淫魔と俺の性事情

みき

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いろいろ置き場

二人きりの夜 拓海視点

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仕事を終えて自宅アパートの扉を開ける。
途端に感じた違和感。
部屋の奥、窓枠に腰掛ける人影が見えたからだ。
アレクは今日の朝に魔界に行くと言って出て行ったし、戻るのは明日と言っていたのに。

部屋の暗闇に目が慣れてくる。
やはり誰かいる。大きな羽根も、背から生えているのがわかる。

月明かりが、その人影を照らした。

え……なん、で?


「いっ…いんまおう、さま…?」
「オーウェンでいいよ。突然押し掛けてすまないね。タクミくん」
「な、…なにをしに…ここへ?」
「ふふ……君と話をしに、…だよ」

月を背にして、妖艶に微笑むそいつは、まるで美しい絵画のようだった。




とりあえず部屋の明かりをつけて正座をして、王様の前に姿勢を正して座る。
ガチガチに緊張する俺を見て、王様は「楽にしていいよ」と笑った。

「まずあの日のことを詫びようか。許可なく君に能力を使った。私はどうやら知的好奇心を我慢できないタイプの淫魔なんだ。すまなかったね」
「…いえ…こちらこそ変なとこ、見せて…お目汚し失礼しました…早く…忘れて…ください…」

あの時のことはあまりはっきりとは覚えていないけれど、この人の前でアレクとシたんだよな……ああ…恥ずかしすぎる。

王様は一度言葉を切ると、ゆっくり語り出した。

「私はね、アレクをとても気に入っているんだ。」
「っ……」
「あの子は私に媚びへつらったりしないし、正直だ。ああ、見目みめも好きだよ。美しいよね。」
「……はい…」
「私は彼を昔から…それこそ学生の頃から知っているんだが、今のアレクは、その頃とはまるで違う。
何に対しても強い興味関心を示さず惹かれず執着もせず…人間に対する扱いも酷いものだった彼が、他人を想い、慈しむことができるようになった。…君が、あの子を変えたんだね。」
「……そんな、ことは…」
「事実、彼に愛を教えたのは君だよ。誰にも出来なかったことだ。…私にもね。」
「……」
「私はただひたすらに、あの子の幸せを望んでいるんだ。…アレクをよろしく頼むね。タクミくん」

王様は俺の頬を優しく一撫ですると、少しだけ寂しそうに笑った。

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