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本編
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「話を合わせてくれて助かったよ。ありがとう。」
「いいえ。私は何も」
国王夫婦とお父様との話し合いが終わった後、帰ろうとしたら殿下が
「帰る前に少し二人きりで話させてほしい。婚約者になったのだからいいだろう?」
とお父様に許可を取り、今は王宮の客室にいる。
「さっきは紹介できなかったけど、これから王宮に来るときは頻繁に会うと思うから紹介しておくね。側近のエルだ。」
「エル・ザーレスと申します。殿下とは常に行動を共にしておりますので、チュリ様とも頻繁にお会いすると思います。よろしくお願いします。」
彼は殿下の側近であるザーレス公爵家のご子息である。
殿下とは幼馴染だと聞いていたが、二人の雰囲気からして信頼しあっていることが伝わる。
「チュリ・リーヴェンです。こちらこそよろしくお願い致します。」
「貴方様は殿下の婚約者ですので、私に敬語は不要です。」
「いいえ、殿下の仮初の婚約者ですし、私は侯爵家の人間です。エル様は公爵家の方ですので、敬意を払うのは当然です。」
「仮初…?…殿下、それは一体どういう…」
「…彼女とは正式な婚約をするまで婚約者のフリをしてもらうことになっている。」
「っ!なんてことをしているのです!それを国王陛下方はご存知なのですか!」
エルの顔は真っ青だ。
「父上には伝えてない。エル、この話はあとだ。」
「…っはい。」
殿下は有無を言わさぬ口調で話を終わらせる。
エルはそれ以上何も言わなかった。
「それより、」
殿下は私の方を向き、手をとった。
「チュリ嬢。良ければこれからはチュリとよんでも?」
「はい殿下。なんとでもお呼びください。」
「ありがとう。私のことはルークとよんで?」
「!そんな恐れ多い…」
「いいんだ、君には名前でよんでほしい。」
「…ル、ルークさま…」
「ルーク」
「そんな!呼び捨てなんてできません。」
「僕達は婚約者同士なんだ。仲の良さも見せつけたい。私が許可するから、呼んで…?」
私のことを見つめてくる瞳が綺麗で目を逸らしたくなる。
「っわかりました!わかりましたからそんなに見つめないでくださいませっ」
「チュリが呼んでくれたらやめるよ」
で、ルーク様は自分の武器を使い方をわかっていらっしゃるだわ…。
「ル、ルーク…」
「あぁ!チュリ!」
私が名前を呼んだ瞬間がばっと抱きしめられた。
私の頭はもうパンク状態である。
「殿下。チュリ様に過剰に触れるのは紳士として許されることではありません。お控えください。」
エルが呆れた声で言う。
「ちっ。わかったよ。チュリ、手紙を出すよ。次会うときは王宮を案内するね。」
「は、はぃ…。」
ドキドキが限界を達しぽーっとしてしまった私の手の甲に、殿下はそう言いながらキスをした。
家に帰ったあとは、疲れていたのか、ベッドに入った瞬間に寝てしまった。
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