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第6話 ヒミツの同居開幕 side百合
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しおりを挟む「フルネームが『大瀬戸 ――」
「ああああああ!! もうそれ以上色々言うなよ!!」
私の同級生たちの名前。
お母さんたちの世代からしたら、ちょっと変わった名前も多いって言ってたし……。
「ええっと……下の名前は瀬戸さんでお間違いないですか?」
「ああ」
だったら……。
「じゃあ、瀬戸先輩」
笑顔で笑いかけたら、また先輩はだんまりになった。
「あの……?」
「ああ、いや、まあ、下の名前で呼ばれたから、なんだ……」
なんだか妙にもごもごしている。
首も赤い気がするけれど、気のせいかな?
「瀬戸先輩、今日からよろしくお願いします!」
「ああ、こっちこそよろしくな」
まさか――。
お母さんが亡くなってしまって……。
一個上の先輩と今日から一緒に住むことになるなんて、思いもしなかったな。
……それにしても……。
先輩の名前も「瀬戸」らしい。
私の推しの「せとくん」も「せと」で……。
とはいえ、ユニフォームに書いてあるのは、苗字のはず……?
だったら、やっぱり別人かな……?
もっと天使みたいな男の子だったし……。
なんだか気になったけれど、なんだか眠くてふわふわしてくる。
「ああ、疲れて寝ちまったのか、体力ねえな」
優しい声が耳に届く。
同居初日。
瀬戸先輩の腕の中、私は眠りに就いてしまったのだった。
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