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第3章 身体だけの関係?
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しおりを挟む恭司が黒髪をかき上げながら告げる。
「それにしたって、やっぱり猫みたいに多情な女だな」
「タジョー……?」
美桜がきょとんと首を傾げた。
「多情だよ。たくさん色んな奴らに囲まれて暮らしたいって言ってるからさ。一人じゃ満足できないんだって思ってな」
「そういうの多情っていうんですか? 言葉の意味を間違っている気がします」
美桜が得意げに指摘すると、恭司がおどけたように返してくる。
「俺はドイツでの生活も長いからな、日本語は不得手なんだ」
「むう。それは言い訳だと思います」
美桜は唇を尖らせつつも、自分の想いを述べることにした。
「多情かどうかは置いておいて、私はミオちゃんにも家族は必要だと思うんです」
「ん? 飼い主の俺たちもいるだろう?」
「そうなんですけど……猫としては成人していますが、ミオちゃんは小さいです。一緒に遊んでくれる同い年ぐらいの仲間がいた方が楽しいんじゃないかって」
「なるほどな。あんたの言いたことはなんとなくわかった。遊び相手を増やしてやりたいんだな」
恭司が美桜の頭を撫でてくる。
「伝わったなら良かったです。可愛い子どもたちにたくさん囲まれたら幸せだと思っています」
「そうか。だったらとにかく全員で一緒に過ごせる場所を検討しないといけないな。大家族になりそうだ」
「大家族、すごく楽しみです!」
恭司が破顔した。
「そうか、俺も楽しみにしておくよ」
美桜も喜びながらも不思議に思った。
(どうして私の老後の動物ライフを、恭司さんも楽しみにしてるんだろう?)
彼もまた、黒猫ミオとの生活を通して動物ライフに目覚めたのかもしれない。
「たまには外に出てみたら、良いことあるもんだな。せっかくだから、一旦マンションに戻ったら、あいつと一緒に近くの公園にでも一緒に寄るか?」
恭司が言うあいつというのは黒猫ミオのことだ。
「はい、そうしましょう」
二人はマンションに向かって一度帰ることにする。
しかしながら、とある事実に気付いた。
――このまま歩けば会社の近くを通ることになる。
美桜は恭司におずおずと提案した。
「そういば、だいぶ会社も近づいてきましたし、どこで職員に出くわすか分からないので、良かったら少しだけ離れた場所に行きませんか?」
「ん? 休みだからあんまりいないんじゃないか? 休日出勤はするなって伝えてあるし」
そう。
御影コーポレーションはワークライフバランスが充実しているということもあってホワイト企業としても評判が良い。
恭司は仕事と休みのメリハリをつけた方がどちらにも良いという考えの持ち主のようで、休日出勤は極力するなと社員たちに言いつけているのだ。
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