白石斗羽の苦悩 ー移りゆく色ー

優月ジュン(ゆづき じゅん)

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2 出ていってよ。



「ねぇねぇ白石くん。」
「なんですか?」
「今日私と飲みに行かない?」
「…君は誰?」
「ひどいなぁ。今までも何回か話しかけてるのに。」
「んー…ごめんね?僕覚えるの苦手だから。」
「もう。私は“イイダ”、それに白石くんより先輩だよ?」
「それで?何で僕と飲みたいの?」
「…まぁいいや。白石くんに興味があって。それで飲みに行けたらなって思ったの。」
「僕は君に興味はないかな。」
「ひどいなぁ。ハッキリ言うんだね。」
「僕、ひどい?」
「うん。ひどいよ。断るにしてももっとやんわり言ってほしいな。」
「あー…ごめんね?」
「白石くん面白いね。ねぇ行こうよ?」
「…わかった。いいよ。」


僕はどうでもいい女の子と飲みに行くことになった。まあ…気が紛れるからいっか。

仕事が終わり、すでに名前を忘れた先輩らしき人と店に向かった。

「お疲れさまーっ。」

目の前のその人はそう言って、僕のグラスにコツンとグラスを傾けた。

「白石くんってなんか不思議な人だよね。」
「どうして?」
「いつもにこにこしてて、本心がわからない感じ。」
「君は何で僕に興味があるの?」
「わからないから。」
「…僕を知って、それからどうしたいの?」
「別にどうもしないよ?」
「じゃあ知っても意味ないじゃん。」
「それは…仲良くなれるかもしれないでしょ?」
「友達ってこと?」
「んーまぁ。気が合えば付き合うこともあるかもしれないし。」
「そしたらこのあとホテルに行く?」
「なんでそうなるの。」
「だって君、僕のことが知りたいんでしょ?」
「…なんでそうなるかなぁ。」
「体の相性って大事だもん。」

この子は絶対に僕とは合わない。
僕にはわかる。

「もう…そういうんじゃなくてさ…白石くんは何か趣味とかある?」
「女の子をイカせることかな。」
「…顔に似合わず…だね。」
「よく言われる。僕子どもっぽいから。」
「他には?なにか趣味はある?」
「ないね。」

ヤれないならもう帰りたいな。

「僕もう帰るよ。」
「え?まだここに来て30分も経ってないよ?」
「だってつまんないもん。君といても。」
「っ…。じゃあ今からホテル行こうよ。」
「いいよ。そしたらいっぱいイカせてあげる。」

その後ホテルに行き、たくさんその子の体を可愛がった。それから僕が入れて何回かイカせると、もうムリだと言って僕から逃げるように体をひねった。続ける価値もないからそのままその子を置いてホテルを出た。


ああ…
また君を抱きたい…

君は頑張って僕に付き合ってくれた。

…違う…

僕が君を抱きたくて仕方がなかっただけだ。
だから嫌がる君を…ベッドの上で体をよじって逃げる君を捕まえ、押さえ込んでは何度も抱いた。

あの時は最高に気持ちが良かった。

…。

また…
君のことを考えちゃったじゃないか…

早く僕の頭の中から出て行ってよ。


早く…

出て行って…



「斗羽くんから連絡してくるなんて珍しいね。」

僕は今、リカだかリオだかの家に来ていた。

「抱かせて。」
「いいよ。」

この子は比較的、僕に付き合ってくれる方だった。だから性欲を発散させるためにここに来た。

だって…あの会社の先輩とかいう人とは中途半端で終わったからね。

僕はまた性懲りも無く、大好きだった君を頭に思い浮かべてこの子を抱いた。

でもやっぱり虚しいだけだった。

わかってるのに…
どうして僕は…



会いたい。
会いたい…。

君に会いたい。

会いたい…。

君の優しい声が聞きたい…。




次の日、また昨日の女の子が僕のところにきた。
名前は…忘れた。
同じ会社の先輩だと言ってた人。

「なぁに?」
「…また…ホテルに行こう?」
「どうして?」
「今度は私が白石くんを気持ちよくするよ。」
「…どうやって?」
「…口で。」
「僕…攻められるの好きじゃないんだよね。
君の頭を掴んで僕の好きなようにさせてくれるならいいけど。」
「…それはいや。」
「じゃあこの話はこれで終わりね。」
「…じゃあ、白石くんの好きなようにしていいから。」
「僕が攻めていいってこと?」
「そう。」
「僕に抱かれたいの?」
「…。」
「僕とのセックス、気持ちよかった?」
「…うん…。」
「だったら最初から素直にそう言いなよ。僕に抱かれたいって。ほら。言ってごらん?」
「白石くんに…抱かれたい。」
「もう逃げない?」
「だって…白石くん容赦ないんだもん。」
「そうだよ?それが嫌ならやっぱりこの話はなしね。」
「逃げないから…。」
「わかった。今回は最後まで付き合ってもらうからね。」

僕はまた、この子とホテルに行った。

その子をまず僕の舌と指で2回イカせた。
その後僕はその子に入れ動き続けた。気がつけばその子はぐったりとしてしまっていた。
でも…今日はもう無理矢理抱いた。

「いやっ、もうムリだからっ」
「君がいいって言ったんだから、最後まで付き合ってもらうよ。逃げないって言ってたよね?」
「あっ、あああっっっ…」
「まだまだやめないからね。」

僕は終わるとその子に言った。

「君を抱いてもつまらないから、もうこれっきりね。」


はぁ…
本当につまんない…

やっぱりどんなに女の子を抱いても満たされない。

つまんない。



心が寒い。
ずっと寒い。

僕はもうこのままなのかな…。

ずっとずっとこのままなのかな…。

助けて…。
誰か僕を助けて…。

誰か…こんな僕に気づいてよ…。

優しい声で僕に話しかけて…。



大丈夫だよって…そっと抱きしめてよ…。



僕は君を思い出していた。

君の優しい声…。

ー「…斗羽くん…。」ー

また…聞きたいな。
僕は君に名前を呼ばれるのが大好きだった。
名前を呼ばれるだけで、包み込まれているように感じるんだ…。
僕には…君が必要なんだ…。

はじめて君を見た時、かわいいと思った。
君と初めて出会ったのは入社日。
君の肩にのっていた桜の花びらを僕は取ってあげた。お礼を言われた瞬間、僕の心臓がトクンと跳ねた。その声が…とても優しかったから…。その声が、僕の心をふわっと優しく包み込んだから。

会社の近くにある桜の木を背景にした君はとても綺麗だとも思った。僕は一瞬で心を奪われた。
心が震えたんだ。

でもその時の僕はそれがなんなのかよくわからなかった。
でも…
今思えば君を好きになった瞬間だったんじゃないかと思う。結局僕がそう自覚したのはもうしばらく経ってからのことだった。

ー「…ちゃんと話したこともないのに、なんで私のことを好きになったの…?」ー

君は僕にそう聞いたことがあったね。
僕にだってそれはわからない。
ただ…君の優しい笑顔と、君の優しい声が僕をふわっと包み込んで、それがとても心地よかったんだ。心だけじゃない。魂までもが震えたんだ。
大好きだった。
本当に…本当に大好きだった…。

…思い出した…。
確かこんなこともあった。
あの時の君は本当に可愛かった。
僕は君を焦らした。

君の脚を開きそこに顔をうずめる。
僕はそこを舐め、君がイキそうになると舐めるのをやめる。指を入れても同じだ。
なかなか君の気持ちいいところに指を当てずゆっくりと動かす。
しばらくしてお腹側に圧を加えると、君が僕の指を締めつける。上り詰めていく君を感じると、僕はすっと指を抜く。
それを1時間続けていた。

君は今にも泣きそうな顔になっていた。
それでいてイキたくて仕方がない表情にもなっていた。それがたまらなく可愛かった。
そそられた。興奮した。
君はシーツまでも濡らしていた。

「もう限界でしょ。」
「…。」
「イキたくてイキたくて仕方がないでしょ?」
「…。」
「言ってごらん。イキたいって。」

君は頑固だから言わなかった。
だから僕はもう10分それを続けた。

君はまだイッてもいないのに、体がプルプルと震え始めた。

「ねぇ、イキたいって言いなよ。そしたら楽になるよ?いっぱいイカせてあげるよ?」

それでも君は決して言わなかった。
もう僕の方が我慢できなかった。
だから君の中を押し広げながらゆっくりと入れた。

「っ…ああっっ…」
「やっとイケてよかったね。気持ちよすぎるでしょ。ずぅっと我慢してたから。僕わかるよ。すごい締めつけてるもん。」

それから僕はすぐに奥を狙った。

「ははっ。奥でもすぐにイッちゃったね。脚ガクガクしちゃってるよ。」

その時の君は次々に襲ってくる快楽の波を必死に耐えていた。その姿がすごく可愛いかった。
見せて。もっと僕にそのかわいい姿を見せて。
僕の興奮はなかなか冷めずに動き続けた。

「まってっ、うごかないでっ」

こんなに乱れている君を見てやめられるわけがない。僕は君の言葉を無視して動いていた。

「あっんっ…」

君はもう余裕のない顔になっていた。

「その顔かわいい。」
「いやっ。」
「いやじゃないでしょ?気持ちよくて仕方がないんでしょ。」
「ああっ…ぁあっ…」

イキ続けている君に、容赦なく次々と刺激を与える。君の全身は何回も震えていた。

「おねがいっ…もうやめてっ…」
「まだ話せるなら大丈夫だよ。」

僕は続けた。
君の体を撫で、胸の先をつまみ、それから舌で転がし、とにかく全身撫でまわし舐めまわした。

僕がイッて抜いても、君はまだ体をビクッと震えさせていた。

ずっと喘いでいたもんだから、君の口の端からは涎がこぼれ、目からは涙が流れていた。僕は君から流れ出ているものをすべて舐めとった。

かわいい…
僕が全部舐めてキレイにしてあげたからね。

その日はもう君の限界かなと思い、これ以上抱くのはやめておいた。だから君をそっと抱きよせじっとしていた。君はまだ長くイッているようで体をビクンと震わせていた。

この時の君は本当に可愛かった。

…本当に…僕は幸せだった…。

君にたくさん触れ…
君が感じている顔をたくさん見て…
君の温もりと匂いを感じ…
君の声をたくさん聞いた…。

本当に…

本当に幸せだった…。


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