンを追放した結果がこれか』
視聴者たちは、その圧倒的な格差に嘲笑と同情の声を上げていた。
レオナルドたちの不調の原因は明白だった。
彼らの強さは、個々の才能もさることながら、アレンという『縁の下の力持ち』によって支えられていたのだ。
アレンの料理によるステータス底上げ、状態異常耐性の付与、疲労回復速度の向上。
そして何より、野営の設営から装備の手入れ、人間関係の調整まで、あらゆる雑務をアレンが一手に引き受けていたことで、彼らは戦闘のみに集中できていた。
その土台を失った今、彼らはただの『生活能力のない若者の集団』に成り下がっていた。
「おい、賢者! 魔法で風除けの結界くらい張れんのか!」
レオナルドが後方の飛竜に乗る賢者ガイルに怒鳴る。
「無理だよ。魔力ポーションが切れかかってるんだ。この高度で結界を維持し続けるなんて、魔力の無駄遣いだ」
ガイルは目の下に濃い隈を作り、死んだ魚のような目で答えた。
彼もまた、アレンの『魔力回復コーヒー』が飲めなくなり、慢性的な魔力不足に陥っていた。
「くそっ、どいつもこいつも役に立たねえ!」
レオナルドは舌打ちをした。
本来なら、今頃はアレンの農園を空から強襲し、圧倒的な武力で制圧しているはずだった。
だが、道中の些細なトラブル――魔物の襲撃による足止め、装備の故障、体調不良――によって予定は大幅に遅れ、彼らの疲労はピークに達していた。
「見て、レオ。あれじゃない?」
マリアが指差した先。
雲の切れ間から、赤茶けた大地の中に、信じられないほど鮮やかな緑色の領域が見えた。
不毛の荒野の真ん中に突如として現れた、エメラルドのような楽園。
「あそこか……!」
レオナルドは目を凝らした。
そこには、整然と並んだ畑、立派なログハウス、そして湯気を上げる温泉が見える。
さらに、テラスで談笑するアレンたちの姿も確認できた。
「な、なんだあの家は!? あんな立派な屋敷、俺の実家よりでかいぞ!」
「畑も……あんなに広いの? しかもキラキラ光ってるわ」
彼らの常識を遥かに超えた光景に、勇者一行は言葉を失った。
しかし、次の瞬間、レオナルドの心に湧き上がったのは、さらなる激しい嫉妬だった。
「ふざけるな……! 俺たちがこんなに苦労しているのに、あいつだけぬくぬくと!」
レオナルドは剣を抜いた。
聖剣『エクスカリバー(量産型)』。王家から賜った輝く剣だ。
「全機、突撃! あの農園を包囲しろ! アレンを捕らえ、あの土地を俺たちの拠点にするんだ!」
レオナルドの号令と共に、十数騎の飛竜部隊が降下を開始した。
だが、彼らは知らなかった。
アレンの農園が、すでに要塞並みの、いやそれ以上の防衛能力を有していることを。
◇
「ごちそうさまでしたー」
俺たちがピザを食べ終え、のんびりとお茶を飲んでいる時だった。
ポチ子の耳がピクリと動いた。
「……来た」
「ん? 何がだ?」
「空から。嫌な匂いのする連中が」
ポチ子が空を睨みつける。
つられて見上げると、北の空から黒い点のようなものがいくつも近づいてくるのが見えた。
『ピロリン♪ 警告。敵対的反応を確認。飛竜騎兵隊、12騎接近中』
タマのアナウンスが響く。
「飛竜……? なんでそんなのが」
俺が目を凝らすと、先頭の飛竜に乗っている金色の鎧の男が見えた。
見間違えるはずもない。
幼馴染であり、俺を追放した勇者、レオナルドだ。
「レオ……?」
なんであいつがここに。
まさか、俺を連れ戻しに来たのか?
いや、あの殺気立った表情を見る限り、友好的な訪問ではなさそうだ。
「アレン様、あれは……王国の騎士団の紋章ですわ」
シルフィが怯えたように俺の背中に隠れる。
彼女にとって、人間は国を滅ぼした魔王軍と同じくらい恐ろしい存在なのかもしれない。
「大丈夫だ、シルフィ。俺が守るから」
俺は彼女の頭をポンと撫で、立ち上がった。
手にはいつものクワを持つ。
「アレン! そこにいたか!」
上空から、レオナルドの声が拡声魔法で響き渡った。
「貴様、調子に乗るのもいい加減にしろ! その農園は、元々王家の領土だ! 不法占拠の罪で逮捕する! 大人しく投降して、その野菜と温泉を明け渡せ!」
「はぁ?」
俺は耳を疑った。
追放する時は「死の荒野」なんてゴミ扱いして押し付けたくせに、価値が出たと分かった途端に「返せ」だと?
あまりにも身勝手すぎる言い分に、怒りよりも呆れが先に立った。
「断る。ここは俺が開拓した、俺の農園だ。お前らに渡す野菜なんて一本もない」
俺が冷静に言い返すと、レオナルドは顔を真っ赤にして激昂した。
「減らず口を! 俺たちは勇者パーティだぞ! 国を救う英雄だぞ! 農民風情が逆らうな!」
彼は飛竜に指示を出し、急降下攻撃を仕掛けてこようとした。
だが。
「ギャウッ!?」
先頭の飛竜が、農園の上空数百メートル付近で、見えない壁にぶつかったように急停止した。
他の飛竜たちも次々と空中で硬直し、怯えたように翼を縮こまらせている。
「な、なんだ!? 進め! 突っ込め!」
レオナルドが手綱を引いても、飛竜たちは首を振って嫌がっている。
それどころか、彼らはアレンの畑から漂う濃厚な魔力と、そこに君臨する『上位存在』の気配を感じ取り、完全に戦意を喪失していたのだ。
「グルルルルッ……!」
地上では、ポチ子が元のフェンリルの姿(巨大化)に戻り、空に向かって咆哮を上げていた。
S級魔物の王たる覇気。
たかだかBランク程度の飛竜ごときが、逆らえるはずもなかった。
「ひぃっ!? フェ、フェンリル!?」
飛竜たちは恐怖でパニックになり、制御不能となって空中でぐるぐると回り始めた。
『あーあ』
『飛竜がビビりまくってる』
『そりゃポチがいるもんな』
『格が違いすぎる』
『勇者パーティ、空中で立ち往生w』
『カッコ悪……』
コメント欄は大盛り上がりだ。
しかし、レオナルドは諦めなかった。
「ええい、役立たずのトカゲどもめ! なら、俺が直接やってやる!」
レオナルドは飛竜の背から飛び降りた。
高度五十メートルからの落下だが、身体強化魔法を使えば着地は可能だ。
彼は空中で聖剣を振りかぶり、俺に向かって落下斬りを放ってきた。
「死ねぇぇぇっ! アレンッ!」
必殺の『グランド・スラッシュ』。
岩をも砕く一撃だ。
俺はため息をつき、足元の小石を拾った。
「危ないから、降りてくるな」
俺はデコピンの要領で、その小石を空中に弾いた。
「スキル発動――【投石(害鳥追い払い)】」
ヒュンッ!
小石は音速を超え、赤い光の筋となって空を裂いた。
カィィィンッ!
レオナルドの聖剣の刃に、小石が直撃した。
金属音が響き、次の瞬間、王家伝来の聖剣が真ん中からポッキリと折れた。
「なっ……!?」
衝撃でレオナルドの体勢が崩れる。
さらに小石の運動エネルギーは殺しきれず、彼の鎧の肩パッドを弾き飛ばし、そのまま遥か彼方の空へと消えていった。
「うわあああああっ!」
レオナルドはきりもみ回転しながら、畑の外れの堆肥置き場(イナゴ肥料の発酵中の場所)へと頭から突っ込んだ。
ズボォッ!
見事な着地だ。
足だけが外に出てピクピクしている。
「レオ!」
「きゃあああ! レオが肥溜めに!」
上空のマリアたちが悲鳴を上げる。
俺はクワを下ろし、肩をすくめた。
「悪いな。害鳥かと思って、つい」
静寂が訪れる。
空の飛竜部隊も、農園の二人も、そして世界中の視聴者も、一瞬何が起きたのか理解できなかった。
聖剣を、小石で?
勇者を、デコピンで?
