19 / 32
異世界生活
第16話〜備〜
しおりを挟む
朝、目が覚めると視界がいつもよりかなり眩しかった。
窓を開けて外に出てみると、雪が50cmほど積もっていた。
食堂に降りてご飯を食べながらレイラのお父さんに聞いてみるとこの辺で50cmも降るのは約四年ぶりくらいらしい。
割と四季がはっきりしている地域ではあるものの、そこまで劇的には天候は変わらないみたいだ。
日本にいた頃はきちんと春夏秋冬を肌で感じることができたが、こちらの世界では全部の特徴が少しずつ薄くなっている。
ギルドに向かうと、流石に雪が積もっている今日のコンディションではどの冒険者も行動に支障をきたすらしく、ガラガラであった。
暇なので俺は雪合戦という最高に楽しい遊びを普及しようと考えた。
雪合戦は二人一組になってドッジボールのコートほどの広さで壁に隠れて、相手の雪玉を避けながらこ雪玉を相手へぶつけるといういたって簡単なルールにした。
土魔導でコートを整えた俺はギルドや各市場の店主にかけあって、雪合戦トーナメントを開催する旨を伝えた。
雲の厚さから、なんとなく明日も雪は降りそうなので、明後日に開催日を設定した。
一応ルールも伝えるが果たして人は集まるだろうか。
さて、俺はもう一人の相方を探さねばならない。
ぼっちなので、もちろんレイラを誘う。
「レイラ、明後日に雪合戦トーナメントを開催することにしたんだが、相方として出てくれないか?」
「その日は用事もないしいいよ!
最近運動不足で太ってゴニョゴニョゴニョ、、、
とにかくいいよ!」
何か言いかけていたが聞かなかったことにする。
ルールを説明し終わったあとに言っていたが、本当に全く経験がないらしく、そもそも雪で遊ぶ機会もないため、非常に楽しみだと言っていた。
地球にいた頃はサッカーをしていたためにボールを投げる動作が少し不恰好な俺は土魔導で作った的へ雪玉を投げつける。
それに続いてレイラも雪玉を投げる。
何回に何回も投げて、少しでも命中が良くなるように頑張った。野球のピッチャーはどんな投げ方をしていたか思い出そうとすると、頭の中でアナウンスがなった。
“現在異世界データバンクが使用可能です。
野球 ピッチャーで検索しますか?”
目の前に半透明のようなスクリーンが現れ、はいかいいえを選択する画面が表示された。
試しにはいを押してみると某動画投稿サイトのような形式で沢山の投げ方についての動画が表示された。
俺は大谷航平のフォームを参考に練習を重ねた。
しかしレイラに聞くと、何処かを見ながら空中で手を動かし続ける俺は相当気味が悪かったらしい。
人前では使わないようにしよう。
その他にもきちんと言葉で説明しながらわかりやすく教えてくれている人もいたのでとても助かった。
また、その動画に出ていた人の受け売りではあるが、レイラにも教えると、センスがあったのか、俺よりもコントロールが良く、なかなかの速度で投げていた。
レイラ恐るべし。
お昼くらいの時間になった時大トロをレイラに振る舞ったが、食べたことがなかったようで舌鼓を打っていた。
やはり、不味いからトロに人気がないわけではなかったようだ。
ご飯も食べて力を蓄えた後は雪だるまなどを作って遊んだりかまくらを作ったりした。
高校生にもなるとほとんどそういったことはしなくなっていたので、久々に遊べて楽しかった。
周りをみると夕日でオレンジ色に空が染まっていた。
楽しいことをしてると時間は早く過ぎてしまうのは何故だろうか。
より長く好きなことをしたいのにそういう時に限って時間が短く感じてしまって損をした気がするのは俺だけではないはずだ。
宿屋に戻ると今日はお雑煮のようなものが出てきた。
お雑煮は日本と違い、大分海鮮色が強かったが、これはこれで良い出汁が出ていて美味しかった。
今日もレイラのお母さんのおかげで極楽温泉にゆっくりと浸かることができた。
街が冬景色に変わったことでいつもよりも風情があって楽しい湯であった。
いっぱい身体を動かした俺は気づいたら寝ていた。
次の日の朝、ベッドから出ようとするが、なかなか出られない。
世間では布団の魔力というやつだ
何故か朝だけ布団が自分から離そうとしても離れない現象である。
長い時間をかけてゆっくりと起きると、段々と頭が冴えてきた。
俺は明日に向けて防寒着を揃えねばならない事に気付く。
防寒着を求めて道具市場へ向かう。
二時間ほど血眼になって探したが、全く見つからない。
それもそのはず、この辺ではほとんど雪が降らないのだから。
冷え込む冬の寒い日でも、少し重ね着をする程度で十分暖が取れてしまうからだ。
困った俺は占い師の婆さんに助けを求めに行った。
「おう、久し振りじゃのう。
最近はリロと修行をしてかなり強くなってきたようじゃの。
さてさてこんな寒い冬の日に一体何の用じゃ?」
「それがだな、防寒着と言うものを探しているんだ。
具体的にいうと薄手でしっかりと暖が取れる動きやすい服装の事だな。
この店に置いてあるか?」
「ちょっと待っておれ。」
婆さんは店の奥へ消えてった。
しばらくすると真っ黒の服を持ってきた。
「この服は古代の魔法が付与されておるのじゃ。」
「魔法?魔導ではないのか?」
「そうじゃ、魔法の使い手は今じゃもう数える程しか居らん。
わしが子供の頃は沢山いたんじゃがのう。
先の人族国家との対戦でみんな死んでしまって、後世に伝えられる人材が居なくなってしまったのじゃ。
今はその力を限定的に使えるものが魔導師として一般に普及しているのじゃ。」
成る程、そういう訳があったんだな。
なら以前酒場で聞いた稀代の魔法使いが魔王様であるということはこの時代においてかなり凄いことなのだろう。
「話を戻すぞい。
この服にはまず防熱防寒防塵魔法が付与されておる。
この国ならいつこれを着ていても快適な温度で過ごせるはずじゃ。
そしてこれにはステルス魔法も付与されておる。
今は黒くなっておるが光をあてると、ほれ!
色が変わったじゃろ。
このように的に見つかり辛くする効果もあるのじゃ。」
流石にこのレベルの逸品はどれほどの値段がするのだろうと聞くのを渋ってしまう。
「なあ、婆さん。。。
この服は一体いくらなんだ、、?」
「そうじゃのう、前途有望なおぬしへの投資だと思うて負けに負けて1700万Gじゃ。
これ以上はわしが破産するから負けられぬ。」
やっぱりとんでもない値段だったな。
しかしこの服は普通に防具として着られるほどの耐久力まで備えている。
さらに一晩魔力を流せば新品のように戻る保存魔法まで付いている。
非常に迷ったが、この世界は生死が常に隣り合わせの世界。
安い防具であっさりと死んでしまったら地球にいる家族のところへ二度と帰ることはできない。
自分の持つほぼ全財産を投げ打ってお婆さんからこの服を買った。
冬ではあるが、この服があればクエストも遂行できそうなのでこれから死ぬ気で稼ごうと決意したのだった。
婆さんに礼を言って外を出た。
フードを被ればステルス魔法がかかり、周りからはもうほとんど見えていないようだ。
唯一のポイントである足に関しても、50cmほどの積雪によって見えなくなっていた。
さて、明日はトーナメントがあるしもう一度戦うコートを整えるか。
土魔法で昨日よりもしっかりとした作りにしていく。
また観客席のようなものも、地面の石を上手く使って作った。
これでどこぞのライブ会場かと言うほど観客席を大きくし、なおかつ全ての席からしっかりと試合を観れるようにした。
なにやら巨大な物を作っている俺を見て、なにに使うか聞く人が後を絶えなかった。
その人全員に軽く説明するとみんなギルドの方へ走って行った。
こんな感じでどんどん人が集まってきた。
果たしてどれくらいの規模になるのだろう。
少し不安を感じた俺は、コートを一つから二つに増やした。
これで大分変わるはずだ。
整備が大体終わった俺はギルドへ行ってみた。
案の定エントリーが絶えないようで現時点ですでに150組ほどのチームがエントリーしているようだ。
これは観客も凄くなるだろうと思い、姑息ではあるがビジネスチャンスだと感じた。
観客に僅かであるが観戦料を取ることにした。
合わせてギルドで販売すると想像以上に売れて一時間程で1000人以上の購入があった。
ギルドの人に聞くと、冬は本当に娯楽がなくお金の使い道もないので時間がある人は間違いなく来るとの事だった。
さも当然のようにギルドの受付嬢も購入していたのには笑ったしまったが。
さて、明日に備えて今日は早く寝るとするか。
一応主催者だしな。
夕飯をさっと済ませ温泉で疲れも癒えたところで風呂から上がり、ベッドに潜った。
結局早いうちから布団に入ったのに緊張とワクワクで結局いつもと同じ時間に寝ることになってしまったのは秘密である。
朝起きると大晴天が広がっていて部屋がとても明るかった。
素晴らしい雪合戦日和だな。
食堂に行くとレイラが腹ごしらえをしていた。
「おはようタクミさん!」
「ああ、おはよう。」
ご飯を食べながら今日の作戦について話し合った。
食べ終わって外に出るといつもとは全く違う街の雰囲気にビックリした。
沢山の家族連れやどこのプロレスラーかと思う程筋骨隆々な男達が雪玉を投げながら移動していた。
これは思った以上に集まりそうだな。
席は時間をかけてかなり沢山作ったが立ち見客まで出そうだな。
会場に着くと周辺で屋台などが沢山並んでいた。
人の集まる事を見越して商売をしているのだろう、素晴らしい嗅覚である。
そのまま戦うコートに入ると沢山の人が会場を埋め尽くしていた。
受付をクエストで何人か雇ったのだが、その受付に聞くと500組のチームのエントリー、そして一万五千席はすべて完売。
さらには数千人の立ち見客までいるらしい。
たまたま思い付きでやっただけなのだが、想像以上の盛り上がりを見せていてびっくりした。
審判も雇ったので、もう一度しっかりとルールを把握するために出場者と審判を集め、確認をした。
さて、まずは128組に絞ろうと予選を行なった。
予選も地鳴りがする程の盛り上がりを見せて、全員が全員お祭り騒ぎであった。
人を集めたときに実況をしたいと言う人が観客から二人出てきて、拡声魔導の心得があるそうなので快諾した。
その二人のお陰もあって予選から会場のボルテージは爆上がりであった。練習の甲斐あって俺とレイラのチームは予選全勝でとりあえず上位128位以内に入ることができた。
ここからはそう一筋縄ではいかないだろう。
会場を見ると圧倒的なチームに湧いたり、熾烈なデッドヒートを繰り広げる互角のチームに湧いたり、楽しそうである。
決勝に残ったチームにはすべてチーム名を考えてもらった。
実況がよりやりやすくする為だ。
それぞれが名前を決めている中で一つ気になるチームがあった。
筋骨隆々で身長は2m30cmほどの大男と165cmほどの細身ですらっとした仮面の男たちである。
チーム名はSUOAMと言う。
参加者全員がなんとなく同じ体格をしている中で、この二人は誰よりもゴツいのと誰よりも弱々しい凸凹コンビであった。
とはいえ俺は自分たちの試合に集中しなければならないので直ぐに忘れた。
さて、そろそろ始まるな。
窓を開けて外に出てみると、雪が50cmほど積もっていた。
食堂に降りてご飯を食べながらレイラのお父さんに聞いてみるとこの辺で50cmも降るのは約四年ぶりくらいらしい。
割と四季がはっきりしている地域ではあるものの、そこまで劇的には天候は変わらないみたいだ。
日本にいた頃はきちんと春夏秋冬を肌で感じることができたが、こちらの世界では全部の特徴が少しずつ薄くなっている。
ギルドに向かうと、流石に雪が積もっている今日のコンディションではどの冒険者も行動に支障をきたすらしく、ガラガラであった。
暇なので俺は雪合戦という最高に楽しい遊びを普及しようと考えた。
雪合戦は二人一組になってドッジボールのコートほどの広さで壁に隠れて、相手の雪玉を避けながらこ雪玉を相手へぶつけるといういたって簡単なルールにした。
土魔導でコートを整えた俺はギルドや各市場の店主にかけあって、雪合戦トーナメントを開催する旨を伝えた。
雲の厚さから、なんとなく明日も雪は降りそうなので、明後日に開催日を設定した。
一応ルールも伝えるが果たして人は集まるだろうか。
さて、俺はもう一人の相方を探さねばならない。
ぼっちなので、もちろんレイラを誘う。
「レイラ、明後日に雪合戦トーナメントを開催することにしたんだが、相方として出てくれないか?」
「その日は用事もないしいいよ!
最近運動不足で太ってゴニョゴニョゴニョ、、、
とにかくいいよ!」
何か言いかけていたが聞かなかったことにする。
ルールを説明し終わったあとに言っていたが、本当に全く経験がないらしく、そもそも雪で遊ぶ機会もないため、非常に楽しみだと言っていた。
地球にいた頃はサッカーをしていたためにボールを投げる動作が少し不恰好な俺は土魔導で作った的へ雪玉を投げつける。
それに続いてレイラも雪玉を投げる。
何回に何回も投げて、少しでも命中が良くなるように頑張った。野球のピッチャーはどんな投げ方をしていたか思い出そうとすると、頭の中でアナウンスがなった。
“現在異世界データバンクが使用可能です。
野球 ピッチャーで検索しますか?”
目の前に半透明のようなスクリーンが現れ、はいかいいえを選択する画面が表示された。
試しにはいを押してみると某動画投稿サイトのような形式で沢山の投げ方についての動画が表示された。
俺は大谷航平のフォームを参考に練習を重ねた。
しかしレイラに聞くと、何処かを見ながら空中で手を動かし続ける俺は相当気味が悪かったらしい。
人前では使わないようにしよう。
その他にもきちんと言葉で説明しながらわかりやすく教えてくれている人もいたのでとても助かった。
また、その動画に出ていた人の受け売りではあるが、レイラにも教えると、センスがあったのか、俺よりもコントロールが良く、なかなかの速度で投げていた。
レイラ恐るべし。
お昼くらいの時間になった時大トロをレイラに振る舞ったが、食べたことがなかったようで舌鼓を打っていた。
やはり、不味いからトロに人気がないわけではなかったようだ。
ご飯も食べて力を蓄えた後は雪だるまなどを作って遊んだりかまくらを作ったりした。
高校生にもなるとほとんどそういったことはしなくなっていたので、久々に遊べて楽しかった。
周りをみると夕日でオレンジ色に空が染まっていた。
楽しいことをしてると時間は早く過ぎてしまうのは何故だろうか。
より長く好きなことをしたいのにそういう時に限って時間が短く感じてしまって損をした気がするのは俺だけではないはずだ。
宿屋に戻ると今日はお雑煮のようなものが出てきた。
お雑煮は日本と違い、大分海鮮色が強かったが、これはこれで良い出汁が出ていて美味しかった。
今日もレイラのお母さんのおかげで極楽温泉にゆっくりと浸かることができた。
街が冬景色に変わったことでいつもよりも風情があって楽しい湯であった。
いっぱい身体を動かした俺は気づいたら寝ていた。
次の日の朝、ベッドから出ようとするが、なかなか出られない。
世間では布団の魔力というやつだ
何故か朝だけ布団が自分から離そうとしても離れない現象である。
長い時間をかけてゆっくりと起きると、段々と頭が冴えてきた。
俺は明日に向けて防寒着を揃えねばならない事に気付く。
防寒着を求めて道具市場へ向かう。
二時間ほど血眼になって探したが、全く見つからない。
それもそのはず、この辺ではほとんど雪が降らないのだから。
冷え込む冬の寒い日でも、少し重ね着をする程度で十分暖が取れてしまうからだ。
困った俺は占い師の婆さんに助けを求めに行った。
「おう、久し振りじゃのう。
最近はリロと修行をしてかなり強くなってきたようじゃの。
さてさてこんな寒い冬の日に一体何の用じゃ?」
「それがだな、防寒着と言うものを探しているんだ。
具体的にいうと薄手でしっかりと暖が取れる動きやすい服装の事だな。
この店に置いてあるか?」
「ちょっと待っておれ。」
婆さんは店の奥へ消えてった。
しばらくすると真っ黒の服を持ってきた。
「この服は古代の魔法が付与されておるのじゃ。」
「魔法?魔導ではないのか?」
「そうじゃ、魔法の使い手は今じゃもう数える程しか居らん。
わしが子供の頃は沢山いたんじゃがのう。
先の人族国家との対戦でみんな死んでしまって、後世に伝えられる人材が居なくなってしまったのじゃ。
今はその力を限定的に使えるものが魔導師として一般に普及しているのじゃ。」
成る程、そういう訳があったんだな。
なら以前酒場で聞いた稀代の魔法使いが魔王様であるということはこの時代においてかなり凄いことなのだろう。
「話を戻すぞい。
この服にはまず防熱防寒防塵魔法が付与されておる。
この国ならいつこれを着ていても快適な温度で過ごせるはずじゃ。
そしてこれにはステルス魔法も付与されておる。
今は黒くなっておるが光をあてると、ほれ!
色が変わったじゃろ。
このように的に見つかり辛くする効果もあるのじゃ。」
流石にこのレベルの逸品はどれほどの値段がするのだろうと聞くのを渋ってしまう。
「なあ、婆さん。。。
この服は一体いくらなんだ、、?」
「そうじゃのう、前途有望なおぬしへの投資だと思うて負けに負けて1700万Gじゃ。
これ以上はわしが破産するから負けられぬ。」
やっぱりとんでもない値段だったな。
しかしこの服は普通に防具として着られるほどの耐久力まで備えている。
さらに一晩魔力を流せば新品のように戻る保存魔法まで付いている。
非常に迷ったが、この世界は生死が常に隣り合わせの世界。
安い防具であっさりと死んでしまったら地球にいる家族のところへ二度と帰ることはできない。
自分の持つほぼ全財産を投げ打ってお婆さんからこの服を買った。
冬ではあるが、この服があればクエストも遂行できそうなのでこれから死ぬ気で稼ごうと決意したのだった。
婆さんに礼を言って外を出た。
フードを被ればステルス魔法がかかり、周りからはもうほとんど見えていないようだ。
唯一のポイントである足に関しても、50cmほどの積雪によって見えなくなっていた。
さて、明日はトーナメントがあるしもう一度戦うコートを整えるか。
土魔法で昨日よりもしっかりとした作りにしていく。
また観客席のようなものも、地面の石を上手く使って作った。
これでどこぞのライブ会場かと言うほど観客席を大きくし、なおかつ全ての席からしっかりと試合を観れるようにした。
なにやら巨大な物を作っている俺を見て、なにに使うか聞く人が後を絶えなかった。
その人全員に軽く説明するとみんなギルドの方へ走って行った。
こんな感じでどんどん人が集まってきた。
果たしてどれくらいの規模になるのだろう。
少し不安を感じた俺は、コートを一つから二つに増やした。
これで大分変わるはずだ。
整備が大体終わった俺はギルドへ行ってみた。
案の定エントリーが絶えないようで現時点ですでに150組ほどのチームがエントリーしているようだ。
これは観客も凄くなるだろうと思い、姑息ではあるがビジネスチャンスだと感じた。
観客に僅かであるが観戦料を取ることにした。
合わせてギルドで販売すると想像以上に売れて一時間程で1000人以上の購入があった。
ギルドの人に聞くと、冬は本当に娯楽がなくお金の使い道もないので時間がある人は間違いなく来るとの事だった。
さも当然のようにギルドの受付嬢も購入していたのには笑ったしまったが。
さて、明日に備えて今日は早く寝るとするか。
一応主催者だしな。
夕飯をさっと済ませ温泉で疲れも癒えたところで風呂から上がり、ベッドに潜った。
結局早いうちから布団に入ったのに緊張とワクワクで結局いつもと同じ時間に寝ることになってしまったのは秘密である。
朝起きると大晴天が広がっていて部屋がとても明るかった。
素晴らしい雪合戦日和だな。
食堂に行くとレイラが腹ごしらえをしていた。
「おはようタクミさん!」
「ああ、おはよう。」
ご飯を食べながら今日の作戦について話し合った。
食べ終わって外に出るといつもとは全く違う街の雰囲気にビックリした。
沢山の家族連れやどこのプロレスラーかと思う程筋骨隆々な男達が雪玉を投げながら移動していた。
これは思った以上に集まりそうだな。
席は時間をかけてかなり沢山作ったが立ち見客まで出そうだな。
会場に着くと周辺で屋台などが沢山並んでいた。
人の集まる事を見越して商売をしているのだろう、素晴らしい嗅覚である。
そのまま戦うコートに入ると沢山の人が会場を埋め尽くしていた。
受付をクエストで何人か雇ったのだが、その受付に聞くと500組のチームのエントリー、そして一万五千席はすべて完売。
さらには数千人の立ち見客までいるらしい。
たまたま思い付きでやっただけなのだが、想像以上の盛り上がりを見せていてびっくりした。
審判も雇ったので、もう一度しっかりとルールを把握するために出場者と審判を集め、確認をした。
さて、まずは128組に絞ろうと予選を行なった。
予選も地鳴りがする程の盛り上がりを見せて、全員が全員お祭り騒ぎであった。
人を集めたときに実況をしたいと言う人が観客から二人出てきて、拡声魔導の心得があるそうなので快諾した。
その二人のお陰もあって予選から会場のボルテージは爆上がりであった。練習の甲斐あって俺とレイラのチームは予選全勝でとりあえず上位128位以内に入ることができた。
ここからはそう一筋縄ではいかないだろう。
会場を見ると圧倒的なチームに湧いたり、熾烈なデッドヒートを繰り広げる互角のチームに湧いたり、楽しそうである。
決勝に残ったチームにはすべてチーム名を考えてもらった。
実況がよりやりやすくする為だ。
それぞれが名前を決めている中で一つ気になるチームがあった。
筋骨隆々で身長は2m30cmほどの大男と165cmほどの細身ですらっとした仮面の男たちである。
チーム名はSUOAMと言う。
参加者全員がなんとなく同じ体格をしている中で、この二人は誰よりもゴツいのと誰よりも弱々しい凸凹コンビであった。
とはいえ俺は自分たちの試合に集中しなければならないので直ぐに忘れた。
さて、そろそろ始まるな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる