政略結婚相手に本命がいるようなので婚約解消しようと思います。

ゆいまる

文字の大きさ
3 / 16
本編

3

しおりを挟む


それからは会えないときも手紙のやり取りを行うことになった。


殿下の手紙は、その日の出来事、私の身を案ずる言葉、そして愛の言葉が書かれていた。
そしてリナリアの花を添えて。


「なんだか私に言われているように勘違いしてしまうわ。」


そういえば昔王宮の庭に咲いているリナリアの花を誰かと一緒に見た。
お父様だったかな?


そんなことよりお返事を書かなくては。
そのことを思い出すこともなく、殿下に返事を書いた。


なんだかやり取りをしているうちに、殿下の言葉はどんどんと直接的な言葉になっていった。

〃君に会いたい〃
〃君と話がしたい〃
〃君に触れたい〃


相手が私でなければ勘違いしていたであろう。
私ですらドキドキしてしまう。


そして殿下とのお茶会にも変化があった。
普段は私が一方的に話すことが多いのだが、殿下から聞いてくることも多くなった。
そして殿下が私を見る目も少し変わったように思う。


「今日はなにをしていた?」

「い、いつもと変わりありません。王太子妃教育をしておりました。」

「そうか、お前は優秀だと教師から聞いている。」

「ありがとうございます。」


今まで言われたこともなかったのに。


「そうだ、今度城下へ行こう。お前の好きなものが知りたい。」

「は、はい。でも、私のことを知っても意味ないのでは」

「そ、そうだったな。女性の好みがわかるように教えてほしい。」

そういうことか。

「わかりました。」

「では、詳細は後日手紙に書く。」

「はい。」


そうして殿下と出かけることになった。




「ここは今令嬢たちに人気のカフェです。」

「そうみたいだな。お前も好きで結構行くと聞いた。」

「そ、そうですね。私も気に入っております。」

「ではまた来よう。」


なんで、私の好みを知っているんだろう。
話したことなかったはず。
殿下とこうして来るなんて思っていなかったし。


カフェに入ると女性たちは一斉に殿下を見て顔を赤くする。
殿下は、表情を変えなくても綺麗な顔立ちをしているため人気なのだ。

そして私を椅子に座らせ、自分も腰掛ける。
紅茶を飲む姿でさえも様になっていて惚れ惚れする。
ふと、殿下が紅茶を一口飲んで

「美味しいな。」

微小だが微笑んだ。
その瞬間心臓が跳ね上がった。


え?え?
今までこんなことなかったのに。
なんでこんなに動悸が…。

「どうした?飲まないのか?」

「の、飲みます。」

殿下と初めて城下に行くから緊張していたんだ。
きっとそうだわ。
そう思い込んで紅茶に口づけ、心臓の高鳴りをおさえる。

「やっぱり美味しい…」

「今度の茶会はここの茶葉を使おう。」

「いいんですか?」

「ああ、好きなものを選ぶといい。」

「ありがとうございます。」


殿下は義務的なやり取りしかなかったが、今までもお茶会のケーキや茶葉は私の好きなものを選んでくれていた。
さりげない気遣いが私はとても嬉しかったことを思い出す。

このようなことをかの令嬢にもするのかしら。
そう思うとなぜか心の奥がズキッとした。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!

藤野ひま
ファンタジー
 わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。  初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!  夫や、かの女性は王城でお元気かしら?   わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!  〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】花冠をあなたに ―信じ尽くした彼女の、最期の言葉―

桜野なつみ
恋愛
病弱な婚約者を支え続けた令嬢ミリアーナ。 幼いころから彼を想い、薬草を学び、研究し、元気になったら花畑で花冠を編ごう」と約束していた。 けれど、叔母と従妹の影がその誓いをゆがめ、やがて誤解と病に蝕まれていく。 最期に彼女が残したのは――ただ一つの言葉。 全十話 完結予定です。 (最初は全四話と言っていました。どんどん長くなってしまい、申し訳ありません。)

その幸せ(偽物の)欲しいなら差し上げます。私は本当の幸せを掴むので

瑞沢ゆう
恋愛
 とある国の古都で道具屋を営む"アリーナ"は、三十歳を迎えていた。子供は居ないものの、夫と二人仲睦まじく暮らしていたのだがーー 「ごめんなさいアリーナ。私、あなたの旦那との赤ちゃんが出来たみたいなの」  幼馴染のミレナから告げられた最悪の宣告。夫を亡くしたばかりのミレナは、悲しみのあまりアリーナの夫が慰める甘い言葉にのぼせて関係を持ったという。 「すまないアリーナ。僕はミレナと一緒になるから、君はこの家を出てくれないか?」  夫と幼馴染が関係を持っただけではなく、自分の父から継いだ店を取られ家を追い出されるアリーナ。  それから一年後、木工職人としてフィギュアなどを作って生計を立てていたアリーナの元へ来訪者が現れる。 「私はあの時拾って貰った子犬だ。アリーナーー君を幸せにするため迎えにきた」  なんと、現れたのは子供の頃に拾った子犬だという。その実、その子犬はフェンリルの幼生体だった。  アリーナを迎えに来たフェンリルは、誰もが見惚れるような姿をした青年。そんな青年は、国を作り王として君臨していた。  一夜にして王国の妃候補となったアリーナは、本当の幸せを掴むため大海へと漕ぎ出していくーー ※なろう、カクヨムでも投稿中。

そんなに相談女の方が良ければお好きにどうぞ。邪魔な私たちはいなくなりますので

日々埋没。
恋愛
 貴族令嬢のカナデアは学園で初めてできた友人ミーナからある日突然裏切られる。 「うぇーん、お友達があたしのことを生意気だってイジメるのぉ。あーあ、優しく男の子に慰めてほしいなぁー」  と相談女を装いつつ男漁りを始めたミーナの流す嘘に騙され、カナデアもまた仲の良かった令息たちからも白い目で見られることとなる。  そんなある日、一つの婚約破棄事件をきっかけにカナデアは他にもミーナの被害にあった令嬢たちと一緒に休学を決意する。  傷心旅行と称してしばしバカンスを楽しんでいたカナデアたちは、やがて都合の良い引き立て役を用意できなくなったミーナの愚行とその末路を耳にすることになり……。

私の人生に、おかえりなさい。――都合のいい「お姉ちゃん」は、もうどこにもいません

しょくぱん
恋愛
「お姉ちゃんなんだから」 ――それは私を縛る呪いの言葉だった。 家族の醜い穢れを一身に吸い込み、妹の美しさの「身代わり」として生きてきた私。 痛みで感覚を失った手も、鏡に映らない存在も、全ては家族のためだと信じていた。 でも、、そんな私、私じゃない!! ―― 私は、もう逃げない。 失われた人生を取り戻した今、私は、私に告げるだろう。 「私の人生に、おかえりなさい。」

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

処理中です...