やがて、コメント欄が爆発した。
『ファーwwwwww』
『聖剣折れたあああああ!』
『小石最強説』
『害鳥扱いで草』
『勇者、肥溜めにダイブw』
『これは歴史に残る名シーン』
『ざまぁにも程がある』
『アレン強すぎだろ』
肥溜めから這い出してきたレオナルドは、全身黄金色(イナゴ肥料)にまみれ、折れた剣を握りしめて呆然としていた。
「お、俺の……聖剣が……。嘘だ……こんなの……」
その姿からは、かつての威光は微塵も感じられなかった。
俺は彼に近づき、冷ややかに見下ろした。
「帰れ、レオ。ここは野菜を育てる場所だ。お前たちが荒らしていい場所じゃない」
俺の言葉に、ポチ(フェンリル形態)が「ガウッ!」と同意の吠え声を上げ、シルフィも冷たい目で彼らを見据えた。
さらに、農園の奥からは、何やら巨大な地響きが近づいてくる気配がする。
どうやら、騒ぎを聞きつけた『新しい住人』が目を覚ましたらしい。
レオナルドたちの受難は、まだ始まったばかりだった。
(第8話へ続く)
「こっちもすごいぞ。マンドラゴラたちが合唱コンクールを始めた」
『ほのぼの農園』の朝は、今日も今日とて規格外の収穫から始まっていた。
エルフの元王女、シルフィードが仲間になってから三日。彼女の『豊穣の歌』と俺の『超速成長』スキルの相乗効果は凄まじく、農園は爆発的な進化を遂げていた。
俺の目の前には、大人の太ももほどもある極太の黄金人参が山積みになっている。
鑑定してみると、『不老長寿の効果(中)』『魔力完全回復』『美肌効果』などの文字が並んでいる。もはや野菜売り場というより、伝説の秘宝展覧会場だ。
「よし、今日の収穫はこれくらいにして、朝飯にするか」
俺が提案すると、シルフィとポチ子(元フェンリル)が同時に「わーい!」と歓声を上げた。
すっかり仲良くなった二人(一人と一匹?)は、競うようにしてキッチンへ走っていく。
今日のメニューは、農園で採れた小麦を製粉して作った生地に、ルビートマトのソースと、自家製チーズ(ポチが狩ってきたバッファロー種の魔物から乳を搾った)をたっぷり乗せた『特製ピザ』だ。
石窯(これも土魔法で即席で作った)で焼き上げると、香ばしい小麦の香りと、焦げたチーズの匂いが辺り一面に漂った。
「はい、お待たせ。熱いから気をつけてな」
俺が切り分けたピザを皿に乗せると、二人は「いただきます!」と元気よくかぶりついた。
チーズがとろりと糸を引き、サクッとした生地の音が響く。
「ん~っ! 美味しいですぅ~!」
「主様、これ最高! ほっぺた落ちる!」
二人の笑顔を見ながら、俺も一切れ口に運ぶ。
濃厚なトマトの旨味と、ミルキーなチーズのコク。そこにバジル代わりの薬草が爽やかなアクセントを加えている。
うん、完璧だ。コーラが欲しくなる味だが、代わりに冷やした果実水で我慢しよう。
頭上に浮かぶタマが、今日も元気にその様子を配信している。
『朝からピザとか優雅すぎんだろ』
『あのチーズ、Sランク魔物「ギガント・バッファロー」の乳だぞ……』
『市場価格、ワンホールで金貨100枚はいきそう』
『それを女子二人がバクバク食ってるのがまた』
『平和だなぁ』
『一方その頃、勇者パーティは……』
『あっちの様子も気になるわ』
コメント欄に不穏な空気が混じり始めたが、俺は気にも留めずに二枚目のピザを焼き始めた。
◇
一方、その頃。
アレンの農園から南へ数百キロ離れた空の上。
「くそっ、揺れるな! もっと安定して飛べ!」
勇者レオナルドは、飛竜(ワイバーン)の背にしがみつきながら悪態をついていた。
王国の近衛騎士団から借り受けた『飛竜部隊』。その精鋭であるはずの飛竜たちが、今日はなぜか酷く機嫌が悪かった。
「ギャオオオオン!」
飛竜は苛立ったように咆哮し、乱気流の中で激しく翼を羽ばたかせた。
そのたびにレオナルドの胃袋はひっくり返りそうになり、顔色は青を通り越して土色になっていた。
「うぷっ……。気持ち悪い……」
レオナルドは口元を押さえた。
乗り物酔いだ。
以前のアレンがいた頃なら、乗る前に『酔い止めのハーブティー』を用意してくれていただろう。
あるいは、背中をさすって『平衡感覚強化』のツボを押してくれたかもしれない。
だが、今のパーティにそんな気遣いのできる人間はいない。
「もう文句言わないでよ、レオ。私だって髪がボサボサだし、肌も乾燥して最悪なのよ」
隣の飛竜に乗っている聖女マリアも、不機嫌そのものだった。
上空の寒風に晒され、自慢の金髪は鳥の巣のように絡まり、肌はカサカサに荒れている。
彼女もまた、アレンの『美容野菜』と『特製保湿クリーム(農作業用のハンドクリーム)』の恩恵を失い、急速にコンディションを悪化させていた。
「お腹空いた……。ねえ、何か食べるものないの?」
武闘家のリンが力なく呟く。
彼女の筋肉質な体も、栄養不足と疲労でどこか萎んでいるように見える。
「携行食があるだろう。それを食え」
レオナルドが投げやりに答えると、リンは嫌そうな顔で腰のポーチから干し肉を取り出した。
カチカチに乾燥した、ただ塩辛いだけの肉の塊だ。
「……硬い。ゴムみたい。アレンの干し肉はもっとジューシーで、スパイスが効いてたのに」
「いちいちあいつの名前を出すな!」
レオナルドが叫んだ拍子に、飛竜が大きく傾いた。
「うわああっ!?」
あやうく振り落とされそうになり、レオナルドは必死に手綱にしがみついた。
その惨めな姿を、世界のどこかの誰かが遠見の魔法で覗き見ているとも知らずに。
◇
実は、タマの配信機能には『ザッピング』という裏モードが存在した。
アレンに関連する人物や出来事を、ワイプ画面(小窓)で同時に映し出す機能だ。
視聴者たちの要望(と投げ銭される魔力)に応じ、タマはアレンの平和な朝食風景の横に、勇者パーティの悲惨な移動風景を映し出していたのである。
『うわぁ……勇者パーティ、ボロボロじゃん』
『顔色悪っw』
『飛竜の扱いも下手だな。アレンなら一瞬で手懐けるのに』
『比較映像が残酷すぎる』
『アレン:焼きたてピザと美少女 / 勇者:ゴムみたいな肉と不機嫌な仲間』
『自業自得だろ』
『アレンを追放した結果がこれか』
視聴者たちは、その圧倒的な格差に嘲笑と同情の声を上げていた。
レオナルドたちの不調の原因は明白だった。
彼らの強さは、個々の才能もさることながら、アレンという『縁の下の力持ち』によって支えられていたのだ。
アレンの料理によるステータス底上げ、状態異常耐性の付与、疲労回復速度の向上。
そして何より、野営の設営から装備の手入れ、人間関係の調整まで、あらゆる雑務をアレンが一手に引き受けていたことで、彼らは戦闘のみに集中できていた。
その土台を失った今、彼らはただの『生活能力のない若者の集団』に成り下がっていた。
「おい、賢者! 魔法で風除けの結界くらい張れんのか!」
レオナルドが後方の飛竜に乗る賢者ガイルに怒鳴る。
「無理だよ。魔力ポーションが切れかかってるんだ。この高度で結界を維持し続けるなんて、魔力の無駄遣いだ」
ガイルは目の下に濃い隈を作り、死んだ魚のような目で答えた。
彼もまた、アレンの『魔力回復コーヒー』が飲めなくなり、慢性的な魔力不足に陥っていた。
「くそっ、どいつもこいつも役に立たねえ!」
レオナルドは舌打ちをした。
本来なら、今頃はアレンの農園を空から強襲し、圧倒的な武力で制圧しているはずだった。
だが、道中の些細なトラブル――魔物の襲撃による足止め、装備の故障、体調不良――によって予定は大幅に遅れ、彼らの疲労はピークに達していた。
「見て、レオ。あれじゃない?」
マリアが指差した先。
雲の切れ間から、赤茶けた大地の中に、信じられないほど鮮やかな緑色の領域が見えた。
不毛の荒野の真ん中に突如として現れた、エメラルドのような楽園。
「あそこか……!」
レオナルドは目を凝らした。
そこには、整然と並んだ畑、立派なログハウス、そして湯気を上げる温泉が見える。
さらに、テラスで談笑するアレンたちの姿も確認できた。
「な、なんだあの家は!? あんな立派な屋敷、俺の実家よりでかいぞ!」
「畑も……あんなに広いの? しかもキラキラ光ってるわ」
彼らの常識を遥かに超えた光景に、勇者一行は言葉を失った。
しかし、次の瞬間、レオナルドの心に湧き上がったのは、さらなる激しい嫉妬だった。
「ふざけるな……! 俺たちがこんなに苦労しているのに、あいつだけぬくぬくと!」
