異世界に召喚され生活してるのだが、仕事のたびに元カレと会うのツラい

だいず

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34 デート

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ある日の勉強会。そう言えば予言はどれくらい解決したんだろうと気になった俺は、勉強が一息つくと同時に、グレンノルトに予言について尋ねた。

「時計塔と、大寿の新芽についてはもう解決していて……ああ、宝剣についてももうほぼ解決していますね。後は、大雨と川の氾濫、そしてリスの脱走ですね」
「重大そうなのと意味が分からないものが残りましたね」
「実は大雨も大体の予測はできているので、本当に何も分かってないのはリスだけなんです」

 リスが残っちゃったんだ……何も分からないということに少し不安を感じるものの、起こることといえばリスが脱走することだけだし。うまく危機感が持てない。

「大雨はいつごろ来そうなんですか?」
「月の終わりごろに。明日にでも国全体に警戒する知らせが出るはずです」

 月の最後の方に大雨が来るのか。なら、リスの脱走が大雨よりも先に来るのかな。

「やりたいことがあったら、今週中にやるべきですね」
「やりたいことか……グレンノルトは何かありますか? やりたいこと」

 俺がそう尋ねると、グレンノルトは手元に落としていた視線を俺に向けた。嫌な予感、と言うべきか、グレンノルトがこんな顔をするときは、俺が彼の言葉に恥ずかしがるときだった。

「トウセイ、デートしましょう。見つかった大樹の新芽がとてもきれいで、あなたに見せたいんです。少し遠出にはなるのですが……ああ、宿を取って泊りで行ってもいいですね」

 「ダメですか?」と尋ねられ、俺は「え、それは」と返事を迷ってしまった。だって、数日間グレンノルトとずっと一緒にいると言うことだろう。それは嫌じゃないけど、俺にとってとても大変なことだった。

「もしかして、嫌でしたか?」
「そんな! い、行きたいです。見たいです、新芽」

 グレンノルトは「良かった」と微笑むと、出かける日時を簡単に決めてしまった。朝出発して移動し、大樹の新芽を見る。そして宿をとって次の日帰ると言う予定だ。デートじゃなく、これはもう短い旅行じゃないか? 楽しそうにするグレンノルトはを横目に、俺は大変なことになったとため息を吐いた。

 *

 さて、出かける当日になった。荷物を詰めたリュックを背負い、部屋を出る。服装は動きやすいものが良いと言われたから、着慣れたいつもの服を着た。

「トウセイ、地図を見てください。この森にある大樹に新芽が出ました」

 グレンノルトは地図を広げ、そう言って南に位置する森を指さした。確かに、王都と森はかなりの距離離れている。グレンノルトは、徒歩を挟みながら馬車を乗り継いで森を目指すと説明してくれた。

「結構歩きますか?」
「もしかしてトウセイ、デートで疲れるの警戒してますか? あはは、大丈夫ですよ。途中町や村を通過する予定ですし、ほとんど馬車での移動ですから」

 グレンノルトは、「前回のデートの最後、大変でしたもんね」と言って笑った。別にそんな考えがあって聞いたわけではない。ちょっと気になっただけなのに。

(というか、あれデートだったんだ……)

 言われなかったぞ、デートって。いやでも最後に告白されたしな。デート……そっか、デートだったんだ。

「では出発しましょうか。あれ? 嬉しそうだけど、どうかしたんですか?」
「な、何でもないです!」

 俺は、「さあ早く行きましょう」とグレンノルトの背を押した。

 

 
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