1 / 2
プロローグ
厄災の記憶
しおりを挟む
その日、空は――悲鳴を上げた。
20XX年9月13日午前3時26分。
アメリカ・モンタナ州上空を通過していた通信衛星群が突如、全系統の接続を喪失した。
12分後、世界各地の観測機関が“軌道外の未確認天体”を感知。
その物体は、計算では到底説明のつかない速度と角度で――まるで意志を持つように、地球へと落下した。
落下地点は、ネバダ州北部の無人砂漠地帯。
直径3.2キロの隕石。衝突と同時に生まれた火柱は高さ数百メートルに達し、
爆発音は400km離れたサンフランシスコでも記録されている。
この事件は後に**「ネメシス・インパクト」**と呼ばれる。
しかし、真の厄災はその直後に始まった。
クレーターから数日後、**“ガス”**が立ち上った。
色も匂いもないその微粒子は、風に乗って拡散し――
やがて、周囲数百km圏内に住む人間の一部に、異常な身体変化をもたらした。
筋力・知能・神経伝達の異常発達。
原因不明の感覚の重複、あるいは幻視。
そして、**世界の理に逆らう“力”**の発現。
人々はそれをこう呼んだ――
「アブノーマル(異能者)」
政府はただちに隕石付近を封鎖。感染・変異の報告は隠蔽された。
だが、変化は止まらなかった。
わずか1年後、**「異能の力による初のテロ事件」**が発生。
2年後、複数国で似たような“力”を持つ者が現れ始め、
5年後、アメリカは事実上の分裂状態に陥っていた。
能力は、感染した者だけではなかった。
あるいは“ガスを吸った”その人間の子孫にも遺伝し始めたのだ。
世界は恐れた。
人間が、人間でなくなる日を。
そして現在――
ネメシス・インパクトから約40年が経過した地球は、
もはやかつての姿をほとんど残していない。
能力者たちは国家を捨て、新たな三つの陣営を形成した。
【正義(オーソドックス)】
秩序と法による力の管理を掲げる、かつての軍や政府系能力者による集団。
だがその“正しさ”は、時に個を殺す独善へと変わる。
【悪(カオス)】
力こそが全てと掲げる無政府主義者の集団。
虐殺・支配・崩壊を喜ぶ者たちが集い、戦争を拡大させている。
【中立(リビングゾーン)】
戦えない者たちが生き延びるために築いた仮初の共同体。
日々の生活を守るため、傭兵や密売、あらゆる裏取引が横行する。
滅びかけたこの星で、まだ人々は生きている。
誰かを守るために。
誰かを殺すために。
そして――
ある少年の名が、やがてこの戦場に刻まれることを、
まだ誰も知らなかった。
名を、結城 圭。
記憶力だけが取り柄の、ただの「めんどくさがり」。
だが彼こそが、滅びかけの地球に残された**最後の「記録」**となる。
20XX年9月13日午前3時26分。
アメリカ・モンタナ州上空を通過していた通信衛星群が突如、全系統の接続を喪失した。
12分後、世界各地の観測機関が“軌道外の未確認天体”を感知。
その物体は、計算では到底説明のつかない速度と角度で――まるで意志を持つように、地球へと落下した。
落下地点は、ネバダ州北部の無人砂漠地帯。
直径3.2キロの隕石。衝突と同時に生まれた火柱は高さ数百メートルに達し、
爆発音は400km離れたサンフランシスコでも記録されている。
この事件は後に**「ネメシス・インパクト」**と呼ばれる。
しかし、真の厄災はその直後に始まった。
クレーターから数日後、**“ガス”**が立ち上った。
色も匂いもないその微粒子は、風に乗って拡散し――
やがて、周囲数百km圏内に住む人間の一部に、異常な身体変化をもたらした。
筋力・知能・神経伝達の異常発達。
原因不明の感覚の重複、あるいは幻視。
そして、**世界の理に逆らう“力”**の発現。
人々はそれをこう呼んだ――
「アブノーマル(異能者)」
政府はただちに隕石付近を封鎖。感染・変異の報告は隠蔽された。
だが、変化は止まらなかった。
わずか1年後、**「異能の力による初のテロ事件」**が発生。
2年後、複数国で似たような“力”を持つ者が現れ始め、
5年後、アメリカは事実上の分裂状態に陥っていた。
能力は、感染した者だけではなかった。
あるいは“ガスを吸った”その人間の子孫にも遺伝し始めたのだ。
世界は恐れた。
人間が、人間でなくなる日を。
そして現在――
ネメシス・インパクトから約40年が経過した地球は、
もはやかつての姿をほとんど残していない。
能力者たちは国家を捨て、新たな三つの陣営を形成した。
【正義(オーソドックス)】
秩序と法による力の管理を掲げる、かつての軍や政府系能力者による集団。
だがその“正しさ”は、時に個を殺す独善へと変わる。
【悪(カオス)】
力こそが全てと掲げる無政府主義者の集団。
虐殺・支配・崩壊を喜ぶ者たちが集い、戦争を拡大させている。
【中立(リビングゾーン)】
戦えない者たちが生き延びるために築いた仮初の共同体。
日々の生活を守るため、傭兵や密売、あらゆる裏取引が横行する。
滅びかけたこの星で、まだ人々は生きている。
誰かを守るために。
誰かを殺すために。
そして――
ある少年の名が、やがてこの戦場に刻まれることを、
まだ誰も知らなかった。
名を、結城 圭。
記憶力だけが取り柄の、ただの「めんどくさがり」。
だが彼こそが、滅びかけの地球に残された**最後の「記録」**となる。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
それは思い出せない思い出
あんど もあ
ファンタジー
俺には、食べた事の無いケーキの記憶がある。
丸くて白くて赤いのが載ってて、切ると三角になる、甘いケーキ。自分であのケーキを作れるようになろうとケーキ屋で働くことにした俺は、無意識に周りの人を幸せにしていく。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる