158 / 715
第158話 久しぶりのバスタイム
しおりを挟む
宿はすんなりと決まった。場所はギルドまでの通り道にあった地上に建てられている宿。普通の宿とは少し違い、部屋を貸すのではなく家をまるごと貸すタイプ。所謂コテージだ。そして、珍しく風呂付である。
平屋1棟を自由に使えるということで、従魔達を考慮するなら最適な宿だろう。冒険者の宿より値は張るが、ハーヴェストの巨大な部屋よりは全然安い。
荷物を降ろし一息つくと、シャーリーから街の地図を拝借し目的地を探す。
「バイスに教えてもらったって鍛冶屋。何て名前なの?」
「バルガス工房? って所らしいんだが……」
「あぁ、あそこね。知ってるわ。地図で言うとこの辺りよ」
ベッドに座る俺の横に自然とシャーリーが腰掛け、肩が触れるほど近寄ると、持っていた地図に指を差す。ふわりと漂う潮の香にも慣れたものだ。
「有名なのか?」
「なんというか昔気質な鍛冶職人って感じ? 仕事は丁寧で質もいいけど、その分値も張るから評価は五分五分。お金持ちにはいい店だけど、冒険者から見るとぼったくりって言われることもあるって感じかな。まぁ、貴族なら普通に払えるんでしょうね」
気だるそうに言うシャーリーの機嫌は、あまり良くはなさそうだ。
「何かあったのか?」
「ううん。私も評判を聞いて話を聞きに行ったことがあるんだけど、やっぱ高いのよね。1番安い短剣でも魔法書が1冊買えるくらいはするよ?」
金はある。そこは問題ないのだが、短剣で魔法書1冊分は正直言って高すぎる。
魔法書は高価だ。安い物でも1冊金貨100枚前後はする。通常のロングソードが金貨30枚ほどだと考えると、その違いは言わずもがな。
だが、一応今回は紹介されて来ている。だから安くしろとは言わないが、多少高くともそこで鎧の補修をしてもらおうと決めていた。
街に鍛冶屋がどれだけあるのかは知らないが、窓から見える煙突の数からしても、相当数あることは予想できる。
それを全て巡るのは億劫だし、何より素人目で見たところで鍛冶職人の良し悪しがわかるわけがない。ならば、バイスを信じるに限る。
そうと決まれば今日のところはゆっくりと休み、明日からの行動に備えて早く休もうという提案に、皆は快く同意した。
シャーリーもミアも。ついでに言うと従魔達も、風呂に入りたがっていたのである。
というのも、体中がベトベトだからだ。長い航海に加え、白い悪魔なる魔物の所為で、海水をもろに浴びたのだ。
航海中の真水は貴重であり、身体を拭くのが関の山。それでも俺はまだマシな方。ミアの長い髪はギシギシで、肌触りは過去最悪である。
風呂付きの宿を選んだのは、この為と言っても過言ではないのだ。
「「絶対に覗いちゃダメだからね!」」
「はいはい……」
脱衣所へと姿を消した2人。暫くすると、風呂から聞こえてくる笑い声は楽しそうで何より。
冒険者用の安宿には風呂なんてついていないのが普通なのだが、この街もコット村と同様、温泉が湧き出ているのだ。穴掘り好きなドワーフらしいと言えばらしい。
「主。覗きに行かないのですか?」
「……まさかカガリからそう言われるとは思わなかったよ。俺って信用ないのか?」
「いや、そうではないです。ミアは間違いなく本心でしたが、シャーリー殿は嘘を付いていたので……」
「……は? 何が?」
「いえ、覗くなと言っていたじゃありませんか。それですけど……」
「覗いてもいいってこと?」
「他にどんな意味が?」
「……」
ベッドに座り顎に手を当て思案する。その顔は真剣そのもの。ここまで真剣に悩むことは、そう滅多にあることじゃない。
カガリが言うのだから、嘘ではないはず。ミアはシャーリーを覗くなという意味で言ったのならば本心だというのも頷ける。今更、自分の裸を恥ずかしがりはしないだろう。
シャーリーは、カガリが嘘を見抜く力があることは知らないはず。ミアがそれをシャーリーに明かすとも思えない。となると、やはりカガリは間違っていないのか?
だが、本当に覗いてしまってもいいのだろうか……。「覗くな」の言葉が嘘だとはいえ、それは「絶対に見に来い」という意味ではないはずだ。どっちでもいいけど覗かれちゃうのは仕方ないよね? くらいの感覚が妥当だろうと推測する。
見られたくない気持ちもあるからこそ、釘を刺した可能性も否定はできない。
仮に覗きに行ったとして、悲鳴でも上げられたらどうすればいい? カガリが覗いてもいいと言ったからと正直に言うのか?
俺は嘘は言っていない。だが、それを2人が信じるかと言われると疑問が残る。この場面で俺とカガリ、どちらを信用するのかと言われれば、カガリの方が信用度は高いはず。
カガリは、魔獣とはいえ女の子。故に人間に欲情することなどないだろう。となると、俺がカガリに濡れ衣を着せ、言い訳をしていると捉えられるのが妥当である。
――結論。
「覗かない!!」
「そうですか。でも言っている事とやっている事が逆なんですが?」
「――ッ!?」
なんてことだ。ベッドに座って考え込んでいたはずなのに、俺はいつの間にか脱衣所の前にいたのである!
「もしや、瞬間移動!?」
「いや、自分で歩いていましたけど……」
カガリからは、呆れたようなツッコミが入り、ワダツミとコクセイは笑いを堪えるのに必死だ。
仕方がないのだ。覗きとはそれだけ勇気がいるもの。未成年ならまだしも、成人すればそれはまごうことなき犯罪である。
俺はこう見えても彼女いない歴30年の大ベテラン。ヘタレと言われるかもしれないが、実際そうである。
声を大にして言いたい。そんな度胸があれば、彼女の1人や2人出来ていただろうと。
そう、俺には勇気が足りないのだ。今、それを見せる時なのではないだろうか。高鳴る鼓動は自分自身への鼓舞である。
俺は勇気を振り絞り、脱衣所の扉に手を掛けた。
そしてその扉が勢いよく開かれる。――だが、開けたのは俺ではなかった。
「どうしたの九条? 入るならどうぞ。空いたわよ?」
そこに立っていたのは、上がりたてほかほかのシャーリー。頭を傾けタオルで髪をぱたぱたと乾かしている最中だ。すでに着替えも済ませ、後は寝るだけといった状態である。
何と言えばいいのか。風呂上りというだけあって普段とは違い、白い肌はほんのりと紅く、どこか艶っぽく見えてしまうのは目の錯覚ではないだろう。
それに見とれていると、シャーリーの後ろからミアがひょっこりと顔を出す。
「上がったから、おにーちゃんも入ってどーぞ?」
ミアは……。うん。いつも通りだ。
あーだこーだと迷っている内に時間切れになってしまった俺は、戸惑いながらも生返事を返すことしか出来ず、やはり自分はヘタレなんだと再認識しつつも、1人寂しく湯舟に浸かる。
そんな俺を慰めてくれたのは、他でもない従魔達だ。
面倒臭い主だと暗に言っているような気もするが、それにはそっと目を瞑り、潮風でゴワゴワになった従魔達を優しく洗い上げたのである。
平屋1棟を自由に使えるということで、従魔達を考慮するなら最適な宿だろう。冒険者の宿より値は張るが、ハーヴェストの巨大な部屋よりは全然安い。
荷物を降ろし一息つくと、シャーリーから街の地図を拝借し目的地を探す。
「バイスに教えてもらったって鍛冶屋。何て名前なの?」
「バルガス工房? って所らしいんだが……」
「あぁ、あそこね。知ってるわ。地図で言うとこの辺りよ」
ベッドに座る俺の横に自然とシャーリーが腰掛け、肩が触れるほど近寄ると、持っていた地図に指を差す。ふわりと漂う潮の香にも慣れたものだ。
「有名なのか?」
「なんというか昔気質な鍛冶職人って感じ? 仕事は丁寧で質もいいけど、その分値も張るから評価は五分五分。お金持ちにはいい店だけど、冒険者から見るとぼったくりって言われることもあるって感じかな。まぁ、貴族なら普通に払えるんでしょうね」
気だるそうに言うシャーリーの機嫌は、あまり良くはなさそうだ。
「何かあったのか?」
「ううん。私も評判を聞いて話を聞きに行ったことがあるんだけど、やっぱ高いのよね。1番安い短剣でも魔法書が1冊買えるくらいはするよ?」
金はある。そこは問題ないのだが、短剣で魔法書1冊分は正直言って高すぎる。
魔法書は高価だ。安い物でも1冊金貨100枚前後はする。通常のロングソードが金貨30枚ほどだと考えると、その違いは言わずもがな。
だが、一応今回は紹介されて来ている。だから安くしろとは言わないが、多少高くともそこで鎧の補修をしてもらおうと決めていた。
街に鍛冶屋がどれだけあるのかは知らないが、窓から見える煙突の数からしても、相当数あることは予想できる。
それを全て巡るのは億劫だし、何より素人目で見たところで鍛冶職人の良し悪しがわかるわけがない。ならば、バイスを信じるに限る。
そうと決まれば今日のところはゆっくりと休み、明日からの行動に備えて早く休もうという提案に、皆は快く同意した。
シャーリーもミアも。ついでに言うと従魔達も、風呂に入りたがっていたのである。
というのも、体中がベトベトだからだ。長い航海に加え、白い悪魔なる魔物の所為で、海水をもろに浴びたのだ。
航海中の真水は貴重であり、身体を拭くのが関の山。それでも俺はまだマシな方。ミアの長い髪はギシギシで、肌触りは過去最悪である。
風呂付きの宿を選んだのは、この為と言っても過言ではないのだ。
「「絶対に覗いちゃダメだからね!」」
「はいはい……」
脱衣所へと姿を消した2人。暫くすると、風呂から聞こえてくる笑い声は楽しそうで何より。
冒険者用の安宿には風呂なんてついていないのが普通なのだが、この街もコット村と同様、温泉が湧き出ているのだ。穴掘り好きなドワーフらしいと言えばらしい。
「主。覗きに行かないのですか?」
「……まさかカガリからそう言われるとは思わなかったよ。俺って信用ないのか?」
「いや、そうではないです。ミアは間違いなく本心でしたが、シャーリー殿は嘘を付いていたので……」
「……は? 何が?」
「いえ、覗くなと言っていたじゃありませんか。それですけど……」
「覗いてもいいってこと?」
「他にどんな意味が?」
「……」
ベッドに座り顎に手を当て思案する。その顔は真剣そのもの。ここまで真剣に悩むことは、そう滅多にあることじゃない。
カガリが言うのだから、嘘ではないはず。ミアはシャーリーを覗くなという意味で言ったのならば本心だというのも頷ける。今更、自分の裸を恥ずかしがりはしないだろう。
シャーリーは、カガリが嘘を見抜く力があることは知らないはず。ミアがそれをシャーリーに明かすとも思えない。となると、やはりカガリは間違っていないのか?
だが、本当に覗いてしまってもいいのだろうか……。「覗くな」の言葉が嘘だとはいえ、それは「絶対に見に来い」という意味ではないはずだ。どっちでもいいけど覗かれちゃうのは仕方ないよね? くらいの感覚が妥当だろうと推測する。
見られたくない気持ちもあるからこそ、釘を刺した可能性も否定はできない。
仮に覗きに行ったとして、悲鳴でも上げられたらどうすればいい? カガリが覗いてもいいと言ったからと正直に言うのか?
俺は嘘は言っていない。だが、それを2人が信じるかと言われると疑問が残る。この場面で俺とカガリ、どちらを信用するのかと言われれば、カガリの方が信用度は高いはず。
カガリは、魔獣とはいえ女の子。故に人間に欲情することなどないだろう。となると、俺がカガリに濡れ衣を着せ、言い訳をしていると捉えられるのが妥当である。
――結論。
「覗かない!!」
「そうですか。でも言っている事とやっている事が逆なんですが?」
「――ッ!?」
なんてことだ。ベッドに座って考え込んでいたはずなのに、俺はいつの間にか脱衣所の前にいたのである!
「もしや、瞬間移動!?」
「いや、自分で歩いていましたけど……」
カガリからは、呆れたようなツッコミが入り、ワダツミとコクセイは笑いを堪えるのに必死だ。
仕方がないのだ。覗きとはそれだけ勇気がいるもの。未成年ならまだしも、成人すればそれはまごうことなき犯罪である。
俺はこう見えても彼女いない歴30年の大ベテラン。ヘタレと言われるかもしれないが、実際そうである。
声を大にして言いたい。そんな度胸があれば、彼女の1人や2人出来ていただろうと。
そう、俺には勇気が足りないのだ。今、それを見せる時なのではないだろうか。高鳴る鼓動は自分自身への鼓舞である。
俺は勇気を振り絞り、脱衣所の扉に手を掛けた。
そしてその扉が勢いよく開かれる。――だが、開けたのは俺ではなかった。
「どうしたの九条? 入るならどうぞ。空いたわよ?」
そこに立っていたのは、上がりたてほかほかのシャーリー。頭を傾けタオルで髪をぱたぱたと乾かしている最中だ。すでに着替えも済ませ、後は寝るだけといった状態である。
何と言えばいいのか。風呂上りというだけあって普段とは違い、白い肌はほんのりと紅く、どこか艶っぽく見えてしまうのは目の錯覚ではないだろう。
それに見とれていると、シャーリーの後ろからミアがひょっこりと顔を出す。
「上がったから、おにーちゃんも入ってどーぞ?」
ミアは……。うん。いつも通りだ。
あーだこーだと迷っている内に時間切れになってしまった俺は、戸惑いながらも生返事を返すことしか出来ず、やはり自分はヘタレなんだと再認識しつつも、1人寂しく湯舟に浸かる。
そんな俺を慰めてくれたのは、他でもない従魔達だ。
面倒臭い主だと暗に言っているような気もするが、それにはそっと目を瞑り、潮風でゴワゴワになった従魔達を優しく洗い上げたのである。
21
あなたにおすすめの小説
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
迷宮アドバイザーと歩む現代ダンジョン探索記~ブラック会社を辞めた俺だが可愛い後輩や美人元上司と共にハクスラに勤しんでます
秋月静流
ファンタジー
俺、臥龍臼汰(27歳・独身)はある日自宅の裏山に突如できた洞窟を見つける。
語り掛けてきたアドバイザーとやらが言うにはそこは何とダンジョン!?
で、探索の報酬としてどんな望みも叶えてくれるらしい。
ならば俺の願いは決まっている。
よくある強力無比なスキルや魔法? 使い切れぬ莫大な財産?
否! 俺が望んだのは「君の様なアドバイザーにず~~~~~っとサポートして欲しい!」という願望。
万全なサポートを受けながらダンジョン探索にのめり込む日々だったのだが…何故か元居た会社の後輩や上司が訪ねて来て…
チート風味の現代ダンジョン探索記。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる