特殊な学園でペット扱いされてる男子高校生の話

みき

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ペット達

朝、目を覚ます。
顔を洗って用を足し、朝食を摂って身支度を整える。
部屋のインターホンが鳴る。
扉を開けるとそこに居るのは主人。
制服に袖を通して靴を履き、主人と共に校舎へ向かうために部屋を出る。

この流れは、今日でもう3日目になる。
昨日も特に会話のない登校であったし、主人が一体何を考えているのか、俺には理解できない。

部屋を出て主人と肩を並べ、数メートル程寮の廊下を進んだときだった。

「ぁ、…あの……っ」
俺たちの背から呼びかけられた控えめな声。
振り向くと、見覚えのある、小柄な男子生徒が立っていた。
こいつ確か…

「黒沼のペットじゃん。」

主人が代わりに言った。
そうだ。3日前、俺がかばった黒沼のペットだ。
この間は意識が向かなかったけれど、生徒の細い首に填められた黒い首輪が、今日はやけに目立って見えた。

「何か用?君の飼い主はまだ謹慎中でしょ?あいつからの恨み言の伝言とかならまじで要らないから、消えてよ」

主人が不機嫌そうに告げるとその生徒は一度ビクリと震えた。

「ち、違います竜前様っ…あの……は、話があって…」
「話?早く言いなよ」
「っ…ぁ…、あの…」

そいつは怯えながらも俺の方を窺うようにチラチラと見上げた。
その様子を見て、俺は気付いた。

……ああ…話があるのは主人の方じゃなくて……

「…凪」
「何?」
「こいつと二人きりで話したい」

「…は?」
「い、一条さん…」

俺の言葉に生徒がオロオロと狼狽える。
主人も眉間にシワを寄せて俺を見た。

「…君、俺に意見できる立場じゃないでしょ。話があるならここで話しなよ。俺の目の前で。」

「……お願いします、…凪様」
「何その棒読み。全然心こもってない。」
「……少しの間だけでいい。…『ペット同士』が、二人で話すのはダメなのか…?」

“ペット二人きりでの会話を禁止する”なんて校則はないはずだ。
主人の機嫌を損ねないように注意しつつ、懇願の目を向ける。

「……」
しばらくの間、無言で見つめ合う。
先に目をそらしたのは、主人の方だった。

「……もう……いいや面倒くさい。二人きりで話すだけなら許してあげるよ。どうせ俺たち飼い主の悪口が言いたいんでしょ。」

主人はため息をつくと、俺の寮部屋のすぐ隣、廊下の壁にもたれた。

「ここで待ってるから、部屋の中で話してきなよ。」
「凪…」
「ただし許可するのは10分間だけね。
1分でも出てくるのが遅れたら、お仕置きだよ奏多」
「……ああ」

相変わらずの主人の横暴ぶりには反吐が出るが、許可が出ただけでもマシなのかもしれない。
俺は生徒に目配せをし、先ほど出たばかりの己の部屋の扉を、再び開けた。

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