【R18】敵国将軍の、愛妾になったはずですが!?

おうぎまちこ(あきたこまち)

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第1章 敵国への旅路

第4話―1 国境で将軍、我慢は禁物です!※

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 国境にそびえたつアルパイン山の麓。
 山自体は緩衝地帯に当たるため、裾野に関門が設けられている。
 だだっ広い荒野を抜けて、二人は入り口まで辿り着いた。

(村から砦まで見えていたし、わりと近いと思っていたら結構距離があるのね)

 旅慣れていないこともあり、少しだけ脚が重たい。

「ラフィーネ姫、疲れたんじゃないですか? ほら、抱えて差し上げますよ。それとも、関門を超えてからおんぶしましょうか?」

 イクシオンが手を差し出してきた。

「イクシオン将軍、一人で結構ですので」

 だが、ついつい反発してしまった。

 彼の表情が強張って見えたが……気のせいだろう。

(妾だというのに、よくないわね)

 ぎゅっと両手を胸の前で組む。

「ごめんなさい、将軍」

 謝ってから顔を上げると、イクシオンの赤紫色の瞳が爛爛と輝いて見えた。
 瞬きをしてもう一度しっかり見ると、いつもの仏頂面だったので……気のせいだろう。
 やりとりをしている間に門を通る順番が来た。とはいえ、戦争も近いと言われていたこともあり、関門付近に人の姿はまばらだ。
 伝令は来ていたはずだが、自国の姫と敵国の将軍の姿を見て、見張りの兵たちは驚きの声を上げる。

「噂は本当だったのか。姫が将軍の妾にというのは……」

「そもそもイクシオン将軍は、いつこの門を通り抜けたのだ?」

「月光姫ラフィーネ姫様のご尊顔を、こんなに近くで見れるなんて……!」

「羨ましい……」

 イクシオンが私の肩を抱いてきたかと思うと、ざわつく人垣の中に割って入る。

「これが書状と通行証だ。通してもらおうか?」

 兵たちが恐れをなし、まるでさざ波のように引いていった。

 何事もなく通過できる、そう思っていたのだが……

「友の仇だ! 敵将イクシオン・ロクス! 覚悟!」

 突如、年若い兵が剣を振りかざし駆けてくるではないか――!
 振り下ろされた刃を、イクシオンがいつの間にか抜いていた剣で打ち払う。

「……姫様に当たったらどうするつもりだ」

 ロクスの将軍の眼光に射抜かれ、兵はその場にくにゃりと、へたり込んだ。それらを仲間たちが抑え込む。年若い兵は負け惜しみのように叫んだ。

「敵国の妾になったっていうのなら! 姫様も……いいや、その女も同罪だ! 妾から産まれた、この売国女!!」

 ……彼の言葉に衝撃が走る。
 自分から望んでイクシオンの妾になったわけではないが、自国の民から恨まれる可能性もあるとは考えもしていなかった。

(そもそも私は、妾の子と蔑まれていたから……)

 唇を噛み締めていると……
 突然、イクシオンが私の身体を抱き寄せてくる。
 かと思えば、突然背や腰を撫でられはじめた。

「将軍、皆の前で何を……っ……」

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