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第4話 夢の罠に掛かる
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セファン先輩の乾杯の音頭から始まった食事会。出てくる料理は全ておいしくて、クラフトコーラも不思議な味だが、飲みやすくて普通のコーラより好きだった。
そこからは色々な話をした。先輩たちの体験談や色んな面白い話、噂話など。
そして、そのうち自分の話になり、気づいたらアイドルになってからの大きな悩みの相談を二人にしていた。
「他のメンバーに比べて役に立っていないんです、俺。元々日本の養護施設で育ったし、身寄りもいなくて、他のメンバーみたいにコネも特技もなくて……
でも、メンバーの末っ子のヤンジウって子がいるんですけど、その子は才能の塊で……俺足引っ張ってたらと思うと……」
それを聞いていた二人の先輩は、俺の話を聞きながら慰めてくれた。暫くして、セファン先輩は悩んだ素振りをしたあと、口を開いた。
「一つだけ、グループの中でシグレくんだから出来ることがあるよ」
「え?」
「そう、シグレくんだけ。ただちょっと、特殊な仕事なんだよね、ただ守秘義務もあるし、うまく行けば、グループの知名度も鰻登り、有名になれると思うよ。マネージャーとかにはちゃんとこちらが話すしさ」
「そんな、仕事があるんですか?」
「あるとも、シグレくんの力になりたいんだ。イファンもこの仕事で、今じゃ映画スターだからな。なぁ?」
「おう。どう? 俺が教えてやるし、安心して:一緒に仕事しようぜ|」
イファン先輩も優しく、声をかけてくれる。
セファン先輩も知名度高い人だし、なによりマネージャーにちゃんとやってこいと言われて、この接点は大事にしたかった。
そして、俺は何も知らない純粋な子供だった。なによりも、有名になれば、ジウのことを世間に知らしめられると思ったんだ。上手い話には裏がある、なんて考えればわかったはずなのに。
「是非、やりたいです」
でも、浮足立った俺はその甘い蜜に飛び込んだ。
勢いのまま、返事をした俺は、食肉植物の罠に引っかかったか弱き蝶だった。
ご飯食べ終えた後、最初にマネージャーに聞いてた通り、セファン先輩の運転手によって家に帰る。アイドルは宿舎という場所に帰る。部屋に入ると、皆の食べ汚れた皿や脱ぎ散らかし等が残っている。俺は慣れたように皿を洗い、脱ぎ散らかった服を洗濯機に入れた。
その日はその後すぐに寝た。
一週間後。また、セファン先輩の誘いがマネージャー経由であった。今度事務所の車に乗って着いた場所は、一つの高級な低層マンション。決して、今自分が来ているプチプラの服で来る場所ではない。
それでもマネージャーに言われる、恐る恐る中に入る。すぐに中にいた黒服の人が「お待ちしておりました」とやってきた。その黒服に案内されるがまま、顔写真を撮られ、来訪者記入カードに記入する。
一体、何が起きているんだ?
まだまだ混乱したまま、黒服に連れてかれたゲストルームのような場所には、なんとイファン先輩がいた。
「イファン先輩、こんばんは」
「シグレよく来たな」
イファン先輩がかっちりした蝶ネクタイのスーツを着ており、その隣には、なぜか見たことある人が立っていた。隣の人は年配のおじさんで、ぽっちゃりとした体をしており、鍛えられた肉体美という言葉が似合うイファン先輩の隣りにいるのは少しばかり不思議な感じだ。
「この子は?」
「ソンギ兄さん、もう少しで『ラニュイ』というグループでデビューするアイドルの子です」
「『ラニュイ』の金山時雨です。よろしくおねがいします」
「ああ、日本人の子か。私は、ブソンギ。映画監督をしている。『花葬』観てくれたんだよね、ありがとう」
「は、はい! 見ました! とても感動しました」
隣りにいたのは映画監督の中でも著名で、近年映像において世界的な賞を何度か監督賞受賞している人だった。
なんで、そんなすごい人がここにいるのだろう。
あまりにも場違いな自分は思わず縮こまるが、イファン先輩は「大丈夫、俺たちが選んでおいたから」と落ち着かせようと背中を撫でてくれる。
そんなゲストルームに、今度はセファン先輩が入ってきた。
「シグレ、お待たせ。君に紹介したい人がいるんだ。紹介お願いしてもよろしいですか?」
「ああ勿論、どうも、キムジノです。テレビ局でプロデューサーをしています。シグレくんはじめまして」
「はじめまして、金山時雨です。お会いできて光栄です」
その時、出会ったのがキムジノプロデューサーだ。
キムジノプロデューサーは、にこにこ優しそうに見える笑顔で僕に握手を求めてきた。差し出された片手を包むように両手で握手すると、キムジノプロデューサーは少しびっくりしたような顔をしたあと、「これはこれは可愛いな」と言っていたのを覚えている。
イファン先輩と監督が、その様子を見たあと、「では、私達はパーティー会場に向かうから」とわざとらしく俺の前で恋人のように腕を組んで出ていく。セファン先輩も「腕組むか手を繋ぐのがパーティー会場に入るときのルールだからな」と言い、俺とキムジノプロデューサーに腕を組むように言う。
俺が戸惑っていると、キムジノプロデューサーは腕を出してきたので、無下にする訳にもいかない。「失礼します」とひと声かけて、おずおず腕を組んだ。
そして、殆ど流されるようにして、ゲストルームから出て、パーティー会場に連れてかれる。
そこからは色々な話をした。先輩たちの体験談や色んな面白い話、噂話など。
そして、そのうち自分の話になり、気づいたらアイドルになってからの大きな悩みの相談を二人にしていた。
「他のメンバーに比べて役に立っていないんです、俺。元々日本の養護施設で育ったし、身寄りもいなくて、他のメンバーみたいにコネも特技もなくて……
でも、メンバーの末っ子のヤンジウって子がいるんですけど、その子は才能の塊で……俺足引っ張ってたらと思うと……」
それを聞いていた二人の先輩は、俺の話を聞きながら慰めてくれた。暫くして、セファン先輩は悩んだ素振りをしたあと、口を開いた。
「一つだけ、グループの中でシグレくんだから出来ることがあるよ」
「え?」
「そう、シグレくんだけ。ただちょっと、特殊な仕事なんだよね、ただ守秘義務もあるし、うまく行けば、グループの知名度も鰻登り、有名になれると思うよ。マネージャーとかにはちゃんとこちらが話すしさ」
「そんな、仕事があるんですか?」
「あるとも、シグレくんの力になりたいんだ。イファンもこの仕事で、今じゃ映画スターだからな。なぁ?」
「おう。どう? 俺が教えてやるし、安心して:一緒に仕事しようぜ|」
イファン先輩も優しく、声をかけてくれる。
セファン先輩も知名度高い人だし、なによりマネージャーにちゃんとやってこいと言われて、この接点は大事にしたかった。
そして、俺は何も知らない純粋な子供だった。なによりも、有名になれば、ジウのことを世間に知らしめられると思ったんだ。上手い話には裏がある、なんて考えればわかったはずなのに。
「是非、やりたいです」
でも、浮足立った俺はその甘い蜜に飛び込んだ。
勢いのまま、返事をした俺は、食肉植物の罠に引っかかったか弱き蝶だった。
ご飯食べ終えた後、最初にマネージャーに聞いてた通り、セファン先輩の運転手によって家に帰る。アイドルは宿舎という場所に帰る。部屋に入ると、皆の食べ汚れた皿や脱ぎ散らかし等が残っている。俺は慣れたように皿を洗い、脱ぎ散らかった服を洗濯機に入れた。
その日はその後すぐに寝た。
一週間後。また、セファン先輩の誘いがマネージャー経由であった。今度事務所の車に乗って着いた場所は、一つの高級な低層マンション。決して、今自分が来ているプチプラの服で来る場所ではない。
それでもマネージャーに言われる、恐る恐る中に入る。すぐに中にいた黒服の人が「お待ちしておりました」とやってきた。その黒服に案内されるがまま、顔写真を撮られ、来訪者記入カードに記入する。
一体、何が起きているんだ?
まだまだ混乱したまま、黒服に連れてかれたゲストルームのような場所には、なんとイファン先輩がいた。
「イファン先輩、こんばんは」
「シグレよく来たな」
イファン先輩がかっちりした蝶ネクタイのスーツを着ており、その隣には、なぜか見たことある人が立っていた。隣の人は年配のおじさんで、ぽっちゃりとした体をしており、鍛えられた肉体美という言葉が似合うイファン先輩の隣りにいるのは少しばかり不思議な感じだ。
「この子は?」
「ソンギ兄さん、もう少しで『ラニュイ』というグループでデビューするアイドルの子です」
「『ラニュイ』の金山時雨です。よろしくおねがいします」
「ああ、日本人の子か。私は、ブソンギ。映画監督をしている。『花葬』観てくれたんだよね、ありがとう」
「は、はい! 見ました! とても感動しました」
隣りにいたのは映画監督の中でも著名で、近年映像において世界的な賞を何度か監督賞受賞している人だった。
なんで、そんなすごい人がここにいるのだろう。
あまりにも場違いな自分は思わず縮こまるが、イファン先輩は「大丈夫、俺たちが選んでおいたから」と落ち着かせようと背中を撫でてくれる。
そんなゲストルームに、今度はセファン先輩が入ってきた。
「シグレ、お待たせ。君に紹介したい人がいるんだ。紹介お願いしてもよろしいですか?」
「ああ勿論、どうも、キムジノです。テレビ局でプロデューサーをしています。シグレくんはじめまして」
「はじめまして、金山時雨です。お会いできて光栄です」
その時、出会ったのがキムジノプロデューサーだ。
キムジノプロデューサーは、にこにこ優しそうに見える笑顔で僕に握手を求めてきた。差し出された片手を包むように両手で握手すると、キムジノプロデューサーは少しびっくりしたような顔をしたあと、「これはこれは可愛いな」と言っていたのを覚えている。
イファン先輩と監督が、その様子を見たあと、「では、私達はパーティー会場に向かうから」とわざとらしく俺の前で恋人のように腕を組んで出ていく。セファン先輩も「腕組むか手を繋ぐのがパーティー会場に入るときのルールだからな」と言い、俺とキムジノプロデューサーに腕を組むように言う。
俺が戸惑っていると、キムジノプロデューサーは腕を出してきたので、無下にする訳にもいかない。「失礼します」とひと声かけて、おずおず腕を組んだ。
そして、殆ど流されるようにして、ゲストルームから出て、パーティー会場に連れてかれる。
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