お前と俺は違う 〜僕たち４〜

学校

洸平が転落事故に遭って３週間後。
リハビリ生活が終わり、洸平は学校に行って
「おはよー！」
元気そうに言い、教室の扉を開けると
クラスメイトたちは洸平を睨んだ。洸平は
（え？、何だこの空気）
そう思い、中に入って黒髪ツーブロヘアーの
男子生徒に
「おはよう！、智也！」
そう言うと男子生徒は無視していて、洸平は
「おい、智也」
名を呼んだが、無視を続けて、洸平は
黒髪ポニーテールの女子生徒に
「おはよう！、七彩！」
挨拶したが、女子生徒は他の女子生徒の集団に
駆け寄った。洸平は
（何で無視するんだよ）
そう思うと担任教師が来て
「片桐、ちょっと来い」
そう言い、洸平は
「え、はい」
そう言って教師と指導室に行き、洸平が
「何すか先生」
そう言うと教師は
「お前、クラスメイトや後輩が病院まで見舞いに
行ったのに酷いことを言ったらしいな」
そう言い、洸平は
「え？、何の事ですか、俺がそんな事言う訳」
そう言うと教師は
「校内中の生徒は、皆言ってるぞ」
そう言い、洸平は
「えぇ！？、でも俺そんな事」
そう言うと
（そういえば３週間くらい眠ってたけど、
起きたら花とか、お菓子とか、いっぱいあった）
そう思い、
「先生、俺ずっと寝てたんですよ」
そう言うと教師は
「何言ってる。お前運ばれた翌日には目を
覚ましてただろ」
そう言い、洸平は
（どうゆう事だ、俺は確実に眠ってたのに）
そう思うと教師が
「とりあえず皆に謝罪して....」
そう言いかけた時、洸平は
「ごめん先生！、俺１限目パスで！」
そう言い、走って学校を出た後、全速力で病院に
向かい、受付をして椅子に座って待機していた。
名前を呼ばれて医師の元に行き、
「どうしました、洸平君」
そう聞かれて洸平は
「先生、俺ここに運ばれてきた時、どんな状態
でしたか」
そう聞いた。医師は
「頭を強打して、多量出血していました」
そう言い、洸平は
「俺その時、記憶の障害とか脳の病気とか、
何も起きませんでしたか」
そう聞くと医師は
「いえ。特には」
そう言い、洸平が
「そう、ですか」
暗い表情で言うと医師は
「どうかされたんですか？」
そう聞き、洸平は
「俺、最近目覚めたはずなのに、運ばれた翌日
には意識が目が覚めたって言われたり、
覚えの無い言葉を言ったとか言われたり、記憶に
無い事を学校で言われたから」
そう言うと医師は
「洸平君、それ本当ですか！？」
驚いたように聞き、洸平は
「え？、はい」
そう言うと医師は
「今から、いくつかの検査を受けてください」
そう言った。洸平は
「え、はい、分かりました」
そう言い、場所を変えて相談室に入った。洸平が
「ここで検査ですか？」
そう聞くと医師は
「はい。普段は医者と患者が病態などを話す
場所ですが、ここでも出来る検査なので」
そう言い、椅子に座った。それから洸平は
いくつかの質問を受けて、絵を描いたりした。
洸平は
「あの～、何なんですかこの検査」
そう言うと医師は
「今行ったのは、人格障害者テストです」
そう言い、洸平が
「人格障害者テスト？、何ですかそれ」
そう聞くと医師は
「世界には、人格障害者と呼ばれる自分以外の
人格を持っている方がいます。そして、君も
その内の１人です。洸平君」
そう言った。洸平は
「は？、俺が障害者？、何言ってんすか」
半笑いで聞くと医師は
「今検査をして分かりました。おそらく転落
した時に頭を強打したのが原因です」
そう言い、洸平は
「俺が、他の人格を持ってるって事ですか？」
疑い気味に聞くと医師は頷いた。洸平は
「だから、覚えの無い事を」
そう言うと医師は
「おそらく」
そう言い、洸平が
「どんな人格なんですか」
そう聞くと医師は
「人それぞれなので、私には分かりません。
クラスメイトなどに聞いたら分かると思います。
人格とは個性なので、もし自分以外が
目覚めてしまえば、どんな人格か自分では
分からない上に、最悪の場合、自分自身の人格を
失います」
そう話した。洸平は
「嘘、だろ....でも、治るんですよね」
そう聞くと医師は
「発症した人次第です。運良く人格が消える事も
あれば、どちらの人格も消えて植物状態に
なる事も。さらに治す方法は、明確には
ありません」
そう話し、洸平は
「そんな....」
絶望した。医師が
「ですが、日本では成功した事例が多いです。
関東の方では、他人格と日常を過ごして
絆を深めた方もいます」
そう言うと洸平は
「でも、運が悪ければ、俺は....」
暗い表情で言い、医師が
「諦めないでください。私が必ず治します。
それに今は洸平君自身なので、もしかしたら
もう大丈夫かもしれません」
そう言うと洸平は
「そう、ですよね。先生、俺の身体の事
お願いします」
そう頼み、医師は
「はい」
了解した。

翌日、登校して担任教師と人格の事を話した。
その後、ホームルームの時間になり、教師が
「皆に話がある。片桐だが、転落して頭を
強打した事により、人格障害が起きた」
そう言うとクラスメイトたちは
「何それ？」「人格障害？」「病気なのか？」
口々に言い、教師が
「人格障害とは、自分自身とは他に人格が
目覚めた人の事だ。だから見舞いに行った日、
皆に暴言を吐いたのは片桐ではなく、片桐の
別の人格だ」
そう言うと洸平が席を立ち、前に出て
「でも、階段で足を滑らせるなんてバカな事した
俺の責任でもある。酷い事を言って、本当に
ごめんなさい」
そう言った。クラスメイトたちは
「そうゆう事だったのか」「だよな！、洸平が
あんな事言う訳ないよ」「洸平が謝る必要ないよ」
口々に言い、洸平は
「皆.....ありがとう！」
お礼を言った。その後、洸平は他クラスでも
謝罪して教師たちが各々の教室で事情を話した。
それから洸平の他人格は出てこず、季節が過ぎて
寒い冬の時期になった。