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第一章
ここは何処?私は誰?
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オレは今、全速力で疾走中である。
森の中を、ある動物から逃げている真っ最中だからなのだが。
(なんなんだよあれはぁ~、狼なのか?)
涙を流しつつ、走りながら考える、決して泣いている訳ではない。
(これ実は夢なんじゃね?いやいや、さっき少しひっかかれた所が痛いから夢じゃないじゃん、ヤバイヤバイヤバイ追いつかれるよ)
さっきは不意をついて逃げられたが、このままでは追いつかれる。
ふと走る先に、木と木の間が一メートルくらい空いて並んで立っている大木を発見。
(あれなら行けるな)
三角飛びの要領で、木の上まで登って様子を見る。
(あぁ~子供の頃から死ぬ思いして稽古しててよかったぁ、だけどあれ多分狼だよなぁ、狼なんて見た事ないけどさぁ)
今も下で木の周りをウロウロしてオレを見上げている。
(でも日本に狼っていたっけ?絶滅したって聞いたことあるような気がしたけど、ってか、どうみてもデカ過ぎだよね、あれオレが乗れるんじゃね?我ながらよく逃げられたわぁ)
仮称キングウルフとでも名付けよう。
決してドラ〇エに出てくるスライムのでっかい版がキングスライムだからではない。
疲れたので木の上で少し休むことにした。
(なんでこうなったんだっけ?)
オレは森の中で寝ていたらしい、どうしてだか分からないが。
とてもイヤ~な感じと攻撃的な殺気がして目を覚ましたら、キングウルフがオレの喉元を噛みつく所だった。
とっさにヤツの顔面を殴ってやった、その時鋭い爪でひっかかれた。
さらに、襲い掛かられたので、巴投げの要領で蹴り飛ばしてやった。
まだ意識もはっきりしてなかったし、デカいのに素早かったので、戦略的一時撤退だ。
オレは速攻走り出したって訳。
多分さっきの全速力は百メートル世界新が出てたと思う。
そんなこんな考え事をしていたら、ヤツも諦めたのか立ち去っていった。
(はぁ、良かったよぉ、仲間とか呼ばれたらどうしよかと思った、なんかまだクラクラするし)
まだ油断は出来ないので、木の上を飛んで移動する、そこでオレは気が付いてしまった。
(なんか森しか見えないんですけどぉ、ここ富士山麓の樹海ですかぁ?しかし腹減ったなぁ)
辺り一面何も無い、木が生い茂っているのしか目に入らない。
地面に降り立ち、あてもなく歩き続けて、二日が経った。
ずっと森の中をさまよい続けて、初めて少し開けた草原らしき場所に出た。
見た事もない虫は結構いたが、食料になりそうな小動物なんかは、全くお目にかかれない。
動く気力も無くなってきたので、草原に寝そべり空を見上げていた、真っ青な雲一つ無い綺麗な青空。
(鳥が飛んでる、オレも飛べたらなぁ、あの鳥デカいな)
ただボ~と眺めていただけだったが、ある事に気が付いた。
(ん?アレ?アレレ?なんか首が長くて、よくゲームとかに出てくるドラゴンみたいなんですけど、ってかドラゴンじゃん、ありえねぇ~、ドラゴンてどんな世界でも最強の部類だよね)
オレは慌てて木の陰に身を潜めた。
(落ち着け、オレ、落ち着いてよ~く考えるんだ、こうゆう時こそ冷静に物事を考えるんだ)
考えながら、ドラゴンを警戒する。
(最初にキングウルフ、そしてドラゴン、オレは異世界に来たって事?ないない、それはない、しかしそれも視野に入れといたほうがいいのか?)
運が良かったのかドラゴンは飛び去ってくれた。
(なんとしても早く人がいるとこに行かなくては、情報が少なすぎる)
なんとか気力を振り絞り、また歩き出し、少しすると水の流れる音が聞こえてきた。
(川が近い?急ごう)
思った通り、川が流れていた、綺麗な川だったので久しぶりに水を飲んだ。
(ふぅ~、少し生き返った、水ってうまい!それにこのまま川を下って行けば、町とか村に行けるかも)
と思いつつも、疲労と空腹で川辺のデカい岩の上で寝てしまった。
何かに頭を叩かれている、そんな感覚がして目が覚めた。
目を開くと、背が高く全身筋肉質な男が馬の手綱を握って立っていた。
「お前こんな所で何してる?見ない顔だが、何処から来た?」
日本語だっ!最初に思ったのはそれだった、男は少し色黒で、顔はほりが深く、髪の色は白銀だったから、勝手に外人だと思ったからだ、そして何をどう話そうかと思って、最初に出た言葉は。
「腹減った、二日以上食ってない」だった。
なんの期待もしていなかったが、男は干し肉らしきものを二切れオレに差し出してきた。
「ありがとう」
なんの肉だか分からなかったが、飛び付き食いついた、ビーフジャーキーみたいな物?だった。
「で、おまえは誰だ?オレの名は『ヴィレム=マイア』ヴィレムと呼んでくれていい」
(えっ!おもいっきり外人の名前じゃん)
干し肉を飲み込み、一息ついてから。
「オレの名前はイツキ=オトハ、イツキと呼んでくれ、二日間ずっと森をさまよっていた、それ以前の事は思い出せない」
「思い出せないって、記憶喪失って事か?」
「そうらしい、ここに何の為に、何処からどうやって来たか分からない」
オレは半分本当で半分嘘をついた、実際本当に分からない事だらけだからだ。
「しかし、この森の奥で迷ってよく出て来れたな、この森は方向感覚を失う、一度迷えば慣れた者でもなければ出て来れない、運が良かったな」
「まったく同感だね、一生の運を使っちまったかなぁ」
オレは立ち上がり、もう一度お礼を言った。
「干し肉ありがとう、生き返ったよ、それとここってなんてとこだ?」
「ん?礼はいい、ここは『サン=ドニール王国』の領土内だ、この川を少し下った所にオレの村『ノネット村』がある、何か思い出したか?」
「いや全く、思い出せん」
(なんだよサン=ドニール王国って、聞いたこと無いんですけどぉ、やれやれどうしたもんか)
「そうかダメか、なにはともあれ、もう少ししたら日も暮れてくる、オレの村に来るか?なんのもてなしも出来んが」
「えっいいのかよ」
「このまま放ってもおけないし、オレの見たところ悪人でもなさそうだしな」
渡りに船とはこの事を言うのだろう。
「本当に助かる、ありがとう、神様、仏様、ヴィレム様」
「やっぱり置いてく」
「じょ、冗談ですって、お願いだから置いてかないでぇ」
オレ達は村に向かって歩き出した。
森の中を、ある動物から逃げている真っ最中だからなのだが。
(なんなんだよあれはぁ~、狼なのか?)
涙を流しつつ、走りながら考える、決して泣いている訳ではない。
(これ実は夢なんじゃね?いやいや、さっき少しひっかかれた所が痛いから夢じゃないじゃん、ヤバイヤバイヤバイ追いつかれるよ)
さっきは不意をついて逃げられたが、このままでは追いつかれる。
ふと走る先に、木と木の間が一メートルくらい空いて並んで立っている大木を発見。
(あれなら行けるな)
三角飛びの要領で、木の上まで登って様子を見る。
(あぁ~子供の頃から死ぬ思いして稽古しててよかったぁ、だけどあれ多分狼だよなぁ、狼なんて見た事ないけどさぁ)
今も下で木の周りをウロウロしてオレを見上げている。
(でも日本に狼っていたっけ?絶滅したって聞いたことあるような気がしたけど、ってか、どうみてもデカ過ぎだよね、あれオレが乗れるんじゃね?我ながらよく逃げられたわぁ)
仮称キングウルフとでも名付けよう。
決してドラ〇エに出てくるスライムのでっかい版がキングスライムだからではない。
疲れたので木の上で少し休むことにした。
(なんでこうなったんだっけ?)
オレは森の中で寝ていたらしい、どうしてだか分からないが。
とてもイヤ~な感じと攻撃的な殺気がして目を覚ましたら、キングウルフがオレの喉元を噛みつく所だった。
とっさにヤツの顔面を殴ってやった、その時鋭い爪でひっかかれた。
さらに、襲い掛かられたので、巴投げの要領で蹴り飛ばしてやった。
まだ意識もはっきりしてなかったし、デカいのに素早かったので、戦略的一時撤退だ。
オレは速攻走り出したって訳。
多分さっきの全速力は百メートル世界新が出てたと思う。
そんなこんな考え事をしていたら、ヤツも諦めたのか立ち去っていった。
(はぁ、良かったよぉ、仲間とか呼ばれたらどうしよかと思った、なんかまだクラクラするし)
まだ油断は出来ないので、木の上を飛んで移動する、そこでオレは気が付いてしまった。
(なんか森しか見えないんですけどぉ、ここ富士山麓の樹海ですかぁ?しかし腹減ったなぁ)
辺り一面何も無い、木が生い茂っているのしか目に入らない。
地面に降り立ち、あてもなく歩き続けて、二日が経った。
ずっと森の中をさまよい続けて、初めて少し開けた草原らしき場所に出た。
見た事もない虫は結構いたが、食料になりそうな小動物なんかは、全くお目にかかれない。
動く気力も無くなってきたので、草原に寝そべり空を見上げていた、真っ青な雲一つ無い綺麗な青空。
(鳥が飛んでる、オレも飛べたらなぁ、あの鳥デカいな)
ただボ~と眺めていただけだったが、ある事に気が付いた。
(ん?アレ?アレレ?なんか首が長くて、よくゲームとかに出てくるドラゴンみたいなんですけど、ってかドラゴンじゃん、ありえねぇ~、ドラゴンてどんな世界でも最強の部類だよね)
オレは慌てて木の陰に身を潜めた。
(落ち着け、オレ、落ち着いてよ~く考えるんだ、こうゆう時こそ冷静に物事を考えるんだ)
考えながら、ドラゴンを警戒する。
(最初にキングウルフ、そしてドラゴン、オレは異世界に来たって事?ないない、それはない、しかしそれも視野に入れといたほうがいいのか?)
運が良かったのかドラゴンは飛び去ってくれた。
(なんとしても早く人がいるとこに行かなくては、情報が少なすぎる)
なんとか気力を振り絞り、また歩き出し、少しすると水の流れる音が聞こえてきた。
(川が近い?急ごう)
思った通り、川が流れていた、綺麗な川だったので久しぶりに水を飲んだ。
(ふぅ~、少し生き返った、水ってうまい!それにこのまま川を下って行けば、町とか村に行けるかも)
と思いつつも、疲労と空腹で川辺のデカい岩の上で寝てしまった。
何かに頭を叩かれている、そんな感覚がして目が覚めた。
目を開くと、背が高く全身筋肉質な男が馬の手綱を握って立っていた。
「お前こんな所で何してる?見ない顔だが、何処から来た?」
日本語だっ!最初に思ったのはそれだった、男は少し色黒で、顔はほりが深く、髪の色は白銀だったから、勝手に外人だと思ったからだ、そして何をどう話そうかと思って、最初に出た言葉は。
「腹減った、二日以上食ってない」だった。
なんの期待もしていなかったが、男は干し肉らしきものを二切れオレに差し出してきた。
「ありがとう」
なんの肉だか分からなかったが、飛び付き食いついた、ビーフジャーキーみたいな物?だった。
「で、おまえは誰だ?オレの名は『ヴィレム=マイア』ヴィレムと呼んでくれていい」
(えっ!おもいっきり外人の名前じゃん)
干し肉を飲み込み、一息ついてから。
「オレの名前はイツキ=オトハ、イツキと呼んでくれ、二日間ずっと森をさまよっていた、それ以前の事は思い出せない」
「思い出せないって、記憶喪失って事か?」
「そうらしい、ここに何の為に、何処からどうやって来たか分からない」
オレは半分本当で半分嘘をついた、実際本当に分からない事だらけだからだ。
「しかし、この森の奥で迷ってよく出て来れたな、この森は方向感覚を失う、一度迷えば慣れた者でもなければ出て来れない、運が良かったな」
「まったく同感だね、一生の運を使っちまったかなぁ」
オレは立ち上がり、もう一度お礼を言った。
「干し肉ありがとう、生き返ったよ、それとここってなんてとこだ?」
「ん?礼はいい、ここは『サン=ドニール王国』の領土内だ、この川を少し下った所にオレの村『ノネット村』がある、何か思い出したか?」
「いや全く、思い出せん」
(なんだよサン=ドニール王国って、聞いたこと無いんですけどぉ、やれやれどうしたもんか)
「そうかダメか、なにはともあれ、もう少ししたら日も暮れてくる、オレの村に来るか?なんのもてなしも出来んが」
「えっいいのかよ」
「このまま放ってもおけないし、オレの見たところ悪人でもなさそうだしな」
渡りに船とはこの事を言うのだろう。
「本当に助かる、ありがとう、神様、仏様、ヴィレム様」
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オレ達は村に向かって歩き出した。
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--
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そして二人は巻き込まれていく。
あの日、月が瞬いた理由を知ることもなく⋯⋯。
これは、一人の少女が針と糸を使って世界と繋がる物語
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