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狼VS鬼
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「いっ……ってぇー…じゃねーか…畜生…」
狼が命からの回し蹴りをもろに食らい、後ろに数歩後ずさりながらよろめく
「…ほお…?」
―――俺の蹴りを食らってもまだ立っていられるのか…
これは意外…と、命が感心しながらも
よろめく狼に向かって表情を変える事無くツカツカと歩み寄り
止めと言わんばかりに再び狼に回し蹴りを放つ
「フッ…w」
しかし狼は口角を上げた不敵な笑みを浮かべると
鞭の様にしなりながら繰り出される命の回し蹴りを
両手で難なく受け止め――
「ッ!?」
受け止めた命の足の踵とつま先部分を両手で掴み
狼が掴んだその足をハンドルをひねる様にして力を込めてクンッと回す
「く…ッ、」
すると掴まれた足を回された勢いで
命の軸足としていた方の足が耐えきれずにバランスを崩し
「ッ、」
命の身体が一瞬フワッと浮き上がったかと思うと
そのまま背中からコンクリートの上に倒れ込んだ…
「ぐ、ぅ…っ、」
コンクリートに強(したた)か背中を打ちつけた命は衝撃で息が詰まる
そこに狼が追い打ちをかけるようにして倒れている命の腹目がけ
踏みつけるようにして足を勢いよく振り下ろすが
命は咄嗟に横に転がる様にしてソレをかわし
辺りにダンッ!と狼の靴底がコンクリートを踏み鳴らす乾いた音が響く…
「チッ…かわすなよ…めんどくせー野郎だなぁ~…」
狼が埃を払いながらその場に立ち上った命に対し、苛立ちながら舌打ちをすると
チラリと命の後ろの方で
命にかけられた上着のフロント部分を手で閉じるようにギュッと握りしめながら
不安げな表情で事の成り行きを見守っている洋一の姿を目で捉える…
―――邪魔さえ入らなければ今頃は――
洋一から漂う甘い香りと微かな血の匂い…それと闘争心を煽るマーキング臭で
狼のジーパンに仕舞いこんだ欲望が再び熱を持ち始め
洋一を見ながら舌なめずりをしだした狼に、命が狼から洋一を隠すように
その視線の前に立ちはだかる
「…洋一の方を見るな。」
「あ”ん?」
「貴様が洋一を見る事は許さない。」
命が先程泣いている洋一を襲っている狼の姿を思いだし
表情を険しくしながらその視線は更に鋭さを増す
「はっ!誰かを見るのに許可なんか要るのかよっ!」
狼が命の顔面目がけ、その長い腕でしなるようなパンチを繰り出し
命がソレを片手で顔の横に払う様にしながら受け流すと
透かさず狼の懐へと潜り込み
もう片方の手で狼の着ていたTシャツの胸倉に掴みかかり
片足で狼の片足を払うと
「ッ!?うおっ…」
バランスを崩した狼の身体を
そのまま胸倉を掴んでいる手で押すようにして
命が自分よりも幾分大きな狼のその躯体を
勢いよくコンクリートの地面の上へと押し倒す
「ッ、このっ、」
狼が今もなお自分の事を押えつけている命の後頭部目がけ
片足を反動をつけながら勢いよく振り上げるが
命がパッと狼から離れ、振り上げた狼の足は虚しく空を切り
―――クソが…
狼は舌打ちをしながらその場にのそっと立ち上る…
「…中々やるじゃねーか…ところで――物は相談なんだけどさ――」
「ッ?!」
狼が突然その長い腕で命の胸倉を掴むと、その身体を自分の方へと引き寄せ
命の耳元で狼が低い声で囁いた…
「お前をぶっ倒したら――
あのβくん…俺が貰ってもいい?“命さん”w」
「ッ!」
狼のその一言に命は自分の胸倉を掴んでいる狼の手を払いのけ
咄嗟に掌底を狼の胸に叩き込みながらその距離を離す
「洋一はやらん!下郎が…っ、」
狼の無遠慮なその一言に、命の内側から怒りが沸々とこみ上げてくる…
「ぐッ…なんでぇ~?wいーじゃ~ん別に…“たかが”βの男だろ?w」
「…“たかが”?」
わざとなのか…先程から命の神経を逆なでしてくるような狼の言葉に
命のこめかみがピクピクと脈打ち、命の形相がまるで鬼のように変わっていく…
「だってそーだろぉ~?βの男なんてαからしたら取るに足らなない存在だし…
孕めないんだから“オモチャ”にする以外βの男なんて
なんの使い道があるっていうんだよ?…なぁ?命さんよぉ…w」
クツクツと…狼が喉を鳴らしながら卑下た笑みを浮かべ
それを聞きいた命の怒りが怒髪冠(どはつかんむり)を衝(つ)く
「…貴様だけは…この場で引導を渡してくれる…」
命の金色の瞳が怒りでユラユラと揺れ出したその時
「ろっ…狼さん大変ですっ!!」
先程逃げだした狼の仲間が血相を変えて戻ってきた
「どうした?」
「けっ…警察が…っ!」
「警察ぅ~?」
狼が顔を上げ、周囲の様子を伺う
すると遠くの方からワンワンとサイレンの様な音が聞こえ――
「…チッ、おいオメーらっ!ずらかるぞっ!!
そいじゃあβくん、さっきの続きはまた今度なw」
「ッ、貴様ッ!」
命は思わず逃げていく狼を追おうとしたが
「命さん…」
弱弱しい声で泣きながら自分の名を呼ぶ洋一の声にハッと我に返ると
心許なさげにその場に座り込んでいる洋一の元へと駆け寄り
命が洋一の身体を抱きしめながらその耳元に、優しい声色で呟いた…
「…待たせてしまってすまない…洋一…帰るぞ。」
「ッ、…はい…、」
狼が命からの回し蹴りをもろに食らい、後ろに数歩後ずさりながらよろめく
「…ほお…?」
―――俺の蹴りを食らってもまだ立っていられるのか…
これは意外…と、命が感心しながらも
よろめく狼に向かって表情を変える事無くツカツカと歩み寄り
止めと言わんばかりに再び狼に回し蹴りを放つ
「フッ…w」
しかし狼は口角を上げた不敵な笑みを浮かべると
鞭の様にしなりながら繰り出される命の回し蹴りを
両手で難なく受け止め――
「ッ!?」
受け止めた命の足の踵とつま先部分を両手で掴み
狼が掴んだその足をハンドルをひねる様にして力を込めてクンッと回す
「く…ッ、」
すると掴まれた足を回された勢いで
命の軸足としていた方の足が耐えきれずにバランスを崩し
「ッ、」
命の身体が一瞬フワッと浮き上がったかと思うと
そのまま背中からコンクリートの上に倒れ込んだ…
「ぐ、ぅ…っ、」
コンクリートに強(したた)か背中を打ちつけた命は衝撃で息が詰まる
そこに狼が追い打ちをかけるようにして倒れている命の腹目がけ
踏みつけるようにして足を勢いよく振り下ろすが
命は咄嗟に横に転がる様にしてソレをかわし
辺りにダンッ!と狼の靴底がコンクリートを踏み鳴らす乾いた音が響く…
「チッ…かわすなよ…めんどくせー野郎だなぁ~…」
狼が埃を払いながらその場に立ち上った命に対し、苛立ちながら舌打ちをすると
チラリと命の後ろの方で
命にかけられた上着のフロント部分を手で閉じるようにギュッと握りしめながら
不安げな表情で事の成り行きを見守っている洋一の姿を目で捉える…
―――邪魔さえ入らなければ今頃は――
洋一から漂う甘い香りと微かな血の匂い…それと闘争心を煽るマーキング臭で
狼のジーパンに仕舞いこんだ欲望が再び熱を持ち始め
洋一を見ながら舌なめずりをしだした狼に、命が狼から洋一を隠すように
その視線の前に立ちはだかる
「…洋一の方を見るな。」
「あ”ん?」
「貴様が洋一を見る事は許さない。」
命が先程泣いている洋一を襲っている狼の姿を思いだし
表情を険しくしながらその視線は更に鋭さを増す
「はっ!誰かを見るのに許可なんか要るのかよっ!」
狼が命の顔面目がけ、その長い腕でしなるようなパンチを繰り出し
命がソレを片手で顔の横に払う様にしながら受け流すと
透かさず狼の懐へと潜り込み
もう片方の手で狼の着ていたTシャツの胸倉に掴みかかり
片足で狼の片足を払うと
「ッ!?うおっ…」
バランスを崩した狼の身体を
そのまま胸倉を掴んでいる手で押すようにして
命が自分よりも幾分大きな狼のその躯体を
勢いよくコンクリートの地面の上へと押し倒す
「ッ、このっ、」
狼が今もなお自分の事を押えつけている命の後頭部目がけ
片足を反動をつけながら勢いよく振り上げるが
命がパッと狼から離れ、振り上げた狼の足は虚しく空を切り
―――クソが…
狼は舌打ちをしながらその場にのそっと立ち上る…
「…中々やるじゃねーか…ところで――物は相談なんだけどさ――」
「ッ?!」
狼が突然その長い腕で命の胸倉を掴むと、その身体を自分の方へと引き寄せ
命の耳元で狼が低い声で囁いた…
「お前をぶっ倒したら――
あのβくん…俺が貰ってもいい?“命さん”w」
「ッ!」
狼のその一言に命は自分の胸倉を掴んでいる狼の手を払いのけ
咄嗟に掌底を狼の胸に叩き込みながらその距離を離す
「洋一はやらん!下郎が…っ、」
狼の無遠慮なその一言に、命の内側から怒りが沸々とこみ上げてくる…
「ぐッ…なんでぇ~?wいーじゃ~ん別に…“たかが”βの男だろ?w」
「…“たかが”?」
わざとなのか…先程から命の神経を逆なでしてくるような狼の言葉に
命のこめかみがピクピクと脈打ち、命の形相がまるで鬼のように変わっていく…
「だってそーだろぉ~?βの男なんてαからしたら取るに足らなない存在だし…
孕めないんだから“オモチャ”にする以外βの男なんて
なんの使い道があるっていうんだよ?…なぁ?命さんよぉ…w」
クツクツと…狼が喉を鳴らしながら卑下た笑みを浮かべ
それを聞きいた命の怒りが怒髪冠(どはつかんむり)を衝(つ)く
「…貴様だけは…この場で引導を渡してくれる…」
命の金色の瞳が怒りでユラユラと揺れ出したその時
「ろっ…狼さん大変ですっ!!」
先程逃げだした狼の仲間が血相を変えて戻ってきた
「どうした?」
「けっ…警察が…っ!」
「警察ぅ~?」
狼が顔を上げ、周囲の様子を伺う
すると遠くの方からワンワンとサイレンの様な音が聞こえ――
「…チッ、おいオメーらっ!ずらかるぞっ!!
そいじゃあβくん、さっきの続きはまた今度なw」
「ッ、貴様ッ!」
命は思わず逃げていく狼を追おうとしたが
「命さん…」
弱弱しい声で泣きながら自分の名を呼ぶ洋一の声にハッと我に返ると
心許なさげにその場に座り込んでいる洋一の元へと駆け寄り
命が洋一の身体を抱きしめながらその耳元に、優しい声色で呟いた…
「…待たせてしまってすまない…洋一…帰るぞ。」
「ッ、…はい…、」
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