177 / 228
第6章 初めての恋
38-2
しおりを挟む
「お熱いところ悪いんやけど……」
順一が咳ばらいをした後、恭司に向かって意気揚々と告げた。
「恭司兄さん、この場所にちょうど株式所有してる奴らも勢揃いしとるわけやし、株主総会みたいに多数決とったらええんちゃう? 過半数以上取れたら勝ち、美桜ちゃんの旦那さま兼新当主の父親になるってことで? どないやろう? 実際に新宮家の跡を継ぐってなったら、ここにいる人たちの賛同を得らんといかんわけやし? 父さんもこの場にはおらんし」
「ん? シンプルで良いな、別に俺はそれで構わない」
「じゃあ、皆に手上げしてもらおうか」
兄弟の会話を耳にして、美桜はキョトンと首を傾げた。
(多数決……? 手上げ……? 株主総会?)
なんだか急に中学生の生徒会選挙みたいなノリになってきたような……?
すると、恭司が美桜に説明してくれる。
「事業譲渡する時、本来は取締役会やら株主総会の手続きやら議席数がどうとか色々あるんだ。そもそもが、まだ生まれてもいないお前の子どもに譲渡制限株式を相続するとかいうとんでもない話だから……まあ、お前はとりあえず気にしないで良い」
新宮環が恭司に向かってヒステリックに叫ぶ。
「恭司! 世迷いごとを抜かしよって! あんたなんかに誰も賛同するわけないやろう!?」
しかしながら、恭司は彼女をチラリと一瞥しただけだった。
「そんなら、僕が美桜ちゃんの旦那さんの方が良い人! 忖度はいらへんで!」
順一が手を上げながら促した。
貴賓席の何人かがパラパラと挙手していた。
環の表情を見て手を挙げている者たちもいる。
おそらく事態についていけずに動向を見守っている者たちが多数といったところなのだろう。
美桜は恭司と順一の姿をハラハラしながら見つめた。
(恭司さん、新宮一族の皆には嫌われてたって話していたはず。多数決方式だとかなり不利なんじゃ?)
そもそも――先程の恭司の話だと、この多数決事態もやる必要性がない可能性がある。
ドキドキしながら見守っていると、次は恭司の番だった。
順一が明るい調子で述べる。
「恭司兄さんが美桜ちゃんの旦那様の方が良い人」
すると、「御影は上場企業だ」「坊ちゃんの会社は出来たばかり、どうなるか分からん」「勝ち馬に乗りたい」「実は裏で話があって……」「やはり才能があったのは兄の方」といったひそひそ話をしながら、役員たちが次々と手を挙げていく。周りも影響を受けているのか、どんどん挙手をはじめる。
(恭司さん、すごい……会社経営の実力を認められているんだ。周りの人たちが手を挙げてる……!)
美桜は内心感動してしまう。
その時。
順一が咳ばらいをした後、恭司に向かって意気揚々と告げた。
「恭司兄さん、この場所にちょうど株式所有してる奴らも勢揃いしとるわけやし、株主総会みたいに多数決とったらええんちゃう? 過半数以上取れたら勝ち、美桜ちゃんの旦那さま兼新当主の父親になるってことで? どないやろう? 実際に新宮家の跡を継ぐってなったら、ここにいる人たちの賛同を得らんといかんわけやし? 父さんもこの場にはおらんし」
「ん? シンプルで良いな、別に俺はそれで構わない」
「じゃあ、皆に手上げしてもらおうか」
兄弟の会話を耳にして、美桜はキョトンと首を傾げた。
(多数決……? 手上げ……? 株主総会?)
なんだか急に中学生の生徒会選挙みたいなノリになってきたような……?
すると、恭司が美桜に説明してくれる。
「事業譲渡する時、本来は取締役会やら株主総会の手続きやら議席数がどうとか色々あるんだ。そもそもが、まだ生まれてもいないお前の子どもに譲渡制限株式を相続するとかいうとんでもない話だから……まあ、お前はとりあえず気にしないで良い」
新宮環が恭司に向かってヒステリックに叫ぶ。
「恭司! 世迷いごとを抜かしよって! あんたなんかに誰も賛同するわけないやろう!?」
しかしながら、恭司は彼女をチラリと一瞥しただけだった。
「そんなら、僕が美桜ちゃんの旦那さんの方が良い人! 忖度はいらへんで!」
順一が手を上げながら促した。
貴賓席の何人かがパラパラと挙手していた。
環の表情を見て手を挙げている者たちもいる。
おそらく事態についていけずに動向を見守っている者たちが多数といったところなのだろう。
美桜は恭司と順一の姿をハラハラしながら見つめた。
(恭司さん、新宮一族の皆には嫌われてたって話していたはず。多数決方式だとかなり不利なんじゃ?)
そもそも――先程の恭司の話だと、この多数決事態もやる必要性がない可能性がある。
ドキドキしながら見守っていると、次は恭司の番だった。
順一が明るい調子で述べる。
「恭司兄さんが美桜ちゃんの旦那様の方が良い人」
すると、「御影は上場企業だ」「坊ちゃんの会社は出来たばかり、どうなるか分からん」「勝ち馬に乗りたい」「実は裏で話があって……」「やはり才能があったのは兄の方」といったひそひそ話をしながら、役員たちが次々と手を挙げていく。周りも影響を受けているのか、どんどん挙手をはじめる。
(恭司さん、すごい……会社経営の実力を認められているんだ。周りの人たちが手を挙げてる……!)
美桜は内心感動してしまう。
その時。
29
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる