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とある日の番外編
デート
「わぁ、これは新作ね。とっても美味しい。」
「そうだな。チュリ、こっちも上手いぞ?」
「んっ!ほんとに!」
久しぶりの二人のデートはやっぱり食べることがメインだ。
チュリは未だに珍しい物や異国の物など、いろいろな料理を食している。
それにつられてルークも初めて食べる物に興味を持つようになった。
それにやっぱり出来たてが一番美味しく感じる。
最近は部屋にこもることが増えたチュリをルークは心配していた。
もちろんリークの世話をしているからなのだが、息抜きもせずにリークのために色々しては体がもたない。
それと同じくらい自分たちの時間も減っていて、チュリ不足だったこともあり、今回の休暇をもぎ取った。
今日はチュリに楽しんでもらってゆっくりとした時間を取ってほしかったので、楽しんでいるチュリを見て微笑む。
「ルークはどこへ行きたいですか?」
「チュリがいるならどこへでも。」
「もう!真面目に聞いているんです。」
「うーん。私が行きたいところなど1つしかない。」
困った顔でルークが言う。
「では、そこへ行きましょう?」
「それはだめだ。今日はチュリに楽しんでもらわないと。」
「私だってルークに楽しんでほしいです。」
「十分楽しいよ。」
なかなか言わないルークにチュリはむっとする。
ルークは自分を甘やかしすぎている。
自分の欲よりも私の望みを叶えてくれる。
私だってルークの望みを聞きたいのに。
少しだけ拗ねていると、それに気づいたルークが困った顔をする。
「ごめん。私はチュリといることが本当に楽しいんだ。許してくれる?」
「…わかってます。」
「それに、私の行きたいところなんて欲が溢れすぎていて…」
「え?」
よく聞こえなかったので、もう一度ルークに聞き返す。
するとルークが耳元に顔を寄せて囁く。
「私は部屋に戻ってチュリを甘やかしたい。」
「っ!!!!」
すっと顔が離れルークが笑った。
「だから難しいだろ?それは夜にとっておくよ。」
ルークはそう言ってくれるが、ルークだけが欲求不満だったわけじゃない。
私だって、ルークに触れてほしくて、触れたくて仕様がなかったのだ。
それにルークに求められていることが純粋に嬉しかった。
ルークは妊娠中全く私に触れてこなかった。
他で浮気しているわけではなく、抱きしめて寝るだけで満足だと言ってくれたのだ。
それでもやっぱり不安ではあった。
そして、今は昼間で、城下に来ている。
ここで自分から誘うのは結構な勇気がいる。
でも…。
「…私も…です。」
「チュリ?」
「私だってルークと触れ合っていたいです…。」
「っ!」
恥ずかしくて顔をあげられないが、ルークが驚いて息をのんだのは気づいた。
そのあと、喜びを顕にしてふわっと笑った。
「チュリ。少しだけ寄り道しよう?」
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