王太子から婚約者のフリを頼まれたが、本当は溺愛されてました。

ゆいまる

文字の大きさ
8 / 59
本編

8



でん…ルークからの手紙は案外早く届いた。



愛しいチュリ。
明日午後から時間が作れそうなんだ。
王宮を案内するから時間が合えばおいで。
もちろん厨房にも行こう。
王宮に来たときには迎えに行くが、衛兵に私の名前をいえば私に繋がるようにしておくよ。

早く会いたい。


婚約者のフリなのに愛しいとか簡単に言っていいの??と顔が赤くなるのを感じながら読んでいく。
ルークは徹底していてすごいなあ。
見習わないと。

それから明日の予定を確認する。
明日の午後は空いている。
私はすぐに返事を書いた。
ずっと楽しみにしていた王宮のまだ見ぬ料理…!!!

早く明日にならないかな!!
心躍らせながら過ごすチュリであった。


ー次の日ー

「やあ、チュリ。会いたかった。」

「ごきげんよう、ルーク。」

ルークは馬車まで迎えに来てくれて、エスコートしてくれた。

ルークは王太子だから色んな女性と関わる機会があるだろう。
だから女性の扱いに慣れているんだ。
そう思えばルークの言葉にいちいち反応しなくなった。
だからこんな私にも優しくしてくれているだけで、正式な婚約者が現れれば、晴れて私はお役御免だ。

だから今のうちにいっぱい王宮の料理を堪能しなきゃ!!!
わくわくしたチュリを横目にルークは微笑む。

「料理もだけど、まずは王宮を案内するよ。」

「はい。よろしくお願いします。」

チュリの頭は料理のことでいっぱいだったが、教育の賜物か、他人にはバレないよう繕ってた。
ルークにはすべてお見通しだが。


「ここがサロンだよ。よく王妃である母上がお茶会を開いている。今度チュリを呼ぶとおっしゃっていたから付き合ってあげて。」

「そんな、王妃様に呼んでいただけるなんて光栄です。とてもきれい…!これは隣国の伝統の模様ですね?」

「そうだよ、よく気づいたね。母上は隣国出身なんだ。父上は母上にあまいからね、少しでも過ごしやすいように母上の生まれ育った国の伝統も大事にしているんだ。」

「そうなんですね。この模様にはその地の繁栄と安全を意味するものだと書物に書いてありました。実物を見るのは初めてで感動しました。」

書物を通して多くのことを学べるが、やはり実際に目で見て確かめることのほうが勉強になる。

「よく勉強しているね。他の令嬢だと気づかないことも多いのに」

「一般的な淑女教育では得られないものですから。私も隣国から頂いたパンを包んだ布の模様が偶然これだったので調べただけなのです。」

「包の模様を調べることなんか普通はしないよ。チュリは独自の視点を持っていて私もとても勉強になる。」

「ありがとうございます。そう言って頂けたのは両親だけだったので嬉しいです。」


同世代の令嬢や子息からは、あまり良い顔をされなかった。
令嬢がそんな知識を持ってどうすると言われたり、知識よりも人脈を作ることが先決だと言われることも多かった。
たしかに人脈は大切だが、知識を持っていて損はないと思っていたので、ルークが肯定してくれて少しだけ嬉しかった。



感想 23

あなたにおすすめの小説

 怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~

美袋和仁
恋愛
 ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。  しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。  怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。  なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】「元カノが忘れられないんでしょう?」と身を引いた瞬間、爽やか彼氏の執着スイッチが入りました

恋せよ恋
恋愛
「元カノが忘れられないなら、私が身を引くわくべきよね」 交際一周年、愛するザックに告げた決別の言葉。 でも、彼は悲しむどころか、見たこともない 暗い瞳で私を追い詰めた。 「僕を捨てる? 逃げられると思っているの、アン」 私の知る爽やかな王子の仮面が剥がれ落ち、 隠されていた狂おしいほどの独占欲が牙を剥く。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。