45 / 69
副団長 × アミル
約束にも満たない
しおりを挟む何度も揺さぶられ快楽を吐き出した身体をぐったりと横たえ息を落ち着ける。
いつの間にかすっかり夜も更けていてどれだけの間繋がっていたのかわからない。
「大丈夫? ほら、ポーション飲みな」
そう言って封を開けたポーションを口に突っ込まれる。
瓶に上級と書かれているのに気づいたが口を付けた後ではどうしようもないのでそのまま飲み下していった。
底に残った分だけでも疲労回復に効果があるくらいのポーションだ。
すぐにダルさも抜け、酷使し傷んでいた身体も調子を取り戻していく。
「カイルは大丈夫ですか?」
「俺? 大丈夫だよ」
体力が戻ると酷くお腹が空いていることに気づき、用意してあった軽食へ手を伸ばす。
用意周到な準備に呆れつつもありがたかった。
「もう一回する?」
「さすがにそれは……、出発に間に合わなくなりますよ」
それもそうかと言うカイルに恐れを抱く。
まだするつもりがあったなんて。
食べ終えて落ち着くとじゃあ少し寝ようかと言われる。ポーションで体力は回復しても寝ないともたないからと。
席を立つカイルに疑問をぶつける。
「僕は良いですけれどカイルは眠れるんですか?」
「ん?」
「人がいると眠れないんじゃないですか?」
あの町で宿に泊まったときもあまり休めていないようだった。
「ああ、大丈夫だよ。
このくらい休めれば十分かなってくらいは休めてるから」
また微妙な返答をされる。
それは休めていないって意味じゃないだろうか。
「アミルは邪魔にはならないから大丈夫」
本当ですかと問うと嘘は言わないよと返ってきた。
カイルはわかりにくい言い方をするし煙に巻くような表情で誤魔化すこともある。
けれど、多分。
完全な嘘を吐かれたことはない。
邪魔にならないと言うのなら邪魔ではないのだ。きちんとした休養にはならなくても。
寝転んだカイルから手招きをされてベッドに膝を付く。
軽く掛けただけの上掛けからは鍛えられた身体が覗き、見下ろすアミルの視線を引きつけた。
きれいに拭われた腹筋を見てぞくりと興奮が蘇りそうになる。
アミルの視線を受けてカイルが笑う。
何を想像していたのかわかっているみたいに。
「寝るんでしょ?」
もうしないんじゃないのとからかうような表情。
体力が回復したとはいえ今日はもう十分だとアミルだって思ってる。
それと想像する自由は別の話だ。
いつか飛沫を散らした腹筋に手の平を乗せ願いを口にする。
「いつかカイルの奥を汚させてください」
「…………気が向いたらね」
たっぷり間があって返事が返される。
カイルの答えに勝手に笑みが作られる。
拒否はされなかったことに驚きと喜びが同時に浮かぶ。
いつかの剣を選んでもらう話に続いて2つ目の願いだ。
約束ではない、けれど。
側にいるのが未来まで続くのなら。叶えてくれる日が来るかもしれない。
そう思うと今を重ねるのが楽しみになる。
笑っているとカイルの腕が伸ばされベッドの中に引きずり込まれた。
「明日も早いんだからさっさと寝な」
目元を覆う手に目を閉じる。
すぐに眠気は訪れた。
明日目が覚めたときもカイルは同じベッドにいるだろうか。
目を覚ます楽しみが、眠るのがもったいないという気持ちを静めていく。
腕に頭を寄せると頬に何かが触れた。
拘束のような腕を心地よいと感じる自分はおかしな人間かもしれない。
けれど、そんなことはどうでもよくなる。
落ちていく眠りに抗う気持ちは皆無だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる