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ケンゾー・シバ (イラスト2)
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ケンゾー・シバ(13歳~14歳)
成長期に差し掛かり、少年から青年の風貌へと変化している。
装備:ルイーズ作カンフー道着を愛用。
その他に、ルイーズ作補助魔道具の試作品を数点装備している。
武器:祖父から貰い受けた『刀』と、隠し武器として、ルイーズ作の手裏剣、苦無、マキビシ等々……。
得意属性:風
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Bランクアップ試験の護衛依頼を受けたケンゾーは、護衛対象である『バルナベ』に質問攻めにされていた。
「この『まきびし』という物は凄いですね」
「はぁ……」
「これは、ケンゾー様がお作りになられた物なのですか? 」
「いえ、私が作った物ではありません」
「では、何方が━━」
「答えられません。守秘義務が御座いますので」
「ヒントだけでもいただけませ━━」
「無理でございます! どうしても知りたいと仰るのなら、国王陛下の許可を頂いて下さい」
「っ! しょ、承知いたしました。これ以上の質問は控えさせていただきます」
「そうして下さると助かります。(お嬢様の身の安全の為、お答えするつもりは毛頭ございませんので)」
そう言って、ケンゾーは空を見上げた。
そして、思い出すのはBランクアップ試験に赴くと主━━ルイーズに告げた日の事である。
「お嬢様。私は、ランクアップ試験に赴きとうございます」
「ん? では、遠征に付いてこないって事? 」
「はい」
「私の傍に居る為に、剣術科の特別講師までしているのに? 」
「は、はい……」
「う~ん……」
「無理でございましょうか? 」
「いえ、行っちゃあ駄目って事ではないのよ」
「では、行っても宜しいのですかっ」
「ええ、もちろんいいわよ。でも……ケンゾーって意外とうっかり屋さんだから、心配なのよねぇ」
「私はうっかり屋さん? なのですか? 」
「えっ!? 知らなかったの? ほら、この間も、罰ゲーム用『辛子入りシュークリーム』をお客様にお出ししそうになったじゃない」
「……(気の良いお嬢様を丸め込み、甘い汁を啜ろうとしていた不逞の輩には辛子入りシュークリームでも甘いくらいだったのですが? )」
「あと、貧血を起こして蹲っていたご婦人に私が駆け寄ろうとしたら、マキビシを投げつけたりもしたわ」
「……(本当に貧血を起こし蹲っているご婦人は、手に刃物を忍ばせたりは致しませんよ? )」
「あのご婦人、大丈夫だったのかしら……ケンゾーが撒いたマキビシに驚いて、逃げて行っちゃったけど……」
「走って行ったという事は元気になった証拠ではありませんか? 」
「……そうなのかなぁ? 」
「そうでございます。現に、騎士総出で捜索しても、見つかりませんでしたからね」
「あっ、探してくれてたのね。ありがとう、ケンゾー」
「いえいえ。お嬢様の憂いを掃うのも従者の務めですから」
「ふふ。あっ! マキビシで思い出したわ。ちょっと待っててね━━━━はい、苦無と手裏剣よ。もう在庫がなくなる頃だったでしょう? 」
「ありがとうございます」
「マキビシの在庫はまだある? 」
「はい。まだまだ、残っておりますのでご安心を」
「…………」
「お嬢様? 」
「う~ん。武器は、十分にある……食料は? 」
「いつも食べきれない程、分けていただいておりますので2~3ヶ月は持つかと」
「そう……寝袋は? 」
「『一見、なんの変哲もない寝袋なのに、無重力の寝心地』を入れております」
「うん。じゃあ、回復アイテムは? 」
「ヒールポーションを少々と、毒消し、麻痺治し共に入れております」
「それじゃあ、心許無いわね……」
「そうでございますか? 」
「そうよ。あ、ちょっと待ってて━━━━はい。試作品だけれど、私の『回復魔法』効果が入った指輪型魔道具と『状態異常』を回復するペンダント型魔道具よ」
「新作でございますか? 」
「ええ。遠征用に試作した出来立てのほやほやよ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして。後は……着替えにおやつとか……」
「アイテムバッグに入っております」
「ん。じゃあ、準備万端ね」
「はい」
「では。最後に一つ、私から命を下します」
「はっ。なんなりと、お申し付けください」
「ケンゾー。どの様な困難があろうとも、無事帰って来るのよ」
「従者、ケンゾー。お嬢様の命、しかと承りました」
・
・
・
「バルナベさん。そろそろ参りましょうか」
険しい表情から一転。柔らかな笑みを浮かべ、手を差し伸べるケンゾーの姿にバルナベは…………。
「ケンゾー様? 」
「(1日でも早く依頼を完遂し、お嬢様の元へ帰らねばなりません)さぁ、お手を」
「は、はい……」
成長期に差し掛かり、少年から青年の風貌へと変化している。
装備:ルイーズ作カンフー道着を愛用。
その他に、ルイーズ作補助魔道具の試作品を数点装備している。
武器:祖父から貰い受けた『刀』と、隠し武器として、ルイーズ作の手裏剣、苦無、マキビシ等々……。
得意属性:風
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Bランクアップ試験の護衛依頼を受けたケンゾーは、護衛対象である『バルナベ』に質問攻めにされていた。
「この『まきびし』という物は凄いですね」
「はぁ……」
「これは、ケンゾー様がお作りになられた物なのですか? 」
「いえ、私が作った物ではありません」
「では、何方が━━」
「答えられません。守秘義務が御座いますので」
「ヒントだけでもいただけませ━━」
「無理でございます! どうしても知りたいと仰るのなら、国王陛下の許可を頂いて下さい」
「っ! しょ、承知いたしました。これ以上の質問は控えさせていただきます」
「そうして下さると助かります。(お嬢様の身の安全の為、お答えするつもりは毛頭ございませんので)」
そう言って、ケンゾーは空を見上げた。
そして、思い出すのはBランクアップ試験に赴くと主━━ルイーズに告げた日の事である。
「お嬢様。私は、ランクアップ試験に赴きとうございます」
「ん? では、遠征に付いてこないって事? 」
「はい」
「私の傍に居る為に、剣術科の特別講師までしているのに? 」
「は、はい……」
「う~ん……」
「無理でございましょうか? 」
「いえ、行っちゃあ駄目って事ではないのよ」
「では、行っても宜しいのですかっ」
「ええ、もちろんいいわよ。でも……ケンゾーって意外とうっかり屋さんだから、心配なのよねぇ」
「私はうっかり屋さん? なのですか? 」
「えっ!? 知らなかったの? ほら、この間も、罰ゲーム用『辛子入りシュークリーム』をお客様にお出ししそうになったじゃない」
「……(気の良いお嬢様を丸め込み、甘い汁を啜ろうとしていた不逞の輩には辛子入りシュークリームでも甘いくらいだったのですが? )」
「あと、貧血を起こして蹲っていたご婦人に私が駆け寄ろうとしたら、マキビシを投げつけたりもしたわ」
「……(本当に貧血を起こし蹲っているご婦人は、手に刃物を忍ばせたりは致しませんよ? )」
「あのご婦人、大丈夫だったのかしら……ケンゾーが撒いたマキビシに驚いて、逃げて行っちゃったけど……」
「走って行ったという事は元気になった証拠ではありませんか? 」
「……そうなのかなぁ? 」
「そうでございます。現に、騎士総出で捜索しても、見つかりませんでしたからね」
「あっ、探してくれてたのね。ありがとう、ケンゾー」
「いえいえ。お嬢様の憂いを掃うのも従者の務めですから」
「ふふ。あっ! マキビシで思い出したわ。ちょっと待っててね━━━━はい、苦無と手裏剣よ。もう在庫がなくなる頃だったでしょう? 」
「ありがとうございます」
「マキビシの在庫はまだある? 」
「はい。まだまだ、残っておりますのでご安心を」
「…………」
「お嬢様? 」
「う~ん。武器は、十分にある……食料は? 」
「いつも食べきれない程、分けていただいておりますので2~3ヶ月は持つかと」
「そう……寝袋は? 」
「『一見、なんの変哲もない寝袋なのに、無重力の寝心地』を入れております」
「うん。じゃあ、回復アイテムは? 」
「ヒールポーションを少々と、毒消し、麻痺治し共に入れております」
「それじゃあ、心許無いわね……」
「そうでございますか? 」
「そうよ。あ、ちょっと待ってて━━━━はい。試作品だけれど、私の『回復魔法』効果が入った指輪型魔道具と『状態異常』を回復するペンダント型魔道具よ」
「新作でございますか? 」
「ええ。遠征用に試作した出来立てのほやほやよ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして。後は……着替えにおやつとか……」
「アイテムバッグに入っております」
「ん。じゃあ、準備万端ね」
「はい」
「では。最後に一つ、私から命を下します」
「はっ。なんなりと、お申し付けください」
「ケンゾー。どの様な困難があろうとも、無事帰って来るのよ」
「従者、ケンゾー。お嬢様の命、しかと承りました」
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「バルナベさん。そろそろ参りましょうか」
険しい表情から一転。柔らかな笑みを浮かべ、手を差し伸べるケンゾーの姿にバルナベは…………。
「ケンゾー様? 」
「(1日でも早く依頼を完遂し、お嬢様の元へ帰らねばなりません)さぁ、お手を」
「は、はい……」
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