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婚約破棄され国外追放、暗殺未遂!でも幼馴染王子が溺愛してくれます
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髪の毛が逆立つような感じがしたと思うと、ものすごい音が鳴り響いた。
ガゼボ脇の木に雷が直撃する。雷の衝撃はすごくて、カメリアは気を失った……。
――眩しい。カメリアは目をうっすらと開けた。
すると、目の前に眉を下げた両親の顔が見える。
「カメリア!気付いたか?」
カメリアは目を覚ますと、いつもと同じ金糸の刺繍が施された天蓋付きのベッドに横たわっていた。
「……私、どうしたのだったかしら……」
ボンヤリ言うと、両親が眉の間にシワを寄せる。
「お前のそばに雷が落ちたのだよ。思い出せないか?」
「雷?なぜ私はそこにいたのでしょう?」
「なぜって、殿下とお茶をしていたんだ。……といっても殿下はどこかへと行っていなかったようだが」
思い出そうとしてみると、猛烈に頭が痛んだ。こめかみを押さえる。
「ううっ……」
「大丈夫か!?」
両親の焦る声が遠のいていき……頭の中にある記憶が大量に流れ込んできた。
仕事バリバリとこなすカッコイイ自分がいる。自分は男性と対等に話し、やりがいを感じる毎日を過ごしている――
(これは……前世?しかも違う世界みたい……)
頭の痛みが治まり目を開けると、雷が落ちた瞬間もハッキリと思い出した。
「まだ、本調子ではないな、医者を……」
「大丈夫です。それより、聞きたいことがありますわ。私はどのくらい眠っていたのでしょうか?」
「三日間だが。このまま目覚めなければ殿下の婚約者の座も危うくなっていたから安心したところだ」
「安心、ですか」
(そうだ、私はあのどうしようもない王子の婚約者だったわ)
前世の記憶を得た今、感じることがあった。
(両親は私が王子と結婚することを望んでいるようだけど、前世を思い出した私はそんなことを望まない)
婚約者のブレント王子は、なんでもそつなくこなす。だが……とても女癖が悪い。カメリアの友人たちもすでに手を出されている始末で許しがたかった。いくら政略結婚といっても我慢ならない男だ。
カメリアは簡単には身を許さなかったから、王子はわざとカメリアの友人たちに手を出したのだろう。性格がとにかく悪いのだ。
(前世の私は、セクハラ&モラハラ上司にひるまず戦っていたわ。いくら王子が相手だからって寛容でいるべきじゃないわよね)
さっそく行動に出た。
診察にきた医者に
“落雷にあってから精神不安定なの。婚約者を辞退するべきだわ”
と告げた。すると医者は両親のところにすっ飛んで行く。
すぐに、両親がやってきて大声を出した。
「婚約者辞退なんてあり得ん!ここまで順調にきたのに!」
「順調でいたのは、私がものすごく我慢していたからですわ。でも、これ以上我慢していたらおかしくなりそう。それに、落雷で思い出したんです。私、本来はハッキ言う性格でしたでしょう?あんな女癖の悪くて性格の悪い男と結婚だなんてイヤですの」
すると父の公爵が顔を真っ赤にさせて吠えた。
「ふざけるな!お前にいくらかけて育てたと思っている!?女がいるくらいなんだ?お前は王妃になれるのだぞ?権力を握れる。そこらの女とは違うんだ!子どもには王位を継がせることができるのだぞ!?」
「それは私が男児を産んだら、ですわよね。私が女児を産んだら?男児が産まれるまで産めというのですか?」
「当たり前だ!!」
「はあ、人権侵害もいいとこ」
ボソリと言うと、激高した公爵が手を上げた。
「あなた!傷がついてしまうじゃないの!」
母も母だと思った。この人たちは自分の利害しか考えていない。
――カメリアは謹慎を命じられた。
仕方なく数時間は大人しくしていたものの、飽きてくる。本も読み終えると立ち上がった。
(なぜ、私が謹慎しなくてはならないの?おかしいのはまわりよ)
クローゼットの中から一番シンプルなワンピースに着替え、ぺったんこな靴を履くと、テラスの扉を開けた。
周りを見ると、うまい具合にツタが二階までいくつも伸びている。
(私の体重くらいなら耐えられそうね)
おもむろにツタに手を伸ばすとしっかりと握る。
「うん、大丈夫そう。いくわよ」
するすると地面まで降りた。前世では運動神経がよかったから、なんとなくこなせた。
「さて、ロードを誘いに行くわ」
ロードは庭師の息子だ。カメリアの幼馴染で同い年の17歳。幼い頃はいつも一緒にいておしゃべりを楽しんでいた。でも、王子の婚約者になってから彼とは疎遠になっている。ずっと彼が気になっていた。
庭の片隅にある小屋までやって来ると、扉を叩く。
「はい。……え、お嬢様?どうしたのですか?こんなところまで突然」
ドアを開けたロードが困惑気味に言った。
「もう、久々の会話がそれ?会えて嬉しい、とか言えないの?」
ため息を漏らしながら言うと、彼の動作がぎこちなくなった。
(慌てるとこは昔のままね)
「私がここに来たのはあなたを誘いにきたからよ」
「なにに誘うつもりなのですか?」
「街に行くの。私と一緒に二人で」
「どういうことですか?なんの目的があるのでしょう?それに二人だけでとは一体……」
(相変わらず真面目ね)
カメリアに起きたこともなにも知らない様子なので、事情を説明した。
「なぜ、私が謹慎しなくちゃいけないの?私が犠牲になって両親が得をするだけでいいと?」
「オレに言われても……どうにかすることはできません。情けないですが」
「情けないと思うなら、私と街に行くことぐらいはできるでしょう?あなたにできることだわ」
「そうかもしれませんが……。ちょうど街に種を買い付けにいく用事があります」
「ちょうどいいじゃないの。これも運命よ。じゃあさっそく行きましょう」
「……仕方ありませんね。腹を括りましょう。父にバレるだけでも大目玉ですが……隠れて行きますよ」
カメリアが瞳が輝かせると、ロードも口元に柔らかな笑みを浮かべた。
ロードが用意した荷馬車に身を潜ませ街までいく。
種を買い付ける様子を興味深く眺めた後は、街でスイーツを買って食べ歩きなどした。
川べりのベンチに移動すると、ロードとはこれまで話せなかった時間を埋めるようにいろいろなことを話した。
「……よかった」
「なにがいいの?」
「お嬢様が殿下の婚約者になってから、どんどん元気がなくなっていくように見えていたんです。だから、元気でよかったと」
「元気なのはロードといるからよ。あのままだったら私が壊れるところだったの。ありがとうロード、付き合ってくれて」
そっとロードの手に手を重ねた。
「お、お嬢様!」
「どうして慌てるの?昔は手をつないで歩いたじゃないの」
「それは昔だからで、今は……ダメでしょう」
「どうして?今はあなと二人きりで浮気性で最悪な性格の男もいないわ」
「どうして、そういうことを言うんですか……」
抵抗しなくなったロードの手からは彼の体温が感じられる。
「……お嬢様は覚えていますか?子どもの頃の約束を」
「……覚えてるわ。私も同じことを考えていたわ」
小さな頃、カメリアとロードは結婚しようと可愛らしい約束をした。なにも知らない頃の無垢な約束――
隣に座るロードの横顔を見つめる。彫刻のように整っていて美しい、と思った。
「お嬢様……そろそろ戻りましょう」
「そうね、名残惜しいけど」
屋敷に戻ると、ツタを登って部屋へと戻った。下にいるロードはハラハラした様子で見守っていたが、カメリアが無事にテラスに降り立つと安堵のため息を漏らす。
ロードに手を振ると、彼もバルコニー下から手を振り返してくれる。
(ロマンチックな劇みたい)
ロードは微笑むと、背を向け小屋へと戻っていく。
切ない、そう思った。
――夕食に呼ばれた。家族での食事である。
「少しは反省したか?」
公爵が厳めしい表情をして聞いた。
「そうですわね」
「なら、明日は殿下のもとに顔を出せ。何日も顔を合わせていないからな」
「わかりましたわ」
カメリアはある決意をしていた。
(思い通りになるもんですか。見ていなさい)
翌日、城勤めの兄と一緒に馬車に乗りこんだ。
兄は一回り以上離れていて普段からあまり話さない。なのに、珍しく話しかけられた。
「なぜ、急に婚約者は嫌だと言い出した?」
「言わないだけで、前からずっと嫌だと思っていたわ」
「殿下をよく思っていないのはわかっていた。でも、今さらだろう」
「じゃあ、こう言えばいい?雷の衝撃のせいだって。人はいつ死ぬかわからないの。だから、我慢することをやめたって」
「……」
兄が黙り込んだので目を閉じた。
(王宮に着いたらやるべきことがあるわ)
――王宮に着くと、どこかの令嬢を口説く王子の姿が目に入った。
(今日も女漁り……下品ね)
彼はお茶会の日も抜け出して、どこかの令嬢に会いに行っていたらしい。全くバカにしている。
眉を寄せると、肩に兄の手が置かれた。
「カメリア、落ち着け」
「わかっているわ。あんなの、日常茶飯事だわ」
カメリアに気づいた王子が令嬢を引き連れやってきた。
「元気だな。落雷も大したことない」
「……殿下、妹は元気に見えても精神的に不安な時です。温かく見守って下さると光栄です」
(珍しい。王子に私を気遣う発言をするなんて)
「オレは状態を見て、言ったんだ。元気だから自分の足で歩いているのではないか。違うのか?」
途端に機嫌が悪くなり、兄に食いかかる。
「お兄様……いいのよ。殿下、私、死ぬような思いをしましたわ。でも、殿下は少しも気にしなかったのですね。大した方ですわ」
「おい、カメリア」
兄が止めに入るが、構わずカメリアは続けた。
「そちらの令嬢のお名前は?いつも違う令嬢を連れてらっしゃるから名前を覚えきれませんの」
「……お前がそんなことを把握する必要はないだろう」
「そうでしょうか?私は殿下の正妃になる立場ですもの。正当ではない血を引く子ができるかもしれないではないですか。大変ですのよ、星の数ほどの令嬢の名を把握するのは」
「……ふざけているのか?誰に向かって言っている?」
声が低く、怒りに満ちているのがわかる。この男、すぐにキレるのだ。
わざと目を細めて首を軽く振ってみせた。
バシン――!
反射する間もなく頬を打たれた。
頬に焼けつくような痛みが広がる。
「カメリア!」
兄が叫んだ。
カメリアは頬を抑えながら王子を見上げる。
「気に食わないからといって、すぐに叩くのはどうなのでしょうか」
「婚約破棄だ。お前のような生意気な女……虫唾が走る」
「承知いたしましたわ」
にこやかに笑うと王子が拳を握る。また、殴ろうとしているのかと身構えると、舌打ちされた。
「おい……お前のようなやつを危険分子と呼ぶんだ。お前をただちに国外へ追放してやる。屋敷に戻るのも許さん。野放しにするのは危険だからな」
婚約破棄を狙ってはいた。だから、わざと怒らせた。
――だが、国外追放?
事態を把握できないまま、兵士に取り押さえられた。兄がなにか騒いでいたが、途中から諦めたように黙っている。
(お兄様は、私を見捨てた)
歯をくいしばる。元から期待するべきじゃなかったのだ、と諦めた。
……馬車の乗せられると、すぐに動きだした。
街を抜けてしばらく走ると、周りが暗い。うっそうとする森の中を進んでいた。
突然、馬車が停まり扉が開いた。
「降りろ」
無表情な男が淡々と言う。
「ここはまだ国境ではないでしょう。なぜここで降りなければならないの?」
「これだ」
男は剣を束から抜き、首元に突き付けた。
「私を……殺すの?」
「そうだ。殿下直々の命令だ。抵抗しなきゃ一思いに殺してやる」
(あの王子……本当に最低ね。悪役王子そのものじゃないの)
首を垂れると髪の毛を横にやり、自ら首をさらした。
「諦めがいい」
「どうしようもないだけよ」
「一思いに殺してやる」
男が剣を振り上げた。
――男が絶叫して倒れ込んだ。
目を開けると、男の胸には矢が刺さっている。
「これは一体……」
「お嬢様!」
ロードの父・コードが弓を掴み叫び声を上げながら走ってくる。ロードもいた。
「私を助けてくれたの?」
「そうです。オレール様に言われて来ました」
「お兄様に?……どういうこと?」
すると、ロードが間に入って言った。
「説明は後だ。今は急いでここを立ち去ろう。暗殺に失敗したことを王子が知れば危ない」
そのまま彼らの馬に乗せられ、隣国へと逃れた。
――国境から少し離れた隠れ家のような屋敷に落ち着いた。
「ここまで来れば安心でしょう」
コードが弓矢を壁に掛けながら言う。
「ねえ、きちんと説明して!なにがなんだかわからないわ」
「もちろんです。全てをお話します」
コードは話し出した。
「まず、オレ―ル様についてですが、諜報員を務められており、お嬢様の救出指示をされました」
「お兄様が諜報員ですって……!?そんなの知らないわ……」
「隠された役目ですから。ご両親でさえ知りません」
「両親も?なぜ、あなたたちは知っているの?」
「それは……」
コードは金色の紋章を取り出してテーブルに置いた。
「これはバティスト国の王族の証。ロードこと、シオン様の身分を証明するものです。私は父と偽り、警護しておりました。オレール様は私たちを匿ってくれていたのです」
「ロードは王族だというの?」
「ロードではなく、シオン様です。バティスト国の第七王子であらせられます」
「王子様がどうしてうちに……」
「シオン様が生まれた頃は、激しい後継者争いの真っ只中でした。そのため、シオン様のお母上が、隣国にシオン様を隠すことにしたのです。ベドナーシュの王には我が国に借りがありましたから、うまくいきました」
極秘の密約だったのだろう。全く聞いたことがない話だった。
「ロード……いえシオン様はどうして黙っているの?」
先ほどから拳を握りしめ、黙り続けている彼を見つめる。彼は視線をまっすぐ前に向けた。
「考えていたんだ。昔のように気兼ねなく話してもいいのだろうかと」
「あなたは本当に真面目ね。コードの話の通りなら、あなたは私よりも雲の上の存在よ。ためらう理由なんてないでしょう?」
微笑みかけると、シオンの表情が緩んだ。
「ずっと……生まれが違ってカメリアと同じ立場だったら、と考えていたんだ。だから、夢みたいで……」
「シオン様、いつまでも夢心地でいてはなりませんぞ。もう国に戻ってきたのです。これからのことも考えませんと。カメリア様とのことも」
急に現実を突きつけられて、シオンは口を尖らせた。
「待って……父さんはあまりにも平気すぎる。オレはなにも知らず平民だと思って育ったんだから」
「そうですな。私も我が息子としてお育て申しました」
コードが涙を浮かべる。シオンもカメリアも目に涙を浮かべた。
――しばらく、両国ともに慌ただしい動きがあった。
ブレント王子は兄によって悪事を明らかにされ、廃位された。悪事が一気に露呈し、決断に迫られた結果だった。第二王子であるホウルが新たに王太子に任命されていた。
そして今、春の風がバティスト王国の庭園を柔らかく撫でていく。
カメリアは、シオンと並んでベンチに座って満開のカメリアの花を眺めていた。
「この花、君の名前と同じだね。咲き方まで君に似てる。強くて、でも繊細で」
「……ふふ、褒めすぎよ。でも、ありがとう」
シオンがそっとカメリアの手を握った。
「こうしてなにも気にすることなく、君の手を握ることができる」
「そうね。でも……なにか忘れていない?」
「うん。わかっているよ。落ち着いたら言おうと思っていたんだ」
シオンは立ち上がると、緊張した面持ちで片膝をついた。
「子どもの頃の約束、叶えたいと思わないか?」
風が吹き抜けていく……
「ねえ、まさか今のがプロポーズじゃないわよね?」
「そ、そのつもりだけど」
「真面目というか、あなたらしいというか、もう。やり直しよ。私は甘くて切ないのがいいの」
「えっ、甘くて切ない……!?う~ん」
眉間にしわを寄せ、腕を組んだシオンは沈黙している。
「今日、無理そうならまた今度で……」
カメリアが椅子から腰を上げると、シオンが叫んだ。
「待って!!そのままで!」
やがて、シオンは深く息を吸い込むと口を開いた。
「カメリア……君を一生守りたい。子どもの頃の約束を、今ここで本物にしたい。君が笑うだけで、世界が輝いて見えるから。だから、人生を君と歩みたいんだ」
カメリアは頬を染め、そっと微笑んだ。
「……ふふ、合格よ。君が笑うだけで世界が輝く、なんて初めて言われたわ」
「か、からかわないでくれ。一生懸命考えたんだ」
「笑ってない。嬉しくて微笑んだだけよ」
二人の指が絡み合い、春風が花びらを揺らす。
――新しい二人の人生の物語が、静かに始まろうとしていた。
ガゼボ脇の木に雷が直撃する。雷の衝撃はすごくて、カメリアは気を失った……。
――眩しい。カメリアは目をうっすらと開けた。
すると、目の前に眉を下げた両親の顔が見える。
「カメリア!気付いたか?」
カメリアは目を覚ますと、いつもと同じ金糸の刺繍が施された天蓋付きのベッドに横たわっていた。
「……私、どうしたのだったかしら……」
ボンヤリ言うと、両親が眉の間にシワを寄せる。
「お前のそばに雷が落ちたのだよ。思い出せないか?」
「雷?なぜ私はそこにいたのでしょう?」
「なぜって、殿下とお茶をしていたんだ。……といっても殿下はどこかへと行っていなかったようだが」
思い出そうとしてみると、猛烈に頭が痛んだ。こめかみを押さえる。
「ううっ……」
「大丈夫か!?」
両親の焦る声が遠のいていき……頭の中にある記憶が大量に流れ込んできた。
仕事バリバリとこなすカッコイイ自分がいる。自分は男性と対等に話し、やりがいを感じる毎日を過ごしている――
(これは……前世?しかも違う世界みたい……)
頭の痛みが治まり目を開けると、雷が落ちた瞬間もハッキリと思い出した。
「まだ、本調子ではないな、医者を……」
「大丈夫です。それより、聞きたいことがありますわ。私はどのくらい眠っていたのでしょうか?」
「三日間だが。このまま目覚めなければ殿下の婚約者の座も危うくなっていたから安心したところだ」
「安心、ですか」
(そうだ、私はあのどうしようもない王子の婚約者だったわ)
前世の記憶を得た今、感じることがあった。
(両親は私が王子と結婚することを望んでいるようだけど、前世を思い出した私はそんなことを望まない)
婚約者のブレント王子は、なんでもそつなくこなす。だが……とても女癖が悪い。カメリアの友人たちもすでに手を出されている始末で許しがたかった。いくら政略結婚といっても我慢ならない男だ。
カメリアは簡単には身を許さなかったから、王子はわざとカメリアの友人たちに手を出したのだろう。性格がとにかく悪いのだ。
(前世の私は、セクハラ&モラハラ上司にひるまず戦っていたわ。いくら王子が相手だからって寛容でいるべきじゃないわよね)
さっそく行動に出た。
診察にきた医者に
“落雷にあってから精神不安定なの。婚約者を辞退するべきだわ”
と告げた。すると医者は両親のところにすっ飛んで行く。
すぐに、両親がやってきて大声を出した。
「婚約者辞退なんてあり得ん!ここまで順調にきたのに!」
「順調でいたのは、私がものすごく我慢していたからですわ。でも、これ以上我慢していたらおかしくなりそう。それに、落雷で思い出したんです。私、本来はハッキ言う性格でしたでしょう?あんな女癖の悪くて性格の悪い男と結婚だなんてイヤですの」
すると父の公爵が顔を真っ赤にさせて吠えた。
「ふざけるな!お前にいくらかけて育てたと思っている!?女がいるくらいなんだ?お前は王妃になれるのだぞ?権力を握れる。そこらの女とは違うんだ!子どもには王位を継がせることができるのだぞ!?」
「それは私が男児を産んだら、ですわよね。私が女児を産んだら?男児が産まれるまで産めというのですか?」
「当たり前だ!!」
「はあ、人権侵害もいいとこ」
ボソリと言うと、激高した公爵が手を上げた。
「あなた!傷がついてしまうじゃないの!」
母も母だと思った。この人たちは自分の利害しか考えていない。
――カメリアは謹慎を命じられた。
仕方なく数時間は大人しくしていたものの、飽きてくる。本も読み終えると立ち上がった。
(なぜ、私が謹慎しなくてはならないの?おかしいのはまわりよ)
クローゼットの中から一番シンプルなワンピースに着替え、ぺったんこな靴を履くと、テラスの扉を開けた。
周りを見ると、うまい具合にツタが二階までいくつも伸びている。
(私の体重くらいなら耐えられそうね)
おもむろにツタに手を伸ばすとしっかりと握る。
「うん、大丈夫そう。いくわよ」
するすると地面まで降りた。前世では運動神経がよかったから、なんとなくこなせた。
「さて、ロードを誘いに行くわ」
ロードは庭師の息子だ。カメリアの幼馴染で同い年の17歳。幼い頃はいつも一緒にいておしゃべりを楽しんでいた。でも、王子の婚約者になってから彼とは疎遠になっている。ずっと彼が気になっていた。
庭の片隅にある小屋までやって来ると、扉を叩く。
「はい。……え、お嬢様?どうしたのですか?こんなところまで突然」
ドアを開けたロードが困惑気味に言った。
「もう、久々の会話がそれ?会えて嬉しい、とか言えないの?」
ため息を漏らしながら言うと、彼の動作がぎこちなくなった。
(慌てるとこは昔のままね)
「私がここに来たのはあなたを誘いにきたからよ」
「なにに誘うつもりなのですか?」
「街に行くの。私と一緒に二人で」
「どういうことですか?なんの目的があるのでしょう?それに二人だけでとは一体……」
(相変わらず真面目ね)
カメリアに起きたこともなにも知らない様子なので、事情を説明した。
「なぜ、私が謹慎しなくちゃいけないの?私が犠牲になって両親が得をするだけでいいと?」
「オレに言われても……どうにかすることはできません。情けないですが」
「情けないと思うなら、私と街に行くことぐらいはできるでしょう?あなたにできることだわ」
「そうかもしれませんが……。ちょうど街に種を買い付けにいく用事があります」
「ちょうどいいじゃないの。これも運命よ。じゃあさっそく行きましょう」
「……仕方ありませんね。腹を括りましょう。父にバレるだけでも大目玉ですが……隠れて行きますよ」
カメリアが瞳が輝かせると、ロードも口元に柔らかな笑みを浮かべた。
ロードが用意した荷馬車に身を潜ませ街までいく。
種を買い付ける様子を興味深く眺めた後は、街でスイーツを買って食べ歩きなどした。
川べりのベンチに移動すると、ロードとはこれまで話せなかった時間を埋めるようにいろいろなことを話した。
「……よかった」
「なにがいいの?」
「お嬢様が殿下の婚約者になってから、どんどん元気がなくなっていくように見えていたんです。だから、元気でよかったと」
「元気なのはロードといるからよ。あのままだったら私が壊れるところだったの。ありがとうロード、付き合ってくれて」
そっとロードの手に手を重ねた。
「お、お嬢様!」
「どうして慌てるの?昔は手をつないで歩いたじゃないの」
「それは昔だからで、今は……ダメでしょう」
「どうして?今はあなと二人きりで浮気性で最悪な性格の男もいないわ」
「どうして、そういうことを言うんですか……」
抵抗しなくなったロードの手からは彼の体温が感じられる。
「……お嬢様は覚えていますか?子どもの頃の約束を」
「……覚えてるわ。私も同じことを考えていたわ」
小さな頃、カメリアとロードは結婚しようと可愛らしい約束をした。なにも知らない頃の無垢な約束――
隣に座るロードの横顔を見つめる。彫刻のように整っていて美しい、と思った。
「お嬢様……そろそろ戻りましょう」
「そうね、名残惜しいけど」
屋敷に戻ると、ツタを登って部屋へと戻った。下にいるロードはハラハラした様子で見守っていたが、カメリアが無事にテラスに降り立つと安堵のため息を漏らす。
ロードに手を振ると、彼もバルコニー下から手を振り返してくれる。
(ロマンチックな劇みたい)
ロードは微笑むと、背を向け小屋へと戻っていく。
切ない、そう思った。
――夕食に呼ばれた。家族での食事である。
「少しは反省したか?」
公爵が厳めしい表情をして聞いた。
「そうですわね」
「なら、明日は殿下のもとに顔を出せ。何日も顔を合わせていないからな」
「わかりましたわ」
カメリアはある決意をしていた。
(思い通りになるもんですか。見ていなさい)
翌日、城勤めの兄と一緒に馬車に乗りこんだ。
兄は一回り以上離れていて普段からあまり話さない。なのに、珍しく話しかけられた。
「なぜ、急に婚約者は嫌だと言い出した?」
「言わないだけで、前からずっと嫌だと思っていたわ」
「殿下をよく思っていないのはわかっていた。でも、今さらだろう」
「じゃあ、こう言えばいい?雷の衝撃のせいだって。人はいつ死ぬかわからないの。だから、我慢することをやめたって」
「……」
兄が黙り込んだので目を閉じた。
(王宮に着いたらやるべきことがあるわ)
――王宮に着くと、どこかの令嬢を口説く王子の姿が目に入った。
(今日も女漁り……下品ね)
彼はお茶会の日も抜け出して、どこかの令嬢に会いに行っていたらしい。全くバカにしている。
眉を寄せると、肩に兄の手が置かれた。
「カメリア、落ち着け」
「わかっているわ。あんなの、日常茶飯事だわ」
カメリアに気づいた王子が令嬢を引き連れやってきた。
「元気だな。落雷も大したことない」
「……殿下、妹は元気に見えても精神的に不安な時です。温かく見守って下さると光栄です」
(珍しい。王子に私を気遣う発言をするなんて)
「オレは状態を見て、言ったんだ。元気だから自分の足で歩いているのではないか。違うのか?」
途端に機嫌が悪くなり、兄に食いかかる。
「お兄様……いいのよ。殿下、私、死ぬような思いをしましたわ。でも、殿下は少しも気にしなかったのですね。大した方ですわ」
「おい、カメリア」
兄が止めに入るが、構わずカメリアは続けた。
「そちらの令嬢のお名前は?いつも違う令嬢を連れてらっしゃるから名前を覚えきれませんの」
「……お前がそんなことを把握する必要はないだろう」
「そうでしょうか?私は殿下の正妃になる立場ですもの。正当ではない血を引く子ができるかもしれないではないですか。大変ですのよ、星の数ほどの令嬢の名を把握するのは」
「……ふざけているのか?誰に向かって言っている?」
声が低く、怒りに満ちているのがわかる。この男、すぐにキレるのだ。
わざと目を細めて首を軽く振ってみせた。
バシン――!
反射する間もなく頬を打たれた。
頬に焼けつくような痛みが広がる。
「カメリア!」
兄が叫んだ。
カメリアは頬を抑えながら王子を見上げる。
「気に食わないからといって、すぐに叩くのはどうなのでしょうか」
「婚約破棄だ。お前のような生意気な女……虫唾が走る」
「承知いたしましたわ」
にこやかに笑うと王子が拳を握る。また、殴ろうとしているのかと身構えると、舌打ちされた。
「おい……お前のようなやつを危険分子と呼ぶんだ。お前をただちに国外へ追放してやる。屋敷に戻るのも許さん。野放しにするのは危険だからな」
婚約破棄を狙ってはいた。だから、わざと怒らせた。
――だが、国外追放?
事態を把握できないまま、兵士に取り押さえられた。兄がなにか騒いでいたが、途中から諦めたように黙っている。
(お兄様は、私を見捨てた)
歯をくいしばる。元から期待するべきじゃなかったのだ、と諦めた。
……馬車の乗せられると、すぐに動きだした。
街を抜けてしばらく走ると、周りが暗い。うっそうとする森の中を進んでいた。
突然、馬車が停まり扉が開いた。
「降りろ」
無表情な男が淡々と言う。
「ここはまだ国境ではないでしょう。なぜここで降りなければならないの?」
「これだ」
男は剣を束から抜き、首元に突き付けた。
「私を……殺すの?」
「そうだ。殿下直々の命令だ。抵抗しなきゃ一思いに殺してやる」
(あの王子……本当に最低ね。悪役王子そのものじゃないの)
首を垂れると髪の毛を横にやり、自ら首をさらした。
「諦めがいい」
「どうしようもないだけよ」
「一思いに殺してやる」
男が剣を振り上げた。
――男が絶叫して倒れ込んだ。
目を開けると、男の胸には矢が刺さっている。
「これは一体……」
「お嬢様!」
ロードの父・コードが弓を掴み叫び声を上げながら走ってくる。ロードもいた。
「私を助けてくれたの?」
「そうです。オレール様に言われて来ました」
「お兄様に?……どういうこと?」
すると、ロードが間に入って言った。
「説明は後だ。今は急いでここを立ち去ろう。暗殺に失敗したことを王子が知れば危ない」
そのまま彼らの馬に乗せられ、隣国へと逃れた。
――国境から少し離れた隠れ家のような屋敷に落ち着いた。
「ここまで来れば安心でしょう」
コードが弓矢を壁に掛けながら言う。
「ねえ、きちんと説明して!なにがなんだかわからないわ」
「もちろんです。全てをお話します」
コードは話し出した。
「まず、オレ―ル様についてですが、諜報員を務められており、お嬢様の救出指示をされました」
「お兄様が諜報員ですって……!?そんなの知らないわ……」
「隠された役目ですから。ご両親でさえ知りません」
「両親も?なぜ、あなたたちは知っているの?」
「それは……」
コードは金色の紋章を取り出してテーブルに置いた。
「これはバティスト国の王族の証。ロードこと、シオン様の身分を証明するものです。私は父と偽り、警護しておりました。オレール様は私たちを匿ってくれていたのです」
「ロードは王族だというの?」
「ロードではなく、シオン様です。バティスト国の第七王子であらせられます」
「王子様がどうしてうちに……」
「シオン様が生まれた頃は、激しい後継者争いの真っ只中でした。そのため、シオン様のお母上が、隣国にシオン様を隠すことにしたのです。ベドナーシュの王には我が国に借りがありましたから、うまくいきました」
極秘の密約だったのだろう。全く聞いたことがない話だった。
「ロード……いえシオン様はどうして黙っているの?」
先ほどから拳を握りしめ、黙り続けている彼を見つめる。彼は視線をまっすぐ前に向けた。
「考えていたんだ。昔のように気兼ねなく話してもいいのだろうかと」
「あなたは本当に真面目ね。コードの話の通りなら、あなたは私よりも雲の上の存在よ。ためらう理由なんてないでしょう?」
微笑みかけると、シオンの表情が緩んだ。
「ずっと……生まれが違ってカメリアと同じ立場だったら、と考えていたんだ。だから、夢みたいで……」
「シオン様、いつまでも夢心地でいてはなりませんぞ。もう国に戻ってきたのです。これからのことも考えませんと。カメリア様とのことも」
急に現実を突きつけられて、シオンは口を尖らせた。
「待って……父さんはあまりにも平気すぎる。オレはなにも知らず平民だと思って育ったんだから」
「そうですな。私も我が息子としてお育て申しました」
コードが涙を浮かべる。シオンもカメリアも目に涙を浮かべた。
――しばらく、両国ともに慌ただしい動きがあった。
ブレント王子は兄によって悪事を明らかにされ、廃位された。悪事が一気に露呈し、決断に迫られた結果だった。第二王子であるホウルが新たに王太子に任命されていた。
そして今、春の風がバティスト王国の庭園を柔らかく撫でていく。
カメリアは、シオンと並んでベンチに座って満開のカメリアの花を眺めていた。
「この花、君の名前と同じだね。咲き方まで君に似てる。強くて、でも繊細で」
「……ふふ、褒めすぎよ。でも、ありがとう」
シオンがそっとカメリアの手を握った。
「こうしてなにも気にすることなく、君の手を握ることができる」
「そうね。でも……なにか忘れていない?」
「うん。わかっているよ。落ち着いたら言おうと思っていたんだ」
シオンは立ち上がると、緊張した面持ちで片膝をついた。
「子どもの頃の約束、叶えたいと思わないか?」
風が吹き抜けていく……
「ねえ、まさか今のがプロポーズじゃないわよね?」
「そ、そのつもりだけど」
「真面目というか、あなたらしいというか、もう。やり直しよ。私は甘くて切ないのがいいの」
「えっ、甘くて切ない……!?う~ん」
眉間にしわを寄せ、腕を組んだシオンは沈黙している。
「今日、無理そうならまた今度で……」
カメリアが椅子から腰を上げると、シオンが叫んだ。
「待って!!そのままで!」
やがて、シオンは深く息を吸い込むと口を開いた。
「カメリア……君を一生守りたい。子どもの頃の約束を、今ここで本物にしたい。君が笑うだけで、世界が輝いて見えるから。だから、人生を君と歩みたいんだ」
カメリアは頬を染め、そっと微笑んだ。
「……ふふ、合格よ。君が笑うだけで世界が輝く、なんて初めて言われたわ」
「か、からかわないでくれ。一生懸命考えたんだ」
「笑ってない。嬉しくて微笑んだだけよ」
二人の指が絡み合い、春風が花びらを揺らす。
――新しい二人の人生の物語が、静かに始まろうとしていた。
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