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7-2 シャーロックside
しおりを挟む「戦地から帰った時、『ただいま』と言っても、『お帰り』と言ってくれるはずの君の姿がどこにもなかったね」
シャーロックはマーガレットの眠る墓石に向かって、哀しそうに微笑んだ。
婚約者を失った後、なんだかもう色んなことがどうでも良くなってしまって、いつの間にか社交界でも浮名を流す有名な人物に、彼はなってしまっていた。
マーガレットを失くしたのを知って、慰めたいと言ってきた女性も多かった。だけど、大体が、公爵家の三男という肩書や金や財産、彼の身体を目的とした女性ばかりだった。
なんだか何もやる気が起きなくて、それなりに父の公務の手伝いをしたりして、のらりくらりと過ごした。
シャーロックの父である公爵も、マーガレットの父である侯爵も、もう彼女のことは忘れて自分の道を生きろと言ってきた。
だけど、愛した彼女を忘れるなんてことは、彼には出来なかった。
そんなある日――今から数年前――墓地にマーガレットに会いに来た時に、シャーロックに転機が訪れたのだった。
※※※
朝の墓地に、爽やかな風が吹いた。
「マーガレット、君をずっと愛している……だけど、周囲が言うように、もう十年だ――俺は生きていて、そろそろ前を見ないといけないのかもしれないと、そう思った」
そろそろ潮時かもしれないと、身を固める決意を決めたのだ。
そうして、会いに行けと言われて出向いた工場にいたアメリアの姿を見て、彼は驚嘆した。
マーガレットに似ていたからではない。
アメリアは――。
「どうしてアメリアとの結婚を決めたのか、今度君には伝えるよ、マーガレット」
もう一生誰も愛せないと思ったし、マーガレットのことを忘れることもないだろう。
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