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第6章 初めての恋
36-3
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すると、新宮部長がふっと口元を綻ばせた。
「なんや、やっぱり美桜ちゃんは面白いね。頭の中がお花畑や。平和主義すぎて、一緒におったら平和ボケしそう」
「む……?」
あまり褒められていない気がするのだが……。
そうして、新宮部長が美桜のそばへと歩んでくると、目の前に立ち止まった。
「ねえ、やっぱり兄さんやなくて僕にしときい。兄さん、他の女と結婚するんやで?」
「私は新宮部長とは結婚できません。それに、恭司さん本人から聞いた話ではないので信じていません」
「確かめてないん? やったら、ほんまの話かもしれへんやん」
美桜は深呼吸をするとハッキリと答えた。
「そうだったとしても、自分の人生なので、誰と結婚するかは自分で決めます」
「もうすぐ婚約披露やで。新聞社やテレビ局もたくさん呼んでるけど、逃げ場はもうないで。君の性格なら、ここまでされたら引けないんとちゃうん?」
順一がこちらを見下ろしてくるが、美桜はまっすぐに返した。
「……絶対にどうにかしてみせます」
しばらくの間、二人の間にバチバチと火花が飛び散った。
「残念、どこまで行ってもダメやな、僕は。押しも弱いし、決め手にかける。誰にも好きになってもらえへん」
「……新宮部長は私が見る限り、女性達にすごく好かれていました」
「今さっきの話に近いけど、女性陣は僕の背後にある財産とか僕の見た目とか、そういうのに引かれてるだけなんや。僕自身を見てくれてるわけやない」
恭司も似たようなことを話していたと思う。
再会した時、社長の御影恭司とドイツで過ごしたわけじゃないだろう、と。
「やっぱり兄弟で似ていますね」
美桜の言葉に順一が反応した。
「ん? やったら僕じゃダメなん?」
美桜はフルフルと首を振る。
「新宮部長がダメなわけじゃありません。私は恭司さんじゃないと嫌だし……それに……」
「それに?」
美桜は頬を赤らめながら笑顔になった。
「恭司さんには私じゃないとダメな気がするんです」
順一が柔和な瞳を真ん丸にした後、肩をすくめた。
「どっから湧いてくるん、その自信? なんやろ、僕の思うてた美桜ちゃんとちゃうんやね。もっと守られるお姫様みたいな女の子を想像してたんやけど」
美桜は胸を張って伝えた。
「昨今は世知辛い世の中だから、お姫様も剣を手に取って戦わないといけない時代なんですよ! といっても、別に私には取柄はないけれども……」
順一が鼻を鳴らした。
「あほらし。そんなの男に任せとけばええやんって、僕は思うてしまうけどね。美桜ちゃんは頭がめちゃくちゃ良いわけやないけど、素直やし、老人とか子どもやら動物に好かれてええと思う」
そうして、彼が少しだけ寂しそうに続ける。
「分かっとる。美桜ちゃんと噂になって喜んでた僕じゃあダメやったんやって。君が影で嫌がらせされているのに途中まで気づけんかったし……」
「それは私も相談しなかったからよくなかったんです」
けれども、順一は首を左右に振った。
「それに……僕は……最低なんや。噂を知っても、これで美桜ちゃん、孤立したら、僕を頼ってくれるんやないかって……心のどこかで思うてもうた」
「……新宮部長」
「ん?」
その時。
扉をノックする音が聴こえる。
使用人らしき人が部屋の中に入ってきて淡々と告げてくる。
「時間です」
――順一が肩を抱いてきたので、美桜はハッと身構える。
「あの、離してください」
抗議しようとしたのだけれど……。
順一は窓の外へと視線を向けている。
「星の瞬きが多すぎる。案外やること派手なんやね」
「……?」
順一が何を言っているのか分からず、美桜は首を傾げてしまった。
しばらくすると、強く引き寄せられる。
「さて、美桜ちゃん、噂をどうにかしに行こうか。僕を男にしたってや」
「なんや、やっぱり美桜ちゃんは面白いね。頭の中がお花畑や。平和主義すぎて、一緒におったら平和ボケしそう」
「む……?」
あまり褒められていない気がするのだが……。
そうして、新宮部長が美桜のそばへと歩んでくると、目の前に立ち止まった。
「ねえ、やっぱり兄さんやなくて僕にしときい。兄さん、他の女と結婚するんやで?」
「私は新宮部長とは結婚できません。それに、恭司さん本人から聞いた話ではないので信じていません」
「確かめてないん? やったら、ほんまの話かもしれへんやん」
美桜は深呼吸をするとハッキリと答えた。
「そうだったとしても、自分の人生なので、誰と結婚するかは自分で決めます」
「もうすぐ婚約披露やで。新聞社やテレビ局もたくさん呼んでるけど、逃げ場はもうないで。君の性格なら、ここまでされたら引けないんとちゃうん?」
順一がこちらを見下ろしてくるが、美桜はまっすぐに返した。
「……絶対にどうにかしてみせます」
しばらくの間、二人の間にバチバチと火花が飛び散った。
「残念、どこまで行ってもダメやな、僕は。押しも弱いし、決め手にかける。誰にも好きになってもらえへん」
「……新宮部長は私が見る限り、女性達にすごく好かれていました」
「今さっきの話に近いけど、女性陣は僕の背後にある財産とか僕の見た目とか、そういうのに引かれてるだけなんや。僕自身を見てくれてるわけやない」
恭司も似たようなことを話していたと思う。
再会した時、社長の御影恭司とドイツで過ごしたわけじゃないだろう、と。
「やっぱり兄弟で似ていますね」
美桜の言葉に順一が反応した。
「ん? やったら僕じゃダメなん?」
美桜はフルフルと首を振る。
「新宮部長がダメなわけじゃありません。私は恭司さんじゃないと嫌だし……それに……」
「それに?」
美桜は頬を赤らめながら笑顔になった。
「恭司さんには私じゃないとダメな気がするんです」
順一が柔和な瞳を真ん丸にした後、肩をすくめた。
「どっから湧いてくるん、その自信? なんやろ、僕の思うてた美桜ちゃんとちゃうんやね。もっと守られるお姫様みたいな女の子を想像してたんやけど」
美桜は胸を張って伝えた。
「昨今は世知辛い世の中だから、お姫様も剣を手に取って戦わないといけない時代なんですよ! といっても、別に私には取柄はないけれども……」
順一が鼻を鳴らした。
「あほらし。そんなの男に任せとけばええやんって、僕は思うてしまうけどね。美桜ちゃんは頭がめちゃくちゃ良いわけやないけど、素直やし、老人とか子どもやら動物に好かれてええと思う」
そうして、彼が少しだけ寂しそうに続ける。
「分かっとる。美桜ちゃんと噂になって喜んでた僕じゃあダメやったんやって。君が影で嫌がらせされているのに途中まで気づけんかったし……」
「それは私も相談しなかったからよくなかったんです」
けれども、順一は首を左右に振った。
「それに……僕は……最低なんや。噂を知っても、これで美桜ちゃん、孤立したら、僕を頼ってくれるんやないかって……心のどこかで思うてもうた」
「……新宮部長」
「ん?」
その時。
扉をノックする音が聴こえる。
使用人らしき人が部屋の中に入ってきて淡々と告げてくる。
「時間です」
――順一が肩を抱いてきたので、美桜はハッと身構える。
「あの、離してください」
抗議しようとしたのだけれど……。
順一は窓の外へと視線を向けている。
「星の瞬きが多すぎる。案外やること派手なんやね」
「……?」
順一が何を言っているのか分からず、美桜は首を傾げてしまった。
しばらくすると、強く引き寄せられる。
「さて、美桜ちゃん、噂をどうにかしに行こうか。僕を男にしたってや」
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