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18『クソ有能ども、無能に感謝しろっ!』
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*
キッチンで夕飯の支度をしていると、アシェリーが帰ってきた。
「……ただいま帰りました」
「おかえりアシェリー、学校は楽しかったか?」
「…………」
朝の事が気に入らなかったのだろう……会話する気は無いようだ。
気まずい雰囲気を察したのか、イエローが修行に誘う。
「アシェリーちゃんおかえりなさい、今日も魔法の勉強がんばろうね」
「……はい、よろしくお願いします。先生」
暗い……。彼女に反骨精神というものは無いのか?!
父親にちょっと言われたぐらいでシカトするのはまだいい!
だが、あの生気の無い目はなんだ?
本当にスローライフ目指してんのか?!
あぁ……めんどくせぇ。
「アシェリー、一週間だ。一週間で、お前の成長が無ければ先生には帰ってもらう……」
アシェリーは振り返り、目を見開き俺を見た……間も無くしてその目は『見返してやる』と言いたげに
「父様のバカっ!!」
そう言って勢いよく彼女は家を飛び出すのだった。
はぁ、ガキかよ……。
「イエロー、あとは頼んだぞ……。俺、料理苦手なんだよ」
「はいはい、任されました!」
もちろん、アシェリーがたかだか一週間で成長するなんて毛頭思っていない。
彼女は、よくいるチート系主人公では無いし、歩く広辞苑のようなボキャブラリーを持ち合わせているわけでもない。
彼女は残念なことに、無意識に均衡崩壊フラグを立ててしまうフラッガーなのだ。
それが判ってしまった以上、俺たちのする事は彼女に『余計な』フラグを立てさせないこと。
つまり、俺たちがボーリングのガーターレーンになり、少しでも多くのピンを倒させるのだ。
会社勤めのサラリーマンしかり、世の中にはレール無しでは、まともに働けない大人というものは一定数いる。
世間ではそいつらの事をゴミだカスだと言うが、そんなことは俺含め、大体のやつは気づいている。
そもそも、有能かどうかなんて無能な奴が居なければ認識する事は出来ない。
だからこそ、クソ代表として俺は声を大にして言いたい。
「クソ有能ども、無能に感謝しろっ!」
「……ただいま。使者様……夕食の準備手伝いましょうか?」
一向に進まない夕食の支度に気づいた時には、ピンクが仕事から帰ってきていた。
「……よく帰ってきてくれたピンク。俺は炭の扱いだけはどうしても上手くならんのだ」
炭火で丸コゲになった残骸の山は、俺の料理スキルが必要数に達してない現れ。
しかし、何としてでもアシェリーの大好物である焼き鳥を完成させたい!
「なるほどですね……そもそも、串打ちがなってませんね」
ピンクが手にしたのは竹串に刺したモモ肉。肉は不揃いな大きさで、垂れ下がった一部の肉が落ちた。
*
「なん、だと……」
ピンクが焼き上げたモモ串は、老舗の焼き鳥店のような一串であった。
口に入れた瞬間から広がる炭とモモ肉の焼けた香り、噛んだ瞬間にじみ出す肉汁と塩の調合。そして、パサつきなく焼き上げた肉は、手元の串に近づくほど塩気から肉の甘みへと変化した……。
「クククッ、実は私。こう見えて、『ジョブマスター』なんです!」
俺は悟った……いや、正確には道が決まったと言えるかもしれない。
「……師匠っ! 弟子にしてください!!」
無意識に俺は床に手をつき、ピンクに土下座していた。
「えっ?? 二人とも何してるの?!」
声のした方を見上げると、そこには修行から帰ってきたイエローとアシェリーがいた。
キッチンで夕飯の支度をしていると、アシェリーが帰ってきた。
「……ただいま帰りました」
「おかえりアシェリー、学校は楽しかったか?」
「…………」
朝の事が気に入らなかったのだろう……会話する気は無いようだ。
気まずい雰囲気を察したのか、イエローが修行に誘う。
「アシェリーちゃんおかえりなさい、今日も魔法の勉強がんばろうね」
「……はい、よろしくお願いします。先生」
暗い……。彼女に反骨精神というものは無いのか?!
父親にちょっと言われたぐらいでシカトするのはまだいい!
だが、あの生気の無い目はなんだ?
本当にスローライフ目指してんのか?!
あぁ……めんどくせぇ。
「アシェリー、一週間だ。一週間で、お前の成長が無ければ先生には帰ってもらう……」
アシェリーは振り返り、目を見開き俺を見た……間も無くしてその目は『見返してやる』と言いたげに
「父様のバカっ!!」
そう言って勢いよく彼女は家を飛び出すのだった。
はぁ、ガキかよ……。
「イエロー、あとは頼んだぞ……。俺、料理苦手なんだよ」
「はいはい、任されました!」
もちろん、アシェリーがたかだか一週間で成長するなんて毛頭思っていない。
彼女は、よくいるチート系主人公では無いし、歩く広辞苑のようなボキャブラリーを持ち合わせているわけでもない。
彼女は残念なことに、無意識に均衡崩壊フラグを立ててしまうフラッガーなのだ。
それが判ってしまった以上、俺たちのする事は彼女に『余計な』フラグを立てさせないこと。
つまり、俺たちがボーリングのガーターレーンになり、少しでも多くのピンを倒させるのだ。
会社勤めのサラリーマンしかり、世の中にはレール無しでは、まともに働けない大人というものは一定数いる。
世間ではそいつらの事をゴミだカスだと言うが、そんなことは俺含め、大体のやつは気づいている。
そもそも、有能かどうかなんて無能な奴が居なければ認識する事は出来ない。
だからこそ、クソ代表として俺は声を大にして言いたい。
「クソ有能ども、無能に感謝しろっ!」
「……ただいま。使者様……夕食の準備手伝いましょうか?」
一向に進まない夕食の支度に気づいた時には、ピンクが仕事から帰ってきていた。
「……よく帰ってきてくれたピンク。俺は炭の扱いだけはどうしても上手くならんのだ」
炭火で丸コゲになった残骸の山は、俺の料理スキルが必要数に達してない現れ。
しかし、何としてでもアシェリーの大好物である焼き鳥を完成させたい!
「なるほどですね……そもそも、串打ちがなってませんね」
ピンクが手にしたのは竹串に刺したモモ肉。肉は不揃いな大きさで、垂れ下がった一部の肉が落ちた。
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「なん、だと……」
ピンクが焼き上げたモモ串は、老舗の焼き鳥店のような一串であった。
口に入れた瞬間から広がる炭とモモ肉の焼けた香り、噛んだ瞬間にじみ出す肉汁と塩の調合。そして、パサつきなく焼き上げた肉は、手元の串に近づくほど塩気から肉の甘みへと変化した……。
「クククッ、実は私。こう見えて、『ジョブマスター』なんです!」
俺は悟った……いや、正確には道が決まったと言えるかもしれない。
「……師匠っ! 弟子にしてください!!」
無意識に俺は床に手をつき、ピンクに土下座していた。
「えっ?? 二人とも何してるの?!」
声のした方を見上げると、そこには修行から帰ってきたイエローとアシェリーがいた。
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