【R18】和服御曹司で俳優な幼馴染の彼に、絶対溺愛されてます――夏祭り、花火の下で幼馴染の君と浴衣で――

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
12 / 25

12

しおりを挟む
「もちろん。俺は水持ってくるから気にするな」

「分かった」

 彼が部屋から出ていった後、ミサはワンピースを脱ぎ、肌襦袢の上から浴衣を羽織る。

(誰かに着せるのよりも、私としては自分で着る方が難しいかな)

 そんなことを思いながら、着付けていく。腕はそこまで衰えてはいないようだ。
 おはしょりを調整している間に、隣の部屋にリュウセイが戻ってきた気配を感じた。彼が近くにいる中で着替えているのだと思うと、なぜだか緊張して手がおぼつかない。
 しゅるりと衣擦れの音が立つ。相手に聞こえてはいないかと不安で仕方がなかった。

「あ、私も着替え終わったよ」

 声と同時にリュウセイが、ミサのいる部屋に戻ってくる。

「ちゃんと着れたみたいだな?」

「うん。自分で着るのは久しぶりだったから。リュウちゃんの言った通り、着替えることが出来て良かったかも」

 彼が持っている盆に目をやった。
 綺麗な硝子で出来た、青と赤の涼し気な切子。添えられた器にはカキ氷が飾られていた。小皿には透明感のある羊羹。
 縁側に誘われて、二人で座ってカキ氷をシャリシャリ食べる。

「おいしい」

 今度は和菓子を摘まんだミサを見て、リュウセイが笑った。

「ミサは甘いのが相変わらず好きだな。俺はカキ氷でいっぱいだよ」

「甘いものは別腹というか……」

 とても広い庭の碧が、風に爽やかに揺れる。
 小さな池に小橋がかかっていて、鯉がぽちゃんと跳ねる音がした。
 もう昼下がりだ。
 食べ終わった頃――彼が彼女の髪を撫ではじめる。

「リュウちゃん、どうしたの?」

「当日は、どういう髪型にしようかなと思って」

 ミサがプロデュースするはずなのに、リュウセイの方がプロデューサーみたいになっていた。
 なんだか撫でられていると恥ずかしくなってしまい、ミサが慌てて返す。

「夏祭りの舞台の時間、花火前の目玉イベントだとかで、そんなに長くはとれなかったでしょう? せっかくだし、リュウちゃんには夏の歌を1~2曲歌ってもらおうかなと思っているんだけど、どうかな?」

「歌か」

 リュウセイが唸る。

「リュウちゃん、歌うの上手だけど、あんまり人前で歌うの好きじゃなかったよね? やっぱりやめようか?」

「いいや、歌を歌ってやっても良い。だけど、条件がある」

「条件?」

 なぜか彼女の身体は、彼の膝の上に乗せられる。しかも、後ろから抱きしめられてしまった。

「ど、どうしたの、リュウちゃん?」

 すると、ミサの耳元でリュウセイが囁く。


「ミサが欲しい」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

ハメられ婚〜最低な元彼とでき婚しますか?〜

鳴宮鶉子
恋愛
久しぶりに会った元彼のアイツと一夜の過ちで赤ちゃんができてしまった。どうしよう……。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

幼馴染に10年片想いしてたら、冷酷御曹司にプロポーズされました

ほーみ
恋愛
 春の匂いが、駅前の並木道をくすぐる。満開の桜の下、私はひとり歩いていた。駅までの道は、高校時代、彼とよく歩いた道だ。  制服姿の学生が笑いながらすれ違っていくのを横目に、私はスマホを見下ろした。  「今日、伝えるって決めたんじゃなかったの?」  送信したきり返信のないメッセージ。画面には「既読」の文字があるだけだった。  ――渡瀬 湊。私が10年間片想いをしている、幼馴染。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

処理中です...