レオナルドは剣を抜いた。
聖剣『エクスカリバー(量産型)』。王家から賜った輝く剣だ。
「全機、突撃! あの農園を包囲しろ! アレンを捕らえ、あの土地を俺たちの拠点にするんだ!」
レオナルドの号令と共に、十数騎の飛竜部隊が降下を開始した。
だが、彼らは知らなかった。
アレンの農園が、すでに要塞並みの、いやそれ以上の防衛能力を有していることを。
◇
「ごちそうさまでしたー」
俺たちがピザを食べ終え、のんびりとお茶を飲んでいる時だった。
ポチ子の耳がピクリと動いた。
「……来た」
「ん? 何がだ?」
「空から。嫌な匂いのする連中が」
ポチ子が空を睨みつける。
つられて見上げると、北の空から黒い点のようなものがいくつも近づいてくるのが見えた。
『ピロリン♪ 警告。敵対的反応を確認。飛竜騎兵隊、12騎接近中』
タマのアナウンスが響く。
「飛竜……? なんでそんなのが」
俺が目を凝らすと、先頭の飛竜に乗っている金色の鎧の男が見えた。
見間違えるはずもない。
幼馴染であり、俺を追放した勇者、レオナルドだ。
「レオ……?」
なんであいつがここに。
まさか、俺を連れ戻しに来たのか?
いや、あの殺気立った表情を見る限り、友好的な訪問ではなさそうだ。
「アレン様、あれは……王国の騎士団の紋章ですわ」
シルフィが怯えたように俺の背中に隠れる。
彼女にとって、人間は国を滅ぼした魔王軍と同じくらい恐ろしい存在なのかもしれない。
「大丈夫だ、シルフィ。俺が守るから」
俺は彼女の頭をポンと撫で、立ち上がった。
手にはいつものクワを持つ。
「アレン! そこにいたか!」
上空から、レオナルドの声が拡声魔法で響き渡った。
「貴様、調子に乗るのもいい加減にしろ! その農園は、元々王家の領土だ! 不法占拠の罪で逮捕する! 大人しく投降して、その野菜と温泉を明け渡せ!」
「はぁ?」
俺は耳を疑った。
追放する時は「死の荒野」なんてゴミ扱いして押し付けたくせに、価値が出たと分かった途端に「返せ」だと?
あまりにも身勝手すぎる言い分に、怒りよりも呆れが先に立った。
「断る。ここは俺が開拓した、俺の農園だ。お前らに渡す野菜なんて一本もない」
俺が冷静に言い返すと、レオナルドは顔を真っ赤にして激昂した。
「減らず口を! 俺たちは勇者パーティだぞ! 国を救う英雄だぞ! 農民風情が逆らうな!」
彼は飛竜に指示を出し、急降下攻撃を仕掛けてこようとした。
だが。
「ギャウッ!?」
先頭の飛竜が、農園の上空数百メートル付近で、見えない壁にぶつかったように急停止した。
他の飛竜たちも次々と空中で硬直し、怯えたように翼を縮こまらせている。
「な、なんだ!? 進め! 突っ込め!」
レオナルドが手綱を引いても、飛竜たちは首を振って嫌がっている。
それどころか、彼らはアレンの畑から漂う濃厚な魔力と、そこに君臨する『上位存在』の気配を感じ取り、完全に戦意を喪失していたのだ。
「グルルルルッ……!」
地上では、ポチ子が元のフェンリルの姿(巨大化)に戻り、空に向かって咆哮を上げていた。
S級魔物の王たる覇気。
たかだかBランク程度の飛竜ごときが、逆らえるはずもなかった。
「ひぃっ!? フェ、フェンリル!?」
飛竜たちは恐怖でパニックになり、制御不能となって空中でぐるぐると回り始めた。
『あーあ』
『飛竜がビビりまくってる』
『そりゃポチがいるもんな』
『格が違いすぎる』
『勇者パーティ、空中で立ち往生w』
『カッコ悪……』
コメント欄は大盛り上がりだ。
しかし、レオナルドは諦めなかった。
「ええい、役立たずのトカゲどもめ! なら、俺が直接やってやる!」
レオナルドは飛竜の背から飛び降りた。
高度五十メートルからの落下だが、身体強化魔法を使えば着地は可能だ。
彼は空中で聖剣を振りかぶり、俺に向かって落下斬りを放ってきた。
「死ねぇぇぇっ! アレンッ!」
必殺の『グランド・スラッシュ』。
岩をも砕く一撃だ。
俺はため息をつき、足元の小石を拾った。
「危ないから、降りてくるな」
俺はデコピンの要領で、その小石を空中に弾いた。
「スキル発動――【投石(害鳥追い払い)】」
ヒュンッ!
小石は音速を超え、赤い光の筋となって空を裂いた。
カィィィンッ!
レオナルドの聖剣の刃に、小石が直撃した。
金属音が響き、次の瞬間、王家伝来の聖剣が真ん中からポッキリと折れた。
「なっ……!?」
衝撃でレオナルドの体勢が崩れる。
さらに小石の運動エネルギーは殺しきれず、彼の鎧の肩パッドを弾き飛ばし、そのまま遥か彼方の空へと消えていった。
「うわあああああっ!」
レオナルドはきりもみ回転しながら、畑の外れの堆肥置き場(イナゴ肥料の発酵中の場所)へと頭から突っ込んだ。
ズボォッ!
見事な着地だ。
足だけが外に出てピクピクしている。
「レオ!」
「きゃあああ! レオが肥溜めに!」
上空のマリアたちが悲鳴を上げる。
俺はクワを下ろし、肩をすくめた。
「悪いな。害鳥かと思って、つい」
静寂が訪れる。
空の飛竜部隊も、農園の二人も、そして世界中の視聴者も、一瞬何が起きたのか理解できなかった。
聖剣を、小石で?
勇者を、デコピンで?
やがて、コメント欄が爆発した。
『ファーwwwwww』
『聖剣折れたあああああ!』
『小石最強説』
『害鳥扱いで草』
『勇者、肥溜めにダイブw』
『これは歴史に残る名シーン』
『ざまぁにも程がある』
『アレン強すぎだろ』
肥溜めから這い出してきたレオナルドは、全身黄金色(イナゴ肥料)にまみれ、折れた剣を握りしめて呆然としていた。
「お、俺の……聖剣が……。嘘だ……こんなの……」
その姿からは、かつての威光は微塵も感じられなかった。
俺は彼に近づき、冷ややかに見下ろした。
「帰れ、レオ。ここは野菜を育てる場所だ。お前たちが荒らしていい場所じゃない」
俺の言葉に、ポチ(フェンリル形態)が「ガウッ!」と同意の吠え声を上げ、シルフィも冷たい目で彼らを見据えた。
さらに、農園の奥からは、何やら巨大な地響きが近づいてくる気配がする。
どうやら、騒ぎを聞きつけた『新しい住人』が目を覚ましたらしい。
レオナルドたちの受難は、まだ始まったばかりだった。
(第8話へ続く)
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彼のスキルはただ日光を浴びるだけのものではなく、太陽のエネルギーを魔力に変え、植物を操り、天候すら支配する太陽神の権能『トロピカル・ロード』だったのだ!
「え、このヤシの実、食べるとステータスが倍になる?」
「俺が作ったハンモックで寝るだけで、HPが全回復?」
カイは瞬く間に安全地帯を作り上げ、極上のリゾートライフを開始する。
助けた人魚の姫、森に住む褐色のハイエルフ、漂着した女騎士……。
集まってきた美少女たちと、南国フルーツや海鮮BBQに舌鼓を打ち、夜はハーレムで大忙し。
一方、カイを追い出した故国では、彼が密かに行っていた気温調整や物資管理が途絶え、未曾有の大寒波と飢饉に襲われていた。
勇者パーティもカイの支援なしではダンジョン攻略ができず、没落の一途をたどる。
「頼む、戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、カイは冷たいトロピカルジュースを飲みながらこう答えるのだ。
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※小説家になろうにも掲載しています。
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