指先

M子

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「やだーホントに明日香だ~!何年振りだろうね…」

菜摘に連れられて
晴美宅を訪れた明日香

満面の笑みの晴美
彼女はもともと小柄だけどさらに小さくなった感じだった

「晴美も元気だった~?」

「私は元気だよ!さっ、夕食用意しといたから上がって~!」

「え…夕食まで用意してくれたの晴美!」

「晴美のご飯はおいしいのよー!私いつも来る時御馳走になってるの」

そう嬉しそうに言う菜摘

かなりの頻度で遊びに来てる様子がうかがえる

晴美の家は山のたもとにある
かなり大きな新築の一軒家
かなりお金をかけた感じ…

旦那さんは何の仕事なんだろう?

「晴美、旦那さんはどんな方?」

「んー?国家公務員なのよ、ただあちこち移動が多くてあまりここにはいないって言うか…」

なんだまあまあなキャリアって事

あちこちバリアフリーだし息子さんの事故後建てたんだろうな

晴美が好きそうな絵画や置物の装飾品も
たくさん飾ってある

「あ、こっちの部屋がリビングなんだけど息子もいるけど気にしないでね…」

そういう晴美に通されたのは
大きく20畳くらいありそうな広いリビング

そこに介護用ベットも置かれていて小さな背中が見えた


この子が菜摘の言っていた子か

明日香はとりあえず晴美が紹介してくれるまで
特にその子の事は触れなかった

テーブルに置かれた色とりどりの食彩
ホント、晴美は家庭的だなと感心した

「さ、有紀はまだだけど乾杯しようよ!」

菜摘がそう先陣をきる

「えーいいの?有紀が来てからがいいな…ね、明日香?」

晴美はそう言って私を見た

「そう…ね、折角だし待ちましょうか?」

「えー…あと一時間くらいあるよ…」


クスッと晴美が笑った

「あ、明日香…うちの子…大翔(ひろと)って言うんだけど、小さい時怪我で頭を強く打ってしまって…
身体細いけどもうすぐ8歳になるのよ…」

チラッと私に目配せをする菜摘

「…あ…そうなの?」

知らなかったようなフリをしながら答える

「今はわずかばかり指と目しか動かせないのよ…」

「そ…そうなの…大変ね…」

明日香は介護用ベットに回り込み
顔を覗かした

大翔くん
色が白く細い手足
顔は晴美に似て可愛らしい子だった

「こんばんは大翔くん」

真っ黒で真っ直ぐな綺麗な目
きっとハンサムに育つだろうなって感じ…

「待って明日香!」

晴美は突然そう言うと
傍に置いてあった何かのボードを取り出した

「これ私が作ったあいうえおボードなの!これで意思の疎通は出来るのよ!」

「え…本当?晴美?」

明日香は疑心安儀に問う

「本当よね菜摘!」

「うん、本当よ!晴美がそばに持っていくと指を指すのよ!」

テレビや新聞ではそういう障がい児がいるとは
見た事あるのでなから嘘ではないなと思い
晴美の様子をしばらく見ていた

「大ちゃん、ママのお友達が「こんばんは」だって、大ちゃんもご挨拶して!」

そう言って
大翔くんの指先にボードを近づけた

プルプルと指を持ち上げ
なんとなく動かす大翔くん

「こ・ん・ば・ん・は・い・ら・つ・し・や・い」

「!」

明日香は思わず自分の口を押えた

「ね?意思の疎通はこれでしてるのよ!」

嬉しそうに言う晴美

「…」

えっ、えっ、なんて言ってあげたらいいの?

明日香は少しボー然としていた

「ピンポーーーーン」

「!」

「あ、有紀じゃない?意外と早くこれたじゃない~!」

菜摘はそう言って
自分の家の様に玄関に走って行った





















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