【R18】冷徹なエリート社長はセフレな私を一途に愛して孕ませたい

おうぎまちこ(あきたこまち)

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第6章 初めての恋

37-4

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 壇上の中央で、美桜と順一は横並びになると、前を見据えた。
 カメラのフラッシュが眩しいけれど、隣に立つ順一は平気そうにしていた。
 昔からこういう誰かに見られるのに慣れているようだ。
 隣に立つ美桜としては、その場にいる大勢の皆に注目されるのが怖くて、若干狼狽うろたえてしまった。全身の震えが止まらない。脚もがくがくして崩れ落ちてしまいそうだ。けれども、胸元にしまった恭司の手紙に触れると深呼吸する。

(大丈夫、恭司さんは絶対に来てくれる)

 黒猫ミオの首輪に手紙をつけることが出来たということは近くにいるはずなのだ。
 美桜は背筋を伸ばすと真っすぐに前を見据えた。
 ドクドクと早鐘のようだった鼓動が少しずつ穏やかになっていく。
 壇上の袖の方にいる司会の男性――どうやら新宮家当主の秘書らしい――が話をはじめる。

「それでは、これより婚約発表の場に移りますが、その前に本当なら現当主の新宮譲之助じょうのすけ様から挨拶のご予定でございました。本日は体調不良で不在ということで、ご当主様から預かっている伝言をお読みしたいと思います」
 
 そうして、淡々と続ける。

「『この場を借りて、新会社の社長に息子を就任させることとする。また、この場でグループ会社の事業承継じぎょうしょうけい及び後継者の指名をおこないたい。そうして、株式の生前贈与もおこないたいと考えている』」

 貴賓席に座っている者たちから感嘆の声が上がる。社長就任はともかくグループ自体の後継者の指名があるとまでは思っていなかったのだろう。

(基本的には株式を譲渡した相手が後継者。新宮家の新当主でもある。ということは、新宮部長が新宮家のお家の跡継ぎであり、会社の後継者でもある……ってことよね?)

 順一の申し出はお断りするつもりの美桜にとっては、正直あまり関係のない話ではあるものの、もしも恭司が間に合わなかった場合、どうにか一人で切り抜ける必要がある。そのため、頭がこんがらがりそうな中、一生懸命状況把握に努めた。
 そうして、司会の男性が当主の手紙の内容を淡々と読み上げる。

「『後継者には――新当主とその妻・梅田美桜の間に出来た子どもを指定する』」

 美桜は突然自分の名前が出てきたので衝撃を受けた。
 周囲がざわつきはじめた。

(わ、私……!?)

 あまり自分とは関係のない話だと思っていたのに、寝耳に水である。
 突然自分が話の渦中に立たされる羽目になってしまった……!

(まだ妊娠もしてないのに……!?)

 新宮環が「そんな話、私は一言も聞いとれへん!」とわめいている。
 大広間内のざわつきはおさまらない。
 カメラの明滅も落ち着くことを知らない。

「そもそも赤ん坊は腹の外に出てきてからやないと権利はないはずやないんか?」

「法律上ではそうやな」

「なら、そもそも話自体が無効になるんやないか……?」

「もう順一くんの子どもがおるんか?」

 美桜はオロオロしてしまった。
 単に逃げれば良いだけの話ではなくなってしまっている。

「どうして私なんですか……!?」

 思わず美桜は司会の男性に尋ねた。

「梅田美桜様には恩義があるからだと」

「恩義……!?」

 いったいいつ美桜が新宮家当主に恩を売るような真似をしたのだろうか?

(ええっと、だけど勝手に話に参加させられてしまっているだけだから、弁護士さんとかに相談したらどうにかなる?)

 そんな中、新宮順一はといえばシレっとした態度と笑顔で話を続けてくる。

「まあ、そもそもが父さんが指名したやつが後継者になるだけやし……さっきの話が有効やっとして、つまるところ、美桜ちゃんとの間に子ども作った相手が、会社の後継者やし新当主にもなるってことやから、何も問題あらへんね」

 美桜は衝撃で頭がぐるぐるしはじめた。
 すると、彼女の腰を順一が引き寄せてくる。

「きゃっ……!」

「婚約披露の続きをお願い。……さあ、皆に僕と美桜ちゃんが仲良いところを見せたろうか」

 順一が視界に話を促すと、美桜に顔を近づけてくる。

「待ってください……!」

 万事休すだ――!

 ――その時。
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