白石斗羽の苦悩 ー移りゆく色ー

優月ジュン(ゆづき じゅん)

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4 お願い…まだ消えないで…。



久しぶりにあの子と飲みに行った。
誘われたから。
あの…白黒コンビって言っていた子。

なんだか今日はよくお酒が進んでいたように見えた。僕はいつも通り2杯でやめていた。

何か嫌なことでもあったのだろうか。

「何かあった?」
「えー?なんにもないですよー?」

目の前の子は酔っていた。
いいの?僕の前でそんなに酔っちゃって。
僕持ち帰っちゃうよ?

「なんだかいつもと違うよ?」
「んー…うまくいかないなって…。」
「なにが?」
「…いい感じかと思ってたのに、そうじゃなかったーみたいな。」
「なんの話?」
「いろいろですよ。」

この子が何を言ってるのかわからなかった。

そろそろ解散って時に、その子はふらついていた。だから僕は持ち帰った。

その子を抱いた。

目の前の子は酔っていたからちゃんと加減した。

明日は休みだから、今日はそのまま泊まってもらうことにした。

次の日は休憩を挟みながら1日中その子を抱いていた。この子はセックスにあまり慣れていないようだったから、僕は昨日と同じように加減した。
それでも抱く度に、少しずつイクことが増えて楽しくなってきた。


それからはたまにその子を家に呼び、その度に抱いた。その子はいつの間にか僕のことを“白石さん”ではなく“斗羽くん”と呼んでいた。

「あっ…斗羽くんっ…イクッ…」
「ははっ。今日はたくさんイッてるね。まだまだイカせてあげるからね?」
「うん…」

その子の顔はとろけていた。
完全に僕とのセックスに堕ちていた。
そのうちにその子の方から僕の家に来たいと言い出すようにもなった。

仕事帰りにはその子とご飯を食べに行くことも増えた。そろそろ解散かなという時間になるとその子はもじもじとしはじめた。それが何を意味するかわかったから僕はこう聞いた。

「セックスしたいの?」
「…うん…」
「いいよ。」

僕はその子の手を引くと、自分の家へと連れ帰り、キスをしてその子の体を可愛がる。

大好きな君を思い浮かべながら…。

僕の頭の中では…
僕に抱かれている君の姿…
それから君の可愛い声が再生されていた。


それからその子とは普通に遊ぶこともあった。
買い物をしたり、イベントに行ったり、ただなんとなく待ち合わせをしてふらふらと街を探索することもあった。
その子はいつも僕の手を握ってきた。

そうやって会った日の終わりには、だいたい僕の家かホテルに行っていた。

今日も遊びに行った後、僕の家にその子は来た。

「君、これが気持ちいいんだよね?」
「あんっ…うんっ、きもちぃっ…」
「ふふっ。素直でいい子だね。」
「斗羽くんっ…もうイキたいっ…」
「いいよ。イッちゃいな。」

こんな感じで完全にセックスに慣れた様子だったから、この子の限界まで抱くことにした。
僕は激しくその子の中を犯す。

「あっ、もうムリっ…」
「まだ終わらないよ。」
「いやっ…ああっっっ…」
「ははっ。イクの止まんなくなっちゃった?」

その子はその後ぐったりとしていた。
だから僕はシャワーを浴びに行き、出てくるとイスに座りスマホの中の君を眺めていた。


はぁ…君に会いたい…。

やっぱりどんなに女の子を抱いても僕が満たされることはなかった。



白黒コンビのあの子が遊びに行こうとまた誘ってきた。

僕はそれを快諾した。

当日、待ち合わせ場所に向かうとその子はいつものように僕の手を取った。
だからそのまま手を繋いで水族館へと向かった。

僕はまた、君の姿を思い浮かべた。

あの時こうやって、君を連れ出すこともすればよかった…。
僕はひたすら君を抱いていたから…。
そればかりではなく、こういうふうにも過ごせばよかった…。君とはそういう思い出がない。
近所を散歩したくらいだ。
僕は今更ながらに後悔していた。

そう思うと胸が苦しくなった。

だめだ…

また君に会いたくなってきた…

僕はいつまで君に振り回されなきゃいけないの?

会いたい…
会いたいよ…

君の顔が見たい…

今日の僕はどうやらダメな日らしい。
君に会いたくて仕方がない。
君の顔が見たくて仕方がない。

もう帰りたい。

君を散々抱いたベッドに突っ伏したい。

帰りたい。
帰りたい…。

「斗羽くん?つまらない?」
「どうして?」
「そんな顔をしてるから…」
「…帰りたい。」
「…わかった…。」

僕たちはたった30分でそこを出た。

それから解散した。
僕の家に来たいと言うその子の腕を振り解きながら家に帰った。

僕は家に帰るとすぐにベッドへと向かった。
君がよく握り込んでいた枕を抱きかかえる。
それから君が感じている顔、イク瞬間の顔、
吐息、声…
それらを必死に頭の中に巡らせた。

鮮明に覚えていると思っていたけど、所々細かい記憶が抜け落ちてきている。

あんなに忘れたいと思っていた君が、いざ色褪せていくのを実感すると僕は焦った。

待って。
まだ消えないで。

僕には君が必要だから。

まだ忘れたくないから。


でも…


君の感じている顔に靄がかかり始めていた。

うそ…

ダメだよそんなの…


僕はまた泣いていた。
君が部屋着に使っていた、僕のTシャツを引っ張り出し手に握り込みながら僕は嘆く…


そうやって眠ったからかもしれない…

君はまた、夢の中で僕に会いにきてくれた。

僕を抱きしめ、優しい声で僕の名前を呼ぶ…
それからキスをして、舌を絡ませ…
僕は君の体を撫でまわす。
僕はもう君の弱点をしっているからそこを攻め、君の反応を楽しむ。
中がヒクヒクとしてる。
僕の指を締めつける。
それで君が感じていることを実感する。
僕は君の顔を見る。

眉尻は少し下がり、潤んだ瞳に少し開いた唇は艶っぽく濡れていて、肌はしっとりと汗ばんでいる。

僕は夢の中で、夢中になって君を抱いた。

ふと場面が切り替わり、僕はまた君に愛撫していた。

耳を舌でなぞり、それから首筋に滑らせ、そのまま下に移動し胸の先を舌で捕らえる…。
それから脚を開き、彼女が濡らしているそこを舌で丁寧に舐め上げる。

君の甘い声が耳に届く。

可愛く主張しているところを、舌先を尖らせ弾く。指を入れ、彼女が気持ちいいところに圧を加える。

より一層君のかわいい声が響く。

そらから舐めていたところをちゅうっと強く吸うと、君はビクンと体を震わせる。

僕は顔を上げると、指はそのままに彼女の顔が見える体勢をとった。
刺激を強めると、彼女の中が僕の指を締めつけ、またビクンと体を震わせた。

そこで僕は我慢ができなくなり、ゆっくりと君の中を押し広げ入っていく。

君の顔がさっきよりも切なくなり、潤んだ目で僕を見つめていた。

「とわくん…すき…」

そんな声が耳に届く。
それを聞いて僕の心が震える。

君の気持ちいいところに、僕のがちゃんと当たるように動く。
それを続けると、君はまたかわいい声をあげて背中をしならせビクンとする。
中がきゅううっと締まる。
僕はそれを感じると嬉しくて仕方がなくなる。

それからも抱き続け、終わると必ず君を優しく抱きしめる。好きだと伝えながら。
君がどこへも行ってしまわないように、しっかりと僕の腕で君を捕まえていた。


夢の中の僕はそんな感じで君を抱いていた。

…あれは…

夢だけど夢ではない。

最後の方は僕の記憶だ。
優しく君を抱いた時の記憶…

今日は幸せな気持ちで目覚めた。

別に虚しくなったりはしなかった。
幸せだった…。

やっぱり僕は、毎日不安定だ。

君が頭の中にいることを喜んだり追い出そうとしたり、日によって変わる。
今はいて欲しい。
まだ君には、僕の頭の中にいて欲しい。

夢を見たことで靄が消えた。
また鮮明に君の感じている顔を思い出せた。

もう…君の顔に靄がかからないで欲しい。

いつまでも覚えていたい。

自分が見た夢を、映像化して保存できたらいいのに…。
そうしたら、忘れることはないのに…

僕はそんなことをぼんやりと考えていた。




また白黒コンビの子が僕を誘ってくれた。
今度は映画だった。
ちょうど見たいと思っていた映画だったから、僕は今回も快諾した。

映画まで時間があったから、少し買い物をしたり、色々なお店を見て回った。

それから映画も見終わり、いつものように僕の家に連れてきた。この子がセックスしたそうだったから。

キスをして、体を可愛がる。そらから僕のを入れゆっくりと動いた。

「…斗羽くん…好き…」

そんな声が僕の耳に届いた。
僕は動きを止めた。

「僕のことが好きなの?」
「え…」
「君は僕のことが好きなの?」
「…うん…斗羽くんは私のこと好きじゃないの?」
「好きだよ?友達として。一緒にいて楽しいし。
でも君は僕の“特別”じゃない。」
「…え?」
「君の“好き”は友達の好き?特別の好き?」

目の前の子は悲しそうな顔になった。

「…私たち…付き合ってるんじゃないの…?」
「どうして?僕、君に好きだって言ったことないよ?それに付き合ってって言ったことも、君から言われたこともない。」
「…。」
「君の名前だって、僕覚えてないし。」
「…じゃあ…なんでデートしたり、こんなことしてるの?」
「さっきも言ったでしょ?一緒にいて楽しいからだよ?僕は別にデートだとは思ってなかった。」
「…私のこと…好きになる可能性は?」
「ないよ。」
「じゃあなんで私を抱くの?」
「前に君が言ってたんだよ?僕とセックスがしたいって。それに僕、他にもセックスしてる人いるよ?君だけじゃない。」
「でも…初めてした時は…」
「うん。そうだね。君が酔っていたから僕から手を出した。でも次の日も君は嫌がってなかった。」
「…私は…セフレってこと…?」

目の前のこの目には、見る見るうちに涙が溜まっていった。

「そんな感じかな。」
「…ひどい…」
「どうして?」
「…だって…」
「僕ひどいことした?いっぱい気持ちよくしてあげてるでしょ?」

僕がそう言うと、その子は帰って行った。

僕は中途半端なのが我慢できなくて、リオだかリエだかに連絡をして、その子の家に向かった。

僕はまた大好きな君を思って目の前の子を抱いていた。



それからパッタリと、あの白黒の子からの連絡は来なくなった。




また退屈な毎日が戻ってきた。

あの子と遊ぶのは楽しかったのにな…。
まぁしょうがないか。
あの子は僕を好きだと言ってくれたけど、僕は好きじゃない。

はぁ…つまんない…。

また…夢に出てきてくれないかな…。

ねぇ君…
君は今何してる?

ちゃんと今でも笑ってる?

君に会いたいよ。

君に…会いたい…。

僕はまた、苦しくなっていた。
禁断症状みたいな感じだろうか…。
この前はいつ君を見に行ったっけ…。
もう結構前な気がする。

だめだ…。

会いたい…会いたい…。


僕はまた君を見るために、前の職場へと向かった。

しばらく見張っていると、君が現れた。

…。

今日も君は優しい顔をしているね。
よかった。

僕はスマホを手にすると、彼女にカメラを向けてズームにし、君の笑顔を閉じ込めた。
少し距離があったから画像は荒かった。
でも嬉しかった。


ねぇ…本当にもうだめなの?

君は僕のこと、少しも好きじゃなかったの?
一瞬でも?ほんの一瞬でも好きだと思ったことないの?

君はたまに心配そうに僕のことを見ていたよね?
僕…そんな君に気がついていたよ?
だから嬉しかったんだ。
僕のことを思って心配してくれてたんでしょ?
そんな時の君は、少しだけ僕に寄り添うようにしてくれていたんだよ?

君は無意識だったかもしれないけど…。

ねぇ…もう一度だけ…僕のところに来ない?


…。


今日はだめだ。

君の顔を見ても、心が踊らなかった。
今日の僕はだめだ。

また会いにくるからね。

またね…。


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