王太子から婚約者のフリを頼まれたが、本当は溺愛されてました。

ゆいまる

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本編

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「チュリ、会いに行くからと言っていたではないか。どうして帰ろうとしているんだ?」

「ルーク…」

ルークが後ろから抱きしめてきたのだ。
そういえば、そんなことを言っていたような…
でも、ルークの顔を見るとなぜか涙が出た。

「え、チュリ?どうしたの?」

「何でもないんです、ごめんなさい…」

私は謝ることしかできなかった。
これではルークを困らせるだけである。

「き、今日はもう帰ります。ここまで来てくださりありがとうございました。」

そう言ってその場から立ち去ろうとした。
しかし、

「泣いたままの君をそのまま帰すなんてするわけないじゃないか。おいで、私の部屋へ行くよ。」

そう言ってルークは私を横抱きにして歩き始めた。

「っ!きゃあ!お、おろしてください!」

「いやだ。おろしたら君は帰ってしまうではないか。ちゃんと話をしよう。」

抗議したが、ルークはそのまま部屋へとどんどん進んでいったため、何も言えずつくのを待つしかなかった。


部屋につき、ソファに私を座らせ、ルークが隣に腰掛けた。

「チュリ、ちゃんと言って。どうしたの?」

そう優しく尋ねてくれる。

「本当に、何でもないんです。急にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。」

「ふぅん。そんなこと言うんだ。」

私が何でもないふうに笑ってみせると、ルークは、少し不機嫌な顔になった。

「ル、ルーク?」

「ちゃんと言えない子には少し、意地悪しちゃおうかな。」

「え?ーんっんんん」


私が聞き返そうたしたら、いきなり口を塞がれた。

そしてどんどん深くなっていった。

「ーーーんっんんぅ、ルー、ク」

キスの間に話そうとしてもそれを塞いでくる。
それどころか開いた口から舌を入れられた。

今までとは違う、深い深いキス。

「んんっ、んぅーーんーーー」


何度かキスをすると、ルークは解放してくれた。
私は荒くなった呼吸を整えるのに必死だった。

「言う気になった?」

「っ、どうしても言わないとだめですか?」

「言わなくてもいいけど、言わなかったらずっとキスし続けるよ。」

選択肢がないではないか。
そう涙目になりながらルークを睨んだ。

「私たちは婚約しているんだ。君が泣いているのならその憂いを払うのが私の役目だよ。」

「…………。」

私は先程シュリー様から言われたことをポツポツと話し始めた。


「そうだったのか。ごめんね、不快な思いをさせてしまって。」

ルークがそう謝ってくれるがルークが悪いわけではない。
そう言おうとすると、

「これは君にだけしか言わないよ、チュリ。私はキスしたいと思うのは君だけだ。そしてそれ以上も君としかしたくない。シュリー嬢とは関わったことがないよ。」

「そ、そうなのですか?でも、ルークは他の女性からも人気ではないですか…」

なかなか信じられずにいると、

「そうだね。否定はしないけど、それは王太子としての私を慕ってくれてる人がほとんどだよ。私自身を見てくれているのはチュリだけだ。それより、」

「?」

「チュリ、嫉妬してくれたの?」

「っえ!?」

ルークの言葉に私は動揺した。
そうだ、私はシュリー様からルークの話を聞いたあとからずっともやもやしていた。
ルークを見ると泣きたくなった。
私は、嫉妬してたんだわ。


そして、私はルークのことが好きなんだわ…。
やっと自覚したのだ。






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