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「五十嵐、今日もすげーな」
「ああ…なんつーか、エロい」
「噂で聞いたんだけど、五十嵐ってウリやってるらしいぜ」
「は?何それ」
「まじで?」
「まじまじ。なんか金払えば相手してくれるらしいぜ?中山先輩とか清水先輩ともヤってるらしい」
「まじかよ…どうりで一緒にいるとこよく見かけると思った」
「ヤらしてくれんならお願いしようと思ってたけど…清水先輩のお気に入りとか…手出したら殺されんじゃねーの?」
「だよな…」
「でも……ヤりてぇな…」
「ああ…」
そんな会話が僕の前の前の席、教室の中でされているのを耳にしてしまった。
五十嵐廉は、隣のクラスの男子生徒の名だ。
友人ではないけれど、知っている。
この学校の有名人の1人だ。
とても綺麗な顔をしていて、纏う雰囲気も、どこか妖艶。
肌が白くて、身体の線が細くて、笑うと可愛い。
この学校は男子校だけど、五十嵐くんに好意を寄せている生徒は数え切れないほどいると思う。
…かく言う僕も、その1人だ。
そんな彼と関わることなど、一生ないと思っていたのに…。
昨日の準備室でのことを、僕は思い出す。
先生に雑用を頼まれて、ノートを集めて準備室まで運ぶことになった。
扉を開けたら、半裸の五十嵐くんと、中山先輩がキスをしていた。
あれは…さっきクラスメートが話していたウリの現場だったんだろうか。
中山先輩に殴られる直前、彼は先輩をさりげなく止めてくれたように思えた。落ちたノートも拾ってくれたし、僕なんかに声をかけてくれた。
昨日初めて話した彼は、想像していたよりも優しくて…セクシーで…って、僕は何を…
ドンっ!
「痛っ」
昨日のことを思い出しながら廊下を歩いていたら、曲がり角からやってきた誰かとぶつかってしまった。
おもわず尻餅をつく。謝ろうと、顔をあげる。
「ご、ごめんなさ…」
「あれ?」
「っ!」
そこにいたのは、今まさに考えていたその人……五十嵐廉だった。
「君…昨日の子?だよね?」
「…っ、」
「あはは。すごい偶然。ぶつかってごめんねー。ケガはない?」
目の前で笑う彼を見て、胸がきゅっとなった。
「平気だよ…五十嵐、くん…」
「へぇ。俺のこと知ってるんだ。同じクラス…ではないよね?」
「う、うん…隣のクラス…」
「名前はー?」
「え…柳原、翔太」
「ふーん、柳原くんねー。昨日は変なとこ見せてごめんね?早いとこ忘れちゃってー」
「……ウリしてるって噂、ほんとだったんだ」
「あー…もうそんなに広まっちゃってんだね。ま、いっか別に。事実だし。言いたいなら言えばいいよ。それじゃあねー」
「あ…」
彼の背が、遠ざかってしまう。
「っ言ったり、しないから!」
大きな声が、出てしまった。
彼が驚いたように振り向く。
心臓が、ドキドキする。
「誰にも、言いふらしたりしないから」
彼は、僕を見て、にこりと笑った。
「…そ?ありがと。じゃあねー柳原くん」
手をヒラヒラと振りながら立ち去る彼を、ただ見送った。
「ああ…なんつーか、エロい」
「噂で聞いたんだけど、五十嵐ってウリやってるらしいぜ」
「は?何それ」
「まじで?」
「まじまじ。なんか金払えば相手してくれるらしいぜ?中山先輩とか清水先輩ともヤってるらしい」
「まじかよ…どうりで一緒にいるとこよく見かけると思った」
「ヤらしてくれんならお願いしようと思ってたけど…清水先輩のお気に入りとか…手出したら殺されんじゃねーの?」
「だよな…」
「でも……ヤりてぇな…」
「ああ…」
そんな会話が僕の前の前の席、教室の中でされているのを耳にしてしまった。
五十嵐廉は、隣のクラスの男子生徒の名だ。
友人ではないけれど、知っている。
この学校の有名人の1人だ。
とても綺麗な顔をしていて、纏う雰囲気も、どこか妖艶。
肌が白くて、身体の線が細くて、笑うと可愛い。
この学校は男子校だけど、五十嵐くんに好意を寄せている生徒は数え切れないほどいると思う。
…かく言う僕も、その1人だ。
そんな彼と関わることなど、一生ないと思っていたのに…。
昨日の準備室でのことを、僕は思い出す。
先生に雑用を頼まれて、ノートを集めて準備室まで運ぶことになった。
扉を開けたら、半裸の五十嵐くんと、中山先輩がキスをしていた。
あれは…さっきクラスメートが話していたウリの現場だったんだろうか。
中山先輩に殴られる直前、彼は先輩をさりげなく止めてくれたように思えた。落ちたノートも拾ってくれたし、僕なんかに声をかけてくれた。
昨日初めて話した彼は、想像していたよりも優しくて…セクシーで…って、僕は何を…
ドンっ!
「痛っ」
昨日のことを思い出しながら廊下を歩いていたら、曲がり角からやってきた誰かとぶつかってしまった。
おもわず尻餅をつく。謝ろうと、顔をあげる。
「ご、ごめんなさ…」
「あれ?」
「っ!」
そこにいたのは、今まさに考えていたその人……五十嵐廉だった。
「君…昨日の子?だよね?」
「…っ、」
「あはは。すごい偶然。ぶつかってごめんねー。ケガはない?」
目の前で笑う彼を見て、胸がきゅっとなった。
「平気だよ…五十嵐、くん…」
「へぇ。俺のこと知ってるんだ。同じクラス…ではないよね?」
「う、うん…隣のクラス…」
「名前はー?」
「え…柳原、翔太」
「ふーん、柳原くんねー。昨日は変なとこ見せてごめんね?早いとこ忘れちゃってー」
「……ウリしてるって噂、ほんとだったんだ」
「あー…もうそんなに広まっちゃってんだね。ま、いっか別に。事実だし。言いたいなら言えばいいよ。それじゃあねー」
「あ…」
彼の背が、遠ざかってしまう。
「っ言ったり、しないから!」
大きな声が、出てしまった。
彼が驚いたように振り向く。
心臓が、ドキドキする。
「誰にも、言いふらしたりしないから」
彼は、僕を見て、にこりと笑った。
「…そ?ありがと。じゃあねー柳原くん」
手をヒラヒラと振りながら立ち去る彼を、ただ見送った。
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