18 / 59
本編
18
「ルークがあのときの人…??」
「そうだよ。あのときは手当をしてくれてありがとう。ずっとお礼が言いたかったんだ。」
「わ、私は何もしていません。」
「誰も気づかない中で、君だけが私に手を差し伸べてくれた。その時からきみに夢中だ。きみを伴侶にと思って調べたらまさか侯爵家の人間だとは思わなかったけどね。」
クスクスと笑いながらルークは続ける。
「侯爵家の人間だとわかって私は歓喜した。いくら婚約指名が出来るとは言っても、平民を娶ると周りがうるさい。侯爵家であればなんの憂いもなく指名できるからね。」
確かに、婚約指名は身分を問わない。だけど、教養を身に着けている高位貴族でないと認めないと言う人もいるのだ。
王族に嫁ぐのだから、それなりの身分でないと、弱点にもなってしまい、支持も減ってしまうのである。
じゃあ、ルークは本当に私と婚約したくて話しかけてくれたの?
「舞踏会には君も来ることを事前に宰相から聞いていた。舞踏会で挨拶をして君の視界に入っていないこともわかった。」
「も、申し訳ありません…。」
笑いながら話すルークに、居た堪れない気持ちの私。
「いいんだ。君が中庭に出たとき、チャンスだと思った。適当な言い訳をしてその場を離れて、人目につかないよう君の後を追った。」
そうだったんだ…。
「それで君が王宮の料理を好んでくれていることを知って、賭けに出た。婚約のフリをしてもらって近くにいれば、甘やかせば、私の好意に気づいてくれると思ったんだ。」
「ご、ごめんなさい。」
「ふふ、君は全く悪くないんだ。そんなに謝んないで?」
「でも、全然気づかないで私は別な婚約者の代わりだと思っていました。」
だから、不用意に好きにならないように無意識に一線引いてたのかもしれない。
「それは私が悪いんだ。でも、君と過ごすうちに、君は優しさだけではなく、賢く、優秀であることも知った。惚れ直してばかりだったよ。そして、だんだんと君からの好意も少しずつ感じ取っていた。」
バレてたんだ…。
恥ずかしい気持ちでいっぱいになっていると、ルークが立ち上がり、私の前に跪いた。
「改めて言わせて。チュリ・リーヴェン侯爵令嬢、私ルーク・ド・リンデルンは、必ずあなたを守り抜くと誓います。そして生涯あなただけを愛し抜くと誓います。私と結婚してくれませんか?」
答えは一つに決まっている。
「もちろんです。私チュリ・リーヴェンは、ルーク・ド・リンデルン様を生涯愛し、支えていくと誓います。」
そうしてお互いの気持ちをたしかめあい、本当の婚約者となった二人はそっとキスをした。
あなたにおすすめの小説
怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~
美袋和仁
恋愛
ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。
しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。
怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。
なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】「元カノが忘れられないんでしょう?」と身を引いた瞬間、爽やか彼氏の執着スイッチが入りました
恋せよ恋
恋愛
「元カノが忘れられないなら、私が身を引くわくべきよね」
交際一周年、愛するザックに告げた決別の言葉。
でも、彼は悲しむどころか、見たこともない
暗い瞳で私を追い詰めた。
「僕を捨てる? 逃げられると思っているの、アン」
私の知る爽やかな王子の仮面が剥がれ落ち、
隠されていた狂おしいほどの独占欲が牙を剥く。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。