βは蚊帳の外で咽び泣く

深淵歩く猫

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楽しい楽しい新生活3

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最上階に着き、エレベーターのドアが開くと
直ぐ目の前に大きな扉が見え
命がその扉の横のセンサーに指を押し当て鍵を解除する

そして命が扉を開くとそこには白を基調とした広々とした玄関と
そこから続く開放感あふれる広いリビング…
更にその先に続くルーフテラスが目に入り洋一はその光景に圧倒される…

―――凄っ!
   玄関だけで俺がさっきまで住んでたマンションの部屋位の広さがあるよ…

洋一が玄関に入って固まっていると

「ちょっとそこのテラスから外を眺めてみるといい。
 ここからの眺望はなかなかだぞ?」

命が固まっている洋一の手をそっと握り
その手を引いて洋一をリビングからテラスへと連れ出す

「うわぁ…」

緩い風に吹かれながら
洋一は眼下に広がる夕闇に包まれつつある町並に思わず声を上げた…

「な?なかなかの景色だろ?」
「はい…凄い…綺麗…」

遮るものの何もないマンション最上階から眺めるその景色はまさに絶景で――

―――こんな景色とか見ながら食事して…
   プロポーズとか映画やドラマ何んかでよくあるシチュエーションだけど――
   命さんは此処に他の誰かを呼んで――
   一緒に食事とかしたりとかしないのかな…?
   俺なんかを急に住まわせたりなんかして――迷惑だったんじゃ…

洋一は自分の隣で同じ景色を見ている命をチラッと盗み見る
すると同じタイミングで自分の方を見た命とバッチリ目が合い――

「?どうした?」
「あ…いえ…何でも…」
「――そうか…少し冷えてきたな。中に戻るとするか。」
「…はい。」

そう言うと、命は先ほどから離さずに握っていた洋一の手を引いて
再びリビングへと戻る

「さて洋一…早速空いている部屋を見て回るか。
 ちなみにお勧めは俺の隣の部屋だが――」
「…あの…」
「ん?」
「て…」
「て…?」
「そろそろ離してもらっても…?」

洋一が未だ離そうとせず、自分の手を握りしめている命の手に視線を移す

「ああ…すまない。だがお前はぼんやりしているし――
 部屋を案内している間は別に問題はないだろう。
 さて…まずは一階からだが――」
「あの…っ、命さんお勧めの部屋でいいです!だから手を――」

離して下さい…と洋一が口を開こうとしたその時

テレレレ~レ~レ~レ~レッテレ~♪

…と、戦闘が終わったかの様な着信音が
この微妙な空気流れるリビングに突然流れ
洋一は慌ててスマホをポケットから取り出すとかかってきた電話に
名前も確認せず、何処か助けを求めるような気持ちで思わず出た…
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