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13 ひとりぼっちになりたくない。
週末になり、茜が泊まりにきた。
茜を抱き終わると茜は僕のことを優しく抱きしめてくれた。
僕は今まで茜を優しく抱いていた。
回数も1~2回でやめていた。葵の時のみたいに何度も抱いていない。
葵…
僕はそのまますっと眠りについた。
待って…行かないで…
葵を連れて行かないで…
僕から葵を取り上げないでっ…
お願い…連れて行かないでっ…
「斗羽くんっ。」
茜の声で目が覚めた。
「大丈夫?うなされてたよ。」
茜は僕の目尻を指で拭っていた。
どうやら僕は泣いていたらしい。
また僕は葵の夢を見ていた。最悪な夢を…。
この前みたいな幸せな夢だったらよかったのに。
茜の顔を見てみると、心配そうな顔をしていた。
僕はもうすぐフラれるかもな…。
そう思った。
でも茜は、そんな僕のことを優しく抱きしめてくれた。僕は抱きしめ返した。
君も…いつか僕から離れていくの…?
僕は茜のことが好きなのかよくわからないのに、そう思ってしまった。
自分勝手なやつだ…。
でも…まだ…僕から離れないで。
まだ僕と一緒にいて。
ひとりぼっちになりたくない。
また寒くなりたくない。
お願い…。
まだ僕のそばにいて…。
ある日の昼休み、僕は仕事に追われお昼時間になっても仕事を続けていた。
キリがいい所で手を止め、今日はおにぎりでいいやと思いコンビニに向かっていた。
すると、前の方に茜の姿を見つけた。
隣にはスーツ姿の男がいて、茜と楽しそうに話していた。茜も笑顔で話していた。
…。
僕の胸がざわついた。
そういえば最近僕は、あんなふうに笑う茜の姿を見ていない。茜は寂しそうに笑うことが増えていた。
胸がチクリとした。
僕のせいだ…。
茜が僕から離れていく気がした。
嫌だ。
僕をひとりにしないで。
会社に戻るとすぐ茜に連絡をして、今日の夜に会う約束を取り付けた。
待ち合わせ場所に行くと、茜の手を引きすぐに僕の家へと連れ帰った。
そらからベッドに押し倒すと茜にキスをする。
全身を可愛がった後、僕はゆっくりと茜の中に入り、しばらくすると激しく抱いた。
茜がイッても動きを緩めず攻め続けた。
茜も…僕から離れていくの…?
「あんっ…とわくんっ、ちょっとまってっ…」
「…僕のこと好き?」
「…っ…好きだよっ…」
「本当に?」
「はぁっ…ほんとっ…ぁあっ…」
僕はずるい。
茜を利用しようとしている。
1人になりたくないからって…
茜を僕のもとに留めようとしている。
「もっと言って、僕のことが好きだって。」
「すきだよっ、とわくんっ…」
「もっと。」
「とわくんがすきっ…あっんっ…」
「もっと。もっと言って。」
「すきっ…とわくんすきっ…」
僕は茜を抱き続けた。
気がつくと茜はぐったりとしていた。
…やっぱり、別れた方がいいかもしれない…。
こんなんじゃ茜を傷つける。
僕は茜に毛布を掛けるとシャワーを浴びに行った。湯船に浸かりたくなり、お湯をためる。
僕は…一体どうしたいんだろう…。
体を洗い終えるとお風呂がたまるまで、ただただ湯船を眺め続けていた。
お湯がやっとたまった。
僕は湯船に浸かった。
すると、茜が声をかけてきた。
「私も入っていい?」
「いいよ。」
茜は入ってくると、頭を洗い体を洗っていた。
それから湯船に浸かると僕を抱きしめてきた。
「斗羽くん…大丈夫だから。」
「…。」
「今日は何かあったの?」
「…お昼に…君を見たよ。スーツの男に笑いかけてた。」
「それで?」
「君は可愛い顔で笑ってた。」
「…それで…?」
「だから君が僕から離れていくって思った。」
「…それって…やきもち?」
…やきもち…嫉妬…?
僕はあの男に嫉妬していたのか…?
「わからない。」
「…斗羽くん…私に甘えて?頼って?
苦しくなったら、いつでもこうやって抱きしめるから…。」
なんで…
僕…君のこと利用しようとしているかもしれないのに…。僕はまだ…僕の気持ちがわからない。
僕も茜を抱きしめた。
さっきよりもお互いがくっつく。
あったかい…
包まれているみたい…。
僕は泣いていた。
茜は何度も「大丈夫だよ」と…「私がいるからね」と…そう言ってくれた。
茜…。
お風呂を出てから、もう一度茜を抱いた。
今度はいつものように優しく…。
初めて“茜”を抱いた。
今回葵は出てこなかった。茜に葵が重ならなかった。ちゃんと…目の前の茜だけを見て抱いていた。
僕は…やっと一歩を踏み出せたのか…?
終わったあと、茜をそっと抱きよせた。
茜にこうするのは初めてだった。
茜…僕から離れないで…。
そう願いながら眠りについた。
朝起きると隣を確認した。茜がスヤスヤと眠っている。僕は茜にくっついた。
それに気づいた茜が起きた。
「…おはよう…。」
茜の優しい声が僕の耳に届いた。
葵の声は重なっていない。
…。
「おはよう。昨日はごめんね。」
「なんで謝るの?」
「帰ってすぐに、乱暴に茜のことを抱いた。」
「いいんだよ。斗羽くんの苦しい思いとか、寂しい気持ち…全部私が受け止めるから。だから心配しないで。」
どうしてそこまで…。
「なんで…」
「ん?」
「なんでそこまでしてくれるの?」
「…。」
茜は何か考えているようだった。
「あんまりこういう話はしたくないんだけど…
斗羽くんは…その…忘れられない人のためなら、なんだってするんじゃない?」
「…。」
「その人が、苦しんでいたり悲しんでいたりしたら…」
…確かに…葵のためならなんだって僕はできる。
葵が悲しんでいたらぎゅっと抱きしめて、頭を撫でて、それから大丈夫だよって…僕がいるからねってそう声をかける。
葵の悲しみや苦しみは全部僕が引き受けたって構わない。僕が葵を守る。葵がずっと笑顔でいられるように…。
「斗羽くんの想いと、私の想いの大きさは全然違うのかもしれない。でも…私は斗羽くんが好きだからそうしたいの。斗羽くん…時々苦しそうに、寂しそうにしてるから。」
「…ありがとう…。」
「いいんだよ。余計なことは気にしないで?私が斗羽くんのそばにいたいからそうしてるだけだからね。気持ちの整理がちゃんとできるといいね。」
茜の優しい声が…心地よかった…。
僕は茜を抱きしめた。
茜も抱きしめ返してくれた。
温かい…。
心が温かい…。
今日は仕事だったから、この後2人で準備をして、一緒に家を出た。
僕の方が出社時間が遅かったから、会社の近くにあるコーヒーショップで時間を潰すことにした。
僕は今朝茜が言ってくれた言葉を思い出していた。
茜…
僕はまだ自分の気持ちはわからないけど、また君を抱きたい…。
茜の優しい声が頭の中に響いた。
ー「斗羽くんの苦しい思いとか、寂しい気持ち…全部私が受け止めるから。」ー
僕はこの言葉が嬉しかった。
僕は1人じゃない。
茜がいてくれる…。
本当は今日も会いたいと思ったけど、先輩の言葉を思い出した。
ー「焦って強引にならないように…」ー
だから今日は我慢することにした。
金曜日、茜と仕事終わりに待ち合わせをして、それから僕の家へと向かった。
僕は茜にオムライスを振る舞った。
「美味しい」とかわいい笑顔で言ってくれた。
でも、オムライスにするんじゃなかった…。
僕の頭の中の葵がまた顔を出してしまったから。
僕は無意識にオムライスを作っていた。
葵がオムライスを好きだったから。
葵があの時少し笑ってくれたから…。僕はそれがすごく嬉しかったんだ。
お願い葵…。
僕はやっと一歩前に進めたんだ。
もう少しだけ眠ってて。僕がもう少し立ち直るまで、まだ眠っていて。
茜のことをちゃんと見たいんだ。
茜とちゃんと向き合いたいんだ。だから葵…眠ってて。
でも…出て行ったらだめだからね。
少しだけ眠ってて欲しいんだ…。
オムライスを食べ終わるとシャワーを浴び、2人でテレビを見ていた。
そういえば…葵とはあまりこういうふうに過ごさなかったな…。
あの時の僕はとにかく葵を抱きたくて仕方がなかったから。葵の中に少しでも長くいたかったから…。
だから家に帰り食事をしたら2人でお風呂に入り、そこで葵を抱いて、出てからもまた抱いて、葵の限界まで抱き続け…。それから朝も抱く日があってと、そんな感じだった。
隣に座る茜を見てみる。
テレビを見ながら笑っていた。
あの時の葵は、きっとどんなに面白いテレビを見ても笑わなかっただろうから、そんな元気のない葵を見るくらいなら抱いていて正解だったかもしれないと、少しだけ思った。
僕は本当にたくさん葵を抱いた。
今でも抱いている時の葵の姿を色々と思い出せる。葵のそんな姿に靄がかかりはじめても、定期的に夢に出てくるからその度に鮮明に思い出されていた。
だめだ。
今は茜が隣にいる。
茜に集中しないと…。
僕は茜の肩を抱きよせた。
これも初めてすることだった。
「…斗羽くん…?」
それからそのまま茜にキスをした。
いつもと違う僕に茜は戸惑い、それから少しだけ緊張しているようだった。
そのまま舌を絡ませ、茜の背中を支えながらゆっくりと押し倒す。
耳にキスをして舌でなぞる。
そらから首筋へとそのまま滑らしていく。手は服の中に潜り込み胸の先を捕らえると、そこを軽くつまんだ。
茜からは声が漏れだす。
僕はそのまま服をめくりあげ、もう片方を唇で挟むと甘噛みをした。
茜は体をビクッとさせた。どうやらこれが好きなようだ。それからそこを舌で転がしたり弾いたりしながら、時々甘噛みをする。
その度に茜は体を震わしていた。
手を下に移動し、下着のなかに滑り込ませる。
そこをなぞるとすでに濡れていた。
指を上の方に少しズラすと、主張しているところを優しく撫でた。
「はぁっ…ああっ…」
茜からそんな声がはっきりと聞こえてきた。
そこを撫で続け、それから少し刺激を強めた。
しばらくすると茜は上り詰めた。
次に指を入れ茜が気持ちいいところに指を当てる。ゆっくりと押し込む。
それから徐々に激しくしてみる。
茜は少し激しい方が好きみたいだ…。
茜がイクと、僕は茜を抱きかかえてベッドへと移動した。
ゴムをしてゆっくりと僕のを押し込む。
まずはゆっくりと…それから少しずつ激しく…
やっぱり茜は少し激しい方が中がよく締まる。
茜はこれが気持ちいいんだ。
葵は…ゆっくりが好きだったな…。
奥を突くたびに小さく震えていて、僕のをきゅっと締めつける。それがとてもかわいかった…。
僕もじっくりと葵を感じることができて好きだった。だから僕はそれからゆっくりと抱くことも好きになった。
…。
茜に集中してよ僕…。
それでも前よりは茜のことをしっかりと見ていた。
茜がまたイクと、僕は動きを緩めた。
「待って…さっきのままがいい…」
茜がそう言うから、僕は動きを早めた。
しばらくして茜はまたイッていた。
僕もそろそろ…と思い今度は僕がイクように動いた。僕はイクとそのまま茜に倒れ込んで抱きしめた。
茜のことが好きかどうかはまだわからない。
でも今はまだ一緒にいて欲しい。
僕は少し離れると茜の顔を見た。
「…大丈夫だよ…私がいるから…。」
茜はそう呟いた。
僕はまた、苦しそうだったり、寂しそうな顔をしていたのかもしれない。
ごめん…
こんな僕でごめんね…茜…。
「ありがとう。僕と一緒にいてくれて…本当にありがとう。」
「…私がそうしたいからしてんるだよ。だから気にしないで…。」
僕はまた茜を抱きしめた。
「斗羽くん…好きだよ…。私はまだ諦めてないからね。でも…斗羽くんが、私と一緒にいることを辛く感じる時がきたら、その時はちゃんと教えて?」
「…ありがとう…。茜も僕と一緒にいるのが辛くなったら、ちゃんと教えてね。」
「うん。」
茜は僕を力強く抱きしめてくれた。
それから僕は茜の横に寝転ぶと、茜を抱きよせそのまま眠った。
次の日…目が覚めると隣を確認した。
茜が眠っている。僕はそれを愛おしいとは思わなかった。でも…安心した。
茜が僕の隣にいることが…嬉しかった…安心した。
だから僕は茜を抱きよせた。
まだ僕から離れて欲しくなかったから。
やっぱり僕はずるい。
1人になりたくないからって…。
茜が僕のことが好きなのを利用している…。
本当はこんなことしたくないのに。
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