荒廃した都市で

久遠輪

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第2話

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怪しい光の発生源に行くと、大きな窓から外の光が差し込んでいるだけだった。窓から入って来る光を見て今は夜だとわかった。窓の下には円柱型の水槽がありそこに、一人の少女が入っていた。水槽の横の机には、少女のかと思われるカルテが置いてあった。カルテには井浦衣織と書いてあった。そしてカルテの下には数字が掠れて読めなかったが『何年ごに目覚めるように設定してある』そう書いてあった。すると、目の前にある水槽から液体が漏れてきた。おそらく設定されていた日付が、今日だったのだろう。液体が流れるその光景は美しくもあり妖しくもあった。そんな光景に見惚れていると、目の前にあった棺桶のようなベットから、カルテに書かれている人と思わしき少女が起き上がった。
「あなた誰?私は…」
名前を言おうとしたが、手前で詰まってしまった。そして不安そうに僕に聞いてきた。
「僕は相模日向。君は井浦衣織。」
「なんで私の名前を?」
「カルテに書いてあった。見ちゃダメだった?僕はこの病院で君と同じコールドスリープを受けいてた患者。まぁ、とりあえず外出てみる?」
そう僕が言うと小さく頷いた。
 外に出るとそこには不思議な光景が広がっていた。病院の外壁には緑のツタがびっしり巻き付いていた。アスファルトの道から木が生えていた。
「どうして街が…」
そう言って井浦は膝から崩れ落ちた。街はみるからに街としての機能が失われていた。
周りを見回すと、信号にはツタが巻きつき車は木の幹の下敷きになっていた。
この状況に圧倒されていると、井浦が震えながら、口を動かした。
「誰かいませんか~ここはどこですか~」
そう大きな声で叫んだが人が出で来る気配は無かった。
「多分ここには僕らしかいないと思うよ。ここがどこかはわかるよ」
「本当に⁉︎」
皮肉なのかここは小さい頃に住んでいた街だった。
「今僕たちがいた病院は聖路加病院だよ。ここには何度も来た事がある」
「どこに行けば人居るかな?」
「渋谷なら人一人ぐらいいるんじゃない」
「なら渋谷に向かおう」
こうして僕と井浦は渋谷を目指して歩き始めた。
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