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12 真相
しおりを挟む後日、改めてランベイルと正式に婚約したことを知った私は、彼に魔力を吸われたり注がれたり、吐き出されたりしながら、幸せな時間を過ごしていた。
国外留学前に、ランベイルは私の父に婚約を申し出ていた(つもりだった)らしい。私と再会した当日、彼は父に会いに行ったそうだ。自分ではなくデクランとかいう男性と私が婚約関係になったことに、無表情のまま衝撃を受けたらしい。
すぐさま、気を取り直したランベイルは父に私との婚約を申し出て、私から許可が出ればと言われていたよう。
私がキスを許してくれるから、婚約した気になっていたそうだ。
(ランベイルお兄ちゃん、思い込み激しい……先走って校長先生にも結婚報告しちゃったわけだし……私に振られたらどうするつもりだったんだろう……)
気づけば、デクランと彼を寝取った恋人は学園から――というよりも国内から消えていた。魔力や成績は優秀だったデクランだが、一説ではお偉いさん(ランベイル説あり)のご不興を買って、魔術師界から追い出されたとかなんとか……。
臨時講師を終えたランベイルは、国王陛下の信頼も厚く、出世街道まっしぐらだ。
ちなみに私の魔力を吸うことで、ランベイルお兄ちゃんは無尽蔵に力を発揮できるようになったそう。
だいぶ昔に比べたら、他の人たちと会話が出来るようになった彼だけど、実力で物を言わせてきたところは否定できないようで、周囲の人たちは彼が何を考えているのか分からない時があるそうだ。
(やっぱりランベイルお兄ちゃんはランベイルお兄ちゃんのままだったわ……)
そこで昔のように、彼の気持ちを代弁する役割を果たすはめになったのだが――これが周りの人たちにとっては良かったそうで、私はしきりに感謝されることとなった。
(感謝されるようなことはしてないような……)
そんな私はといえば、魔力が制御出来るようになったことで、成績がぐんぐん伸びていって、稀代の魔術師になったのでした。
そうして、婚約者同士の関係はと言えば――。
「ランベイルお兄ちゃん! ちゃんと今度から大事なことは説明してよね!」
「面目ない」
言葉足らずなランベイルだが、いつも私を優先してくれて大事にしてくれているのは分かる。
プレゼントの山は困りものだが――。
そうして、普段物を言わないのに、突然言葉を発することがある。
「天気に干渉できるほど、お前は魔力が高すぎる――そんなやつの相手が出来るのは俺ぐらいのものだろう?」
そう言って、私の左手を彼が手に取る。
「相変わらず、話に脈絡がなくて、びっくり――」
何か嵌められたと思って、見ると薬指に、彼の瞳と同じサファイアの指輪が輝いていた。
「これ――」
「婚約指輪だ」
――全然大事なことは喋らないのに、突然こういう気障なことをするのは反則技!!
そうして、彼がちゅっと薬指に口づけて来た。
「ずっと昔から俺にはお前だけだ――愛してる、ミーア」
――幸せな未来の予感が、胸を躍らせてくるのだった。